Tale.3 入学式の喜怒哀楽 後編


入学式もいよいよ終盤。
そんな中、アホ2人によるアホ作戦は成功するのか!?
そしてまた、皆の喜怒哀楽とは一体何か!?


ロニ「…って、ちょっと待ってくれよ、ゼロス!」

ゼロス「ん? なんだよ、まだこんなところをフラフラしてたのか? さっさとその子のところに……」

ロニ「いや、だからこの子だよ。新入生に在校生に先生に……大して広くもないホールに、これだけの人数がいるんだ。
 この子がどこにいるか、見つけるのはけっこう骨だぜ?」

ゼロス「んなこと、俺様だって同じ条件だよ! だけどさすがに参ったぜ。データを見ると、2人とも小柄だからな……。
 俺様の第六感である美少女発見レーダーをもってしても、見つけるのは手間取りそうだ……って、うおっ!?」

しいな「アンタ達……さっきからこそこそと……!
 せっかくの入学式だってのに、何やってんのサ!!」

ゼロス「し、しいな……」

ナナリー「あたしもいるよ!」

ロニ「うげ! ナ、ナナリー……さん」

ナナリー「取ってつけたようにさん付けするんじゃないよ!
 まったくアンタ達は……どうせバカなこと考えてたんだろ!?」

ロニ「バっ…バカなこととはなんだ! 俺達はなぁ、学園に入学したばかりで右も左も分からない無垢な少女達に、救いの手を差し伸べ」

ゼロス「って馬鹿! おまっ……」

ロニ「差し伸べ……って、え? …………あっ!」

ナナリー「へえ? 無垢な少女達に……なんだって……?」

ロニ「あ、いや、これは……。
 ほ、ほら! 新入生は、学校のこと何も知らないだろ? だから俺達が、学校の中を案内してあげようと思って……」

しいな「ふうん? だったらその右手に持った、新入生の個人名簿はなんだい?」

ロニ「え? あっ…うっ……」

ナナリー「まったくアンタ達は! おおかた入学式にかこつけて、女の子に声かけようっていうんだろ!!」

ゼロス「うわ……図星……」

しいな「図星だって……? こんの……アホ神子が!!」

ナナリー「バカロニ! アンタも大概にしな!!」

ロニ「うぐぐ……!
 ど、どうするゼロス……こんなところでこの2人に捕まってたら、作戦なんざパーもいいとこだぞ……」

ゼロス「く……。こうなりゃ強行突破だ……いくぞ、ロニ……!」

しいな「ちょっと、聞いてるのかい、アホ神子! こそこそと何を話して……」

ゼロス「だーーーーーっ!!」

しいな「っ!? い、いきなり何を叫んでるのサ! 周りのみんなが見てるよ!」

ゼロス「うるせえ! いいか、しいな! 俺達は決してやましい気持ちから、今回の計画を思いついたんじゃないぜ!
 そうだろう、ロニ!?」

ロニ「え? あ……ああ! その通り!!
 可愛い子を見つけたら、口説くのが男の礼儀! 口説かざるは、女性に対して失礼千万ッ!!」

ゼロス「まあ、しいなには一生縁の無い話だろうけど〜?」

ロニ「もちろんナナリーにもなっ!」

ナナリー「なっ……!?」

しいな「ア…アンタ達ねぇ……! 言わせておけば……!!」

ロニ「う…やべ……もしかして言い過ぎた……?」

ゼロス「に、逃げるぞロニ!」

 ダッ!

ナナリー「こっ…こら! 2人とも、待ちな!!」

ゼロス「ナナリーちゃんには悪いが……待てと言われて待つヤツはいないぜ!!」

しいな「こんのアホ神子が! アンタ達ね……影で呼ばれてるアンタ達のあだ名、知ってるのかい!?」

ゼロス「は? ええっと……『今世紀最大の美青年』、とか?」

しいな「アンタはどこまでアホなら気が済むんだい!
 いいかい、アンタ達の呼び名は『学園が誇る3バカトリオ』だよ! 『3バカトリオ』!!」

ゼロス「何言ってんだよしいな! 容姿端麗・頭脳明晰……この俺様と『馬鹿』なんて単語は、しいなと『おしとやか』くらい似合わないと思わないか?」

ロニ「それに3バカって……俺達は2人じゃねえか」

ナナリー「今あたしの目の前にいるバカは、確かに2人だけどね。だけど学園にはもう1人、凄いバカがいるだろ?
 あんた達はバカなりに一応3年だけど、あたしやしいなと同じ2年にも1人ね」

ロニ「2年だあ…? そりゃ、リッドやロイドもそれなりのバカだが……。
 まさかお前、スタンさんのことを言ってるんじゃねえだろうな!? た、確かに今のあの人はバ…いや、少々ボーッとしている部分もあるが……」

ゼロス「いや…もしかしたらティトレイやルークのことじゃないか? アイツらのバカっぷりも相当なモンだぜ……?」

しいな「何をブツブツ言ってんだい! そこらへんのバカなんて、アンタ達2人に比べりゃ可愛いものサ」

ナナリー「もう1人、あんたらにタメ張るバカがいるじゃないか!」

ロニ「は?」

ゼロス「…! ま、まさか……もしかして……」

ロニ「え…?」




モーゼス「ヒョオオオオオオオオオオッ!!!」

クロエ「シャ、シャンドル! 入学式の最中だぞ!? 静かにしないか!!」

モーゼス「クッちゃんよ、だってここに出てる食い物……あむ、うま……これがムチャクチャ美味いんじゃ!!
 ヒョオオオオオオオオッ!! この肉もまた絶品じゃあ!!」

クロエ「おいシャンドル! みんなが見てるぞ、分かったから叫ぶのだけはやめてくれ!!」

ジェイ「まったく、モーゼスさんの馬鹿さ加減にはほとほと呆れますね。新入生である僕の方が、恥ずかしくて情けなくなります」

モーゼス「なんじゃと、ジェイ坊! それが先輩に対する態度か!!」

ジェイ「はいはい、そうですね。アホーゼス先輩」

モーゼス「ワイはモーゼスじゃ!」




ロニ「ちょ、まっ……冗談じゃねえぞ! 俺達がアレと一緒だってのか? いくらなんでもアレと同列なのか!?」

ナナリー「喜びな! あんた達3人とも、辛うじて哺乳類に分類されてるみたいだよ!」

ゼロス「うわぁ、コレはさすがにキツイかも……」

しいな「さしものアンタらも、モーゼスと合わせて影で『3バカ』呼ばわりされてるとは思わなかったかい?
 まあこれに懲りたら、二度とこんなバカなこと考え――」

ロニ「……さい」

しいな「考え……って、何だって?」

ロニ「うるさい、って言ったんだ! こんなの認められるか!!」

ナナリー「この期に及んで、あんたはまだ……!」

ロニ「ええい、男女のナナリーにしいな! 良く聞きやがれ!!
 俺をバカと呼びたいなら呼ぶがいい! だが俺の野望は、誰にも止められないのだっ!!」

ナナリー「このバカロニが、いい加減に……って、待ちな! どこ行く気だい!?」

ロニ「うおお! 俺の進化は止まらんぜぇぇーーーっ!!」

ゼロス「へっ……熱いヤツだぜ、相棒…! だがここは俺も、その熱さに付き合うのが正解だろうなッ!
 おうりゃああああっ!! 待ってろ、マイハニーーーーっ!!」

しいな「ちょ…アホ神子! アンタまで逃げる気かい!?」

ゼロス「ふっ、しいな……妬いてるのか? だけど、俺様に惚れても無駄だぜ…?」

しいな「や、妬い、惚れっ…!? バ、ババ、バカなこと言ってんじゃな…! ……って、あれ?」

ナナリー「……やられたね、しいな。あんたが慌ててる間に逃げられたよ」

しいな「あ、あ、あ……あのアホ神子がーーっ!! いくら人混みに紛れたところで、絶対に逃がさないからね……!!」


ロニ「ふぅ……酷い目に遭ったぜ。さて、ここからは自由行動だな」

ゼロス「よっしゃ。それじゃあ当初の予定通り、狙いのコに声かけて……成功したら、またここに集合な」

ロニ「おう、柱時計の下だな? わかったぜ」


 そして5分後………


ゼロス「どうよ、相棒! こっちはもうバッチリ……ってうおっ!?
 ロニ、まさかお前もナンパに成功したのか!?」

ロニ「最初から失敗前提みたいな表情と口調で言うんじゃねえ!!
 まったく、俺だってやろうと思えばこれくらい楽勝ってことだ。
 ……な? すずちゃん!」

すず「はい。
 『可愛いお嬢ちゃん、ひと目見たときから君が気になっていた。ちょっと俺に付き合ってくれないか?』
 …でしたね。先輩の頼みを無下にするわけにはいきませんから。今こうして、ロニ先輩に付き合っています」

ロニ「へ?
 あ、いや……あのね、すずちゃん……。付き合う、っていうのはつまり、その、俺が君をナンパ……」

すず「何か?」

ロニ「い……いえ、なんでもないです……」

ゼロス「でひゃひゃひゃひゃ! そんなこったろうと思ったぜ!
 ナンパの成功不成功以前に、そもそもナンパされた本人にその自覚が無いだなんて……オイシすぎるぜ、ロニ君よ!!」

ロニ「う……うるせえ!! だ、だったらそう言うお前はどうなんだよ!!」

ゼロス「俺様か? 俺様はナンパどころか……既に求婚までされちまったぜ!!」

ロニ「ハァ!? お前何言ってんだ、んなわけねえだろうが!」

ゼロス「でひゃひゃひゃ! ヒガむなヒガむな! 俺様は嘘なんかついてないぜ?
 …ほら。アニスちゃん、そうだよな?」

アニス「はぁい! アニスちゃんはぁ、ゼロス様のお嫁さんになりたいで〜す♥」

ロニ「な…ななな……。
 なんだそれは!? どうなってんだ!?
 ゼロス、おまっ……ちょっと耳貸せ!」

ゼロス「おいおい、引っ張るなって!」


ロニ「いいから!
 ごにょごにょ…(おい、どういうことだよ!? お前一体、どんな手品を使ったんだ!?)」

ゼロス「ぼそぼそ…(いや、俺はホントに何もしてないぜ? 名乗って普通に誘っただけで……)」

ロニ「ごにょごにょ…(んなわけあるか! それでどうして『お嫁さんになりたいで〜す♥』になるんだよ!?)」

ゼロス「ぼそぼそ…(意外と、ただ単に惚れっぽいだけかもしれないぜ? それならここで、お互いの相手をチェンジしてみるか?)」

ロニ「ごにょごにょ…(そうしたら、今度は俺にアニスちゃんが惚れるってか?)」

ゼロス「ぼそぼそ…(そうかもしれないだろうが。それに今は、とにかく色んな子と親睦を深めておかないとな! そうだろ?)」

ロニ「ごにょごにょ…(まあ、確かに……)」


アニス「ゼロス様ぁ! 2人してこそこそ話して、一体どうしたんですかぁ? アニス、構ってくれなくて寂しいですぅ!」

ゼロス「あ、ごめんよ〜アニスちゃん!
 ところでさ。ここらでお互いに、相手を変えて自己紹介してみないかい? ホラ、まだ俺達会ったばかりだし」

アニス「ええ〜? でもゼロス様がそう言うんなら、それでいいで〜す♥」

ゼロス「すずちゃんも?」

すず「はい。多くの先輩について知っておくことは、情報収集の観点から言っても価値あることです」

ゼロス「そ、そう…。
 と、ともかく! それじゃあここで俺とすずちゃん、ロニとアニスちゃんってペアにチェンジってことで…オーケイ?」

ロニ「おうよ」

アニス「はぁい♥」

すず「分かりました」


ロニ「…それじゃあ、アニスちゃん! まずは自己紹介から……。
 俺は3年のロニ。ロニ・デュナミスだ、よろしくな」

アニス「アニス・タトリンで〜す!
 ええっとぉ……ロニ先輩は、ゼロス様のお友達なんですよね?」

ロニ「ん? ああ、そうだな。腐れ縁みたいなモンだけどよ」

アニス「じゃあロニ先輩もゼロス様と同じで、やっぱりすっごくお金持ちなんですかぁ!?」

ロニ「え? ハハハ、そうだったら嬉しいんだけどなぁ。
 だけどウチの孤児院は町内でも有名なボロ屋でな……雨の日には天井からの雨漏りが酷くて、いつも床にバケツを」

アニス「チッ! こっちは貧乏人か……」

ロニ「バケツを、って…………え?」

アニス「ふん、まったく……こんなのに猫被る必要なんてなかったじゃん……」

ロニ「え? え?」

ゼロス「でひゃひゃひゃひゃ! どうしたよ、ロニ君! やっぱりアニスちゃんにも相手にされなかったのか?」

アニス「あ、ゼロス様ぁ〜〜♥ 私、やっぱりゼロス様の方がいいでぇ〜す♥」

ゼロス「おお〜、アニスちゃん! 嬉しいこと言ってくれるね〜!」

ロニ「ゼ、ゼロス…なんかきっと、それはたぶん違……」

アニス「(ボソッ)アンタは黙ってろ」

ロニ「はっ、はいっ!!」

ゼロス「でもアニスちゃん、ちょ〜っと待っててね? 俺様、まだすずちゃんと挨拶してないから!」

アニス「はぁい! 待ってまぁ〜す♥」

ロニ「お、女って一体……」


ゼロス「それじゃ、すずちゃん。こっちも自己紹介しようか。俺はゼ」

すず「ゼロス・ワイルダー先輩、ですよね。貴方のことは、よく知っています」

ゼロス「おおっ! 俺様ってやっぱり有名人なのかな? 新入生にまで知られてるなんて、光栄だよ〜!」

すず「いえ。ゼロス先輩のことは、私と同じ道場に住む門下生の先輩から、たびたび聞かされていましたから」

ゼロス「へぇ〜、すずちゃんは道場に住んでるんだ! だけど先輩って、その人も学園に通ってるのかな? 俺様の知り合い?」

すず「はい。ゼロス先輩も、きっとよく知る方だと思いますよ。私の通う忍術道場でも、時期頭領と目されているほどの実力者です」

ゼロス「時期トウリョウ? ふ〜ん、そんな凄いヤツがウチの学園にいたっけかなぁ……?」

すず「彼女から、ゼロスさんのことは色々と聞かされていました。
 最初に聞かされたのは、『あのバカは理性を失った野獣だ。むやみに近付いちゃいけないよ』でした」

ゼロス「へ?」

すず「そして『女と思えば誰だって声をかける、見境無しの色魔』なんですよね」

ゼロス「し、しきま……」

すず「『アレは、アホが人間の形になっただけのアホの塊、アホ神子だ。触るとアホが伝染る』と聞き及んでいますが」

ゼロス「ア、アホ神子……。す、すずちゃん? もしかしてその先輩っていうのは……」

しいな「ようやく見つけたよ! このアホ神子がっ!!」

ゼロス「のわっ!!」

すず「あ、しいな先輩。これからは、学園でも宜しくお願いします」

しいな「ああ、すずか。入学おめでとう、だね。
 …だけどすず。このアホ神子に、今何かされてなかったかい? あれほど近付くなって言っておいたのに……」

ゼロス「ひ、人聞きの悪いこと言うなって! 俺様は何も……」

すず「はい。ゼロス先輩は、しいな先輩の言うような方ではありませんでした。
 今も私やアニスさんに、『なんぱ』というものを教えてくださったくらいです」

ゼロス「ちょっ…」

しいな「へぇ……? それじゃあゼロス、あたしにもその『なんぱ』とやらを教えてくれないかい……?」

ゼロス「ま、待てしいな! それは、指を鳴らしながら言う台詞じゃないって!!」

ナナリー「バカロニ! あんたも、覚悟はできてるんだろうね!?」

ロニ「うおっ! どこから沸いてきやがった!?
 た、頼むナナリー! これは誤解なんだ! いや誤解じゃないけど、でも誤解なんだ!!」

ナナリー
しいな
「うるさいんだよ!!」
ロニ
ゼロス
「ぎゃああああああああっ!!」


アニス「うわ……バカだね」

すず「バカです」


ロニ「うぐぐ、いててて………。まったく、酷い目に遭ったぜ……。
 おっ! しかしここで、前方に見えるはリフィル先生!」

ゼロス「おお…! 常に美しいリフィル様とはいえ、しいなとナナリーに遭遇したあとの彼女はまるで女神のようだ…!
 ロニ君、俺達の傷付いた心と体を、リフィル様に癒してもらおうじゃないか!!」

ロニ「おっしゃあ! 走って行くぜ!!」

 タッタッタッ……

リフィル「あら2人とも、入学式は楽しんでいるかしら?
 ……というより、何かあったの? なんだか随分ボロボロじゃなくて?」

ロニ「……これは名誉の負傷です」

ゼロス「ふっ……俺達は自分の信念に従ったまでですよ、リフィル様……」

リフィル「そう……。よく解らないけど、またバカなことをやらかしたのね。
 貴方達も、もう3年生よ。そろそろ上級生としての自覚を持って行動するよう努めなさい」

ゼロス「くううっ! 相変わらずクールビューティーなリフィル様! だけどそこがたまらず素敵……」

リフィル「そんなことより、ついさっき今年度のクラス分けが決定したの。
 あとで正式に発表と掲示があるけど、ちょうど良いから貴方達には一足先に教えてあげても良くてよ。
 何か聞きたいことがあればだけれど」

ロニ「さすがリフィル先生、気が利きますね!
 といっても俺は、ナナリーと同じクラスでなければ誰とでも……」

ゼロス「それじゃあ俺様も、しいなと同じクラスじゃなかったらOKよ?
 しいなと一緒じゃ、おちおち女の子に声もかけられないからなぁ。あいつとクラスが離れてれば、とりあえずは安泰…」

リフィル「あら、残念ね。貴方としいなはめでたく同じクラスよ」

ゼロス「うい!? マジですか……」

ロニ「なっはっは! 運が無えなぁ、ゼロス! これで今年のモテ王はこのロニ様に決定…」

リフィル「そして貴方は、ナナリーと同じクラスね」

ロニ「ってそりゃ無いでしょう!!」

リフィル「あら、クラス分けに作為的なものは無くってよ?
 そもそもこの学園は生徒の人数も少ないし、3学年合わせてどうにか2クラスが作れるだけなの。
 特定の誰かと同クラスになる確率は50%、同じくならない確率も50%よ。そうそう思い通りにはいかないということね」

ロニ「シビアな考え方ですね……」

リフィル「あら、事実を述べたまでよ。貴方達も文句ばかり言っていないで、事実を事実として受け止めなさい。
 いいじゃない。しいなもナナリーも、とてもいい娘よ。きちんと仲良くしなさい。……2人とも、よくって?」

ロニ
ゼロス
「はい……」


そうしてバカ2人がバカらしく説教されている頃……。
今回ひたすらに蚊帳の外だった、新1年生として入学した男子生徒の様子といえば……。


イオン「なんだかほのぼのした入学式でしたね、皆さん」

ジーニアス「うん。騒がしいパーティーはちょっと嫌だなって思ってたけど、これなら気疲れもしないしね」

マオ「そうかなぁ…。ボクはもうちょっと、みんなでワイワイやりたかったケド…」

カイル「でも向こうの方は、随分騒がしかったみたいだよ? さっきは、ロニの叫び声が聴こえた気もしたし……」

リオン「まったくあのバカは……。こういった場でくらい、静かにできないのか!!」

ジェイ「その台詞、モーゼスさんにも言ってやりたいですね」

イオン「だけど僕達は僕達で、新入生同士顔見知りになれて良かったじゃないですか。
 どうやら今年入学する男子生徒は、僕達6人だけだったみたいですし」

マオ「そうだネ。まだクラス分けがどうなるかは判らないけど、とにかくみんな…よろしくネ!」

カイル「うん、よろしく!」

ジーニアス「よろしく!」

イオン「宜しくお願いします」

ジェイ「まあ一応、宜しくお願いしますよ」

リオン「フン……」


こうして、私立テイルズ学園の新学期がスタート。
新入生は男子6名、女子10名……本日入学!!



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