2024年2月吉日 | |||||||||||||||||||||||||||
多文化共生を目指す教育関係者の皆様 | |||||||||||||||||||||||||||
グローバル化社会の教育研究会 事務局 | |||||||||||||||||||||||||||
第88回 グローバル化社会の教育研究会のご案内 |
|||||||||||||||||||||||||||
拝啓 梅の華の香る季節のですが、皆様 いかがお過ごしでしょうか? さて、第88回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は、NPO法人Democracy Festival Japan 代表理事の藤田 さなえさん(Actiwish LLC代表)に話題提供をお願いしました。 最近 デンマークの教育、とりわけ 「フォルケホイスコーレ(国民学校)」が話題になりますが、藤田さんは 早くからこの学校の紹介と共に、異文化の中で 「住み・働く・学ぶ」 ことについてを語り合う場を設ける活動を続けて来られています。 わが国では20年前から急にPISAや 「世界共通の学力観」 が学校現場で注目され始めたわけですが、なにか空回りをしている感がぬぐえません。 藤田さんが一時帰国されるのを機会に、「人間を育てる、個人を育てる、社会を創る一人を育てる」 という観点からお話を伺い、それを素に話し合いたいと思います。 なお、お申込みは 郵便振替用紙にて 参加費を払い込んでいただく方法で受け付けます。 準備の都合上、お早めにお願いします。 (受付: 3月 7日まで)
| |||||||||||||||||||||||||||
以 上 |
『小山の教育通信』 2024年 2月・ 3月
最近、デンマークの 「フォルケ ホイスコーレ(国民学校)」 が よく話題に取り上げられています。 大学入学前に(年齢制限はナシ)自分自身を見つめ、自分自身の “学び” や課題を追究するユニークな教育機関です。
そこにおいては 「ヒトが学ぶということは?」
という根源的な問いを、正面から考えることが要求されています。
わが国では20年前から急に PISAや
「世界共通の学力観」
が学校現場で注目され始めたわけですが……
「世界のどこにいても、どんな背景をもつ人ともチームを組んで仕事ができ、好い成果を出せる人間力」
という理想が、なにか空回りをしている感がぬぐえません。 ------------------------------------------ 『月刊 グローバル経営』3月号の特集 『海外で子育て』 の巻頭言を書かせていただきました。 世界の要請は多文化共生社会に向っているのに、日本人の最近の駐在員家庭は 内向きの傾向を強めていて、それが教育現場や教育相談の場にも陰を落としています。 第88回EGS研究会の話題の焦点も そこです。 ------------------------------------------ 北欧では 「社会人」という言葉がないそうで、生れた時から “一人の人間”として扱われるとのこと。 「自分自身である力」「変化成長する力」「他の個とつながる力」「場を構成する力」「社会に受け入れられるための力」 これらを生れた時から本人に考えさせる訓練を施こしていくという発想なのだそうです。 <EUは、言語・経済・習慣・歴史・生き方が違う国の集合体であり、「戦争をしない。平和な世界を維持する」以外に、利害統一がされていないコミュニティで、対話による相互理解・交渉・すり合わせにより “最適解” を見つけていく> 学校が子どもに伝える一番大事なことは 「Democracy」であり、そこでは “勝ち敗け”ではない対話が欠かせない…… 学校の中の全てが子ども同士の対話で決まり、どんなに意見が対立しても人間関係が変わらないのだそうです。 そうやって子どもたちが 「Democracy」を理解し、責任ある市民として成長し参加する場を提供するのが学校とのこと。 どんな知識獲得や探究も 対話による考察や検討・共感・実践を経ないと“主体的で深い学び”になっていかない…… これぞIB教育でいう「TOK(知の技術)」ですね。 時間や手間はかかっても、着実に「社会に働きかける力」「個がつながり社会を変化・成長させる力」などを伸ばす…… そういう子どもを育てる仕掛けが、保育園から小・中学校、高校へと用意されている様子には感動を覚えます。 ◆ 社会にICTや科学技術の応用範囲が広がり、宗教や民族、個々の価値観も多種多様な人々と交わらざるを得ない時代です。 「予測できない未来の社会に生きていく子ども・若者に対して教育ができることを、人間力・社会力の双方から考えましょう」 という藤田さんの語り掛けは圧巻でした。 |