2024年9月吉日 | |||||||||||||||||||||||||||
多文化共生を目指す教育関係者の皆様 | |||||||||||||||||||||||||||
グローバル化社会の教育研究会 事務局 | |||||||||||||||||||||||||||
第91回 グローバル化社会の教育研究会のご案内 |
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拝啓 残暑お見舞い申し上げます。 あと一息、気を取り直して頑張りましょう。 さて、第91回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は、前回の大津 由紀雄先生のもとで学んでいる渡辺 香代子さん(幸手市立 上高野小学校教諭) にお願いしました。 明るいグローバル社会にすべく小学校に導入された教科 「外国語」 も5年目ですが、児童にとって英語は得体のしれない言葉となり、小学校段階で既に英語嫌いを多く生んでいます。 いまこそ外国語が言葉であることに気付かせ、そして外国語の力と母語の力を同時に高める教育が必要です。 前回の 「ことばの認知科学から見た、母語の重要性」を、小学校において具現化すると どのような授業になるのでしょうか? 渡辺さんから現場の生の報告を伺い、それを素に話し合いたいと思います。 なお、お申込みは 郵便振替用紙にて 参加費を払い込んでいただく方法で受け付けます。 準備の都合上、お早めにお願いします。 (受付: 9月20日まで)
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以 上 |
『小山の教育通信』 2024年 9月
前回は慶應大学の大津由紀雄先生を囲んで、『ことばの認知科学から見た、母語の重要性』のテーマで話し合いました。
「母語は習わなくても使えるもの」 という錯覚や
「国語教育」の偏向性などが、言語教育に歪みを与えていること、また、英語教育では
「実用指向」「文法の軽視」「英語の授業は英語で」の短絡も見受けられることが指摘されました。 母語では直観を利用した 「ことばへの気づき」を育成し、それを外国語を学ぶことで 更に 「ことばへの気づき」を増す…… 母語と外国語の効果的運用の実現を目指す考え方を、一般的な公立小学校で実践に移すと何が起こるのでしょうか? 話題提供の渡辺香代子さんは、埼玉県の公立校で担任をしながら外国語教育に取り組んでおられます。 子ども達が どう反応するかはもちろんですが、周りの教員や管理職が どんな反応(反動?)を見せるのか、興味津々です。 ◆ 「総論賛成、各論反対」の無責任教師に囲まれながら、彼らを説得し巻き込んでいく営みは、是非お聞きしたいです。 でも、愚痴の言い合いにならないよう、前向きの議論にしたいですね。 ------------------------------------ 過去40年間、「小学校教育に英語は必要なのか?」 という議論は延々と続いています。 他方で、「本を読まなくなった子ども」「コミュニケーションの取れない子ども」 は増え続け、指導に当たる先生方は困惑しています。 しかし、小学生への外国語教育導入の趣旨には 「言語のスキルを身につけさせること」 以上に大切な意義がありました。 将来を担う子どもたちには、自分とは異なる価値観や文化・習慣を持つ相手を受け入れ、尊重する姿勢を養わせたい…… 幼少期から、日本語とは違う 「音」や 「発想」や 「文化」に触れる機会を重ねることで世の中の多様性を受け止める…… 幼い時から 「異文化対応力」ともいうべき資質と姿勢を育むことは、外国語の知識やスキル以上に大切といえるのです。 EGS研究会の冒頭、渡辺香代子先生から衝撃的な数字が提供されました。 "先行導入" の指導を受けた子ども(2023年度の中3生)の 「全国学力テスト」の英語の結果は; 「聞く」「話す」「書く」の平均正答率は46.1%(旧課程時より 10.4%低下)、「話す」は12.4%(同 18.4%低下)。 さらに、小6の意識調査(2021年)で 「英語の学習が好きではない」と回答した割合は31.5%(8年間で 7.8%増加)とのこと。 しかし 渡辺先生は、"外国語教育の未来を拓く" ために 「小学校における母語教育及び母語の必要性と重要性を示す」という観点から、小学校の外国語教育に何が必要で、どんな役割であるべきかを具体的な授業を通して考え提案。 なんとか現状を打開するため 「国語の教科書の改修」「母語教育推進のためのなんらかのアクションプラン」に着手されているそうです。 ◆ 渡辺香代子先生の結論は 「小学校は "外国語教育における明るい未来" の入り口」「小学生の外国語への興味は、無制限かつ無限大」「英語は、外国語への入り口に過ぎない。 明るい未来ある外国語教育の扉を、小学校という入り口で閉ざさせるわけにはいかない」 です。 本当にその通り! 仲間が増えますよう! |