試合会場生観戦記
9月29日 MA日本キックボクシング (後楽園ホール)
○増田博正 TKO ファイティング前沢●
静刃:J-NETWORKとMAの王者対決です。
室長:王者対決と言ったって、現状では増田の方が間違いなく上なんだろう?
静刃:あえて否定はしません。前沢の客観的な実力査定の場とも言えます。
室長:チャレンジマッチと言ってもいい・・・。
静刃:ですが、前沢は1R開始直後から積極的に攻め、右ストレートでダウンも奪いました。
室長:何だと?
静刃:おお、「前沢大ブレイクか」とも一瞬頭に浮かびましたよ。ですが2Rに入ると増田は戦法を変えて、ローキックを主体にしてきました。右のローを膝関節あたりに集中して叩き込み、遂にはダウンを奪い返しました。
室長:おいおい、それって・・・。
静刃:はい(笑)、室長の嫌いな「ローばっかりでダウン取り」です。その後もローの連打で再度のダウンと、ヒジでの切り裂きを見せた増田が完全に主導権を取り返しました。
室長:「ローばっかり」ってのは露骨に「追い込まれた!なり振り構わずいくぞ」と体中で表現してるように見えるからなぁ。
静刃:このカードでは増田の方が「絶対に負けられない」闘いですからね。敵地でもあるし、許容範囲だと思いますよ。
室長:うーむ・・・。
静刃:で、結局はヒジで斬られた傷が広がり、増田がドクターストップのTKO勝ちを収めました。
室長:結局は増田の実力が上と言うわけか。予想通りだが。
静刃:前沢にとっては課題が多く残された一戦でした。下からもイキのいい選手が出てきましたからウカウカしてられません。

○花戸忍 判定 きんぞ〜●
静刃:通称「東金モンゴル軍団」こと千葉忍改め花戸忍、対するは入場パフォーマンスが少しクドイがゴングが鳴ればハードパンチャーと化すきんぞ〜、私的に注目の一戦です。
室長:3分4R?なんか半端だな。
静刃:MAではよくありますよ。試合展開はというと、お互いに拳には拳、肘には肘、蹴りには蹴りと真っ向から打ち合うある意味わかりやすい展開でした。
室長:「わかりやすい」とは技術的というよりも単純な攻防を連想してしまうのだが。
静刃:確かに消耗戦の印象もありましたけど、技のキレというのもありましたよ。特に花戸は常に相手より強く、鋭く入れているようでした。
室長:それだと時間の経過につれ、差が目に見えてくるんじゃないか?
静刃:確かに。結局今年に入って波に乗ってる花戸が1Rに1回と4Rに2回のダウンを奪って勝利しました。
室長:フェザー級ということは・・・。
静刃:はい、前沢や増田あたりの階級で、「イキのいい選手」です。タイトル戦線に名を連ねるまで上っていって欲しいですね。

9月16日 新日本キックボクシング (ディファ有明)
○チャーンヴィット・ギャット トー・ボー・ウボン TKO 武田幸三●
静刃:・・・。
室長:・・・。
静刃:えー、そういうわけで武田も初防衛なりませんでした。
室長:本当に残念だ。
静刃:チャーンヴィットはセコくポイントを稼ごうと言うわけでもなく、真っ向から打ち合ってきましたよ。武田と同様「倒さねば勝てない」と考えていたようです。
室長:で、武田の方はどうだったんだ?
静刃:サウスポー相手の練習を積んだとはいえ、やはりやりにくそうな雰囲気が窺えました。それでもローは右内股にいいのを結構入れてましたよ。
室長:ローで動きを止めてパンチに繋げる。定石通りか。
静刃:ところが2Rに左ストレートを顎に喰らって痛恨のダウンです。結果的にこれが大きく響いてしまいました。
室長:響いたって、判定じゃなかったんだろ?
静刃:そういう意味じゃなくって、攻め方に若干狂いが生じた様です。
室長:攻めに狂い?
静刃:はい、パンチの踏み込みと言うか、タイミングと言うか。
室長:相手の方が上手く外してたんじゃないのか。
静刃:かもしれません。そして3R、左肘で右目頭辺りを斬られ、かなりの流血をしてしまいました。
室長:目の近くを斬られたんじゃ、もう終わりだろ。
静刃:普通だとそうなんですが今回ばかりは願いましたね、「頼むから続けてくれ」って。多分会場にいる殆どの人がそう思ってたはずですよ。
室長:だから、そういう考えは危ないって。
静刃:チャーンヴィットも逃げに回らず、引き続き打ち合いに応じてくれましたよ。
室長:傷口も含めて、だろ。
静刃:当然そうですね。そして3R終了後、正式にドクターストップが宣せられました。
室長:完敗か。
静刃:結果から見るとそうなりますが、内容的にはかなり高レベルの僅差でしたよ。後楽園でもラジャでもいいから再戦を望みたいですね。
室長:ところで、武田にはK−1中量級への参加が噂されているが?
静刃:個人的な意見ですが、見送って欲しいですね。「肘無し」のK−1ルールは「打倒ムエタイ」を目標とする選手にしてみれば回り道どころか横道ですよ。
室長:しかし、武田との対戦を熱望する・・・。
静刃:「用があるなら、お前が来い」とでも言ってやればいいんですよ。
室長:おいおい。
静刃:アイツは我々「後楽園のファン」を嫌ってますからね。そんなヤツは私だって嫌いです。
室長:だったら「アイツ」の公式サイトに、その旨を書き込んでやれよ。
静刃:買い被らないで下さい。私にそんな度胸があるわけ無いでしょう。

9月8日 NJKF (後楽園ホール)
 NKBライト級トーナメント
○野崎勇治 判定 高野洋一●
○ソムチャーイ高津 KO 飯田誠一●
静刃:この2試合は共に「組んでのヒザ攻撃」が勝利の決め手となりましたが・・・。
室長:「組んでのヒザ攻撃」いわゆる「首相撲」か。最近凝ってるそうだな。
静刃:凝ってるって程じゃ・・・。注目しているのは確かですが。
室長:それでどうなんだ、KOと判定の違いは。
静刃:はい、高津の場合はしっかりと相手の首を抱え込み、振り回した上でヒザをボディに叩き込みましたが。
室長:ほう、まず「崩し」から入って効果的な技に入ったというか。
静刃:ううむ、的確な表現ですね。しっかり体勢をコントロールして打ち込んでました。そしてとどめは顔に強烈なヒザの打ち上げですよ。
室長:きっついな。
静刃:ほとんど「ハメ攻撃」ですね。それでも立ち上がってきましたから、飯田も大したもんですよ。
室長:野崎の場合はどうなんだ?
静刃:こちらは「首相撲」とは言い難いですね。組み付いてブレイクがかかるまでの間にヒザを打つと言う感じで。
室長:膠着に近い?
静刃:うーん、でも判定はそのヒザも考慮に入ってたみたいですね。
室長:判定狙いだったのか。
静刃:結果的にはそうなってしまいましたね。本人はマイクで反省をアピールしてましたけども。
室長:好対照の結果となったわけだな。
静刃:高津のはもう熟練の技とも思える斬れ味でしたね。SAMURAI!でまた見るのが楽しみですよ。

9月7日 全日本キックボクシング (後楽園ホール)
○小林聡 KO テーパリット・シットクグォンイム●
静刃:やったやりましたやってくれましたよ小林が。
室長:ああ、本当に・・・
静刃:現役のラジャダムナン王者に完璧なKO勝ちですよ。本当に凄い、凄すぎる!
室長:確かに快挙・・・。
静刃:いゃー、最初はのうちはちょっとヤバイかなーとも思ったんですよ。打ち合いで手数は勝っているのにダメージは小林の方が明らかに深いようでしたから。タテ肘まで仕掛けてきましたからね。
室長:それはつまり・・・。
静刃:そう、テーバリットの方が一発の重みがあったんですよね。ですけど、中盤に小林が相手の頭部を斬ってから完全に流れをつかみました。
室長:カットと言えば、先のサッダム戦では・・・。
静刃:はい、そこからラッシュを許して判定負けに甘んじたんですが、今回は違いますよ。その時の苦い経験をしっかりと糧にして、相手の攻撃を見切りながらどんどん攻めて行きましたからね。
室長:うーむ。で・・・。
静刃:遂にダウンを奪いました。後はラッシュラッシュラッシュで3Rを圧倒。そして4RにKOです。
室長:たいしたもん・・・。
静刃:ええ、その瞬間ホールは大爆発ですよ。新日本の武田がラジャダムナン王座奪取した時に優るとも劣らない大熱狂に包まれました。
室長:ほう、これで・・・。
静刃:小林はライト級最強と言っていいですね。あとはムエタイのタイトルに向かって一直線ですよ。10月はルンピニーへ遠征ですからね。
室長:それってキツくないか?
静刃:・・・そうですね。1ヶ月しか間が無いので厳しいと言えば厳しいですね。
室長:急に歯切れが悪くなったな。
静刃:ええ、あれ程の激戦の後でしたから小林は少し休ませた方がいいんじゃないかと・・・。
室長:正論とも言えるが、何でそんなに変わるんだ?
静刃:いいじゃないですか、関係者の話を聞いてもっともだと思ったまでですよ。
室長:まぁ、本人次第だな。
静刃:体だけは大事にして欲しいですね。

9月2日 修斗 (後楽園ホール)
〇アレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ 一本 勝田哲夫●
室長:まいったなぁ、ノゲイラの完勝だよ。
静刃:何言ってるんですか、「雪辱を果たしたノゲイラに戸井田カツヤが挑戦するのを観たい」なんて言ってたくせに。
室長:確かに言ったけどなぁ、あれじゃ誰も勝てないぞ。
静刃:それ程ですか?
室長:1Rはスタンドでの打撃に終始。パンチだけなら互角だが、時折ノゲイラのヒザが顔にまで突き上がってきて、勝田の踏み込みを許さなかった。
静刃:ノゲイラの打撃技術は最近冴えてるそうですが。
室長:ああ。昨年の巽戦でも思ったが、ノゲイラの技術はキックの3回戦なら十分通用するんじゃないか。
静刃:・・・それはちょっとキックを軽視してませんか。
室長:・・・そうだな。訂正しよう、ノゲイラならもし本格的にキックに転向しても、さして時間をかけずにデビューできる。
静刃:まぁ、それならいいでしょう。
室長:そして2R、密着戦になったところで必殺フロントチョークが炸裂。
静刃:前回は逃げられたんですよね、3度も。
室長:今回は違うぞ。下半身がハーフガードの体勢で少し捻りも入ってたからな。大した間も無くタップだ。
静刃:でも掲示板でT一本って・・・。
室長:間違えたんだよ。細かい事にこだわるな。
静刃:いいですけど。
室長:そのフロントチョークも切れ味を増していてな、決まった瞬間は全身が総毛立って震えたぞ。でもってゴングと同時に立ち上がって拍手だ。全部無意識でやってたからスゴイ。
静刃:感動したという意味なら、羨ましいですね。私も体験したいですよ。

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