指方英佑 太陽電池発電所
先日、経済産業大臣から上記の設備認定を受けた。
この認定通知は代行業者である東京電力から文書で通知された。そして、発電事業者は指方英佑即ち私であり設備認定IDと事業者IDなる番号を貰った。簡単に言うと我が家は国が認めたれっきとした発電所となったのである。 これは一体何ぞや?というわけである。
文面によると今年の国会で「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)」という長ったらしい法律が成立し、施行により認められたらしい。そして設備名称にはナント指方英佑太陽電池発電所と命名されていたのである。少しビックリした。私は発電所の所長に任命されたのだから‥
ここまで話すとハハーンと分かる方も居られると思うが、わが家の屋根には太陽光発電用パネルが合計24枚取り付けられ何がしかの電力を発電し、電力会社の電気と平行して使用し、余剰が生じれば東京電力に売っているのだ。実は2年前に家を改築した際にこのシステムを採りいれていたのだ。
そこで、この仕組みや得失等について述べ、クリーンで無尽蔵な新エネルギーの何たるかについてデータを基にその実態を述べてみたい。これから導入を考えておられる方には参考になるかも知れない。このお話は少し理屈っぽいので予めお断りしておく。
1.太陽光発電とは?
屋根の上に発電用のモジュールを設置し太陽光線を電気に変換し、分電盤を通してコンセントに配電する発電システムである。
同じような形をしているものに温水器があるが、これは太陽熱を利用しているのに反しこのシステムは熱ではなく光線を電気に変換する。
高性能のものは宇宙観測衛星の電源になり、身の回りのモノとしては電池不要の腕時計や電卓にも利用されている。ソーラーカーも代表的なものだ。

2.どんな機器で構成されているか。
大よそ上記のような機器で構成され最後に発電量が電力計に表示されるようになっている。

モジュール

パワーコンディショナー

分電盤

モニター
★ポイントは太陽電池モジュール
太陽光を受けて電気(直流)を発生させるアレイと云われるもので、最重要部分である。数多くのセルが集合したものでありこれの性能、形状、設置場所、屋根の勾配等によって発生電力量に差が生ずる。年々性能は向上しつつあり、今は、外観やデザインに違和感がない屋根瓦を兼ねた製品も作られている。
屋根の形状は非常に重要だ。一言で云えば日当たりの良い南に面した屋根面積が広ければ広いほど有利だ。また周囲に背が高いビルがないことも条件だ。
効率で云えば南面の発電量を100とした場合、東西は約70%程度に落ちる。北面に設置することはありえない。私のところは寄せ棟で東西が広く南面は狭いのでモジュールの性能を生かしきっていない。発電量は理論値では最大3kWであるが、モニターで見る限りどんな晴天でも2.5kWが限度である。

当然季節的な変動も大きい。春から夏にかけて発電量は増加するが、日光が弱い秋から冬にかけては減少する。これは仕方がない。屋根の勾配も大きな関係がある。本来はパネルが絶えず太陽と正対面するのが理想的だがこれは全く不可能なことである。余剰電力は天気が良く家庭の消費電力が少ない日中に発生するが、エアコンなどを運転すればダメだ。
★パワーコンディショナー
直流を交流に変換する装置でインバーターとも云うが発電所には必要な機器。万が一停電状態になったときにはスイッチの切り替えで自立運転にすることも出来るが通常は電力会社と連携して運転する。
★分電盤
通常の分電盤のほか右側に太陽光発電専用のブレーカーがついている。
★電力計
通常のもの以外に余剰電力が発生した場合、東京電力に売る電力を示す計器が増設されている。
★モニター
発電の状況やシステムトラブルの発生を示す計器。モニターの表示では電池を設置以降今日まで累計で約5600KWhの電力を発生させたことになる。

3.設置にかかる直接費用その他について
性能、メーカーによって異なるが普及品で一般住宅用であれば300万円前後である。代表的なメーカーはS、S、K、Mの大手を始め数社ある。
もっとも高い部材は当然モジュールで一枚6万円から8万円程度であり、全費用の60%を占める。枚数が増えれば発生電力量は増えるが費用は高額になる。次に高いのはパワーコンディショナーで設置費用がこれに続く。
設置は屋根に架台を取り付けてその上にモジュールを固定し、ケーブルを接続箱でまとめてパワーコンディショナーに接続する。

4.完成すると電力会社が検査を行う。

メーカーの技術者も立会って検査が行われ、OKならば正式に引渡しが行われ、電力会社との間で電力の売買契約を取り交わす。この仕組みは通常の使用電力料金と当方太陽発電で発生した余剰電力の差で清算するのではなくあくまで別計算になる。
その時電力会社が買う電力単価が示され、毎月電力会社から当方が売った余剰電力の代金が指定口座に振り込まれる仕組みである。従って電力計は2つ設置される。

5.この事業には所轄の役所がある

所轄の役所は経済産業省だがその外郭団体の新エネルギー財団が窓口である。何故役所が?というとこの仕組みには税金から一定の補助金が出されるからだ。国はクリーンエネルギー活用を推し進めるために毎年予算化しているのだ。
役所から補助金を貰うための手続き一切はメーカーや設置業者が行ってくれるが、非常に複雑怪奇だ。いかにもこの国のお役所仕事だ。また、補助金をただ貰うのではなく、その代わりに2年間はモニターとして半年に一回づつ一定の書式に従い毎月の発電量、使用電力などについて報告する義務を課せられている。ただ、報告しなくても「交付金を返せ」とは云ってこないようだ。
因みに私が受けた補助金は約36万円であった。バカにならない金額だが別に市町村によっては独自に補助金を認めているところもあるようだ。
但し、発足当初は補助金の額は100万を超えるような額だったらしいが年々減らされていると聞いている。話は横道にそれるが役所のやることは何かピンとが外れいてる。大体この設備に指方英佑太陽電池発電所などと大仰な名前をつけることもどうかと思うが申請書類を見て驚いた。
作成提出は工事請負業者が総てやってくれたが、その記入要領を見てみた。書類は10種類を超え実に詳細なものだ。専門的な内容で到底素人の手に負えるものではない。
またこれ等は総てOCR処理の為に丁寧、正確、楷書がいたるところに強調されているがおかしかったのは数字やアルファベット、かな文字の書き方の注意事項だ。記入のポイントというのを見ると
これがナント数ページに渡りこと細かく一字一字書かれているのだ。を例に挙げると「線を確実につなぐ、つきださない、輪を大きく、円にしない、飾りをつけない」など5項目にわたり示している。
私には「つきださない、飾りをつけない」がどういう意味か理解できなかった。これがすべての記入文字に対して行われているのだ。いくら機械で読み取るといってもこれは行きすぎだ。このマニュアルを作った人は余程ヒマ人なのだろう。
申請した担当はこぼしていた。ヘタすると何度でも書き直しになるので全く同じ様式をPCで作成しフォントを要求に合わせていると云っていた。これは典型的な役所仕事だ。

6.太陽光発電の実態について
投下資本に対する回収という点から見ると全くペイしない。これは最初から分かっていたことである。以下過去一年の実態を示してみたい。
なお、わが家は現在冬の暖房は総て電気製品を使っている。改築前まではスキマだらけの古い日本家屋だったので石油やガスを使った暖房だったが、危険性や管理を考えて総て電気に切り替えた。どうしても真冬の総使用電力量は増加する。従って太陽光で多くの余剰が発生するという環境ではなが、春夏は日中に比較的多く余剰電力が発生するようだ。

なおこれによって生ずる余剰電力販売代金は月平均1600円である一方電気代は過去一年間で見ると月約11000円であった。但し、発電量は月平均230kwhなので連携運転時のメリットはそれなりにあるものと思われる。この設備がない場合の電気代はもっと高くなっていると思われるが、改築前の電気代との比較は意味がないし記録も残っていない。

7.設置すると何かメリットがあるか。
メーカーや普及団体の宣伝では設置によって約70%程度の電気代の節約につながると云われているが、実感としては50%程度だ。
経済的には大きいとは云えないが、意識の面で変わったと思う。わが家では井戸水もくみ上げて活用しているが、自然の恵みをもっと活用してもいいのではないかと思う。少しえらそうなことを云うと、地球を汚したりすることを少なくする努力をしてもよいのではないか‥ということだ。これを導入して変わったのは無駄な電気を節約するという意識だ。
照明器具なども必要以上に明るくせず、電気を食わない蛍光管に切り替えたりして、省エネに意識が働くようになった。
この設備の寿命は明らかではない。メーカーでは30年と云っているが‥設置後2年間はノートラブルだったが、大地震や本格的な台風のときどうなるのかはよく分からない。ま、10年程度は原則としてメンテナンスフリーだが、技術は日進月歩であり、発電効率の良いモジュールや温水器を兼ねたものも出始めている。家庭内の電力100%OKのソーラーハウスも見かけるようになっている。お日様は宇宙の彼方で大爆発している原子爆弾のようなものでそのエネルギーは計り知れない。コストダウンも期待できるので場所にもよるが、有力な新エネルギー源の一つ云ってよかろう。 おわり  もどる
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