第十四話:マークといっても、彼は生粋の日本人である
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【今回の登場人物】 マーク:気難しく頑固なところもあるが、根はイイ奴だ。意外とロマンチストだったりもする。 オレ:マークとは小学校からの付き合い。とはいえ親しくなってきたのは、中学に入ってからだった気がする。 カム:同じくマークとは小学校からの付き合い。そして、アイツをあだ名(=マーク)ではなく本名で呼ぶ数少ない人物。でもここではマークです(笑) ――― ■■■ ―――
マーク「ふぅ……やれやれ……」 オレ「お、誰が入ってきたかと思えばマークか。今日は来るのがちょっと早めだな」 マーク「まぁな…」 オレ「なんだ元気ねぇな、今日はゲーセン行くとか言ってなかったか。臨時休業でもしてたかよ(笑)」 マーク「いや、ちょっとね。…そういやナツキは、ゲーセンとかあんま行かないでしょ?」 オレ「ん、まぁそうだな。そもそもオレ達の中でゲーセン通ってるのは、お前とせいぜいカムくらいだろう」 マーク「だよな。でもさ、ナツキもゲーセンの雰囲気くらいは解るだろ?」 オレ「そりゃ、なんとなくは解るが。イメージとして」 マーク「ともかくさ…なんか今日、ゲーセンで厨を見たんだよ」 オレ「なんだ、リア厨かそれともただの厨か? どっちにしろ、ゲーセンにゃそんなの珍しくはないだろ」 マーク「そりゃそうだけど、でも多分ナツキが思ってるほど大量ではないと思うよ。厨の量も」 オレ「まぁ、そんなもんかもな。だけどなんだ、連コインでもされたか?」 マーク「そんなベタなもんじゃねぇよ。年齢はリアル厨房じゃなくて、おれ達よりちょっと上くらいの人だったんだけど」 オレ「うん」 マーク「その人が格ゲーやってたわけね。こう……こんな風にガチャガチャガチャ! って」 オレ「適当プレイってこと? 初心者のよくやる」 マーク「そう、そういうの。その人自体あんまゲーセンに慣れてないというか、休み時間にヒマだったからゲーセン入った…みたいな感じで」 オレ「うん、それで?」 マーク「そんときは席が1個しか空いてなくて、そこに座ると乱入することになるから、おれはなんとなく見てたんだけど」 オレ「あれ、マークは乱入とかしないのか?」 マーク「いや、するときはするけど、そんときは気分的に」 オレ「ああ、うん」 マーク「そんで、そこにその人が来たんだよ。で、その空いてた席に座って乱入したのね」 オレ「それって、知っててやったの?」 マーク「うん、それは解ってるみたいだった。…で、さっき言ったガチャプレイして…まぁ普通に負けたわけ」 オレ「そりゃまぁ、そうなるわな」 マーク「そしたらなんか、メッチャ怒り出して」 オレ「別にハメ技とかじゃなくて?」 マーク「うん、もう普通に負けてたんだよ。でもキレて、いきなり立ち上がって持ってたバッグで相手の肩を殴って、そんで逃げてった」 オレ「マジかよソレ…。相手の人はどんな感じだったの? やっぱりビックリしてたか?」 マーク「なんというか、普通そんなことしてくるとは思ってないから、唖然としてた感じ」 オレ「そりゃそうだよな(笑) でも、そりゃヤバイな。完全無欠の厨じゃねぇか!」 マーク「それ見て、なんかもう色々と萎えて、帰ってきた」 オレ「というか、自分から乱入して負けてキレる…って、もうそれ以上ねぇってくらいの厨行動じゃん」 マーク「それもそうなんだけど、そういう人って結局、格ゲーを遊びとしか認識してないと思うんだよね」 オレ「ん、ゲームは遊びじゃないのか?」 マーク「いや、格ゲーとかって、どちらかというとスポーツみたいなものだと思うんだけど」 オレ「ああ、なるほど。確かに構図としては同じようなモンだよな。努力して腕を上げて…って意味で」 マーク「そう。そんで色んな人と対戦して、勝利を目指すんだから」 オレ「まぁ、実際昔から言われてることでもあるよな。ゲームはスポーツと同じだっていう話も」 マーク「そんで、もしそれが解ってるなら、負けてもそんなに怒るわけないと思うんだよ。その人みたいに」 オレ「そうだな…確かにマークの言うこともスゲェ良く解るんだ…けどさ」 マーク「けど?」 オレ「いや、それでもオレはやっぱり、その考えを世間一般に押し付けるのはマズイかなって」 マーク「…どういうこと?」 オレ「オレもさ、そりゃゲーマーなわけだし、ゲームに対しては本気で取り組んでるわけだよ。つまりマークの言う《遊び》ではないレベルで」 マーク「うん。そりゃお前なんかはかなり顕著な方だろ」 オレ「だけど結局のところ、その人みたいな極端な例はともかく、大多数のライトユーザーにとってゲームは《遊び》の域を出ないと思うんだ」 マーク「それは、まぁそうだろうけど」 オレ「にも関わらず、マークの言う《格ゲーはスポーツだ!》っていう思想をライトな人にも押し付けるのは、やっぱりエゴかなって」 マーク「ううん…まぁ、言いたいことはおれも解る」 オレ「いや、これは別にどっちが正しいって話じゃなくてな。あくまでオレ個人の考えなんだが…」 マーク「それは、ちゃんと解ってるって」 オレ「そりゃそうか(笑) まぁマークとはけっこう、こういう風に色んな議論してるもんな…」 マーク「それに、間口を狭めちゃうってことでしょ?」 オレ「それもあるとは思う。格ゲー人口を広げるには、まず気軽にプレイできる環境があった方が良いだろうし」 マーク「まぁ…でもやっぱり、ああいう人を見るとなぁ…」 オレ「それはオレも解るよ。でもそれはさ、ゲームを遊びと思ってるから…とかじゃなくて、ただ単に《彼が厨だった》ってだけが理由だと思うぞ(笑)」 マーク「ああ、なるほどな(笑)」
―― ◆ ――
カム「なんだ、今日はナツキとマークだけか」 オレ「ああ、今度はカムか。今日は珍しくプッチも来てないから、2人だけ」 カム「でも3人じゃ『スマデラ』できないじゃん! 誰か呼ぼうぜ、タコッチとかさ」 オレ「呼ばんでも、誰か来るでしょ。しばらくすれば」 マーク「そういえばカムちゃん…ナツキから聞いたよ、あの話!」 カム「は? 何の話?」 マーク「ホラ、またそうやって冷たい態度で…。なぁナツキ、あんなに一緒だったのにね?」 オレ「ああ、その話ね(笑) ほらカム、アレだよ。マークの着メロ」 カム「え? …ああ、アレのことか! なんだよマーク、そんなに根に持ってたのかよ〜」 マーク「いや、別にそうじゃないんだけどさ」 オレ「でも正直、アレは素で笑えたんだが(笑)」 マーク「まぁおれも、大学2年の頃はしばらくナツキんち来てなかったからね…カムちゃんに忘れられても無理ないよなぁ…」 カム「いや、前に全然関係ないって言っただろ! 偶然だって!!」 オレ「だけど偶然でもなんでも、アレはウケたよ。マークから来たメールの個別着メロが、『SEED』の《あんなに一緒だったのに》ってのは(笑)」 カム「でもマジで、狙ってなかったから。あの頃はずっと『SEED』にハマってたから、ナツキとかも含めてそれぞれ個別の『SEED』系にしてたからね」 オレ「そんでマークが偶然ぶつかったわけか(笑) でもメールが来た瞬間、あん〜なに一緒だ〜ったのに〜〜…って流れるのはヤバイって!」 マーク「しかも、今でもそうだからね(笑)」 カム「だって変えるの面倒臭いし。というか、もう慣れちゃったしね。マーク=あんなに一緒だったのに、っていう法則に(笑)」 オレ「でもそういう意味じゃ、オレも携帯持ってからずっと着メロは変えてないな」 カム「ナツキは『シンフォニア』の戦闘テーマだっけ?」 オレ「全体のはそう。電話がシルヴァラントでメールがテセアラのね。あとは個別設定だな」 カム「確か、大体がプレゼントメールで俺達があげたヤツでしょ(笑)」 オレ「そうそう、経費削減だしな(笑) それに人にプレゼントするくらいだから、大体そいつのキャラに合った曲だし」 カム「俺は『ギアス』の《COLORS》だっけ?」 オレ「それもカムに貰ったけど、使ってるのは『シャナ』の《緋色》だな。そんでプッチが、『MADLAX』の《瞳の欠片》」 カム「つまり、それぞれ俺達がDVDで貸したアニメのテーマってことね」 オレ「あとはトシが『ガンダムX』ね。これもアイツが『X』にハマってたとき、プレゼントで貰った」 マーク「じゃあ、おれは?」 カム「それはもちろん、《あんなに一緒だったのに》だろ(笑)」 オレ「当たり前じゃん! …と言いたいところだけど、オレはダウンロードしてないからな。それにマークからは何も貰ってないから、通常のままだ」 マーク「じゃあ…おれがお前に何かプレゼントするとしても、絶対《あんなに一緒だったのに》はあげないんだからねっ!」 オレ「お前最近、ツンデレネタ好きだな…しかも、使いどころを考慮に入れないタイプの(笑)」 マーク「いや…お前とかトシから《マークってツンデレキャラだね》とか言われまくってた頃に、ネタとして使ってたじゃん?」 オレ「ああ、うん。そういえば」 マーク「それから、なんかクセになった」 オレ「でも絶対、ナントカだからねっ! っていう口調イコールツンデレだと言い張るのは間違ってる気がするぞ」 マーク「それはおれも思う。…けど、あくまでネタなんだからねっ!」 オレ「あっそ(笑) そういやマークさ、この前『パワプロ』でチーム作ってたじゃん? オレ達の名前使って」 マーク「名前というか、微妙なケナシ言葉を使ったヤツね。トシが《ツケコミ》とか、プッチが《ドM》とか」 カム「それって、誰がどの名前か見て判るの?」 マーク「ウグイスの音声は、あだ名で入れてあるからね。名前《ツケコミ》だったら音声は《トシ》みたいに」 オレ「オレが《種厨》で《ナツキ》だろ(笑) …でもさ、カム。そんでコイツ自分自身のキャラ作ったんだけどさ、エースピッチャーで」 カム「うん」 オレ「それが《ツンデレ》と書いて《マーク》だからね(笑)」 カム「自分でネタにしたのかよ!」 マーク「作りながら、なんだこの自虐ネタ…ってちょっと思ったけど、なんか面白いからそのままにした」 オレ「いや正直、アレはいいセンスだったと思うけどさ(笑) 《自分》って、どちらにしてもけっこう作りにくいモンだしな」
―― ◆ ――
オレ「そういえば着メロと一緒で、トップの壁紙も最初に変えて以来ずっとそのままだな…気に入ってるからいいんだけど」 カム「ずっとジーニアスでしょ?」 オレ「言うまでもなく(笑)」
――ともかくマークというヤツも、なかなかネタに困らないモンだ(笑)
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