第三十二話:つけ込むって単語はそもそも常用句なのか?
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【今回の登場人物】 トシ:戦略シミュレーションやパズルが好きという、典型的な理系。そして反射神経は鈍いという、これまた典型的な頭脳派だ(笑) オレ:トシとの付き合いは小学生から。オレ自身も高校まで完全理系だったこともあり、トシとはなかなかウマがあった。 フクタ:小学校は同じだが、トシとは中学生あたりから仲良くなってきた。ちなみにコイツは典型的な文系である。 ――― ■■■ ―――
オレ「そもそもお前ってさ……なんて《ツケコミ》ってあだ名で呼ばれるようになったんだっけ?」 トシ「知らねぇよ! お前らが言い出したんだろ」 オレ「いや、もうそうやって怒るようなモンじゃないだろ。そもそも自分でも、キャラの名前として使ってるじゃん」 フクタ「『ドカポン』とか『いたスト』でも、《ツケコミ》だしね」 オレ「あとは《ツケ》とか《TUKEKOMI》とか…。もうお前のリングネームみたいなモンじゃねーか」 トシ「まぁ、さすがにもう慣れたけどね。でも最初はヤだったよ、それは」 オレ「そりゃ《ツケコミ》だからな(笑) 思えばマークとかタコッチなんか、今でもそのあだ名は気に入ってないみたいだし」 トシ「タコッチなんて、俺達の間じゃもう慣れたっつーか諦めたみたいだけどさ…学校の友達にソレを呼ばれたら、殴るらしいからね」 フクタ「どんなジャイアンだよソレ!」 オレ「いや、むしろどこから《タコッチ》の名が流出したんだ? アレって確か、オレ達の仲間内だけのあだ名じゃなかったか?」 トシ「そう。もともとは『ドカポン3・2・1』で、十字ボタンとAボタンを適当に連打して付いた名前が、偶然《た・こ・っ・ち》だっただけだからね」 フクタ「それで決まったあだ名か」 オレ「でもそれで、どうして学校まで流出するんだ? あのあだ名はタコッチが中2で、オレ達が高1んときくらいに付いたハズだろ?」 トシ「うん。でもホラ、前にナツキんちに連れて来たことあるでしょ。タコッチが同級生を」 オレ「ああ…思えば、そんなこともあったな」 トシ「学校じゃ普通に下の名前で呼ばれてるヤツなのに、ココに来たらそれが《タコッチ》でしょ?」 フクタ「なるほど、それは驚くかもな」 トシ「驚くと同時に、《タコッチ》ってけっこうマヌケなあだ名だから、やっぱ冷やかしたりネタにしようとするだろ」 オレ「ああ、うん」 トシ「だから学校でその友達が、アイツに《お〜い、タコッチ〜》とかふざけて声かけたりしたんだよ。そしたら…」 オレ「ぶん殴ったって?」 トシ「うん(笑) そりゃ冗談みたいなもんだろうけど」 フクタ「やっぱジャイアンじゃん!!」 オレ「でも、そういう意味じゃトシの《ツケコミ》はまだマシだろ。あだ名といっても、そういう名前で呼ばれるわけじゃないから」 フクタ「基本は《トシ》だしね」 オレ「このツケコミが! って呼ばれるのは、それこそお前がつけこむようなことしたときだけだし」 トシ「それはそうだけど、でもまず、その《つけこむ》の基準が解んねぇよ!」 フクタ「代表的なのが《トシゲー》だろ」 オレ「ああ、アレはヤバイね。ツケコミ三種の神器だろ(笑)」 トシ「なんだっけ、ソレ」 フクタ「『大戦略』と『倉庫番』と『レミングス』」 トシ「いや、でもソレって全部、普通に面白いじゃん」 オレ「面白い面白くないは、この場合関係ないというか…どれもこれも、お前と対戦すると疲れるんだよ!!」 フクタ「生気を吸い取られる感じだよな」 オレ「特に『レミングス』が酷い。よくあれだけ、残酷で無慈悲な戦法を考え付くもんだぜ…」 フクタ「ツケコミ戦法だろ」 トシ「なんでもかんでもツケコミにすんなよ!」 オレ「いやでも、お前の作戦はどうにも人の心理をあざ笑ってるというか…」 フクタ「つまりセコイんだよね」 トシ「うるさいんだよ! この腰抜けどもが!!」 オレ「どこのヘタレイザークだよ! というか、なんとなく思い出したぞ……」 トシ「なにがだよ」 オレ「お前が《ツケコミ》って呼ばれるようになった理由だよ。確かアレ、『スマデラ』が原因じゃなかったか?」 フクタ「ガノンのせいか」 オレ「だろ。あんときは、まだオレ達が『スマデラ』始めてすぐの頃で、ガノンってのも大技をぶん回すキャラってイメージあったじゃん」 フクタ「あんなガタイだしね」 オレ「それなのにトシが、ジャブと中キック中心の戦法を編み出したからな」 トシ「いや、でも今じゃ基本だろ。弱パンがガノンの核だよ」 オレ「そりゃ、今は基本かもしれないけど…だが当時はヤバかっただろ! あのセコさが!!」 フクタ「壁ハメまでできるからね、アレ」 オレ「だからオレとかタコッチとかが、散々《何つけこんでんだよ、トシ!!》って騒いでたんだよな」 フクタ「ソレが定着したからね」 オレ「ああ。タコッチってのもそうだけど、あんな一時のノリで決まったモンが、一生のあだ名になるとは思わなかったよな(笑)」 トシ「もう一生で確定なのかよ。俺にとってはいい迷惑だ!」
―― ◆ ――
オレ「そもそもお前ってさ、シミュレーションが好きじゃん」 トシ「うん」 オレ「ああいうゲームばっかやってるから、そのツケコミ根性が身に付いちまったんじゃないのか?」 フクタ「確かにシミュレーションとかは、セコイ真似しないと駄目だからね」 オレ「だからトシはセコイのか」 トシ「絶対に言い掛かりだろソレ!」 オレ「ところでお前って、『ファイアーエムブレム』は全作持ってんのか? 一応、一番好きなゲームシリーズだろ?」 トシ「全作…は持ってないと思う。それに確か、なんかスーファミに接続する衛星受信みたいなヤツあったじゃん。前に」 オレ「なんだソレ?」 トシ「ほら、『ツクール2』とかにもあったじゃん。そういう機能っていうか…」 オレ「『ツクール2』…? ああ、アレのことか! サテラビューだろ?」 トシ「そう、それだ!」 フクタ「そういえば、そんなモンもあったな…」 トシ「とにかく、アレ専用で発売された『エムブレム』もあるみたいだし。ソレは俺も持ってない」 オレ「発売っつーか、配信っていうのか? そもそもアレって、金掛かんの?」 トシ「いや、そこらへんは俺も全然知らない」 オレ「あっそう。…でも他の普通に発売されたヤツなら、けっこう持ってるんじゃないのか?」 トシ「そもそも全部で何作あるのかは知らないけど…とりあえず、サテラビュー以外はけっこう持ってるかもね」 オレ「まずスーファミの『紋章』と『聖戦』だろ」 トシ「そんで『トラキア』と、アドバンスの『封印』『烈火』、あと『聖魔』」 オレ「『聖魔』って何だ? オレはやってないぞソレ」 トシ「『聖魔の光石』ってヤツで、これもアドバンスね。そんでキューブの『蒼炎』と、Wiiの『暁』だな。今言ったのは全部持ってる」 オレ「ふぅん…。そういえば、あとはアレだろ。この前オレが中古屋で見つけて、買ってきてやったヤツ」 トシ「ああ、ファミコンの『暗黒竜』と『外伝』ね。マジで何年もずっと探してたのに、どっちも見付からなかった」 オレ「オレがスーファミの『ドラクエ3』探し回って中古屋巡りしてるとき、偶然見つけたからな。感謝しろよツケコミ!」 トシ「絶対感謝しねぇし。…ともかくあの2つが、結局最後に手に入ったソフトだな」 オレ「第1作と2作のハズなのに、Wiiで最新作の『暁』買った後に手に入れる…ってのもメチャクチャマヌケだな(笑)」 フクタ「結局、全部で何本持ってんだ?」 オレ「そうだな、ここまで合計すると……3、3、2、2だから…10作か?」 トシ「まぁ、数えるとそれくらいはあるかもね」 オレ「だけどそう考えると『エムブレム』って、実は『ドラクエ』とか『テイルズ』のナンバリングよりも多く出てるんだな……」
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オレ「そういやスーファミの話が出たから、また思い出したが…トシといえば、やっぱ『ドラクエ5』だろ!」 フクタ「『FF5』じゃないのか?」 オレ「いや『FF』もそうだけど、『ドラクエ』はまた別の話でさ……」 トシ「おい、またあの話かよ。ナツキも執念深いよなぁ〜」 オレ「でもアレはあり得ねぇだろ! どんだけ不注意なんだよお前は!!」 フクタ「ソレ、いつの話だ?」 オレ「さぁ…とりあえずスーファミの『5』が発売されて間もなくってくらいか? そんでオレが、2周目の裏ダンジョンプレイしてたんだよ」 フクタ「ああ」 オレ「そしたらトシが来て、《ちょっとテレビの前通るよ》って、スーファミまたいで逆サイドに行こうとしてよ…」 トシ「いや〜。この部屋狭いからさ、そうしないと無理だったんだよね」 オレ「テメェは死んでから出直して来い! いや、そもそもまたぐだけなら別にいいが、ポケットにゲームボーイの携帯バッテリー入れてんなよ!!」 トシ「いや、ポケットくらいしか入れるトコないしさ」 フクタ「それが落ちたってことか?」 オレ「ああ。小さめのポケットだったから、最初からバッテリーがはみ出してやがったんだよ。だからスーファミまたごうと足を上げた瞬間に落下した」 フクタ「それでスーファミに当たったのか」 オレ「いや、正しくはスーファミじゃなく《ソフトそのもの》に直撃した。もちろん画面はブラックアウト。当然データも、1から3まで全消えだ!」 トシ「やっぱナツキは、日頃の行ないが悪いのかな?」 オレ「死ね! テメェは自分が《厨》だと気付いていない、もっともドス黒い《厨》だッ!!」
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オレ「そういやあのとき、《悪い! この借りはいつか返すぜ!》とか言ってたけどよ…その話はどうなったんだコラ!」 トシ「いや、もう10年くらい経ってるし、何十回も返してるだろ。ホラ、100円で売ってたクソゲーとか買ってきただろ?」 オレ「むしろ自分でクソゲーって言ってるモンの、どこらへんに誠意がこもってんだよ!!」
――今ではSFC・PS2版合わせて10周以上プレイしている『DQ5』だが…あの事件で、一時的にテンションが皆無になったのは当然だ(笑)
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