スポーツクラブ

一年間スポーツクラブに通った。これはそこでの記録と感想だ。
週に2〜3日午後から2時間程度をジムで過ごしたが、結構面白く気晴らしになった。

◆何でスポーツジムに通ったか?

去年1月に心臓疾患で入院手術を受けた。
病名は「上室性突発性頻拍症」という性質のよくない不整脈だ。
数年間クスリでごまかしてきたが発作が頻発するようになり、時には失神するようなことも‥ とうとうカ「テーテルアブレーション」という手術に踏み切った。生まれてはじめての入院だったが幸い手術は成功した。
一ヵ月後に病院で「トレッドミルテスト」という検査を受けた。ランニングマシンに乗り、心臓に負荷をかけて心電図をとる機能検査だった。愕然とした。ナントたった3分程度の早足でハアハアと息が上がったのだ。検査に立会った若くチャーミングな女医さんがニヤリと笑った。これはアカンと思った。
これでも高校時代はバレーボール部に所属し野球、水泳も好きで下手なゴルフも近年までやっており、息が上がったことは今までなかったからだ。確かにトシもトシだが「体力が落ちたなぁ」とつくづく感じた。発作が頻発するようになってからはここ数年間スポーツとはすっかり縁が遠くなっていた。歩くのにもソロリソロリとビクビクもので歩いていた。
そんなにことで3月になり初めてスポーツジムの門を叩くことになったのだ。

入会手続き
とはいっても今までスポーツジムの体験がなく、何処へ行ったらいいのか。こんな時便利なのはインターネットだ。早速調べてみると結構沢山ある。その中から池袋の「東急フィトネスクラブ」を選び訪問してみた。
ビルの5階で下が飲食店、上は映画館だった。フロントでパンフをもらい係りの女性からいろいろな説明を受けた。顔写真や預金通帳、ハンコが必要だという。通帳は利用料を引き落とすのに必要とのこと。
コースはいろいろあるが「ディ会員」というのがあった。これは10時から17時までの間施設を利用できる会員である。休日でも可だ。このような施設は勤め帰りの人々の利用が多く、日中は比較的空いているから割安料金を設定しているのだ。
中の様子やロッカールーム、浴室などについて説明を受けた。フロントの女性は感じがよくここに決めた。
トレーニングウェアやスポーツシューズを買い揃えた。いつものようにカッコだけは一人前になった。

マシン

インストラクター?

スタジオ
トレーニングメニュー
こんな有様だから体を鍛えるとかシェープアップとかをするためではなく、気晴らしと体力をつける目的だった。
しかも体調と相談しながらコワゴワスタートした。不整脈は実にガンコなもので手術が成功しても皆無になるということはなく思い出したように日に何度か発症していた。だがクスリとは縁が切れて、体を動かそうという意欲が出てきたのは間違いなく回復への大いなる前進だと思った。
普通の人はインストラクターがその人に適したトレーニングメニューを作成してくれる。そのため最初に体力テストのようなメニューが有る。しかし私は事情を説明し、「総て自分自身で決めて体調を見ながら行う」と宣言した。周りに目をやるとウイークデーの午後にクラブに来ている人々は圧倒的に女性が多かった。ここにはトレーニングルーム以外にスタジオが2つありエアロビックダンスやバレエ、舞踊など様々なメニューをこなしていた。
皆愉快そうに活発に飛び跳ね、見るからにゲンキハツラツで、よたよたしたジイサンとしてはひどいコンプレックスを感じてしまった。オトコも少数だが居ることは居る。若い人か主で後は少数の年配者だが70台と思われるような老人は見当たらなかった。オトコは皆相当ハードなメニューをこなしている様子だった。こんな人たちのマネは禁物だと思った。

主としてどんなマシンを使ったか。
初めてなのでエアロバイクとランニングマシンの動かし方だけを教わり、ウエートやスピードを落として開始した。初日は各7分間づつ合計15分程度で切り上げた。それでも汗をかき息が切れたのだ。
その後少しずつ運動量を増やしていった。マシンの方もクライムマックス、その他上半身のマシンなども取り入れるようにしたが、半年位は絶えず不安があった。それはトレーニングの最中心臓の発作が起きたら‥どうしようかとビクビクものだった。実際最初の頃軽い不整脈や息苦しさを感じたこともあった。
しかし、続けているうちに段々不安はなくなり、かなりの頑張りも利くようになっていった。徐々に体の機能が回復して来たのが実感としてわかるようになっていった。
マシンはコンピューターが内蔵され、いろいろな条件に合った設定が出来る。操作はPCの設定とよく似ており、コマンドを入れてその都度確定ボタンを押す。例えばスピード、負荷、時間などであるが任意のコース設定もできる。また種目によっては運動中の脈拍も測定できる。当初はマニュアルに設定して軽く行っていたがその後はオリジナルのコース設定をしてかなりの負荷をかけるようにした。
正味の運動時間は体調にもよるが、大よそ70分〜80分程度で途中で水分を補給し15分程度の休憩を取る。室内の気温が高めなので毎回汗びっしょりになる。ウェアは絞ると汗がしたたり落ちそうになる。
頭の中まで汗をかき、額から汗が流れるようなことは日常生活ではありえない。運動後、シャワーを浴びると心身ともに爽快になり、帰宅後飲むビールの美味いこと!!

一年間の記録
この二月末で丁度一年になる。一つの区切りなのでデータをグラフにしてみた。データはスタジオで所定の記録用紙に運動の直後に記入したものの月平均値だ。運動後は概して血圧が少し下がるようだ。
因みに私の日中平常時の血圧は上が130±5、下が70±5程度と安定している。

★その他のデータ
・ランニングマシンで30分間、連続して早足で歩くと約3400歩。(万歩計で測定)
・消費するカロリーは4.8のスピードと軽い上り坂の設定で約130Kcal。これはご飯軽く一杯分
・バイク20分で約70Kcal、クライムマックス15分で約70Kcal程度消費(70Kcalはタマゴ一個分 )
・その他上半身の伸縮運動50回程度でスタジオでの一日の平均消費カロリーは約250〜300Kcal
・250Kcalはビール大瓶一本分の熱量に相当する。(消費カロリーはマシンの操作版に表示される)
ダイエットが目的だと汗だくになってビール一本分250Kcaを消費しても、その後ビールが美味いといってがぶ飲みしたらパーだ。目方は減らない。だが私は心身の活性化が目的なので美味いビールを楽しむ。
運動後は快い疲れでストレス解消にもってこいだ。

運動は「ニコニコペース」で十分だ。これはためになる専門家のお話
運動と血圧の関係について2003年10月に行われた朝日新聞主催の「国際動脈硬化学会・市民公開講座」で荒川先生(福岡大学名誉教授・循環器内科学)は以下のように述べている。
●心筋梗塞の危険因子の第一はタバコで次が高血圧⇒脳卒中も増加
●収縮期血圧は国際的には120以下がよいとされている。これ以上は高血圧症か。(上が140だからと安心は禁物)
●運動は血圧そのものを下げる。一番よいのは「ニコニコ笑ってウオーキング」
●運動は悪玉コレステロールを下げ肥満、糖尿、ストレス解消にも有効
米国の研究では60過ぎから運動を始めてもしない人に比べて2倍も長生きできる。だが動脈硬化が進んでいる人が激しい運動をすると非常に危険。足腰を痛める懸念があるジョギングよりウオーキングがお勧めだ。負担が軽い水中ウオーキングでも血圧は見事に下がる。いきなりクスリに頼るのはあたかも雨漏りするあばら家の中で傘を差しているようなもの云々

健康に適した運動と効果
適した運動 注意運動 不適運動 運動の効果
歩行 ジョギング  テニス 血圧を下げる
水中歩行 水泳 野球 肥満の防止
サイクリング 階段昇降 その他球技 脂質の代謝改善
ハイキング ゴルフ 縄跳び 糖の代謝改善
社交ダンスなど エアロビクス 重量挙げ ストレスの解消
あくまでも歩行が基本!
★勝負にこだわるものや、いきむ動作のあるものは避ける。有酸素運動といわれているものが有効。歩け、歩け!

今後どうする?
一年間150日程度通ったことになるが、体調は徐々に元に戻りつつある。効果は確かにあるようだ。心臓の担当医は「代謝がよくなり効果が現れたのだろう」との診断。勿論体つきが変わった訳ではなく老人特有のブヨブヨしたたるんだ筋肉のままだかこれはむしろ自然だ。
70歳になるといろいろな機能が目に見えて落ちてくる。家にジット「引きこもり」はよろしくない。出来れば自然の元で野山を歩き、サイクリングロードで自転車を漕ぎたいが都会では無理な話だ。今や健康もカネで買う時代だ。かといって健康器具を買い込んでもどうせ三日坊主だろう。
運動は瞬発力をつけるような過激なものをやってみても害あって益なしといわれている。ドクターからも「体を鍛えるなどという意識は老人になったら一切持つな」とも言われている。また有酸素運動は最低週3日程度は行わないと効果は薄いそうだ。正に継続することに意味がある。ゴルフはティーショットやパットの際の緊張が心臓には真によくないので止めた。
1年通ったジムではいつの間にか古顔になり、インストラクターを始め顔見知りも何人か出来、挨拶を交わす仲になったが、区切りをつける意味で一旦別れを告げ、気分を変える意味で他のジムを訪問することを考えている。(04/03/1)もどる