民の情報紙
株式会社
豊島新聞社
TEL
3971-0423
FAX
3986-4244

 情報・投稿
購読申込み
購読料
3ヶ月2,700円

2006年11月

第2701号 2006年11月29日号  
高野区長、3選出馬表明  
    「改革をさらに進め」   第4回豊島区議会
  高野之夫豊島区長は来年4月の豊島区長選挙への3選出馬の意向を明らかにした。28日、第4回豊島区議会の一般質問で副島健区議の質問に答えるかたちで表明したもので、「改革をさらに進め豊島の発展に取組み、皆さんの期待に応えたい」と意欲をあらわした。豊島区議会は24日開会、12月8日までの15日間。初日、高野区長は、1いじめを原因とする自殺予告文書への対応、2地域文化を活かしまちづくり、3地域区民ひろば、子どもスキップの展開、4としま未来への戦略プランーーを柱に招集あいさつ。1と4の要旨を紹介する。
いじめ自殺予告への対応 
 先月から今月にかけて、いじめを苦に小・中学生が自殺するという痛ましい事件が、全国で相次いでおります。
 そして、既にご報告したとおり、今月6日、いじめによる自殺を予告する手紙が、文部科学大臣のもとに届けられました。差し迫った11日の自殺予告、そして豊島郵便局管内で投函された可能性が高いということで、大きな衝撃が走りました。
これを受け、教育委員会では臨時校長会を緊急に開催し、指導主事が全校を訪問するなど、即座に対策を講じました。「いじめは絶対に許さない」「かけがえのない命を守るためにはあらゆる努力を払わなければならない」との決意のもと、すべての区立小中学校において、児童・生徒一人ひとりの状況の把握と指導を徹底しました。
 また、民間の警備員や警察署員による学校周辺の巡回を強化するとともに、子どもスキップを初めとする公共施設、そして保護者、地域の皆さんなど、子どもの生活にかかわるあらゆる関係者に呼びかけ、予告された事態を回避すべく、全庁をあげて臨みました。
 11日と12日には、校長と教員が学校内を巡回するとともに、深夜から未明にかけては、警察や警備会社によるパトロールを行いました。また、10日からの3日間は、「命を大切にして欲しい」とのメッセージを込め、廃校になった学校を含む全ての校舎の一階部分を終夜点灯し、事件発生の抑止に努めました。
幸い、今日まで、恐れていたような事態は起きていません。また、14日になって届けられた同一人と思われる手紙の内容からすると、今回のケースは、区内のものではないと思われます。
 しかし、今回の手紙の真偽がいかなるものであろうとも、子どもの自殺が全国で相次ぐという事の重大性を踏まえ、豊島区においても、いじめへの対策を強化し、教員と学校、教育委員会、そして区政全体への信頼を揺るぎないものとしなければなりません。
 対策の手始めとして、先週15日から、直接、子どもからの声を教育委員会が受け止める「いじめ相談電話」を開設するとともに、教育委員会宛てのメールアドレスも公開いたしました。また、区立小中学生9,700名全員に、教育長宛ての葉書を配る準備も進めております。
 大切なのは、たとえ隠れて見えにくいものであっても、いち早くいじめを発見し、継続させず、決して許さないということであります。
 今後とも、定期的な調査により、実態の把握に努めるとともに、改めて教員の研修を徹底し、保護者や地域と協力しながら、いじめを早期に発見し、本気で子どもと向き合い、解決していく力を高めてまいります。子どもたちに対しても、命の尊さや他者への思いやり、そして人間関係の“楽しさ”と“難しさ”の両面を学ぶ機会を増やしてまいります。
 そして、いじめを発見した場合には、学校と教育委員会、そして保護者が常に情報を共有し、子どもの立場に立って、きめ細かに対応し続けるシステムを構築してまいります。
 未来への戦略プラン
 さて、先の定例会でも申し上げましたが、“負の遺産を克服するための改革”に続く、“未来をひらくための改革”の道筋を明らかにすべく、現在、「としま未来への戦略プラン」の取りまとめを急いでおります。
これは、「文化と品格を誇れる価値あるまち」の実現に向け、文化、健康、都市再生、環境について、10年後の将来ビジョンと取り組みを示すものであります。
 区民生活を支える、福祉と教育、子育て、そして安心・安全は、区政にとって基本的な使命であり、今後も、基本計画に基づき、サービスの質的向上に努めてまいります。そして、その使命を果たし続けるためにも、新たな成長と活力を生み出す“未来戦略”が必要なのであります。
 昨年度の「プラン2005」に続き、今後、新たに策定するプランでは、行財政改革だけではなく、将来に向けた都市経営の指針であることを明確に打ち出すため、「行財政改革プラン」の名称を「未来戦略推進プラン」に改めることといたしました。年次についても、基本計画の実施計画としての位置づけも踏まえ、「2006」を1年進め、「2007」といたします。
 “未来戦略”については、この「2007」の中に位置づけ、12月中旬には、その素案をお示しする予定です。
第2700号 2006年11月22日号  
フォトコン受賞者決定  ふくろ祭り
 マスコットはYosaふくちゃん
 
東京よさこいを加えて池袋のお祭りから豊島区、そして東京を代表するイベントとして大きく発展してきた「池袋西口ふくろ祭り」。18日午後2時から第38回ふくろ祭りのフォトコンテストの受賞者表彰式、あわせてマスコットキャラクターの愛称発表が東池袋・区立生活産業プラザの多目的ホールで行われ、金賞の草野保治さん(千早4)ら26人の入賞者に高野之夫区長から賞状と賞金などが渡された。またこれまで名前のなかったマスコットの愛称は300を超えた一般からの応募の中から「yosaふく」ちゃんと名づけられた。フォトコンテスト入賞作品は21日から池袋東口・ビックカメラ2館階のセミナールームで2週間ほど展示される。受賞者は次の通り。敬称略。
▽金賞=草野保治
▽銀賞=加藤大雅、斉藤功
▽銅賞=石川忠男、西川善雄、里吉健治朗
▽入選=横山宣明、渡辺芳克、中野正則、斉藤英一、高野志朗、永島敏夫、永井和博、竹中伸浩、太田義伝、井上誠、石崎建二、井上佳計、池口保、青山光芳、野村明雄、品川明雄、田崎友則、西川善雄、三好紘一、能登正俊
第2699号 2006年11月15日号  
"いじめ自殺"緊迫の日々
         日高豊島区教育長に聞く
 11日にいじめ自殺を予告した手紙が6日文部科学省に届き、区内の郵便局に投函された可能性が高いと7日に発表されてから緊迫した1週間が過ぎた。13日、日高芳一教育長に話を聞いた。
―今回の事件を振り返ってどう感じましたか
「この手紙のようないじめは豊島区には無かった。しかし今後も、いじめはどこにでもあるという認識で把握していかなくてはならない。学校に勤務するすべての職員にアンテナを高くして欲しいと話している」
―都知事はいたずらと言っていますが。
「都知事は物書きで、筆跡や使われている言葉を見ればある程度の事が分かるのだろう。言っていることは正しいかもしれない。しかし教育者である私達は、そうは言えない。当事者意識を持たないと子どもたちを救うことはできないから。それよりも『豊』とつく郵便局は21都道府県にある。『豊島』と発表されてから、他の地区で手をゆるめてしまうのでは、と心配だ」
―今回の件で、いじめについての再点検が行われたのですね。
「そう、いろいろな発見があった。これからはいじめに敏感になり、また、許さないという方向を確認した。そして子どもの気持ちを考えるだけでなく、様子を見る。目が泣き腫れていないか、など。また、親ももっと良く子どもを見て欲しい。『木のそばに立って良く見る』のが親。いじめがあれば必ず何かの変化があるはずだ。しかし今回、行政内部ですぐに連携が出来たことは良かった。また、南長崎3丁目南部町会(岩井昌治会長)が椎名町小周辺を見回ってくれた。本当に感謝している」
―自殺の連鎖が、先生にまで及んでいるようです。
「自殺した小学校の先生は非常に責任を感じたのだろうが命の大切さを教える教師が、こういう責任の取り方は良くない。私も最悪の事態を夢に見た。でも、どうしても頭を下げることはしたくなかった。そうならないために最善を尽くす。謝って済むことではないから」

これまでの経過
11月7日(火)
 都教委から予告文の情報が区教委に入る。区教委は各学校からの聞き取り及び指導を開始した。臨時小中学校校長会を開催。近隣区教委及び区内私立中学校へ情報提供し、私立学校でも調査開始。
8日(水)
 区教委、各学校状況の集約、臨時教育委員会開催。指導主事による中学校訪問と指導。該当児童生徒の確認作業。都教委の緊急アピール周知。臨時校長会の開催。保護者宛通知文の作成。都教委への調査報告。3警察への巡回依頼・巡回強化。警備会社との調整し、午後6時から委託パトロールが小・中学校を巡回
9日(木)
 区教委は各学校状況集約し、臨時校長会。「該当ケースなし」と発表、保護者宛通知文配布。指導主事による学校訪問と指導。危機管理課、子ども課、ひろば課、広報課と連携・協力体制つくり、子どもスキップ等との連携強化。
10日(金)
 各学校状況の集約。指導主事による学校訪問と指導。この日までに学校では、全体集会やホームルームで「命の大切さ」「思いやり」「いじめ」についての講話。学年・学級におけるいじめについての指導、道徳の時間における「生命尊重」「思いやり」を題材とした授業、保護者への通知配布、アンケート調査の実施による児童・生徒理解、個別指導による相談の実施。10日〜12日は午前0時から24時間、警察による巡回が行われ、警備会社による夜間巡回を強化した。また校舎1階終夜点灯。
11日(土)
 学校管理職・主幹待機教育委員会事務局は待機。指導主事が学校訪問する。
12日(日)
 学校管理職待機、教育委員会事務局待機。指導主事が学校訪問し、学校状況の報告を行う。
 テーマは「いじめ」
          城北地区中・高生討論会
11月11日、池袋警察署講堂で城北地区「中・高等学校生徒代表討論会」が開催され、高校生による熱論が繰り広げられた。参加したのは、芝浦工業大学、城西、貞静学園、駒込学園、立教池袋、駿台学園、豊昭学園の7校から19人。
 当初のテーマ「ファーストフード」は急きょ「いじめ」に変更となった。司会の立教池袋高校生徒会・高木君は「今、いじめについての報道も多く、私達にとっても身近な問題になっています」と挨拶。最初は口が重かったが、いじめられた、いじめた経験から話を始めた。
 ある生徒は「中2年の頃、はしゃいでいたら、みんなに押さえつけられ叩かれ、みだらな行為をされた。でも、その事があってから自分のネガティブ思考が変わったと思う。気にしなければ良い、とポジティブになったらいじめもなくなった」と話した。その他、無視されたり、悪口を言われたり、輪ゴムを当てられたりという体験が語られた。一方、「中3の頃、友人と一人の子をからかい、だんだんエスカレートしてしまった。自分ではいじめているつもりはなく、認識が違うものだと思った」といじめた経験を語る生徒もいた。
 解決策については「いじめられっ子にも悪いところがある。自分を変えていく必要がある」「何も悪いことをしていないのにいじめられる場合、周囲の理解も必要なのではないか」「相手の事を理解するのは大人でも難しい。いじめっ子に言われたからと言って、その通りに自分を直すのもおかしい。もっと、『自分はこう』と主張していくことも必要なのではないか」など、一人ひとりが言葉を噛みしめるように発言した。「第三者が両方にかかわって話を聞いたり、慰めたりすることが良いのでは」と発言した生徒は、実際にいじめられっ子の相談に乗っているという。また、クラスのリーダー役や慕われている先生に説得させるといった案も出た。
 先生方にも意見が求められ、駿台学園の藤江教諭は「最近のアンケートでは『いじめは悪い』という認識が、小、中、高校と学年が上がるにつれて薄れていく傾向が見える。しかし、『太っているから』といじめられて良い訳がない。先生も相談されれば何とかしようと思う。しかし直接相手に話しても、『告げ口した』ということになるだろう。だから、両者を監視、『見ているよ』とアピールし、カウンセラーと連携しながら少しずつ関係が変わるのを待つ」と回答。
 11日に自殺すると予告した手紙にも触れ、「手紙を書く勇気があるなら、自殺をやめて」「その人の死でみんなが何かに気づけば、死も無駄にはならない」などの意見が出た。池袋警察署の生活安全課長は「自殺は多くの人に迷惑をかける。すぐに結論を出してはいけない」と語りかけた。池袋警察署ではこの日も20人体制、パトカー2台で警戒に当たっていた。
 家族との関係、メディアの功罪についても触れ、最後まで活発な討論がなされた。教育関係者を始め、保護者もこれらの忌憚ない意見から学ぶべき事が多く、このような場が設けられていることの意義深さを感じた。
第2698号 2006年11月1日号  
 区教育ビジョン策定へ
         保護者等意識調査まとまる
          −意識・意向調査からー 
          −豊島教育ビジョン(仮称)策定に向けてー
 豊島区教育委員会はこの7月に実施した「豊島区立学校保護者等意識・意向調査」の結果をこのほどまとめた。これを参考に平成19年2月には「豊島区教育ビジョン(仮称)」を策定する予定。
 教育再生への取り組みが急がれているが、学力低下への保護者の不安、児童・生徒の安全確保、いじめ・不登校など悩みを抱える児童生徒の心のケア、特別支援教育など課題は多い。また高度情報化、少子高齢化など、時代の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う人材を育成することが重要になっている。そこで豊島区は目指すべき子ども像を示すとともに、中期的視点にたった教育施策の取り組みの方向性を明らかにする「豊島教育ビジョン(仮称)」の策定を進めている。
 この調査は区立小学校6年生と中学校2年生の全保護者を対象に、区立学校に対する評価や期待、子どもの学校外での生活状況に関して行なった。項目は、朝食、睡眠、勉強などの基本的生活や、進学目標、学校への満足度や要望、学校教育で身に付けさせたい能力・態度など19の設問。小学校(23校)、中学校(8校)の保護者(対象1964人、回答1693人、回答率86.2%)の回答をまとめた。
―意識・意向調査回答から―
 朝食と睡眠時間、運動と睡眠時間の結果がおもしろい。睡眠時間が長いほど小・中学生ともに朝食を「毎日食べている」割合が高く、運動についても同様に睡眠時間が長いほど、毎日「ほとんど運動をしている」「週3〜4日している」割合が高くなっている。睡眠時間8時間以上は小学生では71.5%だが、中学生は34.7%と半減している。
 また、学習面では、家庭での学習時間が多くなるほど「学習塾」に通っている割合が高い傾向にある。小学校の保護者が考える進学最終目標が「短期大学」までの場合、区立中学校への進学希望は8割以上だが、「大学」までの場合は5割、「大学院」までの場合は3割弱に減、同時に「大学」「大学院」まで進学希望の場合、「区外私立中学校」進学希望は、それぞれの3割弱、5割強と高い割合が現れた。
 区立学校への要望として「学力の向上」「児童・生徒との対話」「教員の育成、研修」が上位を占め、重点的に取り組むべきこととしては、「国語・社会・算数(数学)・理科・英語の充実(中学)」の基礎的学力の定着を望むと同時に、青少年の規範意識の低下や重大事件の発生などを反映してか「道徳教育の充実」への要望も小学校で28.3%、中学校で26.7%と高くなっている。
―豊島教育ビジョン(仮称)策定に向けて―
国語力の育成、理数教育や外国語教育の充実を通した「確かな学力の育成」、「体育・健康教育の推進」、心の教育の充実やキャリア教育の推進など「豊かな人間性の育成」、「教員の資質・能力向上」、「信頼される学校教育、学校運営の推進」等を柱に、今調査で明らかになった学校教育への要望を参考にしながら、教育課題検討推進委員会で検討する。