企画解説


そもそもだ。こういった企画は世間的に…というかネット的には、全く珍しくないものである。至極「ありふれた」ものであることは当然だ。
例えば2chなんかでも、このような最強議論を探せば枚挙に暇が無い。「一体誰が一番強ぇんだ!?」なんて話は、それこそ誰でも一度は夢想する…一般的な妄想である。
しかしネット上でのそういった議論は、あまり上手く進まないことが多い。それは何故か? 理由は色々ある。

まず、そもそも不特定多数の人間が匿名で参加している最強議論など、明確な「結論」が出る方が難しい。
なぜならある試合があったとき、Aという人が「○○の勝利」という意見を出し、Bという人が「××の勝利」という意見を出したなら…結局のところ、結論はどうなるだろう?
そりゃもちろん、相手が折れれば良い。だがどちらも頑固に「俺の意見が正しいに決まってんだろクズ!」とか言いだしたら、とてもじゃないが話し合いが収集するわけもない。
だったら多数決で決めるのが一番か? だがそれこそ匿名の状況では、多数決なんて無意味にも等しい。また、善意ある誰かが勝敗を決めやすいよう何らかのルール整備をしても、今度は他の誰かが「それは○○という作品にだけ有利で、(俺の好きな)××っていう作品には不利なルールだ。○○厨は帰れボケ」などと言い出す始末…これでは、もはやどうしようもない。

そんな中でどうにかこうにか万人が納得する勝敗を出そうと思ったら、各キャラの攻撃力や防御力といった基本能力だけを明確なテンプレートとして提示し、キャラの「性格」「戦術」などの部分は考慮の外に置き、機械的に「どちらが上であるか」を選別するような方法しか残されていないだろう。といっても、そうやって結論を出せること自体が、もはや驚嘆なのだが。

とにもかくにも、上記の通り……こういった命題はルール整備をガチガチに固めないと、多人数での議論には収集が付かないのがニュートラルである。
それこそ「A」という意見と「B」という意見がぶつかったとき、「AとBのどちらが正しいか」なんてことは誰にも解らないのだから。
いくら頭の中で「最終的に、天津飯とクリリンはどちらが強くなったのか?」を夢想したところで、両者が戦った描写が後半に存在しない以上、その「正しい答え」を導き出すことは不可能だ。 同じ作品同士のキャラでもあるにも関わらず、また作中で「人類最強=クリリン」という台詞があるにも関わらず、そんな議論が勃発して個々人により意見が違うのが現状…これでは、同時に描かれること…ましてや戦うことなど99%あり得ないような別作品にまたがったキャラ達の勝敗など、どう足掻いても「正論」など存在せず…もはや『スマブラ』や『バトスタ』など冗談みたいな参考文献を持ち出すくらいしか手は残されていない。だから「最強議論は結論が出ない」というのは、最初から仕方のない話なのだ。

そもそも「正論を出す」ことは最初から不可能である……が、しかし「議論をまとめる」ことだけなら、実は簡単というのが面白いところ。
もちろん匿名掲示板上の議論では、その「議論をまとめる」こと自体が不可能だったりするが、そこは個人サイトの有利……答えは至って単純である。
つまりそれが、オレが今回この企画で採用するにいたった「裁判制度」なのだ!

要するにある試合に関しては、主に2種類の意見が存在するのが普通だ。「Aが勝つ」もしくは「Bが勝つ」という2種類が。
そしてこの両者は、「弁護士」と「検事」に相当する。お互いがお互いに、キャラごとの能力から「これがこうだから、こちらが勝つ」という意見をぶつけ合い、議論する。
で…だ。つまりその両者の議論から「最終的な結論を出す人間」がいれば、それで結論は決まるって話だろう?
弁護士と検事のうち、明らかにどちらか片方の理論が優勢ならばそれで良し…結論は決まる。
だが両者の意見が拮抗して普通なら判断不能なところを、しかし「強引に判断する」役回りの人間がいれば、もはや「勝敗が決まらない」ことは理論的にあり得ないのだ!

というわけで、今回の企画で採用してある「裁判制度」の肝になるのが、裁判長…つまり企画総監督の「オレ」の存在である。
弁護士・検事である皆…そして、結論がどうにも付かなかった場合のみ判断を下す裁判長。この構図なら、議論不決着を完璧にシャットアウトできる。
コレは確かに強権だ…が、これこそが最良であることを認めなくてはなるまい。

おっと、もちろんオレ個人にも「意見」はある…が、これはあくまで「皆の意見」と同じ意味しか持たないことを断っておこう。
これは「裁判長がそう言っているのだから、もう結論は決まりだね」という話ではないのだ。そんなことが望みなら、最初からオレ一人で勝手にやっている(笑)
オレの権力が発揮されるのは、あくまでも「議論が割れた」ときの最終手段。基本は例の通り、オレを含めた「皆の議論」によって勝敗を求めていく……というわけだ。

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