子女教育ニュース

      担当: 国際教育相談員 小山 和智  facebook note
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、
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【2025-6】

海外留学希望者の親の相談
  6月は 帰国生の保護者から 「息子/娘が 『○○に帰る』と 向うの大学を希望している」といった相談を多く受けます。 帰国生の頭の中では "年度末" で、「〇年頑張ったけど、日本は馴染めない」 という衝動も起こりやすいのでしょうか? 親の方は 「今まで ずっと一緒にいたのに…」「私を捨てていくのか…」 といった寂しさに耐えられないような感覚…… まあ 愚痴ですから 答えなどないし、親の心情を聴いて欲しいだけなのでしょうけど、放置してもおけません。
  この手の相談には、私は はっきり言うことにしています。 「△△さんが海外赴任されたことだって ある意味で "親を捨てて行く" ことだったんじゃないですか?」と。 その上で、私が初めて海外渡航する際に 田舎の母が言った言葉を紹介します。<東京の大学に行かせる時から覚悟してたよ。池で溺れようと海で溺れようと…> 「既に親の手は届かないんだから、元気でおやり」と言外に言っているわけで、私には大きな励みになりました。 大人の目から見れば、つい手を出したくなるような危なっかしさもあるでしょうが、我慢して送り出すしかありません
◆ 今どき、親元を離れて進学するわが子に 「学業が成るまで帰るな」と言うことはないと思います。 突き放すことよりも、寄り添い励ますのが今流です。 「何かあったら、連絡するように」「いつでも羽を安めに帰っておいで」とは言っておきましょう。

TCKの "学び" の障害は?
  TCKに関して注意していたいのは、彼らは周りの人が想像する以上に "文化や価値観の違い" に戸惑ってることです。 「そんなことも知らないのか」「これができないで偉そうにするな」といった不用意な発言は、彼らの心を傷つけます。 そもそも 「知らない/できない」という原因は、日本に居なかったからです。 決して彼らは怠惰なわけではありません。 今まで育ってきた社会とは人々の発想が全く異なっていて、「勝手が違う」「単に不慣れ」ということが多いのです。
  ところが 学校現場では、「教員は入職した時から一人前」という価値観が、まだ根強く残っています。 新米ドライバーが自動車の運転に慣れるまで結構大変なように、教員免許を持っていてもできることは限られているのに、それは許されません。 だから 生徒に向かっても 「もう〇年生だろ?」「真面目にやれ!」 と平気で言う文化/伝統が日本の学校にあるのです。 まして TCKともなると、「頭悪いんだなぁ」「英語も話せないのか?」などと散々言われることが多いわけです。
  16日(水)、第95回グローバル化社会の教育研究会では、自身もTCKの経験をお持ちの水田早枝子さんが話題提供…… TCKの悩みの本質は何であり、解決には何が必要なのか? 水田さんのお話しを素に、話し合いたいと思います。

人手不足を訴える職場は?
  就職後3年以内に退職する者が30数%になっている現実を放置して、人手不足を訴えている職場は、余りに愚かです。 中堅幹部のマネジメント教育や労働時間管理、ストレスケアなどの制度面の改善は、もちろん必要ですけど……。 中等教育における職業観育成や意思疎通力向上の訓練を、長年阻害してきたのが「偏差値偏重/進学実績至上主義」…… 企業・団体側が応募者の出身校によって "足切り選考" を行っていることは、公然の秘密ですし、親もそう教えます。 しかし、出身校名が反対意見を抑え込む切り札として使われる現実を知った途端に、退職を考える若者は多いのです。 まして、専門学校や高校を卒業して働いている若手熟練者を 「たかが高卒…」 と蔑<さげす>む米国MBA修了者は、犯罪的…… 若者のやる気を頭から破壊してしまうことなど、想像すらしていません。
  他方で 「あなたも転職できる!」「経験がなくても事務職につけます!」といった無責任なCMが花盛りでもあります。 学校では、「自分が将来やりたいことを本気で考えなさい」「こんな会社は選ぶんじゃない」と若者に助言すべきです。 「何にでも興味関心を持つこと」「目前の課題をどう解決するか考える」「簡単に投げ出さない」などの基本とともに。
◆ 容姿や出身大学名、演技の巧さ(見てくれの良さ)で採用者を選抜している企業では、気持ちよく働ける "組織の文化" を生み出せません。 「形式的な平等」や「規律正しさ/美しさ」を求める人事方針では、組織の将来は見込めません。 それらを脱して 「どんな人材が必要か?」を真摯に考えるべきでしょう。

「リベンジ退職」の現実
  最近、「リベンジ退職」 という言葉を耳にする機会も増えました。 勤務先に対して不満や恨みを抱き、その "仕返し" として退職を選択したり 退職後に悪影響を画策したりするのです。 しかし、それは 「リベンジ退職」をする本人にとって、いったい何のメリットがあるのでしょうか? そもそも自分の元の職場のマイナス面を公言することは、自分の価値をも貶める("天に唾する")行為です。 以前の職場に実害を与えたり悪評を流したりする人は、次の職場やビジネスで信用されることは難しいでしょう。 斡旋業者の甘い宣伝文句に乗せられる例も多いのでしょうが、起こした波風は自分に返ってくることを覚悟すべきです。
  しかし、退職される側の経営者は、組織運営の健全性が揺らいでいる証拠と捉えて、徹底的に反省すべきでしょう。 働く者 一人ひとりの声に耳を傾け、人手が足らなくなる理由が どこにあるのかを考えるしかありません。 皆さんの職場は、「あなたを大事にしている」「あなたの力を最大限発揮してほしい」 という環境を目指していますか?
◆ 今や 教職員も勤務する学校を換えるのが当たり前の時代です。 「ここまで育ててもらった」と感謝を忘れず、"立つ鳥跡を濁さず" の気持ちで 引き継ぎや残務整理をこなすかどうかを、生徒たちも保護者も観ています。

中学生は高等専門学校も視野に
  日系企業の人事部職員、そして中学校教員の愚かな側面の一つは、高等専門学校(高専)をほとんど知らないことです。 実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関で 全国に58校ありますが、何故か関心を寄せません。 5年制の教育システムや実験・実習を重視した高度な専門教育に対して、余りにも無理解で、呆れてしまいます。 世は、少子化もあって高度の "ものづくり人材" の不足が深刻なのに、社会の要請に応える識見も気概もないのです。 だから 多くの子どもや保護者が、知らないままで人生の進路選択を誤っているかもしれません。 近年 「高専」 は、新設校の話題やロボットコンテストの開催の盛り上がりなどで やや認知度が拡大してはいます。 しかし、「高専」への進学が、いまだに中学生の一般的な進路選択の一つになっているとはいえません
◆ 22日(日)、金沢工業大学虎ノ門キャンパス(東京・虎ノ門)で、第4回私立高専合同進学説明会が開催されます。 いま注目されている4校の特色が1日でわかる好機ですので、"金の卵" の関係者は是非、参集をお勧めします。

第95回グローバル化社会の教育研究会(EGS)開催される
  18日(水)、話題提供は 水田 早枝子さん((株)TCK Workshop) でした。 水田さんは5歳から5年間ニューヨークで育ち、帰国後は 「日本に合わせる」ことの "負担" を感じていたTCKです。 <TCKの "利点" と "難点" は、織物のように互いに織り込まれています…… ある時はプラス面に、またある時は マイナス面に…… それが普通です。 "難点" にも価値をつけることで、"利点" に目を向けていく支援が必要です
  教師との対話が悩みを変えた瞬間として 二人の先生が紹介されました。 在米4年目、外からは見えにくい 「英語の壁」に苦しんでいた水田さんを、担任のローマイヤ―先生が励まします。 彼との対話が、英語力を 「弱み・恥ずかしいもの」から 「成長の証」「可能性への象徴」とへと変えてくれたそうです。 もう一人、日本の中学2年の担任だった田中先生に、「友達ができない」「部活に馴染めない」悩みを打ち明けると…… 田中先生は帰国生/TCKとは無関係に 世代・性別を超えて "人としての共感" で接してくれ、癒されたそうです。 「自分は異常ではない」「それでも未来はある」と思えるようになりました。
  水田さんが教育者に訴えたいのは 「横のつながり」がもたらす癒しや、「大人との対話」が持つ力の大切さです。 <一見 "難点" に見えるものの中にも 必ず "利点" がある> というのは、正に 人間賛歌といえます。
◆ 『新版サードカルチャーキッズ ― 国際移動する子どもたち』では、「第三文化の子ども(TCK)」は 「発達段階のかなりの年数を両親の属する文化圏の外で過ごした子ども」 と定義されています。 TCKは 「あらゆる文化と関係を結ぶものの、どの文化も完全に自分のものではない」 という負荷を負ってます。 20年前から 「帰国生ならどんな子でもOK」 という学校が急増していますが、TCKの苦悩を どこまで理解し 寄り添う覚悟があるのか疑問です。

6月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ASIA-NET「速報COMPUTEX & Inno VEX2025報告会」(On-Line)--- 6月5日(木) 午後7時〜。講師:施 文正(Taipei Computer Association/ TIPPC)・吉野 貴宣(Pangoo/盤古科技) ほか。※ 5月20日からの台北……注目されたニュースや出典製品などを紹介します。
マレーシアインターナショナルスクール留学フェア2025 --- [東京]6月7日(土)、[大阪]6月8日(日)。 ※ 英国式カリキュラム・IBカリキュラムや豪式カリキュラムの学校が集結、各校ブースに通訳が用意されてます。
第95回グローバル化社会の教育研究会(EGS) (Hybrid)--- 6月18日(水) 午後2時〜、テーマ 『先生との対話が悩みを変えた日--- TCKとして育ち、教育者として届けたいこと』=水田 早枝子((株)TCK Workshopファウンダー取締役)。 ※ 自らの体験を活かして、海外・帰国生向けのオンライン家庭教師業を営む一方で、TCKの置かれている環境の改善に向けた活動をされています。
ClassPad「先生の学校」(On-Line)--- 6月25日(水) 午後8時半〜、テーマ 『生徒の「やってみたい」を育む探究デザインと学習環境』=加藤 利光(日本大学三島高校・中学)ほか。 ※ どうすれば、まだ見ぬ未来をワクワクしながら想像できる場をつくれるのでしょう?
上智大学・ゆいグローバルネット共催 公開シンポジウム--- 6月28日(土)、テーマ 『越境する日本人― 未来世代へのエール』= 葭 和宣(海外子女教育振興財団)・圖子田優子(ゆいグローバルネット)・鈴木 満(JAMSNET日本)ほか。 ※ 海外で暮らす日本人の現状と課題について多角的に討論します。
JACTFL特別講演会(On-Line)--- 6月29日(日) 午後1時〜、テーマ 『日本の外国語教育政策史から現状を問う』=江利川 春雄(和歌山大学 名誉教授)。 ※ 現在の外国語教育政策の歪み…… 極端な英語一辺倒化、新自由主義的な競争と格差化による英語エリート育成策、学校現場の疲弊と外国語嫌いの増加などを考えます。
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◆ まともな民間企業では、新入社員を受け入れると "即戦力" の期待が社員を潰さないかを心配し始めます。 その職場の価値観や習慣が、新入社員の感覚と大きくズレてるのは当然であって、頭ごなしに叱ることはしません。

◆ NHK番組 『チコちゃんに叱られる』 で 「リチウム電池って何?」 の回を観ていて、文系の子でも解ることを解らなくしてしまう教育の怖さを知りました。 同様に 「マイナス金利」とは、銀行が日銀に供託している資金に "保管料"(昨年まで 1%?)を払わせ、市中銀行の負担を重くしていたことを、文系学生でも解らなくしているのです。

◆ 『苦しくて切ないすべての人たちへ』(新潮新書)の南 直哉さん。 <私は感情って液体だと思っていて、言葉という器がないと味も匂いもわからないし、人には通じないんです> 懸命に明るく生きている人でも、時には挫折や混迷も愚痴もあります。 <(そんな時には)『かかりつけのお坊さん』を作ればいいんですよ> (納得 (笑))

◆ 山中 昇さんの英検1級道場で、「英語学習者のための定期オンライン懇談会(第2回は 7月5日実施)」が始まります。 放送通訳のプロが話題提供者で、楽しそうです。

◆ 発癌性が疑われる 「有機フッ素化合物(PFAS)」ですが、日本近海の魚もそれを食べています。 内臓を取り除かず 「そのままギューッと凝縮したイワシ煎餅」が カルシュウム補給に有効といわれても、心配になります。 水道水どころの話ではありません。

◆ やっと備蓄米が放出され、店頭に置かれ始めましたが、あっと言う間に売り切れているようです。 しかし、「JA」と農水族代議士は、農水大臣に 「自民党本部の承認を取れ!」 と詰め寄っています。 JAは農民の味方ではなく、自民党の集票マシン(なければ落選する)なんですね。

◆ 統一教会の固定票に頼らないと落選してしまう与党議員が多いため、「夫婦別姓選択制」 は今回も "棚上げ" ですね。 やる気がないのだから 明確にそう言えば好いのに、浮動票もないと当選できないので 言いません(騙されて投票してきた人も愚かです)。だから、批判票は大事なのです。

◆ 6月後半になると、帰国生の編入相談が急増します。 欧米各国の現地校や 国際学校などの年度末だからです。 相談されて困るのは 「○○に編入する上手い方法はないですか?」 という類の相談です。 教育相談業は "入学斡旋" ではないし、"ご託宣" をする占い師でもありません。

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【2025-5】

メーデーは休日ではない?
  「メーデー」の起源は、英国の社会革命家R・オウエンの提案でした (1817年)。 <Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest> 67年後の米国シカゴで これが労働運動のスローガンに掲げられ、法定労働時間を8時間とする要求を決議します。 1886年 シカゴ労働騎士団(Chicago Knights of Labor)の8万人デモ(5月1日)が最初のメーデー・パレード…… それが全米35万人の騒ぎに広がり 米国労働総同盟(AFL)は この日を 「労働時間を8時間以下に制限する日」 にします。 1889年にパリで開催された国際労働者協会(IWA)の大会では 「国際デモの開催日」とされました。
  いま 80以上の国が5月1日を祝日にしていますが、わが国では祝日ではありません。 5月1日を祝日とした場合、祝日法の 「祝日に挟まれた平日は休日にする」の規定で 前日と翌日も休日になります。 最短でも7連休、長ければ 10連休(5日が日曜日なら)となるので、金融関係者には不安で仕方ないからでしょうか?

マレーシア移住ブーム?
  日系不動産会社 「MY PROPERTY」が 「マレーシアに日本人10万人移住プロジェクト」を打ち出しています。 わが国は少子化に悩んでいるのに、ここ数年 40歳未満の日本人がマレーシアに "移住" する例が増えているそうです。 「日本の税制・財政に納得できない」「日本は子育ての環境として不安」「グローバルな教育を受けさせたい」……。
  確かにマレーシアは多民族国家で、多文化共生の空気に溢れる 「理想的なイスラム教の国」 だと評判ではあります。 しかし、当然ながらイスラム教への最低限の理解と敬意は必要なのですが、その点には多くの日本人家庭は無頓着です。 まして 「なんちゃってバイリンガル」教育で国際学校に子どもを放り込むのは、多くの危険を孕んでいると思います。
  他方、日本の閣僚の資産公開を見れば解るとおり、「資産の大半を海外預金し、国内は円安に」が金持ちの発想です。 元の理由が 「日本に居たら損」 の発想ですから、彼らは子どもを連れて海外暮らしをするのが自然の流れなのでしょう。 でも、円安で治安が良いからこそ海外の名門校が日本分校を次々と開校し、世界中の資産家の子女を集める時代です。 人の行き来が盛んになることは歓迎ですが、「日本を見限って海外移住」は世界の潮流には逆行していると思います。
◆ 「MY」はマレーシアの略号でもあります(日本:JP、中国:CN、シンガポール:SG など)。 白人による差別もなく 治安は良好なので、肌の色に関係なく安心して子育てが可能…… といわれれば 確かにそうです。今年は ASEANの議長国です。

自己選択の仕方を教える
  新年度が始まって約1か月、いわゆる 「五月病」という不適応症状が子どもたちに現われます。 身体はどこも悪くなくても原因不明の頭痛・腹痛・下痢・痙攣などが起こりますが、原因は環境の変化によるものです。 とくに帰国生たちの最大のストレスは "やらされ感"……「〜が足らない」「〜すべき」という "圧力" に苛まれます。 海外では 家族そろって行動し、"気づき・発見" の喜びを共有できていたし、自己選択の経験も自然に重ねていました。 親子や友達との対話の中で物事が決まるので、自分のやりたいこと/関係があることに引き寄せて考える習慣でした。 ところが帰国すると、自分の興味がないこと、意味がわからないことまで強制されるので、勉強は面白くありません。 「こんな勉強がしたい」と親や先生に言っても、「その前に ○○からね」という答えが大半なのです。 甚だしい時は、興味のないものばかり並べて 無理やり選ばせ、長続きしないと「お前が選んだんだよ」と言われます。
  まともな教師が心掛けてるのは、その生徒が本当にやりたいことや "やる気スイッチ" の押し方を気づかせることです。 生徒に寄り添い、その子の課題や目標を適正に理解させるための話し合いを重ね、その子が "腹を括る" まで付き合う…… そこで手を抜くと、生徒自身が 様々なストレスに打ち勝って "最後まで頑張るエネルギー" は生まれてきません。 生徒にとって "居心地が好い" のは、自己選択の意義を認め 寄り添い見守ってくれる人が、身近かにいることです。
◆ 子どもには、考える契機や取っ掛かりになる "釘" のようなものを見せる、あるいは、もっと考えてもらうための 「引き金質問」(Trigger Questions)や「励まし」(Encouragement)を与えることが大事だと思います。 「山本五十六型」だと 「やって見せる」が先にきますが、やって見せられる間は、自分も一緒に現役でいましょう。(笑)

将来どんな学校があり得るか?
  「Internet of Things:IoT(モノのインターネット)は、2014年の流行語になりました(教育界の外ですが…)。 様々なモノ(感知器、駆動装置、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、インターネットを通じてつながる…… サーバーやクラウドに無数の情報が集められて分析され、人間の便利さのためにモノが働くようにしていくことです。
  ある講習で 動画 『The Future of Work: Will Our Children Be Prepared?』を観た時(2015年) は、衝撃でした。
試験で追いまくることが基本の教育モデルは、もはや存在しない世界のために子どもたちを訓練している。 科学技術の進歩が加速することで日常業務がなくなり、何百万人もの若者が "脆<もろ>く" なる……> 変化のスピ―ドがどんどん速くなっていくなかで 「将来 どんな学校があり得るか?」を 私たちは突きつけられたのです。 <大人も子どもも、「User(利用者)」だけでなく「Creater(創造者)」にもなる "学びの途<みち>" が開かれる> あれから10年…… 学校現場の準備はできてるといえるでしょうか?

これからの教師に求められるものは?
  山本崇雄さんが FaceBook に書かれてます。 <これからの教師には…(略)…「問いを引き出し、自ら学ぶ力を育てる」という姿勢がより一層求められてきます。 知識を伝えるだけでは、AIに取って代わられる時代です。 それでもなお教師という存在が求められるとすれば、「君ならできる」と信じて支えること、「悩んでいる気持ち」に寄り添ってともに考えること、「本気で取り組んだ体験」を共有すること、そうした "人間だからできること" にあるのではないでしょうか。>
  10年前、関西国際学園のG6(12歳)の子が 「Singularity(技術的特異点)」を探究テーマにしていました。 私が 「私たち教師の将来はどうなるのかなぁ?」 と聞くと、即座に 「要りませんね」とバッサリ!  ところが、困惑している私に、「でも Facilitator(思考や議論を引き出したり助言したりしてくれる人)は必要ですよ」 と言ってくれ、私は思わず その子をハグしてました。
  子どもを見守り 寄り添い 「学びたい」という衝動を引き出す助言や励ましを続けることが、周りの大人の務めです。 まして、それを職業としている者には、親なら思わず手出しかねない状況でも 「我慢し待つ」 ことが必要なのです。
◆ 「面倒見がよい」といわれる学校では、ともすると 生徒を型にはめようとしたり 「手を出し過ぎ」になったりする場合もあります。 生徒の "伴走者" に留まっていることをその子の親から批判されると弱いのです("好い先生" と言われたい衝動…)。 負けずに 「お子さんには、今は これが大事ですよ」という説明責任があるのですけど。

TCKは何を感じているか?
  親と共に国境を越えたり 複数の異なる文化圏で育ったりする子どもたちを 「第三文化の子どもたち(TCK)」 と呼びます。 帰国子女が そのイメージの第一なのでしょうが、国際結婚や移民/国際出稼ぎの家庭の子どもなども含まれます。 異なる文化圏に移動(国内引越も含む)すると、その地域の "見えないルール" や習慣に面食らうことがあります。 幼い子どもになるほど、それは "生存をも揺るがす危険" と認識されることが多く 「泣くしかない」事態にも陥ります。
  しかし、そういう経験を重ねることで、世の中には文化や価値観の異なる環境がたくさんあることを体感しています。 日本人が "常識" と言っていることを 全然常識だとは思わない人が、世界には無数に居ることを知っているわけです。 だから、誰かに 「〜は○○だよ」とか 「〜すべきだ」とか言われても、素直に信じたり従ったりするのが苦手です。 そこに 日本語の語彙力や日本に関する知識量の不足が重なれば、「頭が悪い子」「危険な子」などと誤解もされます
  TCKたちの置かれているこうした状況を、TCK自身の視点から広く発信しておられるのが、水田 早枝子さんです。 第95回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は 6月18日(水)、水田さんに話題提供をお願いしました。

5月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
国際教育フェア2025_東京--- 5月17日(土) 午前11時〜、於:東京ポートシティ竹芝。 ※ 教育現場の国際化とともに進路も多様化するなか、国際教育に定評のある学校、インター校、学習塾等が集結します。
同志社国際・ICU高校 合同説明会--- 5月10日(土) 午後2時〜、於:同志社大学 東京オフィス。 ※ 1978・80年に国の予算を投入して創立された帰国生のための高校は今…? 翌日は名古屋でも開催。
★「Discover私立一貫教育2025東京私立中学合同相談会」--- 5月18日(日)、於:東京国際フォーラム。 ※ 1時間ごとに入場制限があり、完全予約制です(4/18〜受付)。
水都東京を創る会 「初夏の水面を航走」--- 5月17日(土) 午前10時〜 Wロックゲートクルーズ、午後1時〜 亀島川・江戸湊から東京港舟遊クルーズ、午後4時〜 Wツリー・東京港・隅田川橋梁群クルーズ。 ※ 東京を水辺から "知り", "体験し", "感じ" ます。
日米会話学院 創立80周年記念 特別講演 --- 5月31日(土) 午前10時半〜、テーマ 『教わらなかった英語発音向上法― schwa』=遠山 顕 (COMUNICA, Inc.代表)。※ 本人は「シュワーと私… のような話とパフォーマンスです」とのこと。
寮のある私立在外教育施設等のオンライン説明会(Zoom使用)--- 6月6日(金)。 ※ 慶應義塾ニューヨーク学院、スイス公文学園、帝京ロンドン学園、立教英国学院、早稲田渋谷シンガポールの揃い踏みです。
[高校生募集] TJF 合宿型交流プログラム The QUEST --- 7月27日(日)〜31日(木)、於:エトワ木更津(千葉県)。 ※ 「地球・希望・未来」をテーマに多様な人とつながり 関係性を構築する4泊5日の合宿です。(定員に達し次第〆切)
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◆ 「7連休なんかあると、せっかく出来上がった学級の雰囲気が壊れてしまう」 という教師は多いです。 しかし、新年度の疲れが溜まり過ぎると環境不適応になる教師・生徒も多いので 「連休があって助かった」 と感じるのは皆同じです。

◆ 校内を歩いていると、数十メートル向こうから 「小山先生!」と手を振ってくれる子が何人もいました。 彼らは 「それだけでやる気が出る」と言ってくれるのですが、私がその時は 別の子に掛かりきりになっていることも知っていて、エールを送ってくれてたのです。 多謝!

山中 昇さんの英検1級道場で、「英語学習者のための定期オンライン懇談会(第1回は 6月7日実施)」が始まります。 精華小学校の岡田 篤さんも加わって 楽しそうです。

◆ 日本政府は極端な円安政策をとることで急激なインフレを起こし、国内の物価や株価(円建て)の額面を高くすることで 税収増を図ってきました(与党議員は その前に外貨預金しているので、個人資産は自然に倍増)。 好い加減に 「円安は必要」の "刷り込み" から目を覚ましませんか?

◆ 6日(火)、下杉理恵さんの【Podcast】の取材を受けました。 『上海日本人学校 高等部設立までの話』……?! 話題の中心は、一口で 「中国人」といっても 実に多様で複雑…… 「上には政策、下には対策」という言葉もあって、たとえ法律や政府の方針に反していても 現実的に対応するよう知恵を絞って生きている人たちの姿でした。 "放送" は 6月中旬だそうです。

◆ NHKの 『ぶらタモリ』で、かつて寺の門前に 「過去と相手は変えられないが、自分と未来は変えられる」と書かれている場面がありました。 タモリはすかさず 「新幹線の切符で "望みはないが 光はある" てのが……」と ボケて見せました。 こういうユーモアは、もっと流行らせてほしいのですが。

◆ 春の叙勲で、新潟の込山 卓郎先生(元 テヘラン日本人学校校長)に 「瑞宝小綬章」が授与されました。 イラン・イラク戦争(1980〜88年)のせいで生じた日本人学校の莫大な "借金" を、1993年から鋭意清算された功績は偉大です。 先生のもの静かで堅実な性格と、誰からも愛される温厚なお人柄なくしては、到底無理でした。 合掌。

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