1位:スパイラル 〜推理の絆〜 (C)
そしてっ! 20年を生きてきたオレが、人生の中で最も感銘を受けた作品……。それこそが、まさにコレだっ!!
『スパイラル』。オレは真に、この作品に出会えたことに感謝したい。本当に、本当に。
「出会いというものは、本当に突然やってくるものだ」。
そのテの言葉にはリアリティを感じられないタイプのオレだとはいえ、『スパイラル』とのあんな運命的な出会いを経験してしまった今となっては、もうその言葉を軽んじることなどできはしない。
スパイラルだけに「まさに運命!」って感じかな? あ、いや、それが言いたかったわけじゃないッスよ(笑)。
まあ「運命」なんて大仰な台詞を使ったところで、実際のところは名前負けというか、そんなに物凄い出来事があったわけじゃないんだけど。
ただオレは、ある日何気なくテレビを付けてみた。そこで偶然……たまたま偶然やっていた番組、それがこの『スパイラル』だったんだ。
もちろん、そこまでだったら案外「普通」の話だ。テレビを付けたらあの番組が……だなんて、角を曲がったら転校生とぶつかるくらいに凡庸な展開だよな。
だけど、凡庸だったのはそこまでの話だった。
オレが初めて『スパイラル』をテレビ画面の中に見たとき、そこでは丁度「VS理緒」のワンシーンをやっているところだった。
病室にいる理緒と香介の元に突然歩がやって来て、「受けるか? それとも……逃げるか?」と問うあのシーンだ。
ああ、もちろんオレはそこまでの経緯を知らなかったわけだから、歩たちが何について話していたかなんて全然わからなかったよ。
アイツらの関係もわからなかったし、会話の内容も不明だった。普通なら、そこでチャンネルを変えちゃうとこなんだけど……。
オレは、何故かそれができなかった。チャンネルを変えることさえ忘れ、ひたすら食い入るように画面を凝視してしまった。心底……惹かれた。
そうだ、オレはこの作品に魅せられたんだ。この作品のことを、今すぐにでも知りたい! もっと知りたい!! そんな欲求が、身体中を駆け巡ったね。
まあ、あとは簡単なもんさ。本屋に行ったとき『スパイラル』を見つけて、すぐさま手にとって、買って、読んで。そのときはまだ、6巻くらいまでしか出てなかったっけか?
ともかくその時点でもうノックダウンさ。100%完璧に、オレはこの作品のファンになったってわけ。
『スパイラル』というマンガのジャンルは、一体なんて言えばいいのかな……。やっぱり普通に「推理物」だろうか?
……いや違う。そうだな、しいて言うならば「推理アクション」ってところか。あるいは「推理ファンタジーバトル」みたいな感じ?
緻密な計算が織り成す知略戦という側面、そしてその「計算」を「行動」へとシフトさせる行動戦。
その二つが完璧にミックスされ、奏でられる整然としたストーリーの旋律。
それは本当に心地良く、読んでいて「面白い!!」という気持ちは止まることがなかった。
マンガが完結したときはやっぱり悲しかったけど、この作品にあの「終わり」は相応しいものだったと、オレは思うよ。