第十八話:10株ずつ売る戦法はセコイ! けど、やっぱりやる
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【今回の登場人物】 オレ:メンバーの中では、『いたスト』に関して初心者の部類に入る。もっとも、既に10年近いキャリアはあるが。 トシ:数学に強いためか、『いたスト』でも理詰めの戦法を取る。そのため確かに強いが、負けると腹が立つタイプ(笑) タコッチ:『いたスト』のキャリアが一番長いのがコイツ。ちなみにメンバー内では、コイツだけがオレ達と同学年ではなく2歳年下。 ――― ■■■ ―――
オレ「トシとかは、《竜王》に入るの嫌いだよな」 トシ「だってあそこに入るとハマったりするじゃん。むしろお前が好きすぎるんだろ、入るの」 オレ「いや、でもトシは馬鹿にするが、アレは戦法として確立できると思うんだが」 タコッチ「ねぇ、そもそも《竜王》って何?」 オレ「ん? そうか、お前は最近来てなかったからな。この用語を知らねぇのか」 トシ「そのまんまの意味だよ。アレフガルドとかの」 タコッチ「竜王の島のこと? 『ドラクエ&エフエフ』の」 トシ「そう。というか竜王だけに限んなくて、『いたスト』でああいう離れ小島全般のことを指してる用語」 オレ「やっぱ竜王の島が一番印象に残ってるしな。アレフガルドはいつもタコッチが選びやがるし」 タコッチ「いやいや、だって面白いじゃんあの面」 オレ「そりゃ面白いけど、お前が選ぶのはワンパターンすぎるんだよ!!」 トシ「俺もアレフガルドは好きだけど…やっぱあそこには《竜王》があるしな…」 オレ「お前、そんなに《竜王》がイヤか?」 トシ「だってあそこに入ると、完璧にサイコロ運になるじゃん。グランドタワーとか地雷を1個建てといて、そこに入るか入らないかっていう」 オレ「でもそんなこと言ったら、そもそも『いたスト』自体がサイコロに依存してるゲームだろ。もともと」 タコッチ「だよね。サイコロがクソだと、腕とか関係ないし」 トシ「それは解るけど、俺はそれでも株の売り買いとか、そういう技術面で勝ちたいんだよ」 オレ「運が絡む要素を最小限にしたいって?」 トシ「そういうわけでもないけど…でも、似たようなモン」 オレ「まぁ『ファンタシースター3』なんかでも、どんなに強いデッキ組んだって結局はサイコロ運が重要だけどな…」 トシ「そういう意味じゃ、『いたスト』よりはマシかもしれないけどね」 オレ「そりゃな。サイの目が1とか2でもデッキが回るように組むのも、腕のうちだし」 トシ「1、3、2とかが連続で来たりすると、それでもどうしようもないけど」 オレ「だがそんなこと言ったら、結局《マジック》だって似たようなモンだろう」 トシ「まぁね。というか《マジック》は、敗北の一番の原因はマナ事故だし」 オレ「マナカーブとかどんなに練ったって、運悪いときはマジでどうしようもねぇしな」 トシ「初手に土地が1枚も無いからマリガンしたら、次の6枚にも土地無しだったりとか」 タコッチ「おい〜、会話がマニアックだよ〜」 オレ「まったくタコッチは…素人さんはすぐそういうこと言うからなぁ〜」 トシ「だよね〜。《マジック》知ってりゃ普通の会話だもんね〜」 オレ「お前が『スマデラ』で《ターゲットを壊せ》とかやってるとき、オレ達がどんな心境か少しは解っただろ?」 タコッチ「なにソレ、どういう意味?」 トシ「やってることがマニアックすぎて、ねぇ今の見た!? とか言われても、何が凄かったのかよく解んないし」 オレ「第一、スタートして1秒くらいでミスった!! とか叫んでリトライ繰り返してるけど、はたから見てるオレ達には何を《ミスった》のかも解んねぇ」 タコッチ「でも『スマブラ』は、ナツキさん達も十分知ってるじゃん!」 オレ「確かに知ってるけど、対戦とアレは別物だよ! 使う技術がまず違ぇじゃん」 トシ「ホームランコンテストでガノンの9999m出すときのアレとかも、対戦の技術とは無縁だろ」 タコッチ「いや、着地キャンセルとか対戦でも基本でしょ」 オレ「着キャンは基本でも、あの動きは基本じゃねぇだろうが、全然!」 トシ「そもそもアイテムオフだしね、俺達。ホームランバットを使う機会が無い」 オレ「まぁある意味じゃ、タコッチのアレは見てるだけでも《なんとなく凄い》ってのが解るけどな」 トシ「まぁね。それこそ『スマデラ』をやったことが無い人が見ても、なんとなく凄いとは思うでしょ。コントローラーの音とかうるさすぎだし」 タコッチ「だよね〜」 オレ「今のは褒め言葉になってたのか?」
―― ◆ ――
オレ「でも『ファンタシースター』にしろ《マジック》にしろ、結局アレは百戦百勝を目指すモンじゃないだろ。赤木しげるじゃあるまいし」 トシ「確かにね、それは解るよ。《マジック》の全国大会とかでも、別に1戦勝負とかじゃないんでしょ?」 オレ「ああ、3戦とか5戦とかだって話だ。要するに、いかにしてひたすら勝率を上げるか…ってのが醍醐味なんだろ」 トシ「マナカーブってのも、結局は確率論だしね」 オレ「でもそういう意味じゃ、『いたスト』であえて《竜王》を狙うってのも確率論のひとつだと思うんだが」 トシ「そういう意味ってどういう意味だよ?」 オレ「つまり、例えばお前にしろタコッチにしろ《竜王》に入るのはイヤだろ? 基本的に」 トシ「うん」 タコッチ「それでサラリー遅くなったりすると、致命的だからね」 オレ「だからサイコロ振ったとき先に分かれ道があって、右に行ったらワープで離れ小島行き、左に行ったら普通…だったら左に行くだろ?」 トシ「まぁ、そうだね。場合にもよるけど」 オレ「だけどもちろん一本道のときはそうもいかないから、お前らの場合は《運が悪いと、仕方なく竜王に入っちゃう》って感じっしょ?」 トシ「そうなる…ね」 オレ「ただソレを逆に言うならば、オレなんかが《自分で狙って竜王に飛び込む》ことも可能でしょ」 トシ「それはそうだけど。でも、それが?」 オレ「つまり《あえて竜王を避けてるお前ら》と《あえて竜王に入りたいオレ》との間には、確率的にかなり違いが出てくるだろって話」 タコッチ「ああ、《竜王》に入る確率がってこと?」 オレ「そう。そりゃ1戦2戦じゃ大した影響も無いだろうけど、何回もやってりゃ絶対に違ってくるわけで」 トシ「それは解る」 オレ「つまりトシなんかは《竜王の中に入ると運ゲーになる》って言うけど、その入る入らないってトコロを確率論で左右できれば、運が運じゃなくなる」 タコッチ「…なんか、ちょっと意味わかんなくなってきた」 オレ「…いや、オレも言っててちょっと混乱してきたぞ(笑)」 トシ「まぁ、なんとなく言いたいことは解った。でも結局ナツキはさ、《竜王》入った挙げ句自滅することが多くない?」 オレ「それはまぁ……まぁな(笑)」 トシ「だからそれこそ確率論で言えば、《竜王に入ると、確率的に負けやすい》ってことになるだろ!」 オレ「いや待て待て! きっとソレは、オレがまだ株の売り買いとかインサイダーとかに慣れてないからだって!」 トシ「お前はいつから『いたスト』やってんだよ! その言い訳は聞き飽きたっつーの!!」
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オレ「でも今はさすがに騙されなくなったが…昔の、タコッチの騙しテクはヤバかったね」 トシ「ああ…もはやアレは人間的にどうかと思うね」 タコッチ「え、何のこと?」 オレ「お前、素で忘れてるだろう(笑)」 トシ「ナツキとかが、初めて『いたスト』やったときのことだよ」 タコッチ「なんだっけ?」 オレ「コイツはまったく!!」 トシ「いやナツキ、むしろタコッチはこういうヤツだから、あんなことが恥ずかしげもなくできたんだろう」 タコッチ「いや、マジでなんの話?」 オレ「やれやれ…。ほら、そもそもオレ達のところに初めて『いたスト』を持ってきたのがタコッチだったろ?」 タコッチ「ああ、スーファミのだっけ?」 オレ「そう。ともかくルールもけっこう複雑だし、最初の頃はことあるごとに質問してただろ。経験者のお前に」 トシ「どの株買えばいい? とか、ここで増資した方がいい? とかね」 タコッチ「そういえばそうだったかも。でもさ、トシにも聞いてなかった?」 オレ「まぁ、トシも経験者だったからね。だから当時のオレとか初心者は、お前かトシのどっちかに聞いてたんだけど」 トシ「でも、無表情の嘘ってのが一番タチ悪いよね」 タコッチ「え?」 オレ「例えばさっきみたいに分かれ道があったとき、ここは右か左どっちが良いんだ? とか聞くじゃん」 トシ「そしたらタコッチは腕組みながら、《え、そこは普通に右でしょ?》とか言うんだよ。何のフリも無しに」 オレ「だからオレなんかも、そっか右か…とか思って右行くと、マスに止まって後戻りできなくなった瞬間にコイツ爆笑しやがって!」 トシ「画面指差しながら、ギャハハそこは普通左でしょ〜!! とかね(笑)」 タコッチ「いや、俺そんなことやってないって!」 オレ「いいや、やったね! オレが覚えてるよ!!」 トシ「確実にやってたね、アレは。どの株買うか? みたいなときにも、何食わぬ顔で嘘を教えてやがった」 タコッチ「でも…でもソレは、騙される方が悪いんだよ!」 オレ「テメェ、開き直りやがったな!」 トシ「まぁ仕方ないね、タコッチだもん」 オレ「タコッチはジャイアンキャラか!」 トシ「というか、普通にジャイアンキャラでしょ?」 オレ「…そういえば、そうだよな(笑)」 タコッチ「いや、酷いし2人とも!」
―― ◆ ――
オレ「あとタコッチの場合、無駄に理論的なこと言って人を騙すのがヤバイと思う」 トシ「ああ、それ解るわ。右に行ったらコレがこうなってこんな風に得になるから、ここは右が正解だよ? みたいにね」 オレ「後から考えると、こじつけもいいところなんだけどよ…コイツがあまりにも本当っぽく真面目に言うから、騙されちまうんだよな…」 タコッチ「それじゃあ、俺が最低じゃん!」 オレ「だから最低っつってんだよアホが!!」
――だがある意味では、そんなタコッチのスパルタ教育(?)によって『いたスト』の技術が手早く身に付いたんだと思う。
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