ゲーマーの日常

　　第十九話:いいのかい? 僕に逆らったらマグマグだよ?

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【今回の登場人物】

オレ:『ドカポン3･2･1』時代は、主にファイターを使っていた。その流れで、最近の作品もバランスタイプのスコップを使う。

トシ:『3･2･1』時代は、主にナイト。最近はドンやブリキンを好んで使う。先を見据えた戦法を練ってくる理論派。

プッチ:『3･2･1』時代は、シーフ使い。最近はヴァルツやウイウイなど。刹那的な戦法を採るが、ソレが逆に厄介だったり。

フクタ:『3･2･1』時代は、プッチと同じくシーフ。最近も似たようなガママルを使う。ひとえに「素早さ」を高めてチキン的な戦法を採るためだ(笑)

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オレ「『ドカポン』は、やっぱメジャーなんだよな? 多人数用ゲームとして」

プッチ「多分、メジャーな方なんじゃない?」

トシ「『マリオパーティー』がS級だとすれば、『ドカポン』の知名度はBとかAくらいじゃん? 面白さは逆だと思うけど」

プッチ「解るけど、酷い言い草だなソレ(笑)」

フクタ「だがやっぱり『ドカポン』は有名だろ。『幽白』に名前が出てきたくらいだぞ?」

プッチ「つまり、冨樫義博が知ってたってことか(笑)」

オレ「関係ないけど、天沼の《ゲームならほとんど持ってるよ》発言は厨だと思うんだが。冨樫さんはともかくとして」

フクタ「いいじゃん。天沼はもともと中学生だから」

オレ「そういう問題か(笑)」

プッチ「それにアイツはゲームマスターだし」

オレ「でも、もしこの世にあるほとんどのゲームを持ってるってのが真実だったら、アイツは能力者とか以前にそれだけで食ってけるから」

プッチ「ゲーム博物館とか開いて?」

オレ「そんな感じ」

トシ「でも『ドカポン』っていうのも、今思えば絶対に厨ができないゲームだよね」

プッチ「やってたじゃん、おれ達。リアル中学生のとき」

トシ「やってたけど、なんかルールとか縛りまくってたでしょ」

オレ「確かにな。そもそも人間殺したら駄目…とかで、デビルになっても殺したりできないし、要するに《仲良しゴッコ》だった」

フクタ「考えてみると、それって全然『ドカポン』やってないよな」

オレ「ああ。もともと殺し合いを楽しむのが目的みたいなゲームだからな」

プッチ「アレでしょ? 友情は……なんだっけ?」

オレ「友情はコボルトよりも弱く、トーレナ岩よりも消えやすい」

プッチ「そう、ソレだ(笑)」

トシ「結局プレイヤー同士が駆け引きとかしながら競い合わないと、『ドカポン』の面白さが味わえないだろ」

オレ「でもあの頃のオレ達もそうだけど、小学生とか中学生んときは、そういうの無理だよな」

プッチ「そういうのって?」

オレ「つまり、容赦の無い争いというか、殺し合いが」

フクタ「リセットしてたしね。死んで武器とか落としたら」

オレ「むしろ、リセットしたモン勝ちみたいな状態になってたじゃん。とりあえず、何かムカつくことがあったらリセットみたいな」

プッチ「死んだらリセットだしね」

トシ「赤宝箱に自分から突っ込んどいて、それでミスって死んだらリセットだろ」

オレ「もはや圧倒的過ぎるよな、厨レベルが(笑)」

プッチ「実際にリアルな子どもって、マジで厨行動を普通に取ってるからね」

オレ「そんで誰かが一回そういうマネしたら、次に他の誰かが死んだときも《お前がリセットしたんだからオレも》って感じでリセットだし」

トシ「また他のヤツが死んだら、お前らがリセットしてんだから俺も…だろ」

オレ「そんな感じでずっと連鎖して、誰が死んでもオレもオレもオレも…って」

プッチ「マジ厨だね(笑)」

オレ「でもそういう意味じゃオレ達がやってた仲良しゴッコも、もはやなるべくしてなったのかもしれねぇが」

プッチ「どういうこと?」

オレ「つまり結局さ、厨だったら本気でマジギレするわけじゃん。すぐそばで遊んでるヤツに殺されて、装備とか剥ぎ取られたら」

トシ「それはな。タコッチだったら殴ってるね絶対」

フクタ「確実だよ」

プッチ「むしろアイツは、今でも殴るだろきっと(笑)」

オレ「アイツは、年長者を年長者と思ってねぇからな。なんかオレとかには遠慮してるみたいだけど」

トシ「タコッチとの付き合いは、俺とかプッチの方が2,3年長いからね。だから余計に、その差が際立つんだろ」

オレ「まぁともかく…そんな風に殺されるたびキレてたりリセットしたりしてたら、絶対に長続きしないだろ? 『ドカポン』ってゲーム自体が」

プッチ「それはそうかもね。本気で喧嘩になったりするかもしれないし」

オレ「そう。だから、もはや厨の取る道は2つしかないように思える。キッパリ辞めちまうか、昔のオレ達みたいに仲良しゴッコをするかっていう」

トシ「ある程度ルールを決めてやるのが一般的なのかもしれないけどね。こういう殺し方は酷いから禁止…みたいな」

オレ「瀕死のヤツをサイコキネンリキで自分のトコに引っ張ってきて、そんで殺すのはナシとか?」

フクタ「そこまではOKで、ネムネムかけてからサイコキネンリキっていうコンボになると禁止なんだろ」

プッチ「けっこう具体的なんだ(笑)」

オレ「どっちにしろ、《なんでもアリ》にするかどうか…ってのが一番重要だからな。『ドカポン』の場合は」

　　――　◆　――

プッチ「でも高校とか大学になってからは、完全になんでもアリだったよね。おれ達」

オレ「むしろ、それくらいの年になってきたからこそできたんだろう、アレは」

フクタ「昔だったら絶対にキレるね。というか、泣くと思うんだけど」

トシ「やってることに、慈悲のカケラもないからね」

オレ「というか、さっき言ったネムネムかけてからサイコキネンリキ…とかさえ基本戦法だったじゃん(笑)」

トシ「フクタが《篭城》とかいう戦法を採ってた時点で、もはや普通じゃないから」

フクタ「いや、でも無敵じゃんアレ。もはや忍者の基本だよ」

オレ「アイテム2個使用…っていうガママルの特殊能力も、最初はメチャクチャにショボいと思ってたんだけどな…」

フクタ「でも篭城戦法との相性が最高だからね」

トシ「むしろ、ゲッチューロボをあそこまで活用したのはフクタだけだよ!」

フクタ「《森》の中にある店で、基本的な篭城用アイテムを全部揃えられたのがヤバイね。あのダンジョンは篭城のために作られたとしか思えん」

プッチ「誰もそんなこと考えないだろ、普通!」

オレ「《森》の中から、1ターンに2回ひたすらゲッチューロボ…っていうその構図がヤバすぎるだろ!」

トシ「重要アイテムとか取ったとしても、それを活用する前に絶対奪われるからね、ゲッチューに」

プッチ「おれなんて、銀行で作ったイーゾカード取られたんだけど」

オレ「アレって、カードまで奪えるんだっけ?」

プッチ「確か」

トシ「それにフクタ、ヒマなときは《森》の中のいたるところに《ワナ》しかけてたしね」

オレ「オレ達3人がフクタの篭城をどうにかしようと思って乗り込んでも、返り討ちにされかけたからな(笑)」

トシ「しかも《消えるんです》まであるのがヤバイ。俺達が結託して攻めても、買い込んだ《消えるんです》と《バイン》使って余裕で逃げられる」

フクタ「おれの布陣は完璧だね」

オレ「完璧すぎるからマズイんだろうが!」

トシ「むしろあの篭城戦法を、何週も続けたお前がヤバイよ」

オレ「そのせいで、イベントの進行が5日くらい停滞してたからな。リアル時間で(笑)」

プッチ「でもナツキとかトシも、やりたい放題だったよね」

フクタ「トシはパペットで相手の重要アイテム使いつつ、自分に突っ込ませて、必殺カウンターで殺したりしてたからな」

プッチ「そんで装備奪ってた」

トシ「違うよ。装備奪ったけど俺のより弱かったから、奪うだけ奪って捨てたんだよ」

フクタ「人間じゃねぇよお前! そんなことするくらいだったら、普通に金でも奪ってろよ!」

プッチ「あとおれなんかは、ナツキに脅されたりしたし」

オレ「そういえば、そんなこともやったな(笑)」

プッチ「マグマグをチラつかせて、逆らうと殺すぞ! っていうから言う通りにしたら、任務が終わった後にご苦労…って言われてマグマグ撃たれた」

フクタ「魔力を上げないと、そういうことになるからね。むしろそんな風にコマにされて、使い捨てられる」

トシ「だから基本的に魔力は、常に4人の中で一番高いヤツに合わせて自分も上げとかなきゃダメだよ」

プッチ「基本戦術だったのかよソレ!」

オレ「そうだよ知らなかったの? つまり結論としてソレは、騙されたプッチが一番悪いってことだ」

プッチ「マジで!? お姉さんビックリだ(笑)」

オレ「でもやっぱりあんなことができたのは、オレ達に長年の付き合いってモンがあったからだろ」

プッチ「それはね」

オレ「というかいつも思うのは、《ただのクラスメート》とかそれくらいの相手だったら、絶対に情が移ってあんなマネできないってこと(笑)」

トシ「むしろ殺して武器奪ってギャハハ雑魚が! とか笑ってたら、次の日学校で顔合わせるのがイヤになるだろ」

プッチ「ついでに『ドカポン』ってさ、意外と長いじゃん? クリアするまで」

オレ「ああ、シナリオとかやろうとするとけっこうかかるよな。『3･2･1』でさえかなり長かった」

プッチ「だからおれ達みたいにいつも同じ顔ぶれで遊んでたりしないと、実はやるのが難しいと思うんだけど」

オレ「ううん…そこはわかんないけど、もしかしたらそうかもね。というか日曜に集まって1週間に1回だけ…とかだと、なんかダレるかもな」

フクタ「むしろ1週間前のことなんて、微妙に忘れてるだろ。何がどうなったとか」

トシ「そのときの空気みたいなのが、けっこう重要だしね」

オレ「そうだな。やっぱり毎日続けてプレイして、愛着を維持したまま一気にクリアを目指す方が楽しめるゲームかもな。『ドカポン』は」

フクタ「でもおれ達の場合、毎日やってたのに無駄に長かったよな。クリアまで」

オレ「そりゃ、テメェが篭城とかしてたからだろうが!」

フクタ「そんなこと僕は知らないね～。やらなきゃやられる、そんだけだろうが!」

オレ「ふざけるんじゃないよ、ドアを開けろォォォ!!」

　　――　◆　――

トシ「でも結局、一番最近にやったアレはどれくらいかかったんだっけ。現実時間で」

オレ「『怒りの鉄剣』だろ? そうだな…確か夏休み使って、朝10時に4人が集まって夜10時に終了するくらいのペースで、それを3週間くらい」

プッチ「1ヶ月はかかんなかったんだっけ」

オレ「この前、昔の日記を確認してみたら3週間くらいだったらしい。つまり12時間を21日で…250時間ってとこか?」

フクタ「250時間? なんだか……大したことない気がするんだが」

オレ「オレも計算してみてそう思った。でもそれは、当時が本当に中毒的だったからそう感じるんだろ(笑)」

――皆さんも、『ドカポン』は親友以外とはやらない方が無難だ。友情破壊ゲームの名は、「ちょっとした友情」に対する効果ならバツグンだから(笑)

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