1位:スパイラル 〜推理の絆〜 (C)
人の心は、常に移ろうものだ。それは当然であり必然であり、ゆえにどんな人間であろうと…それこそ余命1ヶ月が確実という人だって、そのとき触れた作品にどれだけハマり込もうと、「これが生涯変わることの無いNo.1作品だ!!」と言い切ることなどできはしないだろう。
むしろ「この作品(キャラ)が一生自分のNo.1なんだ! これ以上の作品は、これからの人生でも絶対無いんだ!!」と、頑なに己が「心の定義」を縛ってしまうことは、逆に「主観なりの平等」を見失ってしまうことにもなりかねない…とオレは考えている。
たとえばオレは1年ないし2年ごとに、こういった作品やキャラに関する大規模なランキングを制作しているわけなんだが…その1位やトップ集団が毎年一定ではなく、微妙な揺らぎを見せることに対し「なんて薄情なヤツだ!」と感じる人だっていると思う。だがそれは、まさにオレの信念がそうさせている行動であり。すなわち「昔から大好きな作品」だとか「前年度1位」だとか、そういった余計な先入観は全て廃すべきだってのがオレの持論だ。ランキングを考える・制作するにあたっては、「その時点での愛着」を「そのまま純粋に比較し考える」ことが最も重用だろうと思うんだよ。自らの心をしっかりと見つめ直してみれば、実は「好きだ…と勝手に思い込んでいた」という事実に気付くなんてこともけっこうあったりするわけで。
なにしろオレの場合、一番顕著な例を挙げれば、「1年前にはトップ10入り」していたのが「今年は50位台に落ちた」なんてキャラまでいたりして(笑)
ともかくオレは根が凝り性なだけに、こんな自己満足ランキングに関してでも、できうる限り「厳密」を貫きたいってことなんだよ。
だから現時点…すなわち2007年に1位である『スパイラル』であっても、オレは本作が「生涯の1位」だとは思わない。これからの人生、いずれ本作を超える作品に出合うこともあるだろう。だが現時点における1位は、心の底から本作であると断言できる! なにより本作は、去年に引き続き2年連続のトップでもあり、さっき自分で話した前提(毎年ランクが微妙に変わる)からも外れた凄まじき存在なんだよ!
しかも本作の凄いところは、1年前の時点で「既に連載が終了していた」という点だ。確かにその後『アライヴ』の連載も再開されて、完全に本作の根が潰えたわけじゃないんだが…やはり終了した作品だけに「それ以上愛着が伸びる」ことが難しいんだよ。しかもオレだってこの1年間ボーッと過ごしていたわけじゃなく、今年1年だけで少なくとも数十作の新たなアニメ・マンガに触れてきた。にも関わらず本作は、未だその座を守っているんだ!
オレが現在、原作者・城平さんの大ファンになっているのも。マンガに関して「知略モノが好き」という趣向になっているのも。
挙げ句、自分で雑誌は買っていないクセに、なぜかジャンプよりガンガンに惹かれるオレがいるのも。全ての理由が、本作へと集約しているわけだ!!
キャラの魅力はもちろん、なによりストーリーの魅力に心奪われた本作。そりゃ後半のファンタジックな展開に、本格推理モノには相応しくないと苦言を弄する人もいるだろう。だが逆に本作が特筆する部分に欠けた「通り一遍のミステリー」だったなら、オレもここまで惚れ込みはしなかった!
論理の旋律を奏でる。それはロマンチックで現実味の無いコトバに聴こえるかもしれないが…オレにとって本作は、真にそれを成した作品なんだ…。