子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 facebook note |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2025年 3月、2月、1月、2024年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月、2023年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月。 |
【2025-4】 ◎ 日本も "四季" から "二季" に移行 桜の花が咲いたと思ったら急激に冷え込んだり、逆に夏のような陽気になったりしています。 三寒四温の時期ですので、気温の乱高下は仕方ないものの、体調の維持は大変ですね。 気象庁の 「平年値」は、特定の時期/地点の天候(雨量や温度など)の30年分の平均値で 10年毎に更新されてます。 東京は 2011年⇒2021年で、3月と7月の平均気温が約0.7度上昇…… 大雨/旱魃の発生が急増したそうです。 また、夏場の異常高温などが農作物に影響を与え、これまで作付けできていた米や野菜が育たなくなる例も出てきます。 名産 「コシヒカリ」が新潟県で生産できなくなるのも、時間の問題なのでしょうか? さらに、病害虫の "越冬" も深刻な課題となっています。 異常気象のうえに 春・秋の "快適な日" も減って 「あっという間に夏/冬!」の "二季" になって行くとのこと。 確かに 「好い時候になりました」という挨拶は、今日ではほとんど聞かれなくなりましたが、なんだか締りのない感じがします。 ◎ 「早く正解を言えよ!」の風潮 刑事ドラマには 「何か証拠/根拠があるんですか?」 と発言した人が犯人、という "約束" があります。 犯罪心理学の教科書にそう書いてあることもあって、作家も安心して "フラグ" として使うのでしょう。 初めに犯人を教えてからドラマが始まる 「倒叙式(Inverted Detective Story)」は、『Columbo(刑事コロンボ)』(米1968年〜)で人気を博しました。 昨今は そう露骨に犯人を示さないまでも、「犯人はこいつ!」 と ある程度想像させないと視聴を続けてもらえません。 偏差値偏重教育は 「正解をいち早く察知すること」を追求するため、録画講義は2〜3倍速での視聴が常態化してます。 高校・大学の講義や社会人向けの研修でも、多くの受講者は 「早く正解を言えよ!」 というストレスを感じています。 そうした人こそ 「一時立ち止まり 考えてみる」「自分の感覚に歪みがないか?」 といった趣旨の訓練が必要なのに、そうした訓練の場は、ストレスをますます募らせ、指導者に反発するのみ…… オリエンテーション等の形骸化は、実に深刻です。 昔は 「精神主義」「礼儀」 やパワハラ的指導、鉄拳制裁等が その機能を担ってきたわけですが、もはや許されません。 学校現場でも職場でも今、探究学習の導入と教師の「知的リーダーシップ」の真価が問われています。 ◆ 「倒叙式」 は、視聴者を犯人に感情移入させ、その視点から 捜査員との駆け引きや次第に追い詰められて行く葛藤・焦りにドキドキさせます。 でも 「最初のツカミ」重視の若者には人気の半面、結論が見え難い展開の状況を楽しめない風潮を生んでいるようにも感じます。 ◆ 『古畑任三郎』 も倒叙式でした。 初期(1994年〜)の平均視聴率は 14%だったものの、2年後には 25%以上の高視聴率になっていきました。 偏差値偏重教育が染みついた人が、世の大勢となった時期だったようです。 並行して、我が国の "失速" が始まっていました。 ◎ 教職員のストレス管理を 学校現場では、教職員の健康診断が義務づけられていますが、ストレスチェックまでしている学校は まずありません。 健康管理は教職員個人の自己管理に丸投げされていて、管理職は責任を取らない仕組みです。 しかし、教職員が心身ともに健康でいることは、校内の雰囲気を明るく前向きにする基本…… ストレス管理も大切です。 ところがその面は、わが国では過去30年以上おざなりに……急速に進むグローバル化の一方で "手抜き" されてます。 総じて教職員は真面目なので、保護者から 「説明しろ」「責任を取れ」「プライバシー侵害だ」 などと言われると弱い。 挙句の果て 「校長に言ってもいいの?」「訴えるぞ!」 の脅しに、精神的に追い込まれていく例が少なくありません。 さらに 管理職からは 「上手くやれ」「なんとかしろ」 と責任転嫁されて、孤立させられることも多いのです。 今世紀に入って頻発している教職員の不祥事の根っこに、こんな孤立がたくさんあるようです。 ◆ 学習効果が上がるためには、心身の健康が大事です。 規則正しく適度な 「食事」「運動」「休息」を心掛けましょう。 若者はともすると生活のリズムが狂ったり 何かが偏ったりしやすいものです。 自分なりのリズムや均衡を回復させる意識を持ち、試行錯誤で秘訣をつかんでいくよう助言していきましょう。 保護者からの相談で多いのは、児童生徒が 「自分は太っている」といった自己認知の歪みを持っていることです。 矯正に特効薬はありませんが、好きなことをして汗を流し、ストレスを溜めない子は、意外と認知の歪みが生じません。 ◎ 「グローバル教育」のコモディティ化? 「コモディティ化(Commoditization)」 とは、最初は高付加価値(機能や品質など)を持っていた商品の市場価値が徐々に低下すること…… 類似の商品が普及して、消費者の商品選択の基準が 市場価格や量(安い方or購入者が多い方)に絞られていく現象です。 「帰国子女受け入れ校」「グローバル教育校」 は、昔は 「合格偏差値65以上」 の進学校(御三家など)は無縁…… 「帰国生はお断り」の姿勢でしたが、20年前、大手進学塾は 「帰国生を中心に置こう」 と学校に呼びかけます。 しかし本音は、"名門校" にも 「帰国生受け入れ」を掲げさせ、各校に偏差値偏重の路線を維持させることでした。 「ニセ国際学級」を作って 「グローバル教育の好い加減さ」 を印象づける、国際教育のコモディティ化だったのです。 "衣の下の鎧" は 「偏差値・進学実績至上主義」…… 結局は ペーパー試験の偏差値と英検の結果しか見てません。 私立中学・高校はもちろん、公立校も学習塾に支援を頼む時代ですが、もし "予備校化" が進むとしたら逆効果です。 果たしてそれで、まともな人材が育つでしょうか? わが国最古の 「帰国生のための学校」である啓明学園から、現在の教育界を眺めたら どういう姿に映るのでしょう? 第94回EGS研究会(4/16) は、ある意味で "定点観測" の検証の場と思えてきました。 ◆ 大手ビール会社は 「クラフトビール」という名の "普及品" を大量に販売して、地ビールの人気を崩そうとしてます。 「地ビールは美味しくない」という風評を煽るために、クラフトビールのコモディティ化を狙うわけです。(姑息な…) ◎「リセマラ」症候群を克服させる 新年度が始まって数週間、早くも環境不適応な生徒が現われます。 志望校に入学し 幸せな毎日を送ってきた子であっても、「なんだか勉強に身が入らない」と感じる子は多いようです。 とくに有名進学校の場合は、入学当初から 「深海魚」とからかわれるほど成績が伸び悩む事例は多いのです。 他方、スマホゲームでは、開始時の 「ガチャ」で強力なキャラクターを入手できれば、ゲームの序盤を円滑に闘えます。 だから 自分が納得できるキャラクターを獲得できるまで ゲームアプリをリセットし続けるのが、今時の若者です。 <アプリを抹消して 再びインストールして「ガチャ」> を延々と繰り返す、マラソンのような頑張り…… 「リセマラ」と呼ばれる "習慣" はゲームの世界では許されても、学習面でもそれを期待されると呆れてしまいます。 「習うよりも慣れろ」で何度も挑戦するのは歓迎ですが、「好条件になるまで挑戦しない」のは それとは全く異質。 理科の実験前に 「失敗したら、またやっていいですか?」、成果発表の時に「後でやり直していいですか?」等々、挑戦前に "保険" を確認しないと着手できないのも問題です。 "学び" も仕事も 常に挑戦の要素があって成り立つので、どこかで選択・決断をしないと成長にも成功にも至れません。 ただ有利な条件を探すだけの若者の 「リセマラ」症候群を、なんとか克服させる工夫が必要です。 ◆ 新入職員の研修で 「上手くいかなかったら、○○さんの責任ですからね!」と念を押す参加者が結構います(唖然)。 ある若者に 「離婚してもよいのでなければ、結婚などできない」と言われた時は、どう答えてよいか しばし考えました。 ◎「包摂教育」を基本に グローバル化社会の教育研究会(EGS)では ここ数回 「包摂教育(Inclusive Education)」が話題の中心になってます。 "多様性を受け入れ 互いの参加と満足を得る" という観点から、共感や動機付け、互いの融合などを目指す教育です。 社会の役割分担や専門分野が細分化される現代では、誰にとっても 「生き難い」と感じられやすいものです。 だからこそ 学校教育では、子どもたちがそうした障害を乗り越えていける力を養わせたいと考えているわけです。 20年前、中教審の議論も踏まえて大手学習塾が 「帰国生を中心に据えた教育」を名門進学校に呼びかけ始めました。 帰国子女教育で培われた包摂教育のノウハウを全ての学校に普及させて、学力の増進を図りたいという意図でした。 しかし、肝心の学校側に 「偏差値偏重・進学実績至上主義」の基本がある限り、多様性に対応しているとはいえません。 「グローバル教育を推進」と掲げながら 他方で大学進学実績を誇っている学校は、羊頭狗肉といわざる得ません。 1940年に帰国生のために設立された啓明学園は、時代が変わっても 夜空の "明けの明星" のような存在です。 周りに包括教育に取り組む学校が増えてきたことは喜ぶべきでしょうが、その分目立たなくなっているのが残念です。 ◆ 「名門塾から名門校に進学すれば "一生安泰"」と誰も信じてはいません。 子どもの尻を叩き続ける親のメンタル面を、誰が/どの機関が修正できるのか真剣に考えるべきですが、"お受験ママ" たちからは 「負け犬の〜」と失笑されます。 ◎ 4月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 第94回グローバル化社会の教育研究会(EGS) (Hybrid)--- 4月16日(水) 午後2時〜、テーマ 『帰国生・国際生の「ことば」を どう生かすか、伸ばすか 〜啓明学園の国際学級〜』=大坪 隆明(啓明学園中学校高等学校 校長)。※ 「帰国子女」の概念が変容していくなか、伝統校の学校改革の現場を考えます。 ★ CFIECウェビナー(On-Line)--- 4月4日(金) 午後2時〜、テーマ 『トランプ2.0 と台湾海峡 予見出来ない世界をどう予見するか』=川島 真(東京大学大学院総合文化研究科)・渡部 恒雄(笹川平和財団)・渡辺 紫乃(上智大学総合グローバル学部)ほか。 ※ 台湾海峡における中国の軍事的圧力が常態化する中、トランプ政権はそれをどう見ているのでしょうか? ★ 「第23回カレーフェスティバル&バングラデシュボイシャキメラ」---4月20日(日)、池袋西口公園。 ※ バングラデシュの正月を祝う詩の朗読や歌、日本舞踊団体によるバングラ踊りのほか、バングラデシュカレー料理も楽しめます。 ★ 遠山顕と仲間たちが贈る 「和英☆あの懐かしき歌や物語」--- 4月22日(火)、於:鶴見区民文化センター(横浜市)。 ※ われらが遠山 顕さんたちによるパフォーマンスの数々…… ハンカチを何枚も持参して 思い出に浸りに行きましょう! ★ 第20回神奈川私立中学相談会--- 4月29日(火)、於:パシフィコ横浜。 ※ 神奈川県内の全ての私立中学が魅力をアピール。事前申込制です。 なお、東京都は5月18日(日)です。 ★ 同志社国際・ICU高校 合同説明会--- 5月10日(土) 午後2時〜、於:同志社大学 東京オフィス。 ※ 1978・80年に国の予算を投入して創立された帰国生のための高校は今…? 翌日は名古屋でも開催。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 30日(日)、国際文化フォーラム(TFJ) の「PCAMP in 東京」(於:大学セミナーハウス) 最終日を観てきました。 さまざまな文化的ルーツを持つ中高生が4日間、演劇ワークショップを中心に交流活動するものです。 嬉しいことに 1期生(2018年3月) が "触媒" としてサポートしてくれています。 互いに磨かれていく若者の感性や吹き出すエネルギーは素晴らしいです。 ◆ 英検1級道場で5月から 「リスニングを鍛えなおし、英語力を飛躍的に向上させる」という新機軸の講座が…… 既に高度な英語力を持つ人が更に磨きをかけるよう設計されてます。 指導は、同時通訳養成学校や放送通訳で長年経験を積まれた先生です。 無料の公開講座(4/12)を受付中! ◆ 学校現場を離れたことを実感するのが、定期健康診断や予防接種の連絡が市・区役所から届くことです。 予防接種は任意となり、自己負担金も出てきます。 公衆衛生の徹底や普及のために義務づけられていたことから解放される安堵感とともに、一抹の寂しさも感じます。 ◆ 米国政府は4月から関税強化の政策を発しています。 連邦政府には日本の消費税に相当するものがないので、国の税収不足を輸入品の関税で補おうとするわけですが、それを負担するのは米国民であることは見過ごされています。 体の好い "大型間接税" の導入なのです。 ◆ 前回、日ごろの点検や保守の体制を削減する発想の愚かさを書きましたが、御用学者たちは 「『インフラは誰かが何とかしてくれるもの』 という意識から国民が覚醒し…」 と言い出しました。 そういう 「誰かが何とかしてくれる」 の意識を変えるべきは 政治家や経営者であって、点検や保守の人員・経費を削減した責任を自覚すべきです。(怒) ◆ 電車内の 「優先席付近では、混雑時には携帯電話の電源をお切りください」 という表示は、何の意味があるの? と外国人から聞かれました。 わが国には、誰も理由を知らないし 守る気もない "決まり" が多すぎます。 だからといって、いきなりナイフを振り回されても困りますけどね。(春の陽気にご注意) ◆ 職員室の小話から……急行電車の車内で; 「ねぇ、おかぁさ〜ん、おしっこぉ〜」「もぉー、次の駅まで我慢しなさい」「ねぇ、おかぁさ〜ん、おしっこぉ〜」「もっと早く言いなさいよ!」… 「かぁさん! しっこ!」(でも、電車はしばらく停まらない) ◆ 将軍 徳川家光が 慶安4年(1651年)4月20日(新暦6月8日)に亡くなったため、以後、侍の世界では月命日20日に祝い事を避ける習慣ができました。 新年の鏡開きも元は 「刃柄<はつか>」(鎧や具足)の祝いなので1月20日でしたが、1月11日に行う習慣が残っています。(新暦の今日では 気にしませんが) ================================================================================================== |
【2025-3】 ◎ 木材や金属素材でも 「馴染む」 は大事 「馴染<なじ>む」は 「人になれて親しくなる; 物事や場所になれて親しみをもつ; ほどよく調和する」の意味です。 そして 「馴染む」は、木材や金属素材についても使われます。 木の根から吸収された水分や栄養は表皮附近を通って運ばれるため、幹の中心部は水分が減り 堅くなっていきます。 だから、製材後に放置しておくと、含有水分の差によってソリや歪みが生じます(含水率 20〜30%の時に著しく発生)。 真面目な製材所では数年間 "寝かせ"(貯蔵し)、10〜15%まで乾燥させてから加工し 出荷しているのです。 歪みが生じ難い木材を使って製作した箪笥<たんす>や机は、材料同士がよく馴染むので、丈夫で狂いが生じません。 他方、鉄やアルミでも 成型後に数年は寝かせておかないと 必ず歪みが生じます。 また 歯車も上手く回らないのです。 つまり、金属加工でも 「馴染み」は極めて大事な要素なのですが、偏差値偏重教育で育った人には理解できません。 ◆ 偏差値偏重教育で育った秀才は、「しっくりする、調和する、溶け合う」 ことが人間の社会にも必要で、親しい人とも礼節をわきまえるべきだということを理解できず、やたらと 「オーバースペックだ」 と主張します。 そんな人が上層部になると、その会社の製品は必ず事故を起こします。(責任は部下に転嫁?(怒)) ◎ 立川国際中等教育学校が求める生徒像 都立 立川国際中等教育学校は旧 都立北多摩高校を母体に 2008年度に中高一貫校、かつ 「第二国際高校」として開校。 都立の中等教育学校としては 唯一 "国際" を冠すること、校地のうち大半が国立市にある点でもユニークです。 学年定員は、入試時に "一般枠"(男女各65名)のほか 「海外帰国・在京外国人生徒枠」(男女問わず30名)の計 160名。 後期課程(高校)からの入学者募集はありません。 また 前期課程(中学)の出願者は、他の都立中等教育学校や都立中学校への出願はできません。 求める生徒像は; ★「論理的に思考する力: 物事を筋道立てて考え、問題を解決する力」 ★「外国語での簡単なやり取りができる力: 身近な事柄について外国語でコミュニケーションができる力」 ★「協働する力: 身近な人々と協力して物事を進める力」 ★「体験から課題を見いだす力: 実際の体験を通じて課題を発見し、それに取り組む力」 つまり、国際教育と教養主義を重視し 生徒たちが互いに尊重し合いながら学び合う環境を提供しようとする学校です。 でも、本当に上記の生徒像のような子が もし入試で不合格になったら、他の中学校で上手くやっていけるでしょうか? 今、そんな子の受け皿として脚光を浴びているのが 「世界を心に入れた人を育てる」を教育目標にしている啓明学園…… 太平洋戦争の前から "国際社会で活躍する人材を育成してきた伝統校" です。 ◎ 「ごめんね消費」 って厄介です 「Ultra fast-fashion」 は フランス語の辞書に載るほど世界を席捲し、「ごめんね消費」としても注目されています。 ある有名ブランドが 「今年の新商品」を売り出すと、すぐに UF製造者は その7〜8倍の類似品をネット上に載せます。 素人目には有名ブランドと見分けがつかない商品が、やや "可愛さ" を加味して何種類もWEB上に並んでいるのです。 デザイン経費が不要なので 気楽に大量生産できる(?)ため、「安価で豊富なデザイン」として世界の若者に人気です。 SNSで拡散される "安くて可愛い商品"…… つい買ってしまうのでしょうけど 有名ブランド側にとっては大損害。 それに、過剰生産による資源の無駄遣いや多量廃棄の山が地球環境に与える悪影響も無視できません。 「使い捨てアイテム」「失敗してもたかが…」といいながら、SDGs を主張する人でも何点も購入しています。 だから 「ごめんね消費」……SDGs が国連総会で採択されてから10年ですが 前途は多難です。 ◆ 40年前、ある帰国生に「アメリカ出張のお土産は何が好い?」と聞くと 「モネ…」とクラシック風な装身具を希望されたことがありました。所詮 メッキだから格安でセンスも好い…… 財布にも環境にも優しいと思いました(笑)。 今はオンラインで買えるんですね。 ◎ 「偽ブランド」の純正品? 工場の生産工程における試作品・欠陥品・規格外品などは、発注者側からは廃棄を厳しく求められています。 芸術家なら自らの手で 直ぐに破壊/廃棄しますが、下請け工場に発注していたりすると、廃棄までは管理しきれません。 もし、それが(最初は密かに)格安で社会に流出したら、それを(多少見てくれが悪くとも)欲しがる人が現われます。 やがて それが高じて、ある程度のまとまった数量で常に生み出され 市場に出回るように…… 「偽ブランド」 は品質も材料も 純正品に比べて劣る例が多いのですけど、 "整理対象品" は 純正品と同じ工場で生産されます。 材料も工程も同じ。 甚だしい時は商標まで表示され "社員-株主向け 「Outlet」商品" として安く売られたりします。 問題は、有名ブランドの側が関知しない "類似品" が多量に生産され、それが流通する市場が出現することです。 インターネットを介して宣伝や口コミ、販売、代金決済などが広範・瞬時になされ、責任や資金の所在も不明瞭です。 なお 農産物の場合は、形や色、大きさなどが 中間業者(仲買)の指示する規格に合わないものは、出荷ができません(例: キュウリは 「真っすぐ、長さ 22cm前後、長径 2.5cm前後」などと規定)。 だから スーパーや八百屋で売るキュウリは皆 「真っすぐ」…… 一つ一つに錘<おもり> をぶら下げて育てます(高いはず!)。 規格に外れた農作物の味は "合格品" と同じですけど、「産地直送」や「道の駅」等で売っても、収入は知れてます。 ◆ 「Food Loss」(食品ロス)は "小売業者、食品サービス事業者、消費者を除く連鎖の中で、食品供給者の判断や行動によって生じる食品の量や質の低下" と定義されてます。 小売や外食産業、家庭で発生するものは 「Food Waste」(食品廃棄物)なのですが、日本のマスコミは 「フードロス」と呼びます。 恥をかくのは日本の若者です。 ◎ 現場にコスト削減ばかり要求する愚 日本製品が海外で売れなくなった理由は 「Overcapacity」(過剰機能)と それによる市場拡大の遅さだと よく言われます。 でも、外国製は 「出火」「コンデンサー爆発」「バッテリー暴走」「画面破損」 等の事故・破損が多いのも確かです。 しかも 故障の場合、冷たくあしらわれたり 修理工場が国内になくて数ヶ月待たされたりするのが当たり前です。 特約保険をかけておかないと、その間の代替機も貸してもらえません。 他方、日本製は工場が中国・台湾・韓国等にあっても、耐用年数とアフターサービスは 従来と変わらない建前です。 日本人顧客は 「壊れる物を売るな!」 と考え アフターケアや頑丈さを期待し過ぎる、と批判されるのですけど…… 昨今の日本の若者は リスクを覚悟で外国製も買うので、日系メーカーが品質を落とす傾向も 既に始まっています。 偏差値教育に染まった経営者たちは 「適度に壊れてくれないと儲からない」 と割り切り、丈夫さには目をつぶるのです。 つまり 顧客のことなんか考えていません。 他社との競争ばかりが気になり、コスト削減のみを現場に要求…… 事故・事件が起きれば 「予測不可能だった」 と強弁して、予防・保安の経費を削減した責任を逃れます。(若手は腐る…) ◆ 日ごろの点検や保守の体制を削減する傾向は、日本では1990年代から始まりました。 事故を防ぐことよりも 「(事故等の)事後処理に いくらかかる?」の検討を先行するのです。 列車の脱線、道路やトンネルの落盤など、従来なら防げていたはずの事故等が続発していますが、それらを防ぐための経費を削減した人たち(経営者)は責任を取りません。 ◎ "人づくり" の製造者責任は? 米国流MBA(経営学修士)の発想や手法(手抜きと無関心)には、私たち年寄りは憤りすら覚えます。 経済活動の基本には 「顧客の将来の財産や安全を護る」という節度が必要です。 "人づくり" である学校教育においても、生徒の将来の利益/安全を護り 彼らが力強く生きていけるように…… 子どもを何かの規格や型にはめることではなくて、幾多の課題に挑戦しリスクに対応する力を育てることだと思います。 「帰国生受け入れ校」 という用語が半世紀の間に "手垢" がつき、無責任な "羊頭狗肉" の学校が横行しています。 そんな風潮のなかで 相変わらず生徒本位の指導に徹している啓明学園(東京都)は、いろんな意味で特異な存在です。 とくに 「国語教育」が陳腐な教養主義に堕していく世の傾向に対して、日本語教育(JSL)の視点を大事にしています。 同校の大坪 隆明校長は 自らも日本語教師の資格を持ち、海外育ちの生徒たちの心と 「ことば」に寄り添っているのです。 「世界を心に入れた人を育てる」を教育理念とする学園の "不易流行" とは? 第94回グローバル化社会の教育研究会(EGS)では、その大坪先生に話題提供をお願いし、それを素に話し合います。 期日は4月16日(水) と決まりました。 ◎ 3月・4月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 東京都歴史文化財団 「Welcome Youth 2025」---3月1日(土)〜、於:江戸東京たてもの園、東京都美術館、東京都庭園美術館、東京都写真美術館、東京都現代美術館の5館。※ 18歳以下の若者がアートに触れる機会を提供((入場無料)。 ★ JACTFL 第13回シンポジウム--- 3月9日(日) 午前10時〜、於:上智大学四谷キャンパス。 [分科会1]「言語への目覚めの出前授業の成果と課題―学習者の言語態度中心に―」「大規模小学校での複言語学習―課題解決に向けた取り組み」ほか。 [分科会2] 「高校における教養としての第二外国語教育」「SFCにおける高大接続のスペイン語教育」ほか。 ★ FIGT Japan 5周年記念イベント(Hybrid)--- 3月9日(日) 午後2時〜、テーマ 『いま、なぜ 「帰国子女」か? ― 世代を超えて 「帰国子女」達が語る! 』= MAKI SATO(写真家)・古家 淳(『ぐるる』 主宰)・MIKIKO HATSUDA(育ちネット多文化CROSS 代表)ほか。 ★ つくるとつなぐのまなび 「教育を考える1日」--- 3月22日(土)午前10時〜、於:麹町学園女子中学・高校。 「探究と総合型選抜研究会 公開ミーティング・勉強会」「転移を促す授業・カリキュラムをどう設計するか?」「デジタル教材勉強会」。 ※ 教育のイノベーションは今? 現場の教員の本音の交流です。 ★ TJF 多言語・多文化交流 「パフォーマンス合宿 in東京」 発表会--- 3月30日(日)、於:大学セミナーハウス(東京都八王子市)。 ※ PCAMPが久し振りに東京に戻ってきての開催です。 ★ JAOS留学フェア2025--- 3月30日(日) 午前10時〜、於:野村コンファレンスプラザ新宿(東京都)。 ※ 留学を考えている生徒やその保護者を対象に、留学の基礎知識や留学先の選び方、奨学金情報などを提供することを目的とします。 [参考] TJF ときめき取材記 『ゴリラから学ぶ』(WEB記事)--- 山極 壽一(武蔵野美術大学 教授)。 ※ 霊長類学のフィールドワーク研究から解ることや、ヒトと動物との共生等について伺います。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ とくに弦楽器には、何十年も寝かせた "狂いの出ない木材" が用いられます。 そのため著名な楽器職人は、必ず大きな材木倉庫を持っています。 ギター製作者の君島 聡さん(池袋在住)の材木倉庫は …… 国家秘密にしましょう。(笑) ◆ 「エスカレータを歩かないで!/片側にばかり立たないで!」といくら言っても、平気で駆け上がったりする人はなくならず、ステップに歪みが生じて調整不良による事故も多発します。 一種の破壊行為ですが、業者も保険会社も、儲けが減るので警告には消極的です。(♪ 誰のせいでもありゃしない…) ◆ 都立 立川国際中等教育学校に 2022年度から附属小学校が開校…… わが国初の公立小・中・高一貫校です。 小学校の入試では "一般枠"(男女各29名)と 「海外帰国・在京外国人生徒枠」(男・女各6名)の計 70名を募集(学年 2学級。通学区域は 23区では6区のみに限定)してます。 ◆ 2月21日(金)、中央教育審議会が大学の規模縮小や再編・統合の促進を答申しました。 昨年11月に文科省が発表した大学進学者数の推計では 2035年から毎年1〜4万人のペースで激減するとのこと。 どういう教育をしたいのかが不明なまま、対策だけが独り歩きを始めます。 なお 27日(木)、厚生労働省は 2024年の国内出生数は72.1万人(前年比 5%減。日本で生まれた外国人を含む)と発表しました。 「純ジャパによる 純ジャパのための教育」 は 既に "絶滅危惧種" なんでしょう?(苦笑) ◆ パリ郊外で日本人高校の開校準備をしておられる山下朝史さんから、着実に前進している旨のメッセージが届きました。 「組織作りや資金などまだ解決すべき課題は残っております。 良いご報告ができる様精進しておりますので、引き続きご指導の程、よろしくお願いいたします。 現在は 2026年開校を目指しております」とのこと。 ◆ 国際文化フォーラム(TJF)が企画・運営担当職員(経験者/有期)を募集…… 「責任と情熱と冷静さをもって、そして創造的に取り組んでくださる方」を求めています(2025年3月末まで)。 ◆ 1月末に農水省は 「備蓄米放出」を決めましたが、与党議員の支持母体である流通団体の 「買い溜め」資金準備のために 流通在庫は増やせません。 それに極端な円安政策の結果、輸入食料の値段は放っておいても2倍になります。 「国際的な穀物価格の高騰」は嘘! トランプ大統領にまで 「円安は不公正障壁」となじられてます。 ◆ 13日(木)、大学入試の実施ルールを検討する文科省の協議会で、「基礎学力を測る試験」を年内に実施してよいことになりました。 これで 「一般入試の前倒し」 が "なし崩し的" に広がるのを 何とか押し留めたいわけです。 個人的には、一般入試そのものを廃止するほうが賢いと思うのですけど。 ================================================================================================== |
【2025-2】 ◎ 同人誌 『海峡』 の終刊 今月 卒寿(90歳)になられる桑ヶ谷 森男先生(元ICU高校 校長)は、EGS研究会には欠かさずご参加くださいます。 いつも私たちを励ましてくださっていますが、このたびお手紙と献本をいただきました。 日本人と在日朝鮮人が共に朝鮮問題を研究する会の同人誌 『海峡』 が、最終刊になるのだそうです。 50年前に創刊され 今回が31号ですが、会員の方々も高齢になられ 区切りをつけたいとのこと。感慨を覚えます。 先生は 近代日本の知識人の朝鮮観を研究されていて、5年前には 新渡戸 稲造と柏木 義円について執筆されています。 今回は 石橋 湛山と矢内原 忠雄の日韓併合以降の学説の分析でした。 前回同様、私は自らの無知・不見識を恥じながら拝読しました。 とりわけ石橋 湛山の 「小国主義」には 法学部学生だった頃に出会い、胸のすく思いがした記憶があるのですが…… 当時は その背景までは学びを進めるところまでいけないままで、実に50数年の時を超えて知った次第です。 ここ数年 日韓関係がギクシャクし お互いの溝が深まっていくような空気が漂っているので、心配しています。 その意味でも 『海峡』 の終刊は残念ですし、桑ヶ谷先生には別の場で発信を続けていただければと願っています。 ◆ 「中国統計年鑑」では 朝鮮民族は世界に約170万人で、約90万人が中国に住んでいるとのこと。 例によってアバウトですし、渤海(7〜10世紀)をどう考えるかで全く異なった感じになりますが、これに言及すると また揉めます。 ◎ 自分たちには何ができるのか? いよいよ受験シーズンです。 先日、某大手企業の宣伝広告には度肝を抜かれました。 「これを日本語に訳しなさい」は、大学入試問題にできますかね?(笑) <SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・企業統治)経営への関心が高まる中、ガバナンスの構築・強化には、仕事と生活を両立させるワークライフバランスが不可欠です> この後にもっと難文が続くのですが、もはや誰に向かって書いているのかも判らないほど 自己満足の極みです。 しかし、この手の言い回しで保護者の関心を引こうとしている学校が散見されるのは、時代の流れなのでしょうか? 真面目に学校選びをする保護者は、その学校が育てたい生徒像や教育サービスがどう設定されているか観ています。 借り物の言葉や新しい用語に不用意に飛びつかないで、「自分たちには何ができるのか?」の自問自答をしましょう。 第93回EGS研究会は2月12日(水)、木野 雄介さんのお話しを伺い、それを素に話し合います。 子どもたちが将来、元気に生きていける 「自己選択・自己決定の力を育てる教育」の環境はどうやれば実現するのか…… 教員ですらそれが見えなくなってしまう現実をどう改善していけるでしょうか? ◎ 2月は学習塾の "新年度" 大手塾の中でも 特に進学実績の良い塾に入れば、我が子も難関校に合格できると期待する保護者は少なくありません。 しかし、カリキュラムや教材がよくできていても、それが帰国生や外国籍の児童に適していない点には要注意です。 それらは、"小3・4の段階で 既に優秀だった子" を想定して作られていて、海外育ちの子には理解が難しいのです。 もちろん大半は入塾テストで不合格となるのですが、まかり間違って入塾できた場合は "地獄" が待ってるでしょう。 決して地頭が悪いわけではない(むしろ優秀な)のに、前提となる知識・技術のなさから 「解らないこと」ばかり…… つまり、その子の 「どこの知識・技術が欠けているのか?」 を 学年を遡って発見し補充してくれる指導が必要なのです。 かつての 「帰国子女受け入れ校」には、そういう教師が何人も揃っていて、編入学前から様々な助言もしてくれました。 最近は名門校の多くが 「帰国生なら誰でも入学させるが、特別の配慮はしない」という "羊頭狗肉" 方針を取ってます。 学習塾だけでなく、帰国後に編入学する学校を選ぶ際も、騙されない賢さが必要です。 ◆ 新型コロナの騒ぎで、明治以来の学校の概念や枠組みを変えようという発想が芽生えました。 単に 「教室での授業をオンライに切り替える」ということ以上に 子どもの主体的な学びに焦点を当てた改革の再認識です。 ◎ 本気にならないと 伝わらない 「分身ロボットカフェ」 の吉藤オリィさんの言葉です。 <「伝える」 という事は研究活動や商品開発に比べて簡単に見えてしまうが、全然簡単ではない。…(中略)… どこまで準備するかではなく、どれだけ準備の余地を見つけられるかで終わりはないし正解もない。 本気になれるか、諦めないかにおいて 敵は自分だけなのだ。> とくに ここ30年間の学校現場では "本気を出すこと" をネガティブに捉える傾向が強まっていて、よけい困ります。 教師までが他人(とくに児童生徒)の "本気" にも鈍感になっていて、その学校の指導力までを殺いでいるのです。 誰かに何かを "伝える" というのは難しいことですが、本気にならないと伝わるべきものも伝わりません。 それどころか事態はどんどん悪くなるものです。 後で後悔するくらいなら、まず自分から本気を出しましょう。 ◆ 教育現場では 「子どもを怒ってはいけない」とよく言いますが、現実問題として 大人が本気で叱った時(暴力は論外)こそ子どもの集中力が増すことも事実で、タイミングが合えば教育効果はあります。 しかし、良薬であっても副反応の危険が高いので、真剣勝負。叱った側には結果責任が(甚だしければ処罰も…)あります。 ◎ 自分の頭で考えましょう! SNSでの勧誘がきっかけとなる投資詐欺の被害は、昨年だけで2,271件、被害額約278億円です(警察庁調べ)。 「Facebook」「Instagram」 などに有名人の名前や写真を使った 「無料投資教室」 が掲載され、そこから被害に遭う事例が多いのです。 「無料」と聞けば警戒すべきことは SNSを利用する際の常識なのですが、昨今は 「無料」 に乗せられる風潮に。 昔は 「タダより高いものはない」 が庶民の常識でしたけど、今は 「耳より情報」 に対する警戒心が皆無に等しいのです。 昨年11月末、全国5ヶ所の裁判所に、総額で4億円の損害賠償を求める訴えが起こされ、メタ社は困惑しています。 小泉政権以降 「何事も自己責任で」 と言い続ける一方で、地域住民のネットワークを疲弊させてきたツケともいえます。 私たちは、「(庶民として)自分の頭で考えること」 を巧みに阻害されていることに気づくべきです。 ◆ テレビCMでも 「送料無料」が頻繁に流されますが、当然ながら運送業者やそこで働く配達員を泣かせています。 ただし 「Uber Eats」の配達員は 同社の社員ではありません。 配達員は皆 "個人事業主" ですので、交通違反をしようと事故を起こそうと、全て個人責任…… Uber社側には何の責任もないのです。 11月からの道路交通法改正により、自転車の 「スマホを見ながらの運転」にも処罰(6ヶ月以内の懲役 または10万円以下の罰金)が定められ、「Uber Eats」の配達は ますます過酷になりました。 事故を起こせば処罰は2〜3倍になり、その他に多額の損害賠償も課されます。(人生の破綻しかない…) ◎ 第93回グローバル化社会の教育研究会(EGS)を開催 2月12日(水)、木野 雄介さんに「パブリックリレーションズ」の話題提供をお願いしました。 とくに強調されたのが、教師自身が常に "学び" をアップデートしていくことの必要性でした。 「人権尊重をベースとした意思決定」「対等な対話を経た合意形成」「外部環境の変化に対応した自己修正」が大切…… 親や教師の任務は 「子どもが自ら選択できる環境・仕組みをデザイン」「人権をベースにした対等な関係性を構築」…… 教師が 大学までに学んだ知識と経験のみで その後 数十年も教育に携わることは、もとより論外です。 しかし、「教員免許は必要なのか?」 という意見が出るほどに、"旧態依然" の教師の事例が 如何にも多いわけです。 子どもたちは、私たち大人が生きて来た世界とは異なる時代を生き抜いていくための素養を必要としています。 子どもたちに寄り添い伴走していく姿勢と、日々 自らの "学び" を更新していく努力は不可欠なのです。 そのためには教師自身が可能な限り「越境」する…… 学校の外で学ぶ機会を数多くするしかありません。 ◆ EGS研究会も、そうした "異業種交流の学びの場" の一つですので、奮ってご参加ください。 ◎ 2月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ CFIECウェビナー(On-Line)--- 2月4日(火)午後2時半〜、テーマ 『トランプ新政権と変転する世界 ― 変化の本質と日本への示唆』=渡辺 靖 (慶應義塾大学)・安井 明彦(みずほR&T)・久嶋 省一(コニカミノルタ)・佐橋 亮 (東京大学)。 ★ アップリンク吉祥寺 「学校の映画特集」--- 2月7日(金)〜20日(木)。 11日 『夢みる小学校 完結編』上映後:『子育て教育コミュニティを通して、感じた 「子どもファースト」とは』=古内しんご(小学校講師・絵本作家)、『夢みる校長先生』上映後:『今こそ話そう「子どもの権利」』=甲斐田万智子(国際子ども権利センター)など。 ★ 第93回グローバル化社会の教育研究会(EGS) (Hybrid)--- 2月12日(水) 午後2時〜、テーマ 『複業教師としての挑戦――教育の未来を拓く新しい働き方』=木野 雄介(複業教師/日本パブリックリレーションズ研究所)。 ※ 人間関係構築のエキスパートを囲んで "学び" について話し合います。 ★ 男女共同参画サテライトセミナー(On-Line)--- 2月15日(土)午前10時〜、テーマ 『子どもが主役!子どもの権利ってなあに?』=甲斐田 万智子(国際子ども権利センター代表理事)。 ※ 「子どもの声」聴こえていますか? ★ クエストカップ全国大会 2025 --- 2月22・23日(土・日)、於:法政大学市ヶ谷キャンパス。 ※ 探究学習プログラムに取り組んできた全国の中高生が 1年間の成果を社会に発信する学び合いの場です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ “朝鮮漬け” は元々 「沈菜<チンサイ>」(野菜を塩で漬け込む)、「トンチミ」(水キムチ=大根を塩水に漬け込む)等に中国の山椒・胡椒を加えていました。 17世紀に日本から唐辛子の栽培が伝わり、現在のキムチの形が普及していったそうです。 小坂剛史さん(元 上海日本人学校)が以前、Facebookに 「中国東北部でフィールドワークしてた際に、まさに塩漬けばかりでしたね。 あと酢漬けか。 それが朝鮮自治区で食べるといわゆるキムチ。 面白かったです」 と書いてました。 ◆ 大学の講義のあり方も 「マスプロ(大量生産)型教育」⇒ 「マイスター(職人)養成型教育」 に変わらないと、将来の社会で通用する人材にはなりません。 "教え込む(Teach)"⇒ "引き出す(Educate)" への転換が、今こそ必要なのです。 ◆ 第92回EGS研究会で古家 淳さんが話題提供された内容を、ご自身の note に 「壁を見下ろす」 の表題で掲載されました。 古家さんのこれまでの活動の総括でもあるとともに、教職にある者への 「自己改革の勧め」 にもなっています。 ◆ 日本マレーシア協会が東マレーシアで行ってきた熱帯雨林再生活動は、既に30年の実績があり、植林も今年10万本目を達成します。 現地住民と一緒に植樹していく経験は、教職にある者にとっても多くの "学び" と感動を得られる経験ですので、先生方にもぜひご参加をお勧めします。 ◆ 三田国際学園は 2025年度、「三田国際科学学園」に校名を変更します。 「発想の自由人」の育成を理念として掲げ、自らの発想力で社会を切り拓く力を育成する教育を実現させてきた三田国際学園は "国際+科学" の教育をさらに充実・発展させたいそうです。 もし実現するなら 素晴らしいことです。 ◆ 「ジャカルタ散策を楽しむ裏技」 「愛しのクニンガンに寄せて」を note に書きました。 居住者ならではの視点で眺めた 観光ガイドなどには書けない際どいお話しです。 ジャカルタ日本人学校のテベット校舎・ラグナン校舎をご存じの方は ぜひどうぞ。 ================================================================================================== |
【2025-1】 明けまして おめでとうございます。 本年も よろしくお願いいたします。 ◎ お正月は "初笑い" で明るく 落語家の柳家 花緑(九太郎)さんは 五代目柳家小さん師匠の孫で、50年前には永谷園 「あさげ」のCMに出てました。 小さん師匠が 「うまいねえ、これでインスタントかい?」と孫に話しかける様子は、今でも瞼に残る "名場面" でした。 私は独身時代、小さん師匠のお宅近くに住んでいたので、九太郎少年の姿も見ていたはずですが、その頃は存じません。 最近になって、彼が 「Dyslexia」(発達性識字障害)による学習障害に苦労していたことを知りました。 小学1年の時から試験は0点が当たり前で、主要教科は全部 「1」(注:昔は小学校も5段階評価でした)。 中学を卒業後、すぐに入門したわけですが、漢字の読み書きができないので、ネタ帳がつけられなかったそうです。 だから、最初は全て平仮名で書き取り、それを何度も何度も書いて覚えなければならなかったとのこと。 努力の人です。 <今でも手紙を書く時は、iPad に全部打ち込んで、変換して、その字が合っているかどうか調べて…… 他の人の3倍かかって手紙を書いてます> 今思えば、小さん師匠が内弟子を取らなかったのは、孫の "学び" のペースに寄り添うためだったのかもしれません。 贅沢な教育ですが、世の中の 「〜であるべき」の試練に晒されることなく精進できたことは、私たちにとって天祐です。 ◆ 花緑さんの噺に 「自然だ!」という言葉が出てくるのを、私はいつも心待ちにしています。 どう見ても無理がある大嘘を思いつき、本人だけは 「自然だ!」と悦に入る、という時の表情は最高です。 でも先日、鯛の頭と尾だけを お隣から貰った主人公が、何の調理もせず(塩も振らずに)酒を飲んでしまう噺をしてましたが、私は 「早く塩でも振ってよ!」と気になって、楽しさが何処かに…。 ちょっと残念でした (笑)。 ◎ 英国がTPPに加入? 暮れのどさくさと シリア政権の崩壊に紛れて、英国の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加盟が発表されました。 「米国第一」の保護主義的政策のトランプ大統領が就任するので、加盟国は連携して自由貿易を推進しようとしてます。 しかし、「"環太平洋" に英国?」「"EU離脱" は保護主義じゃなかったの?」と思う人もあるでしょうね。 加盟国(申請中も含め)12ヶ国の中に英連邦諸国(CWN)は7ヶ国もあり、旧宗主国の英国は多大な権益を持ってます。 昔は英連邦諸国同士の関税を下げる協定もあったのですが、英国はEU離脱後、TPPが "命綱" になってきました。 EU離脱による経済的損失を補完するため市場開放路線を堅持する 「グローバル=ブリテン構想」は保守政権の要です。 他方、「中国は 貿易制限や投資制限などにより経済的威圧を強めてるでしょ?」という疑問も もっともです。 中国は 国内に巨大な市場を持ちつつも、貿易依存度がかなり高く、他国に関税をかけられると干上がってしまいます。 また、中国本土に主力生産基地をもつ国は多く、中国との関税は低くしておきたいという事情もあるのです。 ◆ ウクライナやエクアドル、コスタリカもTPP加盟を申請していますが、どこまで拡大していくのか 甚だ節操がない感じがします。 TPPの厳しい自由貿易基準を守れる国は、そうそうないですから。 ◎ 「コミュ力」は社会の健全性の基礎 最近、若い人たちのコミュニケーション力が極端に低下していると感じます。 自分が困っていることを伝えるのが下手、人に何か頼むのも下手、目の前の人を助けて上げるのも下手…… いつから こんなに 「コミュ力」がなくなったのでしょうか? 例えば、スーパーの店頭に不良品があったとします。 お得意さんなら 「これ、傷んでるよ」と店員に教えるはずです。 あるいは 「賞味期限が過ぎてるよ」等 そっと店員に教えて、店の信用や評判を落さないように行動します。 ところが昨今は 「傷んだものは買わなければよい」と別の商品を選ぶか、「こんな物を売っている」とSNSに書く…… 自分が利用している店ならば、その店がより良くなるように助言したり協力したりしていくことが大事なはずですけど。 たとえ 「ざまぁ見ろ!」と思えたとしても、溜飲が下がるのは一時のこと。 お互いが気持ち良く売り買いできなければ、やがて自分の手に入る物やサービスの質が低下していってしまうのです。 まして、明らかに盗品や偽物とわかる物を購入する/見逃しor放置することは、論外です。 SDGsの基本は、それがどういう過程で生産され、どういう経路で店頭にまで届いているか、それがどういう形で購入され、消費されているか、といったことを見据えることでもあります。 売る人・買う人のコミュニケーションは 社会の健全性の基礎なのです。 ◆ 2月12日(水)はまだ 高校入試の真っ最中ですが、木野雄介さんは時間を取ってくださいました。 こんな時季ではありますが、事態の改善に待ったなしの緊迫感があるからでしょう。 私たちも、心してお迎えしたいと思います。 ◎ 第93回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の予定 今年の最初は2月12日(水)、「パブリック・リレーションズ for School公認ファシリテーター」の木野 雄介さん(元 広尾学園中学・高校)に話題提供をお願いしました。 テーマは 『複業教師としての挑戦――教育の未来を拓く新しい働き方』です(オンライン参加も可)。 子どもたちが持つ個性や才能に応じて 多様な教育選択が可能な社会を目指す活動をずっと続けてきた木野さん…… 現在はフリーランスの 「関係構築」セミナー講師のほか、複数の中学・高校の教師も兼務される "家庭の主夫" です。 より良い社会を創り出し、維持していくには、健全なコミュニケーション能力をお互いに育てていくことです。 とくに学校現場では、生徒同士で、あるいは教師も一緒になって、お互いの個性や事情を認め許容する空間が必須です。 子どもたちが将来、元気に生きていける 「自己選択・自己決定の力を育てる教育」の環境はどうやれば実現するのか…… 木野さんのお話しを伺い、それを素に話し合いたいと思います。 ◆ なぜ広尾学園を辞められたのかも含め、じっくりお話しを伺いたいです。 ◎ 天に唾するアメリカ? 米国のバイデン前大統領が 去り際に 日本製鉄のUS製鉄買収計画を拒否し、トランプ大統領も それを追認しました。 同社が買収されると 不公正な貿易慣行などに対して救済措置を要請し難くなり、軍備面で不安が生じる… というのです。 ところが、買収されなければ高炉施設の休止や大量失業が起こり、鉄鋼供給にも悪影響を与えるという現実があります。 それでも全米鉄鋼労組(USW)は買収に反対しており、新旧大統領はそれに配慮せざるを得なかったのでしょう。 他方、同じく米国鉄鋼大手の Cleveland-Cliffs社(CCI)が買収競争で日本製鉄に敗れたという経緯もあります。 US製鉄とCCI社の最大のライバルである中国の製鉄会社を育ててきたのが、日本製鉄であることも懸念材料…… 要は疑われているのです。 米国大統領が 「日本製鉄による買収を阻止する」と表明するたびに、US製鉄の株価はどんどん下落していきます。 CCI社は安く買収することが可能になるとしても、弱体化させて他国の製鉄会社に対抗できる力が残るとは思えません。 ◆ US製鉄買収計画について、日本製鉄は 「法にのっとり適正に審査されると強く信じている」という姿勢を貫いています。 でも、疑われているのは 「利益追求のため、米国での生産を抑えて中国製品を持ち込むかもしれない」という点なのですけど。 トランプが大統領に返り咲きました。 彼の 「今だけ、金だけ、自分だけ」は、皮肉にもバイデン大統領の4年間で すっかり米国民に浸透してしまいました。 普遍なるものへの敬意や寛容がどんどん後退していくと、本当に困るのは米国民自身だと思います。 ◎ "好ましい関係" を築くには? 岸田文雄首相は昨年4月、アメリカの上下両院合同会議で 英語で演説しました。 <ほぼ独力で国際秩序を維持してきた米国…(中略)…米国は、助けもなく たった一人で国際秩序を守ることを強いられる理由はありません。> <「自由と民主主義」という名の宇宙船で、日本は米国の仲間の船員であることを誇りに思います。 共にデッキに立ち 任務に従事し、そして なすべきことをする…(中略)…日本は米国と共にあります。> 要は 「日本は喜んでアメリカの盾になります(そのために命を懸けます)」と言っているわけです。 全議員の 「Standing Ovation」(総立ちの喝采)を受けたことだけは大きく報道されますが、中身はボカされていました。 私たちは、その "前のめり" の発言の危険性を解らず喜んだものの、後で確認されると、そんな馬鹿なと思います。 だから 「ほら見ろ、日本人は信用できない」という反発が、ずっとUS製鉄の買収問題に影を落としてきたのです。 立場や発想・皮膚感覚の異なる者同士が、どうやったら "好ましい関係" を築けるのかは、生涯学習の永遠の課題です。 とくに幼い頃の体験や訓練は、その基盤ともなるものなので、学校教育が担うべき責任は大きいといえます。子どもたちが将来、元気に生きていける 「自己選択・自己決定の力を育てる教育」の環境は どうやれば実現するのか…… 2月12日(水) のEGS研究会では 木野 雄介さんのお話しを伺い、それを素に話し合います。 ◎ 1月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ JACTFL主催特別講演会(オンライン)--- 1月12日(日)、テーマ 『日本社会と日本語教育におけるCEFR-CVの「仲介」』=島田 徳子(武蔵野大学グローバル学部)・葦原 恭子(琉球大学グローバル教育支援機構)・松岡 洋子(岩手大学国際教育センター)ほか。 ※ 多文化共生の様々な営みが進む一方、外国語教育に潜む "陰" の課題も…。 ★ CFIECウェビナー(On-Line)--- 1月17日(金) 午後4時半〜、テーマ 『転換期の世界から見た日韓関係― 日本に何が求められるのか』=西野 純也(慶應義塾大学 教授)・深川 由起子(早稲田大学政治経済学術院 教授)・兼原 信克(同志社大学 特別客員教授)。 ※ 韓国の尹錫悦大統領による 「非常戒厳」宣言以降、内政は混乱が続いていますが、どう考えるべきでしょうか? peatix.com/event/4248589/ ★ KEIO STEM Robotics GRAND-PRIX 2025 ---1月19日(日) 午後1時〜、於:武蔵野の森総合スポーツプラザ。 ※ 競技会のほか ロボットをプログラミングで動かすワークショップや コントローラーで操作する体験会もあります。 ★ JOES オンライン講演会--- 2月16日(日)、テーマ1『学校は舞台。生徒一人ひとりが主人公』=熊野 孝(前 桐朋女子中学・高校教頭・国際教育センター主任)、テーマ2『考える力を育成するための英語力』=服部 孝彦(大妻女子大学 教授)。 ※ 元帰国生で 帰国生の指導の最先端に立って来られたお二人から、元気の出る励ましをいただきます。 ★ ASIA-NET セミナー(On-Line) ---1月30日(木) 午後7時〜、テーマ 『台湾ビジネスの基本を理解する/展示会、科学園区など』=吉野 貴宣(盤古科技 代表)。 ※ 台湾ビジネスの食品から半導体まで 幅広い分野で日本企業の支援をされる吉野さんから、低予算で実践的な現地調査ができる仕組みや実践に即した戦略などの話を聞きます。 [参考] TJF ときめき取材記 『さまざまな「共生」』(WEB記事)--- 「異なる文化のための建築」「カテゴリを通した先にいるあなたと私」「ゴリラから学ぶ」など。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 今回の流行語大賞は 「ふてほど」でしたが、やや疑問です。 確かにドラマの 『不適切にもほどがある!』を盛んに話題にはしましたが、略語で口にしたことはありません。 発表後のマスコミ各社の慌てぶりから、彼らも予想外だったことが判ります。 そもそも この番組が私たちに訴えたのは、自分の頭で考えることの大切さだったと思います。 それを上手くミュージカル・コメディに仕上げていたのですが、報道関係者には…… そのうえ五輪と大谷に悪乗りして、始末が悪かったです。 ◆ オックスフォード大学出版局が 「2024年の流行語」に選んだのは、「Brain Rot」(脳腐れ)…… インターネット上の 「Meme」や低品質なコンテンツ(価値のない、ただ短い形式のもの)を大量消費することで、脳が腐っていくという意味です。 日本の 「Bling-Bang-Bang-Born」も その一つなのでしょう。 ◆ 「The train has left the station.」既に何かが始まってしまって止められない、とあなたは諦めますか? 「She's got a ticket ride.」からは、ずいぶんと時間は経っているのですけど 「But, she don't care.」なら、未だ間に合う気もするのですが…。 ◆ 中国の 「ビザなし渡航」が解禁され、改めて 「輸出先+製造拠点+観光地」として中国が注目されています。 名刺交換, 食事の席, メールのやり取り, 情報共有など 本当に注意すべきことは何なのでしょう? AISAーNETセミナーはお勧めです。 ◆ 大学入学共通テストが終わり、いよいよ受験シーズンの大波がやってきました。 受験生諸君が自らの力を存分に発揮してくれることを切に祈っています。 結果は 神様の思し召し…… 後からついてきます。 ◆ note に 「ジャカルタ雑学事典」のシリーズを書いていますが、「Selamat Tahun Baru! 謹賀新年」をUPしました。 「インドネシア語の楽しさ」の連載のほうも よろしく。 ================================================================================================== |