赤い鳥文学賞決定 西池・自由学園で贈呈式
わが国の優れた児童文学作品に贈られる『赤い鳥文学賞』、『新美南吉児童文学賞』、『赤い鳥さし絵賞』の今年度の受賞者が決定、7月1日午後、西池袋の自由学園明日館で贈呈式が行われた。赤い鳥の会(小峰書店内・新宿区)主催。今年度の受賞作品は、第38回赤い鳥文学賞=たかしよいち=「天狗」=ポプラ社、第38回赤い鳥文学賞特別賞=脇坂るみ=「赤い鳥翔んだ―鈴木すずと父三重吉―」=小峰書店、第26回新美南吉児童文学賞=本多明=「幸子の庭」=小峰書店、第22回赤い鳥さし絵賞スズキコージ=「旅ねずみ」=金の星社。
赤い鳥文学賞に選定された「天狗」は、古来から日本人に親しまれている天狗についておおらかに面白く語られたファンタジー。受賞者のたかしよいちさんは「80歳にして赤い鳥文学賞をいただけるとは思わなかった。身に余る光栄。新たな元気が湧いてきました」と受賞の感想を述べた。また、創刊者・鈴木三重吉の娘すずさんの半生を語った「赤い鳥翔んだ―鈴木すずと父三重吉―」で特別賞に選定された、脇坂るみさんは「『赤い鳥』創刊90周年の年に受賞できて嬉しい。この賞を励みに今後も精進したい」と語った。
本多さんは「目白の地での授賞式に縁を感じる」。スズキさんは「日本の誇るべき世界『挿絵』での受賞がすごく嬉しい」と語った。
童話童謡雑誌『赤い鳥』は、大正デモクラシーを背景として大正7(1918)年7月に、当時夏目漱石門下の逸材と呼ばれていた鈴木三重吉が、現在の豊島区目白で創刊した月刊の児童文芸誌で、北原白秋らの献身的な協力を得て、わが国の近代児童文学の基礎を築いた。昭和11(1936)年の三重吉の他界とともに廃刊したが、「子どもたちのために芸術として真価ある純麗な童話と童謡を創作する」という三重吉の理想と、児童文学界に残したその功績は今も色あせてはいない。
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