8位:グラップラー刃牙 (C)

現在連載中であり、最終章と銘打ったことで俄然ヒートアップしている『範馬刃牙』。オレは確かに、ソレだって好きだ。
だがまだ巻数も少ない…という部分を差し引いても、『範馬刃牙』は48位という順位だった。そりゃ未完結作品でその位置に在るということ自体が凄いのも間違いないが、少なくとも厳密な順位で言ったら「そのくらい」ではある。しかし対して本作…すなわち初代『グラ刃牙』といったら、第8位という超絶なランクで! 同じシリーズながらこれほどの差が出るというのも、なかなかに興味深い事象ではある。本当の意味で「我ながら」ではあるが(笑)

ともかくオレが本作をこれほどまでに好きなのは、やはりコレが、オレを「刃牙」という世界にいざなってくれた記念すべき作品だからだろう。例えばオレはシリーズ第1作目である『ファンタジア』をプレイしたことにより『テイルズ』の世界に入ってきたが、そういう意味で『ファンタジア』に対する感謝とも言うべき思い入れは心の深層に根付いているんだと思う。たとえ表面的には意識しておらずとも、自らが体感した「初作品」というモノに対しては、相応の(特別な)愛着が形成されて然るべきなんだ。だからこそ、この『グラ刃牙』もこれだけの位置に在るってことだろう。

さて、ともかく全42巻と『DB』に匹敵する(というか全く同じ)巻数を誇る本作だけに、その内容はボリューム満点かつ多岐に渡るものだった。なにしろ元々が『グラ刃牙』『BAKI』『範馬刃牙』と3部に分かれているこのシリーズだというのに、本作は「その中で更に3編」に分割されているわけで。
公式に「地下闘技場編」「幼年編」「最大トーナメント編」と分類されるこの3編は、それぞれがそれぞれの魅力を持っており、読み進めていくうちオレもじわじわと本作の虜になっていく自分を意識した。そして前2編を存分に楽しみつつも、その愛着が最高潮に達し大爆発したのが…そう! やはりそれは、あの「最大トーナメント」が開始された瞬間だったんだよ!!

天下一武道会や暗黒武術会など、そりゃ「ただの格闘トーナメント」というだけならアニメ・マンガ界でも使い古されたネタであり、別段驚くようなモノじゃない。だが本作が描いた「あのトーナメント」は、とても巷にバッコする「凡庸なトーナメント」とは似ても似つかなかった! まさに一味も二味も違う魅力を内包した、「格闘トーナメントの最高峰!」と言ってしまいたくなるほどのモノだったんだよ!!

そもそもよくある「トーナメントモノ」というのは、主人公(あるいは主人公チーム)と、せいぜいがライバル(ライバルチーム)の試合くらいを詳細に描き、あとは適当に流すのが普通だ。とはいえそれは悪いことじゃないし、紙面の都合や読者のニーズを考えると、むしろソレこそが最上の姿であるとも言える。だがあえてその「最上」を目指さず、泥臭い…とでも言うか、「誇張も省略もない、あるがままの試合」を描き切った本作。たとえ主役でも重要キャラでもない「脇役同士の試合」であっても綿密に描き、1試合たりとも無下にしないというその手法には感動すら覚えた。
当然そういった手法云々といった細部に限らず、単純に「格闘描写」そのものが破格だって部分は言うに及ばず! ひたすら大好きなマンガだ!!

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