2012年 第1回定例 一般質問
全 文 掲 載

 私、吉村辰明は自由民主党豊島区議団を代表いたしまして、昨年に引き続き平成24年第一回定例会で一般質問をさせていただきます。

 こうして、この場所に立ちますと議員各位の顔ぶれも一新し、選挙の現実を垣間見る思いでもあります。
 昨年の一般質問から早くも1年が経ちますが、その会期中には未曾有の東日本大震災がありました。あの大震災から1年になろうとしています。
 そして、今なお被災地の状況を見ますとその惨事に改めて胸が痛みます。私どもは、現実を直視し、あらゆる視点から区民のための区政をしっかりと推進していかねばならないと改めて強く思います。

 第一回の定例議会は、これからの区政の方向を決め、予算や諸事業を定める年4回の定例会の中でも極めて重要な議会でありますが、毎年経済状況は順風下にある訳ではありません。とりわけ昨年は、国内的には東日本大震災の被災と復旧・復興、原子力発電所事故、放射能汚染等々、我が国が経験しなかった災禍に見舞われ、それに加えこれまでの景気に極端な円高が重なる等により景気の底冷え感が一段と深まっており、ここにきて更に消費税問題がこれに拍車をかけている感がしております。
 また、国外においてはギリシャの財政危機から始まった欧州の金融不安の連鎖、そして、ユーロ圏の国債格付けの引き下げ等、政治・経済の国際状況はともに不安定・不透明のままであります。
 ある民間調査機関の景気予測によれば今年の当初は、前年に比べると順調な回復は見られるが、先行きは下振れとする予測をしております。
 また、国際的には、米国・欧州・新興国の経済は減速に或いは鈍化すると見ておりますが、国内では消費税や国債の格付け不安など新たな要素がこれに加わり、景気の不調一色になっております。
 こうした、社会・経済状況に明るい材料が何一つない中で、どうにかしなくてはいけないと誰もが思っていますが、どうしたらいいのか答えのないまま時間が過ぎていく感がいたします。議会人としても歯がゆい思いであります。
 連日マスコミに登場しています大阪市の橋下市長ですが、今日の閉塞状況の中、何か変わるのではとの期待を表しているとの指摘がなされております。正にその通りかもしれません。
 最近、歴代の総理大臣に関する本が多数出版されておりますが、これも、ひとつの世相を反映したものであろうかと思います。
 私も最近、田中角栄元総理に関した本を改めて読みました。政治力が問われている中、評価はいろいろあろうかと思いますが、洞察力、判断力、スケールとも偉大な政治家だと改めて思います。
 私も田中元総理のごとく、これからも、多くの課題を抱えておりますが、前に向かい、勇気と決断を持って区政の更なる推進をしていかねばと感じているところでございます。

 さて、私の一般質問には、常にサブタイトルをつけておりますが、今年は辰年、上り竜という如く「動いて伸びる」という意味がある年でありますので、気持ちも新たに豊島区がもっと、もっと元気に、発展する願いを込め、今回は『風の道をとおして いきいき豊島に歓びの詩(うた)を』といたしました。以下、高野区長の明快なご答弁を期待し質問をいたします。


 最初に、『平成24年度予算・財政、そして行政改革』について質問いたします。

 先ほど申し上げましたように、国内外の経済状況は大変厳しい状況が今後も想定されております。予算編成過程においても、どの経済指標をみても、大変厳しい状況下での予算編成をされたと認識いたしております。
 24年度予算をみますと、一般会計は、前年度比三十七億九八百万円減となる九百九十一億九一百万円で、内容をみると新規・拡充事業が23年度より約四億円ほど多く、区民の行政需要に応えるため、23年度の予算と同様、基金を活用した経済状況逆風下での積極予算であり、また、特別会計については、給付費が増えるなど社会保障負担増の問題が反映された予算ではと受け止めております。
 昨年に引き続くこの厳しき環境の下、財政規模が広がることに対する慎重さも十分踏まえ、将来を見据えた予算であると考えます。
 高野区長は就任以来、積極的に財政再建に取り組みをしてまいりました。その実績は申し上げるまでもなく数字に表れております。それに加え区長の素晴らしいのは、単に借金を減らすためにお金を貯めるだけでなく、「住んでよかった」と思える豊島区の実績に向かってあらゆる課題を推進してきたことにあると言えます。
 例えば、文化、健康、観光、都市再生を中心施策とした各事業の推進展開でありますし、更には新庁舎の建設であります。
 そして、今、新たな都市の価値として「世界レベルの住みよいまち、としま」を目指すセーフコミュニティ認証取得事業も加わっております。
 また、行政の根幹をなす財政については、直近の資料では、区の財政指標として平成26年度には、借金は二〇〇億円、預金も二〇〇億円、事実上借金がないようにする数値を目標に掲げており、その達成が大いに期待されています。
 しかし、今日の国内や世界の経済状況を見ますと大変厳しい状況であり、各自治体の予算編成も大変であったと聞いております。特に、平成23年の経済状況から平成24年度予算は一層厳しいものと聞き及んでおります。
 そこで、本予算の方針は招集挨拶等で示されておりますが、改めて議会の場で、24年度予算はどのような思いで編成されたのか、お聞かせ下さい。
 また、編成において住民税と並んで歳入の大きな部分を占めます都区財政調整交付金の状況と交付見込みはどのようであったか、お聞かせ下さい。更に、新たな政権により国庫や東京都の補助金等の状況もお聞かせ下さい。
 年も明け、経済紙をはじめ、その景気予測でも、残念ながら大方、円高・株安そして消費税問題等、「景気は引き続き低迷」と予測しております。
 こうしますと、平成25年度以降の予算編成の厳しさが一段と進むのではないかと思います。今後の収支見通しについてどのように捉えていられるのかもお聞かせ下さい。
 併せて、財政調整交付金や国・東京都の補助金・住民税等の動向はどのように捉えられているのかお聞かせ下さい。
 財政状況に直結するのが事業のあり方であります。こうした財政の悪化現象の中、現在の事業について改めて、見直しも必要になるのではと思いますがいかがでしょうか。仮に見直しについても一律カットというのではなく、私は区長が構築しました豊島区の特色事業である、例えば、文化や観光など事業の優先度を検討して、見直しにメリハリをつけることが必要と考えますがいかがでしょうか。
 また、こうした厳しい状況の中、この先の平成26年度を目標として掲げた事実上の借金ゼロという数値への影響についてお聞かせ下さい。私は、その数字等は柔軟に考えても良いもの思っております。
 私は、これまでも折にふれ区長のいう「行政改革は永遠」について言及し、積極的な取り組みを提言いたしてまいりました。
 まさに、行政改革は事態が生じたときではなく、常なる取り組みが必要であります。
 今、消費税の引き上げることについては、国家公務員・国会議員の定数削減、給料の見直しが前提との声が挙がっております。地方自治体も同様です。豊島区の多くの職員は真面目に仕事に取り組みをされていることは承知していますが、現行のままでは理解されないのではないでしょうか。
 更なる改革の推進が求められているのではないでしょうか。「健全な財政が頼れる行政をつくる」の言葉どおりですが、健全な財政は待っていてなすものではありませんし、行政の事業も行政改革もリーダーの強い牽引力で推進されます。
 区長は健全な財政、行革、「頼れる」行政を現下の社会経済状況の中、今後どのように進めようとしているのかお聞かせ下さい。

 次に、都区制度についてお伺いいたします。 

 連日、大阪都構想がマスコミを賑わかしております。橋下市長は現行の府と市の制度では二重行政の無駄があり、縄張り意識や効率性に欠くとしております。
 東京都の特別区の改革として、長く都区制度改革を目指して運動をしてきた議員としては、都制度を創ることにより橋下市長の言う二重行政の打破に結びつくのかと疑問の向きもあります。
 都区間での制度論とともに、そしてそれとリンクする事務と財源についても長い議論があり、ここ何年間かは、都区間で四四四の事務配分を巡って「都区のあり方検討委員会」で検討をしています。都道府県制度でもこれまで、消費者問題、男女参画、運動施設等役割分担の論議があり、都区同様に事務のあり方が取りざさられており、程度の差はありますが、行政間のダブリが生じております。
 そして、なにより、厄介なのが先ほどの財源の問題です。大阪都構想では行政の無駄が焦点となり、財源についての指摘があまり見られませんが、事務配分はある意味財源問題でもあろうかと思います。
 そこで、まず、「都区のあり方検討委員会」の現状と見通しについてお聞かせ下さい。
 また、事務を実施する裏付けとなる財政を決める財源につきましてはどのようにお考えかお聞かせ下さい。
 この検討会では、区域のあり方についても協議することになっておりますが、どのようになっておりますか。
 大阪都構想以外にも、新潟州構想等大都市制度について議論が起きています。2月17日の地方制度調査会は特別区制度を含めた大都市制度の見直しについて着手をすると聞きました。
 見直しの方向性等が分かればお聞かせ下さい。
 次に『高齢者対策』についてお聞きいたします。
 先日、機会があり某大学学長の講演を聴きました。先生は、まず、数字を持ってわが国は、世界に類を見ない高齢化国であり、この高齢化は成功の証でもある。しかし、高齢化を真に喜べる生涯現役社会をつくることがこれから必要であり、そのためには、退職・年金・雇用の制度的な見直しと、健康な高齢者の高い就業意欲や、蓄積された仕事に対する能力や社会に貢献したいとする意思を受けられる地域社会をつくることが大切だと述べておりました。
 5年前二〇〇七年の内閣府の調査でも何歳まで働きたいかとの質問に75歳以上は13%、70歳までが23%、65歳19%、いつまでもと答えた人が39%、勿論、この数字は本人の希望であり、そのまま適用するには難しく、仕事の密度等を勘案していくのが現実的ですが、かように日本人の社会への貢献意欲は強いものがあります。
 豊島区の高齢化率の割合は20%を超えており、過日示されました「豊島区地域保健福祉計画(素案)」でも、確実に少子高齢社会が年々進み高齢化の割合が高くなっております。
 昨年の11月下旬、豊島区シルバー人材センターの第一回「シルバーまつり」に行きました。シルバーセンターには長い歴史があるにもかかわらず、初めて実施したとのことで驚きましたが、多くの方が来場しておりました。
 会員の方々が自ら各催物を行っており、どの方も元気で活気に溢れておりました。理事の方から団塊世代が65歳を迎え、入会者が多くなっており、就業も含め社会参加、社会貢献意欲が非常に強く、また、傾向として会員の学歴も高く、多様な職務経験者が増えており、これまでのお年寄りというイメージの高齢者という括りではなく、新たな視点での高齢者の対応が必要と話しておりました。
 確かに、私が子どもの頃、70歳の方を見るとお年寄りという言葉にふさわしい容姿でありましたが、今、自分が60歳を過ぎ、そして周りの高齢者の方々をみましても非常に若々しく、まだまだ活躍出来るのではと思います。これから高齢者を論じるに当たり、その約9割が元気に日々生活しており、それらの元気な高齢者をどのように捉え、どのように対応するかによって地域のあり方が決まるように思われますが如何でしょうか。
 少子高齢化であれば、元気な高齢者が元気でない方をサポートする。これからはそうしたことが必要で、そうした地域コミュニティを形成していくことが重要と思うのです。
 たしか、平成8年頃と思いますが、限界集落が話題となり、都心の限界集落として新宿や豊島区の池袋本町も匿名性社会の限界集落として取り上げられました。ある部分だけを見ての報道は疑問を感じますが、都会の高齢化を考える上では重要な視点でもありました。
 時は過ぎあれから15年近くの歳月が過ぎましたが、高齢化現象の割合は確実に進んでおります。この間、匿名性社会の限界集落については何らかの対応を講じていたのかお聞かせ下さい。
 そして、豊島区の限界集落の状況は、現在どのようになっているのかお聞かせ下さい。
 さて、今後の豊島区の福祉・保健の方向を示す「豊島区地域保健福祉計画(素案)」について、あくまでも素案でものをいいますが、公共の福祉の限界があることから地域住民やNPO法人等による新たな支え合いシステムの推進を提言しております。
 素案の計画に記載されておりますように、各主体が、相互に有機的に連動すればいいのですが、現実にはそれぞれの主張があり、意図することとは隔たりが生じることが往々ですが、その点はどのようにお考えですか。
 そして、私は、高齢者の対応を福祉というカテゴリーだけで括っていいのかと疑問に思うことがあります。先ほど述べましたように少し前までの時代は60歳を過ぎると大方、気力・体力も低下し生活する上での支障がでてくるので福祉分野に括られていましたが、現在では65歳を過ぎても9割が元気という実態があることから、各行政分野でも高齢者対策を打ち立てることが良いのではと思います。例えば、私がたびたび質問いたしました団塊世代と生涯学習や産業、就業、地域活動等であります。
 これから、高齢者の割合は更に高くなりますし、これまでの生活困難者だから、福祉という短絡的思考だけでは終わらないと思います。高齢者の価値観の多様化に対応した受け皿を行政各分野に用意していただくことが必要かと思います。
 一方、地域で、生活保護を受けている無縁老人の急増が課題となっています。新宿区では20部屋のアパートの7割が生活保護の高齢者で、それらの高齢者が大方、人と無縁であり、こうした高齢者が地域に確実に増えているとしています。
 豊島区のこうした無縁老人の実態はどうなのか、対策はどうなのかお聞かせ下さい。
 高齢者といっても、長い生活歴・職業歴により高齢者は多様性に富んでおります。あれも、これもというのは難しいと思いますが、多様性に対応した今後の高齢者対策についてどのようにお考えかお聞かせ下さい。

 次に『安全・安心の地域づくり』についてお伺いいたします。

 先ずは防災対策です。
 元日の午後自宅におりました私は大きな揺れを感じました。また、1月12日は携帯から警戒音が鳴り響きました。東日本大震災から1年近くになりますが余震と思われる地震はまだまだ続いています。被災された方々のご苦労は筆舌に尽くせぬものがあります。
 この1年間は、防災・災害対策を議論し、具体策を進めてきた年であります。担当されました職員の皆様は本当にご苦労さまでした。
 さて、日本人の特色として熱しやすく冷めやすい、忘れポイとかあっさりしていることが挙げられます。これも、良い面と悪い面の両方がありますが、この大震災も時間とともに風化されていくのではと一抹の不安があります。
 阪神・淡路大震災の時も、あの惨事を忘れることなく被害を少なくする準備をと誰しもが思っておりましたが、それが、東日本大震災の時、どの位生かされているかと思いますと心もとない感がいたします。
 そのような観点から、今般示された「総合的な震災対策の推進に関する基本方針(案)」、ならびに「帰宅困難者対策計画(案)」は、まことに時宜を得たものであります。
 東日本大震災の発生直後は、いざというために、水・食糧、避難場所、連絡方法、家具の転倒防止、停電等の対応をされたと思いますが、時間の経過とともに備蓄等もない震災前と同じ状況の繰り返しも危惧されています。
 そこで、この1年を経過して各家庭の災害対策状況はどのようになっているか、把握していればその状況を、把握していなければ把握する必要があるのではないでしょうか。
 その結果を区民に周知し必要な対策を講じることはいかがでしょうか。
 東日本大震災で多くの帰宅困難者が駅、主要道路に溢れておりました。それを踏まえ区は今回策定した帰宅困難者対策に基づき、積極的に駅等関係者に働きかけ一時帰宅困難の待機場所を確保するとしております。
 また、帰宅経路等も分かり易くするための取り組みとして、帰宅支援マップも進めております。こうした情報をまとめ区内の企業や事業所に配布し、従業員が安心して帰宅出来るような対策の取り組みをしてはいかがでしょうか。こうした取り組みが区と事業所をつなぐことになります。
 そして、あの悲惨な事実を風化させないためにも、総合的な方針でも示された通り、実践的な訓練が重要であります。
 そして、これから、豊島区として3月11日に一斉警報訓練とかイベントや防災周知の発行等を行ない震災への意識・動機付けを図ってはいかがでしょうか。
 また、住宅密集地域の震災対策についてもお伺いいたします。
 首都直下型地震が4年以内に発生する確率が70%に高まった可能性があるという東京大学地震研究所の試算が、今年1月、マスコミに大きく取り上げられました。政府がこれまで発表していた30年以内に発生する確率70%と比較しますと、はるかに逼迫性が高く、このニュースを見た誰もが大きな不安を抱いたのではないでしょうか。
 その後、東大地震研究所から、マスコミでの取り上げ方には、正確ではない表現があるという指摘が、なされたようではありますが、昨年3月の東日本大震災以降、東京近辺での地震発生が近づいていることは、誰もが現実のものとして受け止めなくてはならない状況ではないでしょうか。
 こうしたことへの対応として豊島区では、昨年9月、区長を本部長とする全庁的な組織として「震災対策推進本部」を立ち上げ、当面、3年間で防災力の大幅な強化を成し遂げる計画を進めています。
 特に、昨年3月11日の教訓として、池袋駅周辺に溢れ出した帰宅困難者への対策や、さらには放射能、電力不足対策など、新たな課題も発生しており、今後ますます重要になると考えますので、積極的かつ着実な取組みを期待いたします。
 このようなソフト部門の震災対策が進められている一方で、どうしても不安を感じざるを得ないのが、ハード部門の整備であります。
 首都直下型地震が発生した場合、豊島区では建物の全壊が二五四〇棟、火災による焼失は四六四二棟、合計で約七〇〇〇棟を超える建物が一瞬にして失われてしまうという甚大な被害が予測されています。
 こうしたハード部門の対策として、豊島区では、建物の耐震診断や耐震改修の助成制度を設け、着実に災害に強い街づくりが進められておりますが、まだまだ、目標の達成には至っておりません。
 こうした現状の中で、東京都では、昨年9月に「木密地域不燃化10年プロジェクト」を立ち上げることが打ち出され、今年1月には、その実施方針が示されました。
 東京の最大の弱点である木造密集地域の改善を一段と加速するため、「不燃化特区制度」という新たな仕組みを創設し、東京都が地域に対して特別な支援を行うことで、集中的に災害に強い街に改善していくというものであります。
 豊島区は、東池袋四・五丁目地区や上池袋地区、池袋本町地区、染井霊園周辺地区など、木造住宅が密集した地区を多く抱えております。
 首都直下型地震が発生しますと、木造住宅密集地区が甚大な被害を受けることになりますので、こうした地域から優先的に災害に強い街づくりを推進すべきではないでしょうか。
 そこでお伺いいたしますが、区長は本会議の初日の招集挨拶の中で、東京都が打ち出した「木密地域不燃化10年プロジェクト」を積極的に活用し、防災機能の強化を図って行くことを述べておられますが、具体的にはどのように取り組んで行かれるのか、お考えをお聞かせください。
 そして、災害対策のため 防災都市・災害に強いまちづくりの推進が言われておりますが、どのようなまちが災害に強いまちなのか、現在の状況だとそれが出来るまでどの位かかるのか、今、豊島区の災害に強いまちはどの位のレベルなのかお聞かせ下さい。新聞紙上に東海大地震や立川断層など数年先に大きな地震が起きる予想が掲載されております。このままでは区民は不安です。防災都市を促進するには、どうしたらいいのかお考えをお聞かせ下さい。

 次にセーフコミュニティについてお伺いいたします。

 昨年12月18日の日本経済新聞の朝刊に全国の市民の行政参加のランキングで豊島区が全国第3位に位置づけられました。
 これまで、区長が掲げてきた区民の目線・区民参加の推進の成果であります。
セーフコミュニティは日本一の高密都市において豊島区の「住みたい、訪れたいまち」をつくることにあります。そのために危険要因の予防アクションを進めるものでありますが、具体的には11のテーマを選出し科学的予防アクションを行うものであります。
 各テーマごとの委員会をつくり認証取得に向けて確実に進めております。
 去る2月2日から4日まで行われた本審査の講評では、認証取得が得られる感触を得たと聞いておりますが、これまでの行政、議会、区民挙げての努力が報われ、本当によかったと思っています。各テーマの予防活動の対象は、一人暮らし高齢者の見守り、障害者の安全、児童虐待、学校の安全、孤独死の防止、また、がんの早期発見や自転車事故の防止などが挙げられております。
 正に、そうした危険要因を予防できれば素晴らしいことであり、「安全・安心を創造し続けるまち」になります。そして、それらを予防するために行政のつくるルールや施策、金銭も含めた支援が必要であります。ただ、原点は一人ひとりの区民が自ら危険を予防し自衛していかなければ安全の構築はされないのではと思います。
 そうした点から、この度の住民参加ランキングの評価は計り知れない大きなものであります。
 地域の安全・安心を創り出し、安定した区民生活を確保するためには、地域を愛する一人ひとりの行動、そして地域コミュニティの活動です。
 昨年、ブータン国王ジグミ・ケサル陛下が来日されブータンブームが生まれました。国王夫妻のさわやかさは勿論話題になりましたが、同時に国民の幸福度〔国民総幸福論〕が大きく取りあげられました。
 自治体では独自に項目を設定して幸福度を示しているところがあります。こうした幸福度を示すことについてどのようにお考えなのかお聞かせ下さい。80周年を契機に豊島区の幸福を示すこともできると思いますがいかでしょうか。

 最後に定番の『教育』についてお聞きいたします。

 まず、新学習指導要領についてであります。
 今年度から小学校、24年度からは中学校で全面実施であります。
 そこで、既に始まっております小学校での事前の指導計画・教材等の準備と実際の運営についてお聞かせ下さい。併せて、4月からの中学校の準備等はいかがでしょうか。
 新学習指導要領は、これからの時代を生き抜くために、子供たちにとって必要となる「生きる力」を定めております。
 今までの「詰め込み」や「ゆとり」が時代の変化と共に見直され、新しい価値での教育が出発した訳ですが、保護者や子どもたちに戸惑い等はなかったのでしょうか。
 まちの中では、ゆとり教育を受けた子どもが自虐的に「ゆとり教育を受けました。のんびりで気遣いない世代です」と話しておりました。
 教育の最前線におられる先生方はこの度の教育の位置付けの変化をどのように受け止められているのかお聞きいたします。
 学習指導要領に引き継がれた理念である「生きる力」について、教育長はたびたびその意義等に言及されております。今、大震災を経験した私たちは「生きる」大切さや自然の力の巨大さを知り、教育で改めて「生きる力」を学ぶことの意義や意味をどう見出すか分からない点があります。その点についてお考えをお聞かせ下さい。
 この「生きる力」を育むには学校だけでなく、家庭や地域と取り組むものとしていますが、具体的にどのような取り組みでしょうか。また、連携のあり方はどうでしょうか。
 この1年の成果はどのようでしょうか。
 次に、豊島区における就学相談についてであります。
 心身に何らかの障害があると思われるお子さんをもつ保護者にとって、就学先の悩みは極めて大きなものがあります。自分の子どもが通常の学級で学べるのか、特別支援学級、あるいは特別支援学校等で学ぶことになるのか、保護者にとっては大変心配なことであろうと思います。
 教育委員会には、そうした児童・生徒に対する相談を行って、その子にふさわしい就学場所について判断する委員会があると聞いています。
 保護者の中には、その判断が通常学級ではなく特別支援学級などであった場合、判断結果をどうしても受け入れない方もおいでになると伺っております。
 まず、本区の就学相談の現状についてお聞かせ下さい。
 わが子の障害を受容できない保護者の気持ち、通常学級で学ばせたいという思いは十分理解できますが、一方、学校現場の先生方からは、特別な支援が必要な子どもたちへの対応に追われて、時には学級崩壊の原因にもなっているとの話もお聞きします。
 私は、一人ひとりの子どものニーズに合った適切な指導を行うことが学校教育の基本であると考えます。本区の就学相談の現状を踏まえ、今後のあり方について教育長のお考えをお尋ねいたします。
 次に、豊島区独自の教育であります。
 豊島区は超高密都市、そして優れた伝統・文化を育む都市であることを教育ビジョン二〇一〇の重点課題の一つとして掲げています。まず、区の特性を踏まえた独自教育の必要性についてお聞かせ下さい。具体的にどのように進めているのか、そしてその成果をお伺いいたします。
 私は、可能であれば国や郷土を愛する教育を取り上げたらと考えます。今、わが国を取り巻く国際状況は厳しいものがあります。まず、祖国・母国という基盤や日本人としてのアイデンティティーをしっかりと学ぶことが必要であり、そこから、世界を愛する心も生まれてくると考えます。
 近年、日本人らしさが失われたと言われております。私たちは「人」であると同時に「日本人」であることを忘れているのではないでしょうか。「日本人」とは「日本国の精神」を自分の心としている人のことをいうのです。従って、世界のどこの国の人でも「日本国の精神」を自分の心としている人は、皆「日本人」なのです。
 日本の建国の精神を自らの心としない人は「日本人」にあらず。
豊島区からそれを克服する教育を実践して頂きたく思いますが、いかがでしょうか。
 以上で私の全ての質問を終わります。御静聴いただきましてありがとうございました。


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