試合会場生観戦記
2月7日 全日本キックボクシング (後楽園ホール)
○サムゴー・ギャットモンテープ 3RKO 金沢久幸●
静刃:大方の予想と期待通りにサムゴーが圧勝しました。
室長:予想はともかく、何だ「期待」とは。日本人選手なのに不謹慎だろ。
静刃:いや実際、観客の殆どはサムゴーの凄さを観に来てた筈ですよ。私もそうですし。試合後はサムゴーのコーナーにかなりの人が群がってました。
室長:まあ「ちからびと」を崇め、あやかろうとするのは日本人の性ではあるがな。
静刃:今回も試合の軸となったのはサムゴーの左ミドルですね。一方の金沢はバックブローに全てを賭けてたようですが、あまり効果的ではなかった様です。
室長:ミドルキックを連射できると言うのは強みだな。
静刃:日本人選手のミドルはコンビネーション内の一撃としてですが、強いタイ人選手は「ジャブ」として使いますからね。必殺技というわけじゃ無いんですよ。確かランバー・ソムデートM16もそうだったし。
室長:威力自体が違うのに「ジャブ」扱いとはね。
静刃:だからジャブを止めたところで攻撃自体を止めたわけじゃないんですよ。
室長:どういうことだ。
静刃:3R、一度ダウンを喫した金沢が必死の上でサムゴーの左ミドルの蹴り脚を掴んで崩そうとしたところ・・・。
室長:蹴り脚を取られたら普通バランスを崩すだろう。
静刃:それが全く安定したままのサムゴーは無防備となった金沢の顔面に左ヒジを一閃!
室長:そうか、蹴り脚を取るとそちら側の顔面ガードが全く無くなる。
静刃:ダウンした金沢の表情が良く見える位置に私はいたんですが、カウント7まで意識が飛んでいたようですね。で、やっと自分がダウンしている事に気づいたんですが時すでに遅しでした。
室長:ヒジでKOとはな。
静刃:サムゴーは左ミドルの印象が強すぎますが、ムエタイの最強の武器はやはりヒジですね。
室長:おいおい、話が広がりすぎてるぞ。少しまとめてみろ。
静刃:要はジャブとしてのミドルを捌けないから簡単に他の攻撃に繋げられてしまうんですよ。日本人同士の対戦ならそれでいいかも知れませんけれど、ムエタイの超一流選手には通じません。
室長:ミドルを捌けないのは理由は考えられるか。
静刃:日本人選手でミドルを攻撃の主体とする選手がいないからでしょうね。それだから必要性を感じない。だからミドルの防御が向上しない。
室長:ちょっと観戦者としての意見を過ぎてると思うのだが・・・。
静刃:逆に言えばこれからミドルに磨きを掛けた選手が出てくれば結構のし上がれるんじゃないかと思うんですが。
室長:そう簡単にいくもんじゃないだろう。
静刃:誰も彼もが「パンチとロー、たまにミドルかハイ」じゃ面白くないですよ。サムゴーが賞賛されるのは型にはまりきった日本スタイルをブチ壊してるからでもあるからじゃないですか?
室長:もういい。好きなだけ話を広げてくれ。


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