第二十一話:ウソップみたいなヤツだと思ってくれ

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【今回の登場人物】

フクタ:「我が道を行く」という言葉が完全一致するような究極マイペース男。そしてフクタに対しては、「チキン野郎」が褒め言葉だ(笑)

オレ:フクタとの付き合いは小学生から。『RPGツクール』での共同制作や「ゲームクイズブック」の共同執筆など、2人で様々な企画を行なってきた。

トシ:同じくフクタとの付き合いは小学生から。フクタには「フクタ」「フクちゃん」と呼び名が2つあるが、トシの場合はオレと同じく前者だ。

  ――― ■■■ ―――



フクタ「スシィ! スキヤキィ! バンザ〜イ!!」

オレ「………」

フクタ「スシィ! スキヤキィ! バンザ〜イ!!」

トシ「………」

フクタ「スシィ! スキヤキィ! バンザ〜イ!! …へっ、暇潰しにもなんねぇ」

オレ「……あ、勝った」

トシ「……これで何戦目くらいだ?」

フクタ「さぁ、もう100回くらいじゃん? おっと次だ……スシィ! スキヤキィ! バンザ〜イ!!」

トシ「というか…お前はいつまで一人でやってんだよ! コンピューター戦を!!」

フクタ「だってお前達2人ともやったことないだろ、コレ」

オレ「そういうことじゃねぇ! 同じ部屋に3人集まってるのに、なんでお前は一人で格ゲー練習してやがるんだっての!」

フクタ「でもおれは小さい方のテレビ使ってるから大丈夫だろ。あと2台余ってんじゃん、そこに」

トシ「そういう意味でもねぇよ!」

フクタ「それにおれが来たとき、お前達2人で『パワプロ』対戦してただろ」

オレ「確かにオレ達は対戦してた。だからお前が別のテレビで『ギルギア』始めたのを見ても、まぁしばらくはいいかと思ってたが…」

トシ「だがお前はやり過ぎだ!」

オレ「お前が来たのは1時だが、今は何時だと思ってる! ……6時じゃねーか!!」

フクタ「そんなこと僕は知らないねー!」

オレ「マイペースって意味じゃオレとお前は似ているが…だがオレとお前じゃ、マイペースの質が違ぇんだよ!!」

トシ「5時間延々と同じキャラ使ってるのを見ると、見てるこっちが飽きるんだよ!」

フクタ「いや、チップは何時間やっても面白いよ。それに、敵は1戦ごとに変えてるだろ」

オレ「敵は変えてるっつっても、なんだよその全身黄色は! キャラの見た目とか解んねぇじゃんか!!」

フクタ「いや、こうすると敵の性能が上がるんだよ。CPUの場合は、コレじゃないと練習にもなんねぇし」

オレ「どっちにしてもほとんど攻撃させてねぇんだから、ただ相手が堅くなっただけだろ! それもまた飽きるんだよ!!」

トシ「5時間見てりゃ、お前のコンボパターンもほとんど覚えちまったよ!」

フクタ「知らね、知らね」

トシ「おいナツキ。ジャンケンで負けた方が、フクタのプレステ2を強制的にリセットするってことでいいんじゃね?」

オレ「ああ、それいいね」

フクタ「や、やめてよね……」

オレ「キラの台詞を、情けないシーンで使っても締まらねぇんだよ!!」



  ―― ◆ ――



トシ「ところで…そのチップも、やっぱ特殊なキャラなんでしょ?」

フクタ「まぁ、紙忍者だからね。スピードは最高だけど、防御力は最低」

オレ「というかスピード速いのは見てて解るが、ソイツ攻撃力も弱くないか」

フクタ「『イグゼクス』だと調整入ってるからね。でも、このショボいパワーでちびちび削り続けるのが面白ぇ」

オレ「むしろお前は、どのゲームでもけっこうヤバイからな、本キャラが」

トシ「スーパーズルだしね、『ガーヒー』んときは」

フクタ「チップもスーパーズルも面白いだろ」

オレ「そういう意味じゃねぇ。そりゃ《誰も使わない》ってわけでもないが、なんか変な方向に傾いたキャラが多いんだよお前は!」

トシ「『ティアリングサーガ』の対戦データじゃ、メルヘンがキャプテンだしな」

フクタ「でも『ティアリングサーガ』は、おれだけじゃなく全員のキャプテンが狂ってただろ」

オレ「まぁ、オレはビルフォードだからな」

トシ「俺はノートンだし」

オレ「なんか今思えば……メルヘンより、むしろノートンのがヤバイよ!」

フクタ「むしろアイツがキャプテンとしてセーブ画面に映ってると、本職のメルヘンより山賊っぽいだろ」

トシ「超悪人ヅラだからね」

オレ「ノートンって聞くと、フクタの事件を思い出すな…最初ノートンが仲間になると思わなくて、出てきたとき普通に殺しちゃったっていう(笑)」

フクタ「いや、あの顔は仲間になると思う方が難しいだろ。攻略本とか無かったら絶対無理」

トシ「ソレは、俺もちょっと思う(笑)」

オレ「そんで結局トシが攻略本渡して、最初からやり直してたからな」

トシ「あとフクタの本キャラといったら、『鉄拳3』のボスコノとかね」

オレ「アイツは戦っててウザすぎた。まぁフクタの本キャラで一番ヤバイのは、やっぱ『テニス』だと思うけど」

フクタ「福士だからね」

オレ「いや、福士はまだ解るんだよ。フクタでフクシだし」

フクタ「それは関係ねぇだろ!」

トシ「まぁフクタ自体が、リアル福士みたいなキャラだから」

フクタ「チキンだからな」

オレ「自分で言うな……ってツッコミは、もはや10年前に飽きたか(笑)」

トシ「自他共に認めるチキンキャラってのも、知らない人が聞いたらどんなヤツだよって思うだろ…」

オレ「ともかく福士はともかく、他の本キャラがヤバイだろ。バカ澤と室町だぜ!?」

フクタ「2人とも最高だろ」

オレ「確かに最高だけど…あんだけキャラがいて、最後に落ち着いたのが福士とバカとトムヤムクンってのがヤバイだろ!」

トシ「むしろ室町の好きな食べ物がトムヤムクンとかって、知ってる人のが少ないだろ。割合的に」

オレ「不二とか跡部なら知ってても、室町だからね。あとは身長とか誕生日」

フクタ「身長は、マンガじゃなくてゲームだから覚えられたんだろ」

オレ「身長がキャラ性能に直結してるからね、あのゲーム」

フクタ「でも室町は165センチなのに、なぜか弱い」

トシ「むしろカムちゃんいわく、165がひとつの壁なんでしょ。神尾とか伊武も165なのに大して強くないし」

オレ「というか、そりゃ究極レベルの『テニプリ』ファンには勝てないだろうが…オレ達もけっこうキテるよな。知識が」

トシ「地味キャラに関する記憶量だったら対抗できるかもね」

フクタ「好きな食べ物がキャラのあだ名になってたりするから、いつの間にか覚えちまうんだろ。室町トムヤムクンとか」

オレ「カレーと焼き芋とかな」

フクタ「カレー食いすぎて、肌がカレー色になったんだろ。バカ澤は」

オレ「だったらジャッカルは、コーヒー飲みすぎたからか(笑)」



  ―― ◆ ――



オレ「でも、前にトシが言ってたよな。フクタがこういう性格だからこそ、『パワプロ』のリアルペナントができたって話」

トシ「ああ、それね」

フクタ「なんの話だよ」

オレ「いや、オレは全然考えたことなかったんだけどな。トシの理論を聞いたら、なるほどその通りだよな…って」

トシ「そもそもリアルペナントって、準備期間も長いけど試合を始めてからがメチャクチャ時間かかるじゃん」

フクタ「夏休みの3分の2くらい消費するからな」

トシ「それだよ。毎日毎日朝から6人全員が集まって、夜までぶっ通しで延々と140試合やるんだから。それを夏休みの間ずっと」

オレ「確かに、アレはヤバイよな。6人全員が好きじゃないと、絶対無理な芸当だろ」

トシ「いや、好き嫌い以前の問題があったと思うんだよ俺は。アレが現実的にできたのは、やっぱフクタのお陰だと思う」

フクタ「なんでおれなんだよ?」

トシ「だって普通のヤツだったらイヤになるだろ! 5位との差もけっこう開いた状態で、6位を独走してたら」

オレ「まぁフクタは『パワプロ』歴も一番浅いから、仕方なかったんだが」

トシ「負けるのは仕方なくても、それが1日2日じゃなくて夏休みをずっと使うんだぞ? 半分くらい過ぎたら、ほぼ6位確定になってるのに」

オレ「確かに…まぁ、普通のヤツだったら集まるのがイヤになるかもな。あれだけ負けがこんできたら」

トシ「でもフクタの場合は、そういうの気にしないタイプじゃん」

フクタ「おれは、1試合1試合を楽しむのが好きだからね」

トシ「結局6人も集まれば、絶対に腕の差は出るわけじゃん。カムとハトの2人とか、始める前から1,2位確定みたいなもんだったし」

オレ「オレなんかも、けっこう最初から3位狙いだったからな(笑)」

トシ「そういう意味で、あのペナントは構造的に、最下位のヤツが腐らない性格じゃないと実行不可能だと思った」

オレ「タコッチが最下位だったら駄目だってか(笑)」

トシ「いやタコッチは腐る前に、負けたら対戦相手を殴るから」

オレ「ともかくその話を聞いて、オレも確かに…と思ったわけだ」

フクタ「ふぅん……まぁ、なんも考えてなかったよ。おれ自身は」

オレ「ま、お前がそういう性格だから良かったって話だな」



  ―― ◆ ――



オレ「ともかく…そろそろお前は『ギルギア』やめて、3人で『AC』でもやろうぜ」

トシ「お前は強いし、これまで俺達を待たせた罰として2対1だな」

フクタ「いや無理。勝つ負けるじゃなくて、弾が足りねぇ」

オレ「仕方ねぇなぁ…じゃあお前にはコンピューター付けてやるから。これで平等に2対2だろ?」

フクタ「全然平等じゃねぇ! コンピューターなんて、ただの防弾チョッキじゃねぇか!!」




――しかしながら基本的に、オレとフクタはやっぱり似たタイプだったりする。

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