第三十四話:着キャンのやり過ぎでコントローラーが壊れた
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【今回の登場人物】 オレ:『スマブラ』時代の本キャラはカービィ、『スマデラ』ではロイ。旧作ではあれほど使っていたカービィだが、『スマデラ』で使う気は起きなかった。 カム:『スマブラ』『スマデラ』ともに、本キャラはファルコン。あとはマルスやファルコなど。コンピューター相手の個人練習が趣味。 トシ:『スマブラ』ではファルコン、『スマデラ』ではガノン使い。CPU戦などの一人モードはほとんどやったことがない、完全な対戦プレイヤー。 タコッチ:カムと同じく、『スマブラ』『スマデラ』ともにファルコンを本キャラとする。「ホームラン競争」や「ターゲットを壊せ」の腕もプロ級だ。 ――― ■■■ ―――
トシ「ていっ、ていっ!」 オレ「くそっ、こんの……お前は、ガノンでジャブ連射してんじゃねぇよ!」 タコッチ「トシのツケコミガノンは、もう全然魔王とかじゃないよね」 カム「どっかのボクサーだろ。ジャブが主体って」 トシ「いや、でも主体といったって、そこまでじゃないでしょ。ジャブと中キックでガード崩して、ジャンプナックルで決めるんだし」 タコッチ「でもナックルより、全然ジャブの方がウザイよね。さすがは《全国掌底》って感じで(笑)」 オレ「ああ。むしろ《全国掌底》っていう技そのものが、マジでトシのツケコミスタイルを体現してるよな…」 カム「つーか、あのジャブが《全国掌底》って呼ばれるようになったのって、何が原因なんだっけ」 タコッチ「大会でしょ? 『スマデラ』の」 オレ「ああ、そこでオレとタコッチが命名した……というか、そういやあのときカムは来なかったんだっけ」 カム「お前らが、みんなで大会行ったときのこと? それなら俺は、ちょうどバイト入ってて行けなかった。行きたかったけどね」 オレ「まぁタコッチとカムが、オレ達ん中での『スマデラ』2強だからな。カムが来てれば、もっと面白くなったと思うよ」 トシ「むしろ俺とかナツキも相当やってるけど、カムちゃん達はその2倍くらいやってるんじゃないの?」 カム「いや、2倍はないでしょ。ほとんど一緒にやってるんだし」 オレ「でも2倍はいい過ぎでもさ…『スマデラ』でオレは2500時間だけど、カムは3000でタコッチは3500時間くらいやってるだろ。絶対」 カム「そんなに差があるかなぁ…」 オレ「対戦の時間だけだったら、4人とも同じくらいかもしれないけど。だけどカムとかタコッチは、あのゲームを《1人で練習》できるじゃん!!」 トシ「俺なんか絶対に無理だね。前にあのゲームをコンピューターとやったら、10分で飽きたし」 カム「10分は早すぎだろ!」 オレ「でもオレだって、1人だと30分もつかもたないか…ってくらいだよ。コンピューターは…なんというかワンパすぎて飽きる」 カム「弱すぎだからね」 オレ「弱いのもそうだけど、あまりにもワンパなんだよ。まだ『スマブラ』時代の方が、ちょっとは行動パターンに幅があった気がする」 タコッチ「マルスとかが、弱攻撃を無闇に連打するのが意味不明だよね。『スマデラ』のコンピューターは」 オレ「それこそトシみたいに、ガノンで弱パン連打するんならまだ解るけど」 トシ「なんか攻撃が軽いヤツに限って弱パン連打で、重いヤツは大技連発でしょ。…むしろソレって、まんま初心者の動きだよね」 タコッチ「レベル9のハズなのに」 オレ「思えばオレは前に、微妙なやり込みに挑戦したぞ。まぁ、実際やってみると全然やり込みにもならなかったが」 トシ「どういう意味?」 オレ「まずガノンのCPレベルを9にして、自分のハンデを1で相手を8にしたんだよ」 カム「9じゃなくて8なのか」 タコッチ「あの裏技があるからでしょ?」 オレ「ああ。とにかくその状態でストック10機にして、ノーダメージクリアを目指してみた。ノーコンティニューじゃなくて」 カム「つまり相手の10機を、1%も喰らわずに倒すってこと? それならけっこうムズくない?」 オレ「いや、オレも最初はそう思ったから、録画用のビデオデッキまでセットしてやり込みに挑んだんだけど……」 トシ「失敗したの?」 オレ「いや逆だ。思ってた以上にコンピューターのワンパっぷりが半端じゃなくてさ…。だから、なんか5,6回目で普通に成功しちまった」 カム「ガノンってのが、ちょうど良かったのかもしれないね」 オレ「オレもそう思う。ワンパのうえに大技乱発するから、こっちも避けて反撃っていうルーチンワークだけで、操作ミスしなけりゃノーダメなんだよ」 タコッチ「トシみたいなツケコミガノンだったら、無理だよね」 オレ「むしろトシじゃなくても、相手が人間だったらノーダメージとか無理だろ。相手が初心者だって、一発くらい喰らうよ」 トシ「でもコンピューターの最高レベルが初心者より弱いってのも、なんか意味不明だよな……」 オレ「まぁさすがに、実際に初心者が対戦したら、コンピューターが勝つと思うが」 カム「俺達が戦ったとき、《弱く感じる》のは初心者よりもコンピューターだな」 オレ「そんなだから、オレとかトシは一人で『スマデラ』やるとすぐ飽きるんだよ。カムとかと違って」 カム「でも、とりあえずコンピューターはサンドバッグだとでも思って、無心でコンボ練習すればいいんだよ」 タコッチ「そうすれば、5時間くらいは一人でも練習できるよね?」 トシ「いや、できないから!」 オレ「トシ…きっとこの部分こそがオレ達と、このバケモノ達との決定的な実力差を生んでるんだよ…」
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カム「でも結局、《全国掌底》って名前は何が原因だったの? その大会で、何があったんだよ」 オレ「ああ、なんつーかアレは…オレ達が出場した大会に《スマデラ全国大会優勝》だか《準優勝》だか…って人が来てたから」 カム「え、そんなヤツがいたの!?」 オレ「いや、あくまで《自称》だよ(笑) でも、そのときは本物だと信じてたね」 カム「なんで?」 オレ「『スマブラ』の公式大会サイトか何かに載ってた名前と、その人の名前が同じだったから。少なくとも名字は」 カム「でも、結局今は偽物だと判ったんでしょ?」 トシ「いや、知らない」 カム「え?」 オレ「サイトに顔写真は載ってないから、本人だかの判断は不可能なんだよね(笑) 一応、名字と使ってるキャラは一緒だったし」 トシ「だけどアレは、まず偽物だろ」 オレ「オレもそう思う。なぜ偽物を名乗るのかは不明だが、ありゃ本物ってことはないだろ…」 タコッチ「偶然、自分と名字が同じだったから利用したんじゃない?」 オレ「ただの厨っていうんだよソレは!!」 カム「でも、なんで偽物だと思うの?」 オレ「そりゃまぁ、なんつーか……。簡単に言えば、普通に弱かったから(笑)」 タコッチ「むしろ、全然張り合いなかったよね」 オレ「仮に全国のレベルってのが、そこまで大したことなかったんだとしても…それでもアレはないよ! ってくらいだった」 カム「なるほど…」 オレ「むしろあの大会ってさ、カムは来れなかったけど、けっこう大人数で行ったんだよ」 トシ「俺とナツキとタコッチ、プッチにフクタにチン、あとはタコッチと同じ学年の友達2人だから…つまり8人で乗り込んだんだね」 オレ「ただこっちも多かったんだけど、あの大会には妙に《自称○○大会1位》っていう輩が多かったからな…」 カム「全員偽物ってこと?」 オレ「もちろん、本当のところは不明だけど…。まぁ95%は嘘だろ。アレはねぇよ」 タコッチ「全員負けてたしね、俺達の誰かに当たって」 オレ「ああ。フクタが《自称・全国大会2位》を倒して、チンが《自称・少年ジャンプ大会1位》を倒した。オレが倒したのは《関東1位》だっけか?」 トシ「信用できるものがあったとすれば、一番肩書きのショボい《ジャンプ大会1位》かな」 オレ「いや…でもチンはそんなに上手くなかったぞ? 仮にも大会優勝者が負けるかなぁ…」 タコッチ「そんでトシがボコボコにしたのが《自称・全国1位》でしょ(笑)」 オレ「ああ、アレは見てて酷かったね。ステージはフォックスのコーネリアだったんだけど、ほとんど壁ハメ状態だったから(笑)」 カム「右下のくぼみで?」 オレ「そう。あそこに敵を突っ込んで弱パン連打して…。ルールはタイム3分だったのに、結局1機も死なずに3機くらい倒してたし」 トシ「アレはけっこう気持ち良かったね」 オレ「自称でも《全国1位》を弱パンでボコボコにしたわけだからな。それを見てたオレとタコッチが、《アレは全国掌底か!》って名付けたわけ(笑)」 カム「だから、あんな変な名前なのか。全国を倒した掌底って意味ね」 オレ「響きがマヌケっぽいから、定着しちゃったんだよな」
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オレ「でもオレはあの大会だったら、トシの全国掌底より、もっと印象に残ってることがあるね」 カム「他にも何かあったの?」 オレ「オレの本キャラはロイでしょ? 他のも使うことは使うけど、ほぼロイに絞ってるじゃん」 カム「ナツキはほとんどのゲームで、本キャラを絞るタイプだからね」 オレ「そこは性格だな。色んなキャラに浮気するより、1本に絞ってソレのプロフェッショナルになりたいタチだから」 トシ「タコッチとかは、逆にほとんどのキャラである程度戦えるからね」 タコッチ「でも実戦で通用するのは、半分くらいだけど」 オレ「まぁともかく、だから大会でもオレは、当然ロイを使おうと思ってたんだけど…」 タコッチ「ロイはいないって気付いたんだよね」 カム「いないって何が?」 トシ「なんか大会に拠るらしいけど、中にはマルス・ロイ・ゲームウォッチ・ミュウツーの4人が使用不可能っていうトコロもあって」 タコッチ「最後の隠しキャラだからだと思う。そんで、俺達が出ようとしてた大会がソレだった」 カム「なるほど…」 オレ「でもオレ…っつーかオレ達がその事実に気付いたのは、大会当日の朝だったからな(笑)」 トシ「まぁ運が良かったのは、その4人が使えないので影響出たのはナツキだけだったことだけど」 オレ「そりゃそうだけど、もともとロイしか使えないオレには死活問題だったよ。とにかく仕方ないから、他のキャラを練習することにした」 カム「でも練習っていっても、気付いた日が大会だったんでしょ?」 オレ「ああ。だからその日の朝、会場に出かける前の僅かな時間は全てオレの練習に費やさせてもらった。3日坊主ならぬ30分坊主って感じで(笑)」 カム「キャラは何にしたの?」 オレ「リンク」 カム「ロイと同じ剣キャラだからか」 タコッチ「いや、俺が薦めた。リンクなら、戦い方によっては慣れてなくてもけっこう通用すると思ったから」 オレ「『スマデラ』の基本的な技能は、ロイでもリンクでも変わらないし…あとはタコッチから、リンクの基本立ち回りを教えてもらって」 カム「でもそれくらいの練習じゃ、相手が初心者ならともかく、トシとかタコッチに勝てるレベルじゃなかったでしょ?」 オレ「いや、それが…な(笑)」 トシ「ナツキは一回戦でタコッチの友達と当たったんだけど、ソレで勝っちゃったんだよね」 タコッチ「アイツは、俺の学年の中ではかなり上手い方だったハズなんだけど」 オレ「まぁステージとの相性が良かったねアレは。コンゴジャングルでリンクだったんだから」 トシ「でもあのとき、タコッチは相当バカにしてたよね」 カム「その友達を?」 トシ「そう。《あのリンクは、今日の朝30分しか練習してないインスタントリンクなんだぜ!? 負けるとか超あり得ねぇ! ダサ過ぎだろ!!》とか言って」 オレ「でもそしたら、次の二回戦でオレがタコッチと当たってさ……そんで、勝っちゃった(笑)」 タコッチ「アレはマジでショックだったよ…」 カム「マジで!? でも、なんで?」 オレ「また、面のおかげってのが大きかったけどな。《いにしえ》だったから、最初に上手く投げで殺して…あとは逃げ回りつつ遠距離攻撃」 カム「セコッ!」 オレ「だってさすがに、インスタントリンクでタコッチに近接戦は無理だろ(笑)」 トシ「それに大会ってことでタコッチは緊張したのか、いつもの動きができてなかったからな。それに対してナツキは普通だったし」 オレ「むしろ慣れないリンクを動かすのに必死すぎて、緊張するヒマもなかったよ」 カム「30分のリンクで、そこまで勝ち上がったのかよ」 オレ「つーか、その後もさっき言った《関東1位》を倒したりして…最終的にはベスト4まで残った。まぁそこで、トシのガノンに負けたけどね」 トシ「で、結局俺が優勝した。準優勝はタコッチの友達。その、ナツキに負けてない方の」 タコッチ「むしろソイツより、絶対ナツキさんに負けたヤツの方が強いハズなんだけどな…」 オレ「まぁ、トーナメントってのは一発勝負だしな。それに大会っていういつもと違う環境じゃ、色々と条件も違うし」 トシ「むしろタコッチがナツキに負けたときは、マジ最高だったね。インスタントリンクに負けた友達を、アレだけバカにしてたタコッチだけに(笑)」 オレ「オレに負けてしばらく、タコッチは放心状態だったからな」 トシ「でも俺は、タコッチが二回戦で負けてくれて良かったよ」 タコッチ「なんで?」 トシ「だっていつもだったら、タコッチとタイマンやって俺が勝てるわけないじゃん。むしろタコッチと張り合えるのはカムちゃんだけだし」 オレ「それはな」 トシ「だから普通に考えれば、カムちゃんが出てない以上、俺達の中から優勝者が出るとすればタコッチしかあり得なかったハズなんだけど…」 オレ「ソレをオレが倒しちまったからな。ビギナーズラックってヤツで(笑)」 トシ「ある意味、俺が優勝できたのはナツキのおかげだよ」 オレ「いや、ソレは意味が違うような気がするぞ」
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オレ「でもあの大会は、凄まじいまでにクジ運が良かったんだよな。オレ達」 カム「クジ運って?」 オレ「64人のトーナメントだったんだけど、そこに8人で行けば、絶対にオレ達同士で潰し合うわけじゃん」 カム「まぁ、実際ナツキとタコッチの友達は一回戦で当たったんでしょ?」 オレ「うん。それにオレはタコッチ本人とも二回戦で当たったし。…だけど、それだけだった」 カム「それだけって、どういうこと?」 オレ「つまり他のブロックじゃ、オレ達同士の試合ってのが全く無くてさ。結局ベスト8に残った8人中、5人が身内だったからね(笑)」
――しかし実際、時間的に多くやっていたのは『スマデラ』ではなく『スマブラ』の方だったりする。
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