第四十三話:クソゲーだけど好き、ってモノもあるだろう?

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【今回の登場人物】

オレ:苦手なゲームは『Gジェネ』や『テトリス』など。特にパズルゲームは、昔からどうにも好きになれない。

トシ:苦手なゲームは『バイオ』や『ビーマニ』など。ホラーゲームを自分でやるのは怖いが、横から見てる分には楽しめるタイプ。

マーク:苦手なゲームは『テイルズ』や『バトスタ』など。基本的に極端なキャラゲーは好きになれないようだ。

  ――― ■■■ ―――



オレ「オレ自身は《クソゲー》って言葉自体が嫌いなタチだけどさ、それでも《違う意味》ではけっこう使ったりもするな」

トシ「違う意味って?」

オレ「つまりゲーム自体がクソってことじゃなくて、《このゲームは、こうするとクソゲーになっちゃうからやめよう》みたいな感じで」

マーク「なるほど、プレイ方法に対する言葉ってことか」

オレ「ああ。特に多人数ゲームで、ハウスルールの整備をするときに使うね」

マーク「確かに《クソゲーになる要素》を考えてひとつずつそれを潰してけば、それで良いんだしね」

オレ「代表的なのは、やっぱ『テニプリ』とか『スマブラ』かな」

トシ「昔の『スマブラ』なんかは、とりあえず《投げ》を禁止しないとクソゲーそのものだからね」

オレ「カムとかタコッチが《投げからの即死確定コンボ》を発見して実戦投入してきたからな(笑) ありゃもう、禁止以外に道はねぇよ」

トシ「まぁ全部の投げが無条件に禁止じゃなくて、投げの性能が悪くて使いにくいヤツは使用可だったけど」

オレ「それはな。誰を禁止にして、誰はOKにするか…っていうそこらへんのバランス調整も、なかなか面白いもんだし」

マーク「だけどさ、特にナツキんちはハウスルールが厳密っていうか、細かい部分まで微調整してあったりするじゃん」

オレ「まぁテキトーに決めちゃうのは最初楽だけど、後々が面倒だからな」

マーク「それは解るけどさ、そのプレイ法で慣れちゃうと、他のメンバーと《なんでもアリ》で勝負するとき大変じゃね?」

オレ「それはそうかもな(笑) 『スマデラ』の大会に出たときも、色々と自粛のクセは抜けてなかったし」

トシ「まぁ《なんでもアリ》でも、それはそれでどうにかなるんじゃん? しばらく慣らさなきゃ無理かもしれないけど」

オレ「あとさっきも言ったけど、《ルールによってはクソゲー》って意味では『テニプリ』が一番ヤバイかもな」

トシ「アレこそ、普通のプレイは不可能なゲームだからね」

オレ「キャラ性能の差が凄まじくて、技性能がメチャクチャで、アビリティも酷いからな」

マーク「というか、どんなゲームでも《禁止キャラ》を決めるのは一般的だよね。多分」

オレ「『鉄拳』みたいな格ゲーとか、きちんと全キャラのバランス取ってあるゲームじゃなかったら必須でしょ。それは」

トシ「キャラ性能の差なんてどんなゲームにもあるだろうけど、その差が許せるレベルじゃないとね」

オレ「原作アリのキャラゲーなんか、80%くらいはバランス考えてないだろ(笑)」

トシ「『テニプリ』も、普通に考えたら半分くらいのキャラが禁止っぽいし。技とか無制限に使用可能だったら」

オレ「意外とバランス良い『激忍』でさえ、火影やイタチは危険だからな」

マーク「あとは『ドラゴンボール』系なんかもそうなんでしょ」

オレ「ただ昔の『超武闘伝』シリーズとかは、そういう意味じゃバランス取ってたよな。むしろ潔いというか」

マーク「潔いって?」

オレ「つまり『1』『2』『3』と、各時代に合わせて《各時代のパワーバランスに付いてこれるキャラ》以外は出してなかったじゃん(笑)」

トシ「ああ。スーパーサイヤ人が基本の『2』には、クリリンいなかったからね」

オレ「いや、むしろクリリンは『1』からいなかっただろ(笑)」

トシ「あ、そうだっけ」

オレ「『3』に至っては、ピッコロさえも戦力外通知だったからね」

トシ「でも、その割に界王神とか18号はいたよね? むしろ18号なんて、『1』に出たけど『2』では既に消えてたのに」

オレ「まぁそれは、確かに……」

マーク「むしろ『超武闘伝』は《各時代のパワーバランス》とかじゃなくて、単純に《そのとき原作に出てたメインメンバー》を出してただけじゃね?」

オレ「そう言われると…そうかもな。特に18号なんて、考えてみればキャラ人気で出したとしか思えん。いくらブウ編とはいえ、セルさえもいないのに」

トシ「あと多人数ゲームだとさ、《強すぎるから禁止》だけじゃなくて、逆に《弱すぎるから禁止》ってキャラもけっこういるよね」

オレ「ああ。少々ならともかく、あまりにも弱いキャラだと周りもつまらないからな。例えば『トレバト』のロッキーとか」

トシ「ロッキーは本当に意味わからなかったね。ゲームオリジナルキャラだから愛着もないし、それで弱かったら誰も使わないじゃん!」

オレ「まぁ一番理不尽な理由で禁止キャラにされたのは、やっぱ『いたスト』のクリフトだろ(笑)」

マーク「『ドラクエ&エフエフ』のクリフト? でもアイツって禁止キャラだったのか」

オレ「いや禁止っつってもネタみたいなモンで、別に使ったって構わないんだけどさ。ただアイツを使うと、周りからのブーイングは確定だったね」

マーク「なんで?」

トシ「なんか、それまでかなり『いたスト』対戦してたけどさ、みんな色々なキャラ使ってたんだよ。クリフトも含めて」

マーク「うん」

トシ「でも、一回誰かがクリフト使ってメチャクチャ大勝したことがあって。そのときから気になって、クリフトが使われるたびに注目してたら……」

オレ「使ったヤツの如何に関わらず、とりあえずクリフトを選んだヤツは、絶対に3位以下にならないって法則が見付かった(笑)」

トシ「多分、調査開始から10回くらいはクリフト使われたけど、その全部が1位か2位だったからね」

オレ「その結果として、《クリフトは強すぎる》《アイツは卑怯キャラ》ってことになったわけだ」

マーク「キャラ性能が無いハズのゲームなのに、それでも卑怯キャラなのか(笑)」



  ―― ◆ ――



オレ「だがアレだ。これはオレが《クソゲー》って言葉を嫌ってるから言うことで、かなり主観が入ってるんだけどさ」

マーク「うん」

オレ「ただ、なんでもかんでもクソクソ言ってる人に限って、そのソフトを全然プレイしてなかったりしてな…」

トシ「最初の方でプレイするのをやめちゃったから、クソ呼ばわりしてるんじゃないの?」

オレ「まぁ、そういうことなんだろうけどさ。ただオレが思うのは、そういう話にはある程度、《倒錯した状況》が必要になると思うんだよ」

マーク「どういう意味だ?」

オレ「つまり、仮にあるゲームをクソ呼ばわりする権利があるとすれば、それはそのゲームを相当プレイした人だけに許されると思うわけだ」

マーク「ふむ…なるほど?」

オレ「そもそもクリアもしてないのに、なんでクソって言い切れるんだ? というか普通にクリアしただけじゃなく、色々深いトコまで知っとかないと」

マーク「好きなゲームと同等以上にやり込まないと、表面だけなぞってクソ呼ばわりすることになるからか? 確かにそれなら、倒錯してるな」

オレ「あくまでオレの考え方だけどね。ただ、極端な例だとシステムが難解だからクソゲーとか……そういう言い草は好きじゃねぇよ」

トシ「まぁそれは、きちんとシステムを理解しないことにはクソかどうかさえも解らないんだしね。まぁ《解らない》からイヤなのかもしれないけど」

オレ「つーか、ソレは解るんだよ。《難しくて自分には向いてないゲームだ》とか、《もうちょっと解り易くして欲しかった》とかいう話なら」

マーク「ゲームの難易度ってのも、ゲームが持つ要素のひとつってことには違いないからね」

オレ「ただオレは、そこを区別して欲しいっていうか…。《自分が嫌いなゲームはクソゲー。自分が好きなゲームは名作》っていう態度が癇に障る」

トシ「ソレはただの厨だろ」

オレ「いや、そうでもないんだよ。そういう考え方の人は少なからずいるし、だからこそソレが《間違ってる》とも言い切れないわけで」

マーク「ただナツキは、そういう考えが嫌いなだけ…って?」

オレ「厳密に言えばな。オレは《自分が嫌いなゲーム》ってのと《クソゲー》ってのは全然違うモノだと思ってるけど、それは一般論じゃないらしい」

マーク「そこまでマイナーな考え方でもないだろうけど」

オレ「まぁな。ゲーマーとしての信念とか、信条みたいなモンだろ。その中の、ひとつの流派というか」

マーク「逆にライトな人だったら、そこまで深くは考えてないだろうしね」

オレ「そうだな。ライトゲーマーなんかは、オレの考えを聞いて《こだわりすぎだろ》とか思うわけだ(笑)」

トシ「結局ゲームとかじゃなくて自分が興味無い話題だったら、俺達も同じ風に感じるだろうし」

オレ「思えばソレに関連する話だったら、オレも色々と経験してるんだよな…」

マーク「何に関連するって?」

オレ「いや、なんかロクな理由もなくクソクソ言ってるヤツがいたんだよ。売り上げが低いからアレはクソゲーだとか…そんな感じで」

マーク「ああ、うん」

オレ「でもな、どう見てもそいつは《ゲーマー気取りだけど、実際はゲーマーもどき》みたいなヤツでさ(笑)」

トシ「なるほど、それで?」

オレ「だからオレが《真のゲーマーだったら、クソゲーって言葉自体を使わないよな。常識的に》とか、そんな感じでちょっと釣ってみたわけだ」

トシ「どういうこと?」

オレ「つまり、そもそもオレは《ゲーマーとはこういうもの》みたいな決め付けが好きじゃないから、普通だったらそんな台詞吐かないわけだよ」

トシ「うん」

オレ「だけどそういう《にわかゲーマー》に限って、《真のゲーマーなら》みたいな言い方には弱いわけだ。なまじ、自負があるだけにな(笑)」

マーク「なるほど。《おれは真のゲーマーだぜ!》って思ってる…というか、思いたいからか」

オレ「ああ。常に他人から《ゲーマーと呼ばれたい願望》を持ってると言えば解り易いか。オレみたいに自称するわけじゃなくて」

トシ「でも、そういうヤツって普通、自分からゲーマーだって名乗ってるんじゃないの?」

オレ「もちろんそういうパターンもあるけど。だけど《にわか》ってのは、自分で名乗るだけじゃなくて《人から認められたい》願望が強いわけだから」

トシ「ああ、なんとなく解る」

オレ「だから、どんな反応するのかちょっと興味あってな。クソクソ言ってるソイツの前で、《そういうヤツはゲーマーじゃないよな?》って言ってみた」

マーク「そしたら、どんな反応だったの?」

オレ「それがなかなか予想外だったぞ。《僕は一言も、自分がゲーマーだって名乗った覚えはありませんけどね》って(笑)」

マーク「ははぁ、なるほど…」

オレ「いや、これはなかなか上手な返し方だろ? 確かにその人は前者のパターンだったから、自分からはゲーマーと名乗ってなかったわけで」

トシ「ちゃんと逃げ道があったのか。でもさ、それじゃあ《自分はゲーマーじゃない》って認めてるよね? それじゃ意味ないんじゃないの?」

オレ「確かにそうなんだよ。特にその人は《自分はかなりゲームに詳しいんですよ》ってことを常に自慢したがってるタイプだったから」

マーク「それなら、自分からゲーマーじゃないと言って追及をかわしたのはその人のミスじゃないか?」

オレ「かもな。そりゃオレだってゲーマーとしての自負を持ってる点では、その人と同じだけど…でも自分から称号を捨てちゃ意味がないわけで」

マーク「それでナツキは、《ゲーマーだと名乗った覚えはない》って言われてどうしたの?」

オレ「ああ。ソレは想定外の返答だったが、ならばとその返答を利用して、今度は逆の切り口で攻めてみたわけだよ」

トシ「逆って?」

オレ「つまり《へぇ〜。アナタはゲーマーでもないのに、良ゲーとクソゲーの区別が付くんですか! それは驚きです!》ってな(笑)」

マーク「すげぇ詭弁だな(笑)」

トシ「でもソレは、けっこう面白い返し方だね」

オレ「この理論だと、結局ゲーマーだろうがそうでなかろうが、クソゲーって言えないことになるからな。詭弁なのは間違いねぇが(笑)」

トシ「だけどソレこそ、ゲーマーを自負したいヤツにはダメージ与えるよね。その台詞は」

マーク「ソレで今度は、どんな返答が返ってきたの?」

オレ「コレもなかなか面白かったぞ。《僕はゲーマーと名乗りこそしていませんが、しかし心はゲーマーだから良いんです》ってな(笑)」

トシ「いや、ソレは面白いというか意味が解らないだろ!」

オレ「なんつーか詳しい話を聞くと、ゲーマーって名乗るのは恥ずかしいんだと」

マーク「オタクって思われるから?」

オレ「ああ。だけど心はゲーマーだとかなんとか……いやまぁ……もういいや、この話は(笑)」

トシ「結局ソイツが、大したゲーマーじゃなかったってことでしょ」

マーク「むしろ、ソレはナツキも最初から解ってたんだろ?」

オレ「そりゃ、そこまでは想定内だったよ。だからこそツッコみたくなったんだし。…だけど、予想以上に反応が面白かったね」

トシ「そもそもゲーマーだと名乗ってなくたって、ゲームの話ばっかしてたらオタクと思われるのは避けられないんじゃね?」

マーク「なるほど、考えてみればそうか」

オレ「ああ…それは考えてなかった。まぁ少なくとも、自分で《ゲーマーです》って認めないことが、《僕はオタクじゃない》って最後のプライドなんだろ」

マーク「それはプライドっていうのか?」

オレ「あのLも言ってたくらいだしさ。《私はキラです、と言ってくれなければ奴を捕まえるのは難しい…》って」

トシ「それはあんまり関係ないだろ!」



  ―― ◆ ――



オレ「そういえば、もうひとつ面白い法則なら知ってるぞ」

マーク「何の法則?」

オレ「ゲームのやり込みとかで《これくらいの低レベルクリアした》とか《タイムアタックで2時間切った》とか言うじゃん」

トシ「ああ、うん」

オレ「だけどそういうこと話した後に、《でも、こんなの大したことないですよねww》とか言ったり書いたりしてる人に限って……」

マーク「自分では大したことあると思ってる……っていうんだろ?」

オレ「ああ(笑) 凄いと言って欲しいんだけど《その程度大したことないんじゃ?》って言われるのは怖くて、予防線を張ってるようにしか見えないんだが」

トシ「実際、そんなモンなんでしょ」

オレ「でも、そもそもあの台詞さえなけりゃ、普通に《けっこう頑張ってるな》とか思えるんだけどさ。あの台詞が逆に余計なんだよ」

マーク「その《ダブリュー》も余計だよね。むしろそこに《ダブリュー》とか《カッコわらい》を付けるのは、《大したことありますよね》って意味なのか?」

オレ「でもそこで、《ああ。アナタの言う通り、確かに大したことないですね》って言ってみたらどんな反応するんだろうか?」

トシ「また実験してみればいいじゃん」

マーク「アレだろ? 《ナツキさん…そこは違うんですよ…ここは、もっと褒めるトコなんですよ…》って言われるんだろ(笑)」

オレ「いや、ソレはどこの厨だよ!」




――とりあえず…百歩譲っても、自分が未プレイのソフトをクソゲー呼ばわりするのだけはやめて欲しいと切に願う。

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