28.『中つ国筋肉博覧会』

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「‥‥こっ、ここがあの世界中の筋肉が集まるという筋肉の聖地、筋肉博覧会‥‥!!」
 生きた芸術作品の如く会場のあちこちでポージングを決める兄貴達に心を奪われながら、破壊神邪威闇の申し子・嵯峨禰(w2e782)がウットリした様子で、手に持った亀の形をした謎のカラクリをいじる。どうやらこれを使って嵯峨禰は、心のメモリーに兄貴達の勇姿を記録する事が出来るらしい。
(「俺は今日という日を忘れない」)
 満足げな様子で心のメモリーに兄貴達の勇姿を記録し続けながら、嵯峨禰の心が次第に兄貴色へと染まっていく。
「さいどとらいせっぷす? もすとますきゅらぁ? ‥‥わからん」
 様々なポーズを決めて微笑む兄貴達のオブジェを見つめ、眠り獅子・毘沙門(w2b202)が首を傾げて考え込む。どうやら毘沙門の知らない専門用語が数多く飛び交っているらしい。
「殲鬼は祭りを邪魔しようとしてるんだよな? 手段は見当つかないが‥‥とりあえず、妨害される前に見つけ出さないと面倒な事になりそうだ。まぁ、大腿筋にずいぶん自信があるって話だし、会場の中に忍び込んでいたとしても見つけやすいかな?」
 筋肉博覧会の会場でポージングのチェックをしながら、緋色の悪夢・影刃(w2f257)が大腿筋の発達してる兄貴を中心に殲鬼の当たりをつけておく。
「みんな素敵なの♪ もっと笑顔でこっちを見て☆」
 そう言って神筆・憂斬(w2d728)は兄貴達を集めると、筋肉の躍動すら感じるような素敵な絵を描きまくる。
「今回は気合を入れていくぜ!」
 屋台の前に長蛇の列が出来たため鬼面仏手・孫の手(w2b894)が阿修羅のごとくうどんを茹でる。どうやら筋肉祭りの時に観客達の食べた筋肉うどんの噂が広まった事で、かなりの話題を集めているらしい。
「いっでええええっ!!」
 亀裸に挟まれ悲鳴を上げ、嵯峨禰がジワリと涙を流す。
「ちくしょー!! 歌ってやるーーっ!! はあるかああああ〜〜♪♪」
 そして嵯峨禰は衝撃波にも匹敵する破壊の歌を歌いながら、色々な意味で筋肉博覧会を盛り上げた。

「あたしのこの超絶なまでの美貌と抑えることの出来ないフェロモン全開でみんなを悩殺するわぁんv 見て! あたしを見てぇぇぇぇぇんv」
 匂い立つほど凄まじい大量のフェロモンを放出しながら、センシ族の狂剣士・紗万鎖(w2e872)が観客達にむかって溢れんばかりの愛を振り撒き微笑みかける。
 それはさながら黒魔術。
 ふるーてぃな香りと共に、死後の世界まで焼き付いて離れないほど、素敵でメルヘンちっくなポージングを観客達の心に勢いよく叩き込む。
 その光景はまるで地獄絵図のごとく凄まじい。
「折角の阿貪とのハネムーンで筋肉博覧会に来たのに殲鬼が現れるとはな。だが相手が誰だろうと筋肉勝負で負けるわけにはいかねぇ。阿貪を口説き落とした自慢のハネモノで、殲鬼を負かせてみせるぜ!」
 ハネムーンで筋肉博覧会へとやってきた限界への挑戦者・紅ひげ(w2a930)は、チケットと交換で手に入れた超絶『倫』を一気に飲み干し拳を握る
「こりゃすげぇ! ハネモノに力がみなぎるぜ!」
 天上天下唯我独尊とばかりに天を突き、紅ひげのハネモノが彼と魂の会話を交わす。
「‥‥そうか。お前もお気に入りってわけだな。よし、あとで土産に買っておくか」
 そう言って紅ひげがハネモノの頭を優しく撫で、まるで親子のように仲良く歩く。
「‥‥アニキがオカマも守備範囲だったとは驚きよねぇん。お弁当の威力かしらぁんvv」
 以前の依頼で罵嵐と恋人同士になった怪士・玖狼(w2d414)は、嬉しそうに彼と腕を組みながら辺りをそっと見回した。
「それにしてもこりゃキクな。思わず前屈みになっちまうぜ」
 困った様子でテクテクと歩きながら、罵嵐が玖狼に愚痴をこぼす。
「大丈夫よぉん♪ そのくらいだったら‥‥ううん、なんでもないわ。後でね♪」
 嬉しそうに罵嵐と一緒に腕を組みながら、玖狼が美しい筋肉のオブジェに心を奪われる。
「ははっ、期待しているぜ。それよりそろそろ弁当でも食うか。やっぱお前に食わせてもらう弁当が一番ウマイからな」
 豪快な笑みを浮かべ、罵嵐が玖狼の肩を抱く。
「(あとで旦那に謝らないと駄目になりそうね)」
 これから始まる愛の予感に胸をときめかせながら、玖狼が旦那の顔を思い浮かべてクスリと笑う。
「ふたりとも知ってるか? ここには筋肉祭りの時に優勝した朧の像があるんだぜ。なんでも彼の筋肉を称える像らしい。しかも、この像は‥‥」
 既に玖狼達が別の場所へと移動しているにも関わらず、嵯峨禰が兄貴達のモニュメントについて語りだす。どうやら玖狼達がいなくなった事を、彼はまだ気づいていないらしい。
「‥‥あれ?」
 そして嵯峨禰は辺りを見回し驚くと、悲しげに楽器を鳴らして大きな溜息をついた。

「‥‥さすが筋肉博覧会。みんな凄い筋肉よね」
 満面の笑みを浮かべて様々なポーズを披露している兄貴達に微笑みながら、筋肉博覧会のイベントガールとして参加した春陽の黒曜姫・伽螺(w2a112)がぼう〜っとした様子で会場を歩く。
「ヒカルの郷での筋肉博覧会を、孅鬼・美琉惰亞が邪魔してくるんですねぇ。わたしの自慢の××筋肉は‥‥見せれる所では無いのでぇ、孅鬼への完全なトドメの時等に使用するのですわん」
 紅ひげと極秘<絶倫>トレーニングに終え、ばゆゆんな爆乳温泉嬢・愛流雨(w2c653)が紐水着を着て兄貴達を誘惑する。
「もう‥‥駄目だぁ‥‥」
 相変わらず<絶倫>する前から暴発しまくりの状態で弾切れする阿貪。
「そんなに落ち込むな。俺がお前のハネモノを鍛えてやるよ」
 紅ひげもそんな阿貪に肩を貸し、優しく彼を慰める。
「‥‥俺もアニキのハネモノみたいな艶のある見事に反り返ったハネモノが欲しいぜ!」
 羨ましそうに紅ひげのハネモノを見つめ、阿貪が寂しそうに自分のハネモノを見つめて溜息をついた。
「なんだ、そのハネモノは? 小さすぎてボクには何も見えなかったよ」
 落ち込む阿貪にトドメをさすような台詞を吐きながら、ひとりの男が満面の笑みを浮かべてポーズを取る。
「あら、見かけない顔ね。他の人達ともかなり様子が違うみたいだけど?」
 そう言って伽螺は心眼をつかって目の前の男が殲鬼である事を悟ると、追い詰めるようにしながら警戒した様子で仲間達に頷いた。

「どぉ〜です〜かぁ〜」
 ステージ上で様々なポーズをとりながら、漢・筋之助(w2b265)が観客達の興味を誘う。
 筋之助はこの日のために塩辛いものや大量の水は控え、身体に水が溜まらないようにした上で褌姿になると、入念にパンプアップをしてからステージ上へと登場した。
「(‥‥あれが噂の殲鬼ですか。大腿筋以外は単なる飾りですね。あれで筋肉を語るとは言語道断です)」
 遠目に美琉惰亞の筋肉を観察しながら、筋之助が前腕の伸筋群を強調しモストマスキュラーをその場で決める。
「(このまま一気に勝負に持ち込んでみるのも悪くありませんね)」
 そう思いながら筋之助が美琉惰亞を挑発するかのように、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、総指伸筋など細かい筋肉を見せつけた。
「(やはり動揺しているようですね。‥‥無理もないでしょう。ここまで筋肉を見せ付けられて、我慢のできる兄貴などこの世に存在するはずがありません)」
 それぞれの筋肉が声高に己を主張しながら、筋之助がお互いに強調している部分を披露する。
「この私に勝負を挑むとは〜いい度胸をしているねぇ〜」
 黒光りする肉体をさらけ出し、美琉惰亞が顎を出して筋之助の事を威嚇した。
「大腿筋はなかなかに見事だ。他の者にもひけを取らないであろう。しかし、大腿筋を意識するあまり、内転筋がよくないな。大腿筋のみを見るとなかなかのモノかも知れないが、大腿部としてみると調和が取れていない。また体全体の調和も取れていない。小さな筋肉を疎かにしている所為で、身体につながりが無いのだ。残念だな‥‥」
 余裕の表情を浮かべて美琉惰亞の肉体を解説する筋之助。
 そのため美琉惰亞も瞳を真っ赤に血走らせ、筋之助にむかって飛びかかる。
「あらぁん♪ なぁんて魅力的なお・し・りv 思わず食べたくなるわねぇんv」
 色っぽい仕草で美琉惰亞の傍へと近づきながら、紗万鎖が蛇眼まじりのウインクを彼にむかって解き放つ。
「ぐぬっ‥‥」
 それと同時に美琉惰亞の動きが封じられ、紗万鎖が怪しい笑みを浮かべて念浮遊を発動させる。
「きゃーv 素敵よぉんv」
 感動した様子で紗万鎖にむかって微笑みながら、玖狼が嬉しそうに手を振った。
「ふふふっ‥‥イクわよぉん♪」
 景気づけのばかりに尻の筋肉をピクピクとさせながら、上空からノーパンチャイナ姿で尻から落下する紗万鎖。
「のわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 自分の顔面にむかって着地した生暖かいものに悲鳴を上げ、美琉惰亞が少女のように悲鳴を上げる。
「ほらほら見てみてぇぇぇんv このあたしのキュートなお・し・りv 特別サービスよぉんvv」
 口から泡を吹いて気絶しそうになっている美琉惰亞にむかって丹念に尻をこすりつけ、紗万鎖がきゅっとお尻を締めつける。
「あいつだけは敵にまわしたくない存在だな」
 そして毘沙門は凄まじい光景を目の当たりにしながら頭を抱え、なぜか美琉惰亞に同情するのであった。

「貴様ら‥‥私を愚弄した罪は重いぞ!」
 未だに美琉惰亞の鼻周りで漂い続けている紗万鎖臭に涙を流し、美琉惰亞がどこからともなく暗器を取り出すと手当たり次第に攻撃する。
「ここは筋肉博覧会場。無粋な暴力沙汰は止め、勝負も肉体美勝負といこうじゃねえか」
 美琉惰亞の投げた暗器が頬を掠めるのも気にせず、毘沙門がクールに着流しを脱ぎ捨て水着姿になりながら大胸筋を強調すると、美琉惰亞にむかってエントリーナンバーの書かれたワッペンを素早く投げる。
「こんなもので筋肉を名乗るのか!? 筋肉勝負開始じゃい!」
 そう言って孫の手は毘沙門に張り合うようにして背中の広背筋を強調した。
「ダブルバイセップス・バック!」
 それと同時に広背筋が虎のように唸りをあげ、美琉惰亞の心に喰らいつく。
「この背中から必殺の打撃が生まれるのだっ!」
 驚愕する美琉惰亞にむかって力強く言い放ち、孫の手が相手を翻弄するかのようにポーズを取る。
「まだだ。こんなもんじゃ終わらないぜ」
 そう言って嵯峨禰は足を跳ね上げブリッジにもっていき、腹直筋、腹斜筋、大胸筋の3箇所をアピールすると敵の懐めがけて電光脚を解き放つ。
「筋肉をなめるなァーーっ!! 絶倫初伝・筋肉覇王陣!!」
 仲間達と共に全員でポージングをしながら、野性の決闘者・鬼十郎(w2b431)が爆突拳を放つと、仲間達も様々なポーズを繰り出しながら躍動する筋肉を美琉惰亞にむかって披露した。
「んふっ♪ まだ寝ちゃ駄目よ」
 お色気モードを発動させ、玖狼が武の城壁を展開する。
「ほらほら、さっきの威勢はどこに消えたんだ?」
 様々な筋肉に翻弄され筋肉恐怖症になった美琉惰亞にむかって微笑みながら、影刃が前屈み気味で上腕二頭筋を強調(ダブルバイセップス・フロント)し、やや前がかがみに横向きの体勢で両手を後ろ手に組みながら上腕三頭筋を強調(サイドトライセップス)すると美琉惰亞をそのまま筋肉地獄へと叩き込む。
「たっ助けてくれ〜」
 無数の筋肉達に追い詰められ、パニック状態で逃げ出す美琉惰亞。
「残念ね。可愛そうだけど、生きてこのステージから降りる事はできないのよ」
 韋駄天足をつかって美琉惰亞の逃げ道を塞ぎ、伽螺が蛇目を使って相手の動きを封じ込め、嵯峨禰がほとばしる汗と輝く笑顔で戦いながら蛙倒立で三角筋と僧坊筋をアピールした。
「それじゃ、いくわよぉん」
 そう言って玖狼が上着を脱ぎ捨てると、微笑みながら腹筋と背中をアピールし綺麗な生足を使って電光脚をお見舞いする。
「‥‥お前に『躍動する筋肉美』って奴を見せてやろう。喰らえ!! 躍動する筋肉美『絶倫初伝・筋肉覇王陣!!」
 再び発動された必殺技によって美琉惰亞の心にダメージを与えながら、鬼十郎が紅ひげにむかって力強く頷いた。
「<絶倫>命!」
 必要以上に巨大化しているハネモノにすべての力を集中させ、紅ひげが鬼面負裸狩でハネモノを光らせ美琉惰亞の心を恐怖のどん底へと叩き落し、新必殺技である覇兄負裸狩を使って美琉惰亞の身体を傷つける。
「いうだけあってすんげぇ大腿筋だな‥‥。ところで腿が他より太いとナニが小さく見える。あ、すまん。わざとじゃねぇんだけど‥‥傷ついた?」
 小象のように可愛らしい美琉惰亞のハネモノを馬鹿にしながら、毘沙門がすばやく美琉惰亞の攻撃をすばやくかわす。
「魂なき筋肉に、栄えたためし無し!」
 連続的に様々なポージングを繰り返しながら、孫の手が美琉惰亞の心を破壊する。
「このまま逝かせてあげるわん」
 そして美琉惰亞は愛流雨自慢の××に万力のような<絶倫>に締め付けられ、他のサムライ達に何度もどつかれながらその身を崩壊させるのだった。

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