試合会場生観戦記
7月13日 修斗 (後楽園ホール)
○中尾受太郎 2R・横三角絞め サウリ・ヘイリモ●
室長:若き新鋭の突進を真っ向から受け止めるベテラン。いい試合だった。
静刃:修斗は時折こういうカードを組みますよね。実績ある日本人ランカーvs初来日外人選手。
室長:だがペケーニョやアンデウソンの例もあるからな。軽視は出来ん。
静刃:でもこの試合は一方的だったようですね。
室長:ヘイリモのタックルを中尾がしっかりとがぶってグラウンドで有利な体勢に持ち込む。実力差は試合開始早々に明らかになった。
静刃:あらま。それじゃ楽しみ方は限られちゃいますね。
室長:1Rは中尾がマウントから腕拉ぎに移行したところで時間となった。この時点で実力差はほぼ見えたと言っていいだろう。
静刃:それじゃ試合への興味は中尾がどう新参者を料理するか、だけですね。
室長:2Rはヘイリモのタックルをがぶった中尾が綺麗に横三角へ繋げての一本勝ち。連係の見本を見ているようだった。中尾の説得力ある勝利だ。
静刃:上位ランカーの危なげない完勝ですか。
室長:確かにミドル級王座の趨勢に向けて大きなデモンストレーションになったことは否めない。中尾の次の試合はおそらく王座決定戦だろう。
静刃:言い切りますか。
室長:・・・たぶんな。

○マーシオ・クロマド 1R・TKO 村浜天晴●
室長:結構期待したカードだったんだがな。
静刃:過度な期待が空回りすることはよくありますよ。
室長:いや、そうじゃなくてな。猪木−アリ状態でスタンドの村浜が上体を起こしたクロマドの頭部を蹴ってしまったんだ。
静刃:うわー、確か村浜って、その手の前科がありましたよね。
室長:クロマドの回復を待って試合は再開されたが、そこからは雰囲気が殺伐としてしまった。
静刃:修斗に「殺伐」は似合いませんよ。
室長:結局は打ち合いの最中というか、クロマドのパンチが村浜の目尻辺りをカットしてのTKO決着。後味の悪い結末となってしまった。
静刃:それじゃ改めて再戦と・・・。
室長:いや、当分は組ませるべきではないな。クロマドは試合後もかなり興奮していたし、暫く時間を置いた方がいいだろう。
静刃:そういうものですか。
室長:そういうものだ。私の個人的見解ではあるがな。
静刃:・・・そうでしょうね。

○植松直哉 1R・腕拉ぎ十字固め 風田 陣●
室長:実はこのカード、植松が負けてしまうかもと思ってた。
静刃:どういうことです?
室長:植松がここ最近ムエタイに傾倒しているのは君も知ってるだろう。
静刃:はい、SAMURAI!の「キックの星」にも登場していました。
室長:そう。キックボクシング出身の風田に付き合って打撃の勝負に行くかと危惧してたんだ。
静刃:あり得ますね。修得した技術は使いたくなるものです。
室長:だが植松はしっかり己を知っていた。キックの技術は牽制と防御に徹し、テイクダウンからグラウンドへ移行、腕拉ぎへと繋げて極めて見せた。
静刃:自分の戦い方を知るというのは重要ですよね。
室長:最近の植松に見せられなかったことだ。これを機にライト級戦線に大きく喰い込んで欲しいものだな。


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