2024年6月吉日 | |||||||||||||||||||||||||||
多文化共生を目指す教育関係者の皆様 | |||||||||||||||||||||||||||
グローバル化社会の教育研究会 事務局 | |||||||||||||||||||||||||||
第90回 グローバル化社会の教育研究会のご案内 |
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拝啓 すっかり夏の気配となりましたが、皆様
いかがお過ごしでしょうか? さて、第90回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は、言語の認知科学や言語教育がご専門の大津 由紀雄先生(慶應義塾大学名誉教授)に 話題提供をお願いしました。 近年、インターナショナルスクールへの進学熱も高まりと共に、幼児から英語学習に取り組ませるのが流行のようになっています。 しかし、ことばが思考の基盤をなすものであることの理解を抜きにした “生兵法” も横行しています。 そもそも 「ことば」 を子どもの認知発達の観点から客観的に眺めると どういうものなのかが忘れ去られているのですが、その元凶は何なのでしょうか。 改めて 言語教育のあるべき姿を見つめる必要があります。 大津先生に伺ったお話を素に 話し合いたいと思います。 なお、お申込みは 郵便振替用紙にて 参加費を払い込んでいただく方法で受け付けます。 準備の都合上、お早めにお願いします。 (受付: 7月 5日まで)
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以 上 |
『小山の教育通信』 2024年 5月・6月
5月9日(木)、文科省が 「令和5年度 英語教育実施状況調査」の概要を公表し、ひとしきりマスコミを賑わせました。
しかし 現場の感覚では、平均的な生徒の英語力が向上しているとは思えません。
そして 大学入試で、英文科の推薦入試基準を
「英検2級以上」 とするところも数多あるのです。 それは英語以前の 「人間理解力の低下」 が原因とのいえるのでは…? と思っていると、英検1級道場の山中 昇先生が胸のすくようなコラムを書かれていて、感激しました。また、慶応大学の大津 由紀雄先生は、中教審その他の場で こうした事態の問題性を堂々と展開されています。 グローバル化社会の教育研究会(EGS)でも話題提供をしていただけないか相談したら、ご快諾くださました。(7月12日(金) 開催) ----------------------------------- 子ども自身が自らを鼓舞して異文化の人の前に立ち、五感を総動員して相手とコミュニケーションを図ろうとする…… 相手の様子を観察しながら 相互に伝えたいことを伝え合うことは、子どもの時から体験していって欲しいものです。 しかし、ただ 「やれば好い」というものではなく、日々の教育活動の中にきちんと位置づけられることが大事です。 国際交流が単なるイベントに終始するなら、“学び” はほとんどありません。 それは海外研修や農村ホームステイの類でも、同様にいえることです。 昨今 「コミュニケーション力の低下」 が指摘されますが、それは 「人間理解力の低下」 という深刻な課題だという認識が必要です。 生れた時から親に話しかけられ、近所の人とも語り合って育っていくことが、意思疎通や人間理解の基盤となるのです。 ----------------------------------- 文科省は「令和5年度 英語教育実施状況調査」の結果を公表して、自画自賛してますが、果たしてそうでしょうか? 2024年からの大学入試改革を、文科大臣の私腹を肥やそうとして頓挫させ、高校の探究型学習をも後退させました。 本来は多言語多文化教育の用語である 「CEFR」 を、英語教育 とくに日本英検(STEP)の評価基準として歪曲しています。 なぜ日本人のコミュニケーション能力が低下し続けるのかを、今こそ真剣に、正面から考えなくてはなりません。 ----------------------------------- 大津 由紀雄先生は 日頃、日本型の複言語主義の開発を訴えられています。 日本の言語・文化土壌に適合した形にするためには、母語教育("国語" 教育)と外国語教育の一体化を図るべきだと……。 今回のテーマは 『ことばの認知科学から見た、母語の重要性』。 具体的には; 「1.ことば(母語)基盤を成す」 「2.ことばはコミュニケーションの手段としては欠陥品である」 「3.言語教育の目的は、1と2を学習者に自覚させる(メタ認知)ことにある」 「4.CEFRの基盤原理である複言語主義(1〜3と有機的に関連)が日本の英語教育界での受容では抜け落ちている」 「5.「おうち英語」の流行は危険極まりない」……。 専門的用語は あまり用いずに解説してくださるそうですから、ずっと疑問だったことなどを解明できるかもしれません。 そして それを素に、大いに話し合いたいと思います。 |