試合会場生観戦記
9月27日 全日本キックボクシング (後楽園ホール)
○大月晴明 4RKO アンドレ・ロンキー●
静刃:大月が堂々たる試合運びで初の国際戦を制しました。
室長:初?先のトーナメント決勝で花戸とやっただろう。
静刃:・・・そうでした。いや花戸が外人という感じがしませんで。それはともかく、今回も大月の闘いっぷりは見事なものでした。
室長:君は大月贔屓だからな。割り引いて聞かないと。
静刃:いつものようにパンチのワン・ツー、更にボディブローとローのコンビネーション。それからノーガードに近いながらも相手の攻撃を紙一重でかわすという独自のディフェンス。
室長:改めて言うほどの事か。
静刃:国際戦だから再認識したんですよ。で、ダメージを蓄積させて4R終了時にロンキーが椅子から立ち上がることができずにKOです。
室長:うーん、なんとも締まらない結末だな。
静刃:こんな時もありますよ。闘えない状態の選手に「プロなら立って闘え」なんて馬鹿なことは言えませんからね。
室長:まあ、当然の意見ではある。観客の立場とはいえ、選手の安全を考えられない愚者になってはいかん。

○ゴーンピポップ・ベッティンディー 判定 花戸忍●
静刃:花戸は初のタイ人戦で苦杯を舐めてしまいました。それにしてもゴーンピポップはやばすぎです。
室長:もう少し具体的に言ってくれないか。
静刃:タイ人選手にしては珍しくハードパンチャーで、しかも初回からKOを狙ってくる感じなんですよ。
室長:なかなか新鮮な印象で面白い選手じゃないか。
静刃:ムエタイの強豪といえばキックとヒザでポイントを稼ぐなんてイメージが強いんですけど。
室長:うむ、そんな傾向はよく聞く。
静刃:ダウンを奪った打ち抜きのヒジには見ただけで恐怖すら覚えました。それに加えて相手の攻撃に対する反応が物凄く鋭敏なんですよ。今まで多くの日本人選手を翻弄してきた花戸の変則的な蹴りが全て見切られてかわされる、間合いを殺される、動きに合わされて転がされてしまう。正直、信じられない思いです。
室長:鍛えられた動体視力と反射神経の賜物なんだろうな。
静刃:昔、ゲームセンターで格闘ゲームにはまってた頃・・・。
室長:いきなり何を言い出すんだ?
静刃:CPU戦で攻撃したら間髪無いタイミングで返されて、「こんな超反応現実にあるかー!」なんて毒づいたものですが。
室長:昔から君は無機物にしか強気になれなかったよなぁ。
静刃:・・・それはともかく、その「超反応」が現実に見られるとは思いませんでした。
室長:それにしては判定となってるが。
静刃:ゴーンピポップが4,5Rを完全に流してましたからね。こんなところはやっぱりムエタイの選手ですよ。勿論、効果的な打撃を食らわないようにしてましたけどね。
室長:実力差を見切られたってか。
静刃:悔しいけど、その通りです。こうなったら全日本キックにはこの落し前をつけて欲しいですね。
室長:落し前って、穏やかじゃないな。
静刃:「こんな凄いムエタイ選手がいますよ」で終わらせないでもらいたいですね。「こんなに凄い選手に勝った」って爽快感を味あわせてくれなきゃ困りますよ。
室長:その先は言わんでいい。大体想像がつく。

○山本優弥 3RKO 千葉友浩●
静刃:この試合はまず山本の変貌に驚きました。何と頭を綺麗に丸めてきました。
室長:ほう、剃髪して出家したのか。
静刃:いや所謂スポーツ刈りなんですけどね。外見だけでなく、ファイトスタイルも大きく変わりました。
室長:そう言われてもわからんぞ。
静刃:今までは特にKOに拘ってなかった感があったんですが、今回は「おいおい、何ムキになってるんだ?」って言いたくなるほどパンチの連打を放ってきました。
室長:同じ技一辺倒というのは確かに美しくないイメージではあるが。
静刃:同門の平谷が全日本バンタム級の王者になったことで刺激を受けたのかもしれません。
室長:なるほど、そういうことは大いに有り得る。
静刃:でもKO狙いにしても、もっとスマートなやりかたにして欲しかったですね。洗練から武骨じゃ技術的に後退のイメージですよ。
室長:技術的じゃなく君の嗜好的に、だろう。


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