第三十一話:全力で読め! とは言わないぞ

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【今回の登場人物】

オレ:カムから借りたDVDで、初めて『ギアス』を視聴した。その結果として、今じゃ凄まじい勢いで『ギアス』ファンの道を進み始めている。

カム:『ギアス』のDVDを全て集め、それをオレにも貸してくれた。当然ながら、『ギアス』のファンである。

マーク:『ギアス』は観たが、ファンではない。オレ達の中でも『ギアス』を知らないヤツはいるが、「知ってるのに好きじゃない」のはマークくらいだ。

  ――― ■■■ ―――



カム「今月発売の『ギアス』はどうだった? あのDVDは」

オレ「ああ、今回もかなり面白かったぜ! 相当にストーリー動いたからな、今度の話で」

カム「だよな。やっぱ面白いよ、あのアニメは」

オレ「オレもそう思う。オレは『SEED』のファンだけど、アレ以来の大ブームアニメになったよ、『ギアス』は」

マーク「でもおれは、あんま面白いと思えなかったな…」

カム「は? なんでだよ」

オレ「なるほど…つまらなかったのか?」

マーク「いや…おれも全部は観てないから、それで嫌いとかは言いたくないけど、でも楽しめなかった」

カム「どこが」

マーク「なんか、狙った描写が多いというか…キャラとかさ」

オレ「狙うって何を?」

マーク「簡単に言えば、女の子向けの描写が多いように感じた」

カム「腐女子向け…って意味か」

マーク「まぁ、つまりはそういうこと」

オレ「具体的にどこがよ? というか、ソレは最近の流行りみたいなモンで仕方ないだろ。別に気にするほどじゃないと思うが」

カム「『SEED』とかもそうだし」

マーク「でもおれは『SEED』も好きじゃないし。まぁソレだけが理由じゃないけど」

カム「じゃあ具体的に、どこがそういう狙った描写なんだよ」

マーク「たとえば、あのキャラいるじゃん。眼鏡かけてる博士っていうか、スザクの……」

オレ「ロイドさんか?」

マーク「ああ、うん。そのロイドって、いつもスザクのことを《スザクくん》って呼んでるだろ?」

オレ「まぁ、そうだな」

マーク「だけどテロリストがビルを占拠した話で、スザクが無理して突っ込むシーンあったじゃん」

オレ「よせ! 枢木中尉!! …って叫ぶトコか?」

マーク「ソレだよ。なんであそこで《スザクくん》じゃなくて《枢木中尉》なんだ?」

オレ「なんでって…そりゃ、あの場面ではそれだけ真面目になったってことだろ。職業軍人として」

マーク「でも、《スザクくん》の方が言い易いハズなのに、時間が惜しい場面でわざわざ《枢木中尉》ってのが怪しいね。メガネフラグだね」

オレ「お前…そりゃ、考え方が穿ちすぎだろう! その程度、どこのアニメでもあるだろうが」

マーク「あとは設定というか…話が」

オレ「お前は、設定にも文句あんのかよ」

マーク「ルルーシュが黒の騎士団作ってすぐの頃だったと思うんだけど…《これが、組織の力か…!》とかいう台詞あったじゃん」

オレ「…まぁ、あったような、なかったような」

マーク「それを聞いて、知能指数高い人の言うことなのか! 社会出ろよ社会!! …って思った」

オレ「いやお前さ、そういう細かい台詞にいちいちツッコんでどうすんだよ。正直そんなの、ツッコもうと思えば何に対してでもできるだろ」

カム「こだわりすぎなんだよ」

マーク「それは、そうかもしれないけど」

オレ「これは、オレが『ギアス』を好きだからだと思うが…そういうこじつけっぽい理由で嫌いと言われるのは、あまり気分良くないぞ」

マーク「まぁ、解るけど。でもやっぱり、どうにもなぁ……」

オレ「そりゃ、嫌いは嫌いでいいけどさ、別に」

カム「………」



  ―― ◆ ――



翌日。

カム「ナツキ、入るぞ〜。……あれ、マークは?」

オレ「ん? 今日はまだ来てないよ」

カム「ふぅん…。まぁどっちでもいいんだけど、マークって『プラネテス』好きとか言ってなかった?」

オレ「ああ…オレは観たことないんだけど、そうらしいな。というか大ファンだろアイツは。現時点で一番好きなアニメとか言ってるくらいだし」

カム「俺も『プラネテス』は観たことないんだけど、でもアレの監督って『ギアス』と同じ人なんだよね」

オレ「え? そうだったの?」

カム「だからアイツ、それ知ってんのかなって」

オレ「まぁ多分、知らないことはないと思うけど…。一番好きなアニメの監督なら、名前も覚えてるだろうし」

カム「でもそれなら、おかしくね? 『ギアス』嫌いってのは」

オレ「そうだな…というかむしろ、だからこそ嫌いなのかもしれないけど」

カム「どういう意味?」

オレ「つまり好きなアニメの監督だったら、きっと好きな監督ってことになるでしょ? マークにとっても」

カム「まぁ、うん」

オレ「だから余計に期待するというか、一番好きな『プラネテス』と比較しちゃうんじゃないの? あの監督なのに!! みたいな」

カム「そういうもんかな…」

オレ「いや、オレも想像しただけだから判んないけど…。たとえば和月さんっているじゃん。漫画家の」

カム「ああ、『るろ剣』の人ね」

オレ「そう。でもあの人は『るろ剣』でメチャクチャ人気出たけど、『武装錬金』はあんま人気ないっていうでしょ」

カム「まぁ『武装錬金』は打ち切りになったくらいだから」

オレ「あ、そうなのか。いや、オレは実際に『武装錬金』読んでないから知らないんだけどさ。ともかく、そういうモンじゃない? やっぱり」

カム「監督とかは、あんま関係ないって?」

オレ「むしろそういう意味じゃ、オレもその立場だしさ。監督もそうだけど、マンガの面白さを判断するときに作家はほとんど気にしないし」

カム「ふぅん…まぁ、そういうモンかな……。そういえばナツキって、今でもルルーシュが一番好きなの?」

オレ「え? ああ、もちろん! 『ギアス』じゃホントにルルーシュだけだね。あとはせいぜいディートハルトくらいかな。ヴァン先生」

カム「中田さんね(笑) まぁ俺も、ルルーシュはかなり好きなんだけど。あとはシャーリーとか」

オレ「なるほど。オレは女性キャラだったら………ううん………ええと………」

カム「そんなに迷うの?」

オレ「迷うっていうか、見付からない方で迷う(笑) シャーリー、会長、シーツー、ナナリー、カレン、コーネリア、ユフィ、ヴィレッタ……」

カム「それだけ挙げても見付からないのかよ」

オレ「あとは……ああ、眼鏡の子もいたな」

カム「ニーナね。俺は好きじゃないけど」

オレ「オレも苦手だ(笑) でも、そうだな……ああ、あの人は好きかな。多分、女性キャラの中じゃ一番」

カム「誰?」

オレ「セシルさん」

カム「なるほど」

オレ「男はルルーシュで、女はセシルさんってトコかな、オレは」

カム「俺はシャーリーとルルーシュと、あとはやっぱりマオが好きだね」

オレ「ああ、解るわソレ! っていうかマオが出てくる回を観た瞬間から、絶対コイツはカムが好きになるタイプだと思った(笑)」

カム「やっぱバレてた?」

オレ「うん。なんというか、カムが好きになるタイプのイカレキャラって感じだったよ」

カム「まぁ『SEED』ではクロトが好きだしね。俺」

オレ「『スタオー』じゃアルベルでしょ。というかカムは、『鉄拳』のキャラネームに使ってたくらいだよね」

カム「うん。昔はずっと《歪のアルベル》だった(笑)」

オレ「そういう流れで、『ギアス』じゃマオかなぁ…って。でもオレが意外だったのは、『エルカザド』のL・Aにカムが無反応だったことだよ」

カム「まぁ俺はDVDだから、まだ最後までは観てないけどさ…」

オレ「うん」

カム「でも今のところアイツって、なんかイカレキャラといっても方向が違うじゃん。《私の可愛いマリアンヌ…》と同じ匂いを感じる」

オレ「フリアグネか。まぁ確かに(笑)」

カム「俺が求めてるのは、もっと純粋なイカレキャラなんだよ!!」

オレ「ううむ…なかなか難しいモンだなぁ」

カム「そういや『DESTINY』も終わったし、次の『スパロボ』には『ギアス』も出るのかな」

オレ「次かは判らんけど、ここまで人気になったんだし…少なくともいつかは出るだろうな」

カム「ストーリー作るの大変そうだけどね」

オレ「まぁね。とりあえず、ラクスのエターナル隊は黒の騎士団に加盟して、最強の国家反逆テロ集団ができあがるんだろう」

カム「そんで、シンのミネルバとスザク達が合流するの?」

オレ「そうなるね。で、最初の主人公部隊もそっち側なんでしょ。きっと」

カム「でも最終的には、きっと全員仲間になってハッピーエンドなんだろ」

オレ「そりゃ、そうしないとファンも怒るだろうし(笑) …ああ、でもギアス能力が『スパロボ』的に使えたらちょっと面白いよな…」

カム「どういう意味?」

オレ「いや、ルルーシュにだけ《ギアス》って能力があって、敵パイロットを仲間にして何ターンか操れるわけよ(笑)」

カム「ああ、なるほど(笑) でもギアスって、コクピットの中には届かないよね」

オレ「まぁね。むしろそんな能力があったらあったで、無茶苦茶できそうだし」

カム「バランス崩壊するかもしれないしね」

オレ「いやそれ以前に、ラスボスに対して《ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの名の下に命じる! お前は自爆しろ!!》でゲームクリアさ」

カム「いや、それじゃただのクソゲーだろ!!」



  ―― ◆ ――



また後日。

オレ「そういやマーク。『プラネテス』と『ギアス』って、同じ監督なのか?」

マーク「ああ、そうだよ」

オレ「ふぅん……」

マーク「ソレが、どうかしたの?」

オレ「いや別に、なんでもないさ」




――身近にある作品のファンがいて、また嫌いなヤツもいて…という状態にあると、色々な考えに触れられて面白いモンだ。

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