第二十五話:黄金銃なんかは、むしろ全然厨武器じゃない

Back  Next  Top  Home

【今回の登場人物】

オレ:『ゴールデンアイ』『ナイトファイア』の一人用ミッションを、一番やり込んでたのがオレ。好きな武器は「DOSTOVEI」「RC-P90」。

カム:オレ達の中で『ゴールデンアイ』を初めて買い、つまりFPSの魅力をメンバー間に浸透させた功労者。好きな武器は「ショットガン」「Mauler」。

トシ:ミッションはあまりやらないものの、対戦の技術は他3人と同じレベル。好きな武器は「マグナム」「AR34」。

タコッチ:特に『パーフェクトダーク』のミッションやチャレンジに一番ハマっていた。好きな武器は「Sドラゴン」「K7 Avenger」。

  ――― ■■■ ―――



オレ「そもそもオレ達が、『ゴールデンアイ』とかのゲームでダンボール使い始めたのはいつからだっけ?」

カム「というか『ゴールデンアイ』の頃から使ってるだろ。ダンボールは」

オレ「いや、オレもそれは覚えてるんだよ。だけど具体的に、どんな経緯があって使うことにしたのか…って」

トシ「普通に全員がマップ記憶しちゃって、生き返り地点に張り込んで殺し続けるっていうクソゲーになったからでしょ」

オレ「ううむ…なんかオレの記憶だと、それですぐダンボール使い始めたわけじゃなかった気がするんだが」

トシ「じゃあ、いつだっけ?」

オレ「いや、具体的にいつかはオレもわかんねぇ。というか、だからオレも聞いてみたんだが」

タコッチ「うん」

オレ「でも覚えてるのは、その《クソゲー》がけっこう長い間続いてたってことだ(笑)」

トシ「ああ…確かにそうだったかもね。というかあの状況が記憶に残ってるのが、その証拠かもしんない」

オレ「だけどアレが酷かったから、余計に記憶に残ってるだけ…っていう可能性もあるけどな。自分で言うのもなんだが」

タコッチ「ただ俺も、アレはかなり覚えてるよ」

オレ「つーか結局全員がマップ覚えてるわけだから、状況的には平等のハズなんだけどさ…。実際全然平等でもなんでもないからね」

トシ「むしろ一種の運ゲーだろアレは」

カム「最初に死んだ奴の負けみたいなモンだからね」

オレ「そこも運だけど、勝つ方も運ってのがヤバイ」

トシ「自分のそばに敵が生き返ってきた回数が一番重要とか…もはやアクションゲームじゃないだろアレ」

オレ「最後の方は《張り込み》がくだらないってことで、ある程度みんな動いてたんだけどな…」

トシ「でもソレ、結局意味ないよね」

オレ「ああ。そもそも武器持った敵より丸腰のヤツ狙ってポイント稼ぐのは戦略的にも正しいわけだから、何も言えねぇし」

カム「でも、ダンボール探すのもけっこう大変だったよな」

トシ「近所の八百屋から貰ってきたんじゃなかったっけ」

オレ「そうだったな…。探せばすぐ見つかると思ったら、手頃なダンボールって意外と家には無いモンだったし(笑)」

カム「それにダンボールを店から貰ってきた後も、テレビの前に設置すんのが大変だっただろアレ」

タコッチ「デカいダンボールって、うまく垂直に立たないからね」

オレ「テレビは床に置いてあるわけじゃないからな。だからダンボールも、テレビとテレビ台を足した分の高さが必要だったのが痛い」

カム「最初の実験だと、ダンボールを立てた後にスーファミのソフトで押さえてなかった? 左右から」

オレ「確か、スーファミのソフトとプレステのケースで押さえたんでしょ。手近にあったモンを掻き集めただけだったし」

トシ「でもソレだと、メチャクチャ安定悪いんだよね」

オレ「特にスーファミソフトなんて、重ねたら実際グラグラだからな(笑) むしろ実験の前に気付けよ…ってくらい《支え》には向いてねぇ」

トシ「そこは、さすがに中学生の考えだろ(笑)」

オレ「でも問題は土台より、ダンボールの上半分だったよな。むしろ」

タコッチ「上側が折れるんだよね、アレ」

トシ「ダンボール自身の重みで左右にヘニョヘニョ曲がるから、片方のチームだけ相手チームの画面が見えたりするし」

オレ「アレは酷かった。片手でコントローラー操作しながら、もう片方の手でダンボールの位置調整にも必死だったからな(笑)」

トシ「それで結局、例のヤツ作ったんだっけ? 小学生の図画工作」

タコッチ「何か作ったっけ?」

オレ「タコッチは覚えてないか? クロス・クラッシュだよ」

カム「え、そんな『ナデシコ』みたいな名前付いてたっけ?」

オレ「いや今オレが勝手に付けた(笑) とりあえず、当時は十字架とか呼んでたでしょ」

カム「テレビの上に、もう1個ダンボール置いとくんだっけ? 横向きに」

トシ「そう。切り込みを入れたダンボールをテレビの上に貼り付けといて、床から立てた縦のダンボールをその切り込みに差し込んで固定化させた」

オレ「確かに中学生の発想だけど、今考えるとナイスアイデアだよな(笑)」

カム「でも今じゃ、あのダンボールも捨てちゃったけどね」

トシ「3年くらいは壊れずに使えたんだから、十分でしょ」

オレ「それにあれから後は、もっとちゃんとした板を使ってるじゃん。板っていうかパネルだけど」

カム「めぐさんのヤツね。というか、そこに置いてあるヤツでしょ」

トシ「ソレって声優なんだっけ?」

オレ「そう、林原めぐみさんの半等身大パネルだ。ともかくコレは発泡スチロールだし、軽いから立てたとき折れなくてちょうど良い」

タコッチ「コレ、誰が持ってきたの?」

カム「ああ、俺だよ」

オレ「まさかこのパネルを、こんな用途で使うことになるとは思わなかったけどな(笑)」



  ―― ◆ ――



オレ「だけどダンボールプレイを発案したおかげで、それまではある意味が無かった武器とかにも価値が出てきたのが良かったな」

トシ「それに戦法もだろ。相手の画面見えてたら、待ち伏せとか篭城なんかもほとんど意味ねぇし」

オレ「オレとしては、スナイパーライフルに存在意義が発生したことが嬉しかった。スナイピング好きだから」

カム「あと相手の画面見えなくなったから、曲がり角でバッタリ出会って撃ち合いになるのが面白かったな」

オレ「というかアレ、状況によっては《刹那の見切り》みたいになるだろ。『カービィ』の」

タコッチ「いきなり出会ったことに驚かないで、早く引き金を引けた方の勝ちだからね」

カム「ショットガン対決なんかだと、近距離で身体に直撃させたら即死だからな」

トシ「あと『パーフェクトダーク』だと、素手の《武装解除》とかが地味に役立ったり」

オレ「ああ。画面見えてりゃ絶対無理だよな。後ろから気付かれないように近付いて《武装解除》なんてマネは(笑)」

タコッチ「でも結局、《RCP》のスパイクロークなんかはほとんど意味なかったけどね。画面隠しても」

オレ「大体アレ、消えてても微妙に見えてるからな(笑) 忍者の光学迷彩とは大違いだ。『メタソリ』の」

トシ「それに相手の位置がわからないわけだから、いつクローク使うのかもわかんないし。適当なトコで使ったらすぐに弾切れだろ」

オレ「あと、ダンボール使い始めてからは2対2のチーム戦しかやってないわけじゃん。基本的に」

カム「4人に分割するのは無理だったからね」

オレ「だけどそのおかげで、チーム戦専用の技術っつーか戦法が色々開発されたよな。アレがまた面白かった」

トシ「具体的に何があったっけ?」

オレ「いや、オレも特にコレってのは無いんだけど…ただひとつだけ覚えてるのはアレだよ。カムがやってた《爆弾人間》だ」

カム「え、なんだっけソレ?」

タコッチ「ああ、俺は多分覚えてるよ(笑)」

オレ「あのときはオレとタコッチがチームで、カムとトシが敵だったからな。きっとオレ達は《やられた方》だから覚えてるんだろ」

タコッチ「アレでしょ? トシが1人で突っ込んできたヤツ」

オレ「そう(笑) むしろあの戦法のせいで、一時リモコン爆弾が禁止になりかけたよな」

トシ「ああ〜…なんとなく思い出した気がする」

オレ「とりあえずダンボールを使う前は、リモ爆自体が禁止だったじゃん。武器として」

トシ「むしろ禁止武器だらけだからね。特に『パーフェクトダーク』の場合」

オレ「そりゃまぁ…実際、対人戦で使うには厨武器だらけだからな(笑)」

タコッチ「ラップトップとか酷すぎでしょ!」

カム「ファーサイトもな」

トシ「スレイヤーも相当厨だと思う。ロケットカメラが」

オレ「厨じゃないかもしれないけど、Nボムとかトランキライザも意味わかんねぇし」

トシ「いや、アレも十分に厨だろ。ストレス溜まるだけじゃん!」

オレ「まぁともかく、リモ爆もそのひとつだっただろ。禁止指定の」

タコッチ「瞬間起爆の裏技があるから、近距離でも強いからね」

カム「投げた瞬間に起爆して倒すんでしょ」

トシ「むしろソレやると50%くらいの確率で自分も死んで、自爆ゴッコのクソゲーになるから禁止になったんだよ」

オレ「それだけじゃないだろ。それこそ生き返りハメに使いまくれるからねアレ」

タコッチ「生き返り地点にバラ撒いといて…ってヤツだよね」

オレ「だけどダンボールプレイだと相手の位置判んないから、まだ平気かと思って武器に入れてみたら…カムがあんなことやり出したからな(笑)」

カム「ホントに俺がやった? なんか、まだ思い出せないんだけど」

オレ「カム、アレだって。科学工場とかでさ…」

タコッチ「俺とナツキさんが同じトコにいたら、トシがマシンガン乱射しながら一人で突っ込んできて」

オレ「2対1なんだから当然、そんときはオレ達が返り討ちにしたんだよ。そんで、へっ雑魚が! とか2人で笑ってたら…」

タコッチ「ドカーン!! って足元が大爆発して、2人とも死んだんだよね」

オレ「そこらにゃ事前にリモ爆が無いことは確認してたから、え、なんで!? って最初は思ったんだよ。見落としてたのか!? って」

タコッチ「でも後で聞いたら、答えは《トシの身体に爆弾が張り付いてた》ってことだったからね(笑)」

カム「ああ、思い出した!!」

オレ「要するにお互い画面が見えないわけだから、カムとトシがオレ達から隠れた場所で、自分達の身体にリモコン爆弾投げ合ってたんだろ(笑)」

トシ「でもアレは完璧だったね。そもそもルール的に、微妙な必勝法になってたのがウケた」

タコッチ「必勝法って?」

トシ「だって俺達は、基本タイム制でやってたでしょ?」

オレ「ああ」

トシ「だから2人固まってるトコに1人で突っ込んで、それで相手を1人でも殺せれば儲けもんだろ。ポイント的には1対1だから」

タコッチ「まぁ武器によっては、1人で2人殺せることもあるからね」

トシ「それにもしこっちが殺されても、ひたすら突撃してあるから、遠くの仲間が身体に張り付いた爆弾を起爆させれば相手も巻き込める」

オレ「ああ、なるほど。そっちを1人犠牲にしても自爆でこっち2人を殺せれば、結局1ポイント有利だからな。…でもソレは、正直セコすぎるだろ!!」

トシ「でもアルカイダなら常識だろ?」

オレ「そんな常識聞いてねぇから!!」



  ―― ◆ ――



オレ「そういやタコッチ、お前は闇タイプ相手に3対1でも勝てるだろ? オレとか他の3人は無理なのに」

タコッチ「というかチャレンジをずっとやってるうちに、自然にシミュラントのクセみたいなモンが解ってきたから」

オレ「なるほど。でも結局対戦になると、オレ達って4人とも同じような戦績だよな。意外にもというか」

トシ「うん。どんなルールでも、基本的には全員が勝ったり負けたりだよね。『スマブラ』とかと違って」

オレ「『スマブラ』は、カムとタコッチが2強だからな(笑) …でも『ゴールデンアイ』とか『パーフェクトダーク』だと、そうはならねぇよな…って」

トシ「確かに闇タイプなんか、俺達だったらサシでも危ないときあるし…それを3対1でも倒せるタコッチは強いように思えるけど」

カム「コンピューターと人間じゃ違うってことじゃん? 俺達3人は、あんまシミュラントと戦ったことないし」

タコッチ「なんか考えたことなかったけど…。たぶん、カムちゃんが言った通りだと思う。コンピューターと人間相手じゃ違うよ」

オレ「ううむ…いや、なんか普通すぎる答えだな(笑) オチみたいなのを期待してたのによ!!」




――ともかくこのシリーズも、オレ達が長年プレイし続けている「多人数用四天王ソフト」の一角だというわけだ。

Back  Next  Top  Home