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◆「酒飲み」は遺伝? 親父は職業柄よくサケを飲んでいた。彼は出版社で編集を仕事にしていたからだ。 いろいろな作家とのお付合いもあり、酒の席は多かったようだ。家にもよく飲み客が集まっていた。 大人が酒を飲み愉快に酔う様を見ながら育ってきたと云ってよいだろう。酒を飲むことには寛大な環境にいたことになる。ただおふくろは時々ブツブツ文句を言っていたが… |
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現場に赴くと場所によっては直ぐ日帰りというわけには行かず、温泉宿で一泊することが多かったが、夜になると湯につかり、一杯やりながら食事となる。 一日中現場で職人相手に指導監督し、疲れを癒すためであり、そのことは当然であるが、彼は軽く一杯どころではなく必ず2〜3人の知合いの女性を座敷に呼んでお酌をさせていた。 その時の伯父の顔は仕事中とは打って変わってデレーっとして、とてもみられたものではなかったが、とにかくご機嫌であったから私も嬉しくなったものだ。 |
そして、小学生の私も酒席に座らせ、「ビールは胃のクスリだ」などといいながら飲ませるのには辟易した。今でこそサケはすべてウマイと思うが、当時はただ苦いだけの不味い飲み物だったからである。
酔ってくると目の前で女といちゃいちゃするのだが、子供といえども目のやり場に困ったことがある。
しかし、この時ばかりは当時としては大変なご馳走が目の前に並んでいたので食べるのに忙しく「チェ!又始まったな」とは思ったが、居並ぶ姉さんから「ボッチャン」などと、ちやほやされるのは満更ではなかった。おそらく相当のカネを長年にわたりつぎ込んでいたに違いない。戦時中だったが、田舎の温泉町ではこんな事が出来たのだ。
学校を休ませたり、女性と一緒の酒席に同席させ、サケを飲ませたりとおよそ小学生には本来してはならないようなことを平気でしており、後日伯母から散々油を絞られていたが何処吹く風であった。こんな事を何回か体験した。このような体験が後でマイナスになったとも思えない。
仕事に立ち向かうときの伯父の厳しい態度や優れた指導力を目の前で見せ付けられた。女性とサケの席に座ったこともそれが原因で不良化したという事にもならない。むしろ大人の持つ両面の世界を垣間見ることができ、ある意味では面白かった。
この伯父は女性問題やサケ癖などで伯母からの信頼はゼロであったから、私を味方に付けたかったのかも知れない。
体質は酒に強く且つこんな環境もあり飲むことに寛大だったから素質?は十分だった。
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酒飲みとは私のように何かにつけてサケを飲みたがる人種のことだ。やれ、おめでたいから、嬉しいから、楽しいから、淋しいから、悲しいから、、頭に来たから‥ 健康のために?等など これからは熱燗のシーズンだ。 理由はいろいろ付けたがるがは要は「飲みたいから飲む」のだ。「酒好き」ということだけだ。 何故理由を付けたがるのか。何か後ろめたいことを感じているのか?酒好きは必ずしも悪いことではない。タバコのように嫌がられることでもないし‥ ただあくまで「度を過ごさなければ‥」の話だが‥ |
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◆サケ遍歴 酒池肉林というが、後の方は全く縁のない話だが、サケの方は相当飲んできた。もう50数年飲み続けてきた勘定になり、それこそプール一杯分ぐらいになるかもしれない。正に酒池だ。酒税が高い国だから、この面では高額納税者の一人として誇るに足る実績がある。飲食税もたくさん支払ってきた。国税庁から表彰されてしかるべきだ。その割には健康で今のところ肝臓などの数値は正常だ。 |
だがそんなことは少しも自慢できることではない。酒の上での失敗は二日酔い程度で、自分ではまあまあの酒飲みだと自負?しているが、他の人から見ればどうなのかは分からない。
グデングデンに酔っ払ったり、人とケンカ口論したりするどといったことは全く記憶にない。私自身はワイワイ騒ぐのは好きだが、理性を忘れて酒の勢いでモノを言うのは大嫌いで、議論するのはいやだった。
よく「酒癖が悪い」といわれる人がおり、かつての勤務先でも何人かの人に手こずったことがある。不幸にもアル中になってしまった人も何人かいた。
よく「無くて七癖」などというが、飲むとその人の持っているいろいろな癖がモロに出てくるようだ。
酒飲みのクセを○○上戸などというが、タイプはいろいろあり、酔っ払ってくると大声になり笑う人、泣く人,怒る人、嘆く人、しつっこくなる人、説教魔、他人の悪口を並べ立てる人、等十人十色だが、押しなべて云えるのは、殆どが回りくどくなり、同じことを繰り返すのが特徴だ。またエッチな言動をとるようになるのも共通している。
私はどちらかといえば、いつもより冗長になり、快活にはなるが、平然とした顔して飲むほうだったので「強い」とおだてられた。余り酒席で「乱れた」ことはなかったと思う。
現役時代はいつも緊張して飲むほうだったので、皆と別れてから後でどっと酔いが回ってくるのだった。
家に到着した途端にバタンキューだったので奥方からよく「あなたはサケに飲まれるからダメ!」…とお叱りを受けた。翌日は二日酔いで頭がズキンズキン…こんなことを繰り返していた。
二日酔いにきくクスリはあるのだろうか ネットに載っていたものを拝借させていただくと (果物・野菜等系)サトウキビ キンカン レンコン いちじく ザクロ 柿 とうもろこし 白菜 ハチミツ 梅干し ごま (魚貝系)しじみ フグ (ハーブ系)セイジ フェンネル ラベンダー ペパーミント ローズマリー ジュニパー カモマイル (茶系)緑茶 コーヒー プーアール茶 ゴーヤー茶 (漢方系) ハンノキ カンゾウ ササ ウコン 葛根 (薬系)クマノイ キトサン ブドウ糖等など さらに、レッド・アイ(ビール、トマトジュース半々のカクテル)などというものもあるようだ。 食べ方としては、そのまま、粥、茶、点滴、煎じる、ミックスする等などだそうだ。 だが私の体験ではすぐ効くものはない。水分を取り、ただひたすら時間の経過を待つのみだ。コーヒーのような利尿剤は効くかもしれない。若いときは半日程度で回復することが多かったが中年以降はだんだん時間がかかるようになってきた。もっとも最近は二日酔いとは縁遠くなった。仲間と飲む機会が少なくなったのだ。 一番いけないのはいわゆる「迎え酒」と称する方法で、二日酔いなのに、また酒を飲み、酔っ払って抑えようとするのは最悪だと思う。肝臓を痛めつけることは勿論、繰り返すと「アル中」になること間違いなしだ。 |
学生時代やサラリーマン初期の頃に流行っていたのは「トリスバー」というスタンドバーだった。 呑むサケは殆どハイボールと称するトリスウイスキーを炭酸で割った飲み物だった。ビールや日本酒は高かったし日本酒の2級や合成酒は、まずくて飲む気がしなかった。当時の日本酒は醸造方法が未熟であったため雑菌が入りやすく、サルチル酸のような防腐剤が混入されていたと記憶している。 |
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![]() 札幌の酒 |
![]() ジンギスカン鍋 |
![]() 飲兵衛そろい踏み |
![]() 毛蟹 |
![]() 鰊漬 |
酒は「北の誉」と「千年鶴」というという銘柄をよく飲んでいたがいずれもなかなか美味い日本酒だった。
酒の肴は当然蟹や鮭、シシャモ、たらこ、ほっきやホタテ貝、など豊富な魚介類だが、冬には石狩鍋や鰊漬という独特の漬物を肴にしてよく飲んだ。酒の味を一段と引き立ててくれる食べ物が多かった。また自宅では生のイクラを買い求め醤油漬にして食べたがこれは絶品だった。
仕事が終わると、夜の歓楽街、薄野にもよく出かけたが、ハシゴ酒のあとは必ずといっていいほど仕上げにサッポロラーメンを食べていた。凍てつくような真冬の夜、飲み仲間と熱いラーメンをすするのはこたえられなかった。この北海道時代に本格的な酒飲みに成長?したのだった。
◆帰ってきたヨッパライと歌
酒に関連がある歌は古今東西を問わず数え切れないほどある。「酒」といえば酔うと歌いたくなるのはどこでも同じだろう。
かっこいいのは「乾杯の歌」だ。ヴェルディのオペラ「椿姫」の第一幕で歌われる主役の二重唱と合唱だが、まず知らない人はいないだろう。杯を高く掲げて景気よく歌う。 メロディも美しく何度聴いても気分がよくなる。
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クラシックの世界ではマーラーの「大地の歌」」は酒をテーマにし、聴いていると酔った気分のように陶然となるすばらしい名曲だ。中国の詩人であり酒仙の誉れ高い李白の詩が取り入れられたシンフォニーで歌曲が主体だ。当時中国の酒飲みは壮大にサケを飲んだらしい。朝から斗酒もへ一チャラだったらしい。
第1楽章 大地の悲しみに寄せる酒の歌( Das Trinklied vom Jammer der Erde) ・・・・詩仙・李白の詩→ 「大地は永遠だが、人生は短い。金色に輝く酒を今こそ飲み干そう。生は暗く、死も暗い。」 第5楽章 春に酔える者( Der Trunkene im Fruhling) ・・・・李白の詩→ 「人生が幻にすぎないなら、努力も苦労も何の甲斐もない。それより終日酒に溺れよう。」 |
またモーツアルトのオペラドンジョヴァニにも出てくるが、バッカスやヨッパライはオペラやオペレッタの登場人物としては欠かせない存在だ。。さらにシュトラウス一族のワルツやポルカには愉快な音が沢山出てくる。
「酒・女・歌」といウインナワルツはあまりにも有名だ。
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わが国にも沢山あるが「おめでたい」方の代表格は「黒田節」だろう。正調で歌われると勇壮で美しい民謡だ。 お座敷歌にも多数あるが「お立ち酒」などは非常に優れた歌だと思う。 ただ最近は婚礼の席でもあまり歌われなくなったようだ。 |
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酔っ払ってカラオケで歌うとしたらどんな歌が多いのだろうか。
私自身はカラオケでも湿っぽい歌は難しいので歌えなかったが♪酒は涙かため息か、心の憂さの捨てどころ♪…という古い歌謡曲は知っていた。その昔フォーク・クルセダースが歌っていた「帰ってきたヨッパライ」という歌が好きでよく歌っていた。♪おらは死んじまっただぁ…天国よいとこ一度はおいで〜酒はうまいし、姉ちゃんはキレイだ ワッワー ♪ 等という調子よく愉快なウタだった。
また、美空ひばりの歌う酒の歌は絶品だといつも感じていた。
「のん兵衛」の歌う歌についてあるサイトで調べてみた。「飲兵衛でーた!」というサイトがあり、以下その一部を引用させていただいた。
アンケートに答えた結果を上位から10位まで転載させていただいたものだが、私が知っているのは4、6、7、10の4曲だ。アンケートの中で「ない、わからん、思いつかない」などと答えているケースが結構多いのは面白い。飲むときは歌どころではなく一心不乱に真剣勝負で飲むということなのかしら…
私の趣味からすると美空ひばりの「悲しい酒」が絶品だと思うのだが… これは余談だが美空ひばりはまさに不世出の天才歌手だと思う。以前オペラのアリアをお遊びで歌ったのを聴いたことがあるが、ヘタな本職顔負けのうまさだった。
このサイトは「のん兵衛」に関するいろいろなデータが載っていて面白い。
★ 飲兵衛でーた
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モノの本によると「日本酒で毎日1〜2合の飲酒はまあまあ、3〜4合の「飲み助」は10年以上経つと内科医や神経科医のご厄介になり、それ以上の「大酒のみ」は早ければ1年以内に、多くは数年後に、お医者さんのご厄介になる可能性が大である」ということだ。 酒飲みは大いに心したほうがよいでしょう。 飲みすぎは二日酔いに苦しむし、脳みそを破壊し、心臓の筋肉をもろくしてしまうので、よい事は何一つない。(これは私自身への警告なのだ!!) |
締めくくりに酒飲みに耳寄りな話を紹介しよう 私自身が好きだからいうのではないが、日本酒を愛飲する人は知能指数が高くボケにくい?とのこと。 これはSという雑誌に載っていた記事だが、ある国立の医療研究センターの疫学の先生の調査結果として「日本酒とワインについて男女ともに一日に適量飲む人ほど知能指数が高くなる傾向があり、その他の酒類では飲酒と知能指数との関連は見られない」というものだ。 この説にはきちんとした根拠があるのだ。すなわち「日本酒やワインは醸造酒であり、その製造過程でさまざまな成分が生まれるからだ。赤ワインにはポリフェノールという酸化を抑える働きを持つ物質が豊富に含まれており、日本酒にもフェルラ酸という抗酸化物質が含まれている。いずれも病気や老化を引き起こす活性酸素をおさえ、動脈硬化や脳の老化を防ぐ働きがある。また日本酒によくマッチする和食も効果的だ。適度のアルコールは血管を広げて血液の循環を高めるといわれており、善玉コレステロールを増やして精神的なストレス解消にも役立つ。昔から「百薬の長」といわれている酒をうまく利用しよう云々…」 お断りしておくが、この効果はあくまでも適正酒量の範囲であり、飲みすぎは百害あって一利なしということだ。このことは本にも明記してあった。(04/11/30)もどる |
「ヒト」酒を飲み
「サケ」人を呑む
ねえさん 酒もってこー!