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プロローグ
Esashはかつて仕事を通iして、実にいろいろな人物から、数え切れないほどの「脅し」を受けてきた。「ホケン屋」という商売は本当に因果なものだ。しかしこれは一般的にそうだというのではなく、彼だけの問題かもしれない。(この情けないオトコの名前はEsashi(江刺)という)
「今まで脅されたことなど一度もない‥」とおっしゃる方も居るかもしれない。
その方は幸せだ。彼は脅しを受け易いような資質?あるいは持って生まれた性格なのかも知れない。
コンプレックスとストレスのためか、性格がすっかりいじけてひん曲がり、この年になってから無性に人を脅したくなってきた。空想の世界だが「脅すこと」を夢見るようになってきた。脅された分だけ脅し返さないと気持が治まらない。最近になって、この気分はだんだん強くなってきた。抑えることに自信がなくなった。真に困ったことだ。いつ爆発しないとも限らない精神状態だ。

「脅し」を受けた相手は暴力団やヤクザ、似非右翼?、示談屋、似非同和、一部の政治屋等だが、驚く無かれ「法の番人」たるべき弁護士や、身内の筈の「ホケンの代理店」からも恐喝された体験がある。これは驚くべきことだ。
こんな話は現役時代は口が曲がっても云えなかった事だが、今は組織の呪縛から開放され、やっと自由にモノが言えるようになった。



弁護士による脅し


代理店からの脅し


プロの脅し
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<第一話>
コワーイ弁護士先生

<始めにお断りをひと言>
弁護士先生の名誉のために申し上げておくが、仕事を通してお付合いいただいた先生方はいずれも素晴らしい方々ばかりであり、一般論としてこの職業についておられる弁護士の多くは「正義の味方」とはいえないまでも、立派な方々だと思う。
しかし、中には非常にコワイ先生もいるのだ。勿論、弁護士はなにも清廉潔白、人格高邁である必要は無い。普通の人であればよい。いろいろな立場のヒトからありとあらゆる弁護の依頼を受けるからだ。 お医者さんや弁護士は一種の憧れの職業だ。

Esashiは同僚のM所長と赤坂見付に近い喫茶店にいた。晩秋の氷雨が朝から降り続いていた。
ここでこれから訪問する弁護士事務所での話し合いの最終的な打ち合わせを行っていた。お昼はとっくに過ぎ、時計の針はやがて3時になろうとしていた。外を見やると辺りは既に薄暗く、これからの話し合いのことを考えると気が滅入った。

事の起りは、大よそ次のようなものだった。
この自動車事故はある少年が起こした事故だった。彼は某私立高校の3年生であったが、オートバイを乗り回し、信号機のある交差点内で事故を惹き起した。よくある出来事だ。相手は乗用車で、当方の契約者だった。少年は転倒し、全身に打撲を負い、足を骨折したが幸い命に別条はなかった。過失は双方にあったが、交差点内での少年のバイクの速度が非常に速かったことが争点になっていた。

この案件はM所長の部下にあたるF氏が担当していた。彼は某有名大学の法科出身の大ベテランであり、このような人身事故の対応の経験は豊富だった。また理論家でもあった。
クレームはこの少年の父親に当たる弁護士からのものだった。この人を仮にA氏と呼んでおこう。クレームの中心は「担当者の態度や対応がデタラメなので直ちに変えろ!」と言う強い要求だった。
事故処理を行う場合、「担当を替えろ」という要求は時々あるが、それに対して一々ハイハイと応じていたのではお話にならない。
当事者の全く身勝手な思惑で言い出すケースはいくらでもあるからだ。事故の話は深刻だ。また、当事者は感情的になりイライラしているのが通例だ。本当のことや少しでも気に入らないことを云われると感情的になって子供が駄々をこねるような態度を示す大の大人はいくらでも居る。
大人になりきれない、わがまま勝手な幼児性がよく現れていると思う。この商売では往々にして言いなりにならなかったり、骨がある担当者は煙たがられるのだ。
相手の言い分をよく訊いた上で、冷静な納得しうる対応しないと担当社員のプライドをずたずたにしてしまうこともありうる。こんな上司は部下から忌避されバカにされるのがおちだ。

弁護士事務所での出来事
事務所は赤坂のあるビルの中にあった。 彼と面談した。名刺を見ると彼はある大手企業の渉外弁護士の肩書きを持っていた。
(注)渉外弁護士とは
渉外弁護士も、普通の弁護士とほぼ同じだ。何らかの関係で外国語が絡む仕事が多いという点を除けば、企業からの依頼が業務の大半を占める弁護士であると考えていただければよい。

挨拶もそこそこにA氏は怒りを満面に表して大声を上げ「何故担当者を変えないのだ!」と怒鳴った。彼をなだめて理由を聞いた。彼はますます興奮して立ち上がり威嚇した。
そして曰く、「息子の交通事故の怪我の治療費について自賠責を使うとは何事だ!」とわめいた。
我々は彼に向かってその理由を丁寧に説明した。即ち、「ご子息は被害者だが、かなりの過失があり、最終的に過失相殺せざるを得ないと判断されるのでいくらかでも賠償金が有利になるように取り計らった‥」と
これは決して間違った対応ではなく、通常行われる極めて常識的な対応なのだ。

彼は激昂し「バカヤロウ!お前等は法律のプロである弁護士に対して説教する気か!」と立ち上がり今にも殴りかからんばかりの態度で詰め寄り、応接セットの灰皿を我々の足元に向かって投げつけたのである。
弁護士の取る態度とは到底思えなかった。それにビックリして彼の手を見るとナント左の小指が無かったのだ。ヤクザ者が小指をつめるというが、思わずそれを連想してしまい、大きな恐怖を感じた。職業柄それまで数多くの弁護士との接触をしてきたので、余りの落差に一瞬「これは本当に弁護士だろか‥」と疑ったほどだ。彼から脅される理由などは全くないのだ。

この時はさすがに彼もあきれたが、先方のいいなりにはならず、それなりの抵抗をした。センセイの顔面は、怒気で真っ赤になり、「お前では話しにならぬ会社のトップに会い要求を突きつける!覚悟しとけよ!」と吼えた。
結局その日は物別れとなった。世の中には悪徳弁護士と言われる人々も居るだろう。しかしセンセイ彼の採った態度は悪徳どころか、ヤクザ者顔負けの恐喝スタイルだったのだ。

A氏の名刺にはT弁護士会所属の肩書きがあったので調べて見ると間違いなく名簿に記載されており彼の妻も同様弁護士だった。貰った名刺には彼はある有名大企業の「渉外弁護士」との肩書きが明記されていたのでそれを頼りに当該企業に出向き、そこの法務担当責任者に会い、事実を確かめ、対応について相談した。法務部長は私の話を一通り聞いた上でこんなコメントをした。

「当社には渉外弁護士と名のつく顧問は世界各国に散在しその数は数十名は下らない。貴方がお考えの通り対処していただいて一向差支えない。当社は全く関知しないことだ‥」と。そして気の毒そうな顔をして「○○ならやりそうなことだなぁ」と苦笑いしていた。

その後、どのように決着したかについてはあえてコメントしない。しかし、ある時有名週刊誌に渉外弁護士の特集記事が載り、その中に件の人物が紹介されいるのを見たときには飛び上がらんばかりに驚いた。
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<第二話>
代理店の脅し
損保代理店とは?
会社から委託を受けて損保の商品を販売する法人または個人のことである。
金融庁に登録が義務付けられ、保険募集取締法等の法規制の下に営業活動が許されている。保険商品を売ると資格に応じた手数料が支払われている。業態はいろいろであり、一般、企業、プロなどがあり、更に各方面のチャネルに分かれている。また、更に特定会社専属のものと、各社と取引する乗り合い形態のものとに分かれている。各社保険商品販売の最前線に位置し、その質の良し悪し如何で会社の業績、信用等に大きな影響力がある。
Esashiのデスクの電話が突然けたたましく鳴った。いやな予感がした。予感は的中した。やはり代理店のIからのものだった。この男からの電話は既に何回か受けていたが、これが自社の代理店の云うことなのかとあきれるような中味だった。
要は問題がある傷害保険金をつべこべ言わずに全額支払え!と執拗に要求されていたが、担当者やその上司等が単なる要求とか苦情を超えた暴力的な仕打ちを何回かにわたって受けていた。

この時も私に向かって散々脅し文句を並べ立てた後、「云うことを聞かないと本社にダンプカーで押しかけ騒ぐぞ!いいな!‥」と脅した。これは明らかな威力業務妨害になる。
私は「貴方の云っているのはれっきとした恐喝だ。やれるものならやってみろ!脅し文句には乗らない!」とかなり挑発的なことを言ってしまった。まさか本気でこんなことが出来るわけが無いと高をくくっていたのだ。
確かその翌日のことだ。夕刻本社から緊急連絡が入った。
Iという代理店がダンプカーで押しかけ、本社で話し合いの最中、制止も効かずに10階の役員室に駆け上がった‥と云うではないか。エェー!と仰天すると共に「シマッタ!」と思ったが後の祭りだった。I代理店は公約?通り実行に移したのだ。
こんな情報は本社の管理部門には全く報告していなかったので対応してくれたN氏他の方々に大変な迷惑をかけてしまったのだ。
これは明らかにEsashiの大失態であり面目丸つぶれだったが、まさか本来は身内であるべき代理店が、こんなことをしでかすとは夢にも思っていなかったことだ。本社はこの事態に対処するべく、近くのA警察署に連絡を取り、警察官が駆けつけ彼を排除したという。その時はこれで何とか収まったものの受けたショックは真に大きかった。

何故こんな騒ぎにまで発展したかについては複雑な事情があり、祥述は避けるがが、一言で云えば「無効契約の取り扱いについての見解の相違」が主な原因である。契約の際、約款で会社に予め「告知すべき事項」が定められているが、これを怠ると事故が生じた場合、契約が失効し支払えないケースがある。
当該代理店は、これを無視して数社に対して重複契約を行い、大きなトラブルになったのだ。本来なら威力業務妨害で被害届けを出すことも可能なケースだが、自社の代理店の所業では恥ずかしくてとてもできない相談だ。
こんな事態になったのは何といっても代理店契約を締結した会社としての彼に対する指導の欠如に尽きる。

Esashiは担当役員や営業責任者等とミーティングを持ち、この代理店に対する委託契約を直ちに破棄するよう提案した。契約書上一方的な解約は可能であることを弁護士に確認してあったし、彼が代理店としてあるまじき行動を取ったからだ。この時の役員等の反応は鈍かった。
案の定その後もこの代理店は存続し続けていた。それを知ったEsashiの無念さは計り知れない。
彼の言い分は完全に無視されたのだった。それよりも代理店を怒らせ、こんな事件にまで発展させてしまったEsashiの対応に対して非難の声が高まっていった。彼は今更ながら、社内での信頼や調整力の無さをいやというほど思い知らされた。目次に戻る

<第三話>
プロの脅し屋
事故の案件は、通常担当者レベルで解決する。少々の脅しがあっても案件を放り出す担当者はいない。請け負った案件については皆がそれぞれ責任を持ち解決に努力する。しかし、これがエスカレートした場合には、責任者として傍観するわけには行かない。担当者や調査員に対する脅しは最終的には責任者が何らかの方法で対応せざるを得ないハメになる。
このことから逃げることは絶対出来ないことだ。

Esashiは、名古屋にいたころ数多くの「ヤーさん」との交渉を体験した。
内心、プロんの脅し屋や、示談屋がらみの事故から逃げたいのは山々だったが、決して逃げることはしなかった‥というより立場上、できなかったのだ。
だからコワイ相手にはむしろ、こちらから積極的に接触して片付ける方法を取った。最もヤバイ案件から手をつけるようにした。この方が精神的には楽だったからだ。
コワーイ未解決案件は出来るだけ少なくしておく必要があった。開き直って、少し意地になって強がっていたのかもしれない。今思うと若く、無鉄砲だから出来たことだ。

勿論、相手の言いなりにカネ(保険金)を払えば簡単だ。元々自分のカネではなく善良な契約者か頂いた「会社のカネ」であり、いくら支払っても自分の懐が痛むわけでもない。
ま、しゃあないわ‥と書類に「承認」のハンコをメクラ判式に押せば済むことだ。しかし、それは出来ない相談だ。もし、不当、不正請求者の言いなりに支払っていたらとんでもないことになる。そんなことをすれば正に背任行為であり、ホケン屋が犯罪の片棒を担いだことになる。
支払った後で保険金詐欺が発覚すると一大事だ。担当した者や上司は当然責任を負わなければならない。マスコミ報道で取り上げられれば社会的信用も丸つぶれだ。厳しい糾弾を受けることにもなる。最近、この手の事件がメディアなどで大きく取り上げられているのを見聞きするが、同情を禁じえない。
こんなみっともないことにならないようにする為にはダメなものはダメとはっきりした態度を示さなければならない。従って
@きっぱり拒否して当方の認定額だけを払うか
A解決のために適当に折り合いをつけて支払うか
だが、@の方法で済めばこんな楽な商売はない。お役所ならイザ知らず、一般的にはA番目の方法を模索することになる。この過程でいろいろな脅しが行われるのだ。

圧力が大きければ大きいほど結果的に金額が水増しされるのが通例だ。折り合いのツケ時、支払金額等を見極め、手を打たないとダメだ。タイミングを失うととんでもないツケが回ってくる。
一筋縄ではゆかない相手であり、常識や法律論などは全く通用しないのだ。
相手の理屈は理不尽だが一理があるのだ。それはそうだろう世の中「ドロボウにも3分の利あり」と言われるくらいだからだ。
後でばれると会社は当然不当に支払わされた保険金の返還請求を行うが、それで総て免責とは行かない。甘い判断や脅しに屈して支払ってしまったからだ。
こんなケースはホケン業界には掃いて捨てるほどあると思われる。マスコミに取り上げられるのは氷山の一角に過ぎない。
Esashiはこんなことにならないように必死で体を張って対応したつもりだ。当たり前のことだが‥

コワーイ人のいい分は決まっていた。即ち「俺たちはカネが欲しいのではない。お前たちの態度や対応が悪いのでこのようなことになったのだ!落とし前付けろ」と‥
これは真っ赤なウソである。あの筋の方々は知能犯であり、頭の回転は非常に速い。このような時、「○○円よこせ!」と、具体的な金額の提示は決してしないのだ。これをやると「恐喝してカネを脅し取る」ことになると考えたからだろう。ホケン屋が自発的に?上乗せしたようにして支払うよう、巧みに仕組むのだ。目当てはあくまでも「カネ」に決まっている。

Esashiが一番云われたのは「お前の高慢ちきなエリートづらを叩き潰してやる…」というせりふだがこれは非常にコワイ。
コワイし面倒だからといって一度でも言いなりになり支払ってしまうと、これが一度で済めばよいが、後々とんでもないことになる。弱みを握られ、次々とエスカレートし際限がなくなるのだ。
Esashiは同業の責任者から彼の部下が担当した案件の処理について深刻な話を聞かされた。彼は本当に涙を浮かべて訴えていた。他人事ではなく聞いていて切なかった。

脅し屋は色々な情報網を持ち、対応の弱い会社は格好の餌食になる。当方もそれなりに精一杯抵抗し、言いなりにならない手ごわいところを示す必要があったのだ。
解決方法としては顧問弁護士に一任する手もあるのだが、脅し屋は委任してもお構いなしに弁護士とは話さず担当者に脅しをかけてくる。こんな相手は弁護士でも嫌がる。

また、「毒をもって毒を制す」ということわざがあるが、エライ親分に頼んで口を利いてもらう方法もあるが、これは下策だ。彼等は「同じ穴のムジナ」であり、今度は口を利いてもらった親分に弱みを握られ、脅されるハメになるのだ。

怖かったのはこのような事で深夜、何度かEsashiの自宅に得体の知れない電話があり、「家族に身の危険が及ぶぞ‥」と脅されたことだ。夜になると怖くて眠れず、家族の恐怖におののく顔を見るに忍びなかった。この時は警察にも相談し、さすがに電話の番号を変え、以後、社員名簿に自宅の電話を掲載することを拒否した。
今でもNTTの電話帳には一切載せず、電話は相手番号の確認設定にし無言電話等に対しては直ちに近くの交番に出向いて相談しているほどだ。
また、ある時は複数のヤクザモノが会社に押しかけ、対応に出たEsashiと押し問答になった。業を煮やした彼等は「支店長を出せ!」とわめき、、当然拒否したが、その内の若い組員が無言のまま背広の内ポケットに入れていた白鞘の短刀をちらつかせたときには怖くて腰が抜け、応接用ソファーから立ち上がれなくなってしまった。この時は恐くて顔面蒼白になったのが自分でもわかったほどだ。。
またある時は担当者と軟禁され、恐怖の余り失禁してしまったことさえある。それでも私は簡単に彼等の言い分を呑むことはしなかった。まさか暴行されたり殺されたりすることはありえないと思っていたからだ。
しかし、安心は出来ない。警察でこんな話を聞いた。
曰く「大物はまず大丈夫だが、若い者は功名心があり、とっさに何をしでかすかわからないので十分注意せよ‥」と。  更に「イザ行動に出るときは相手も人の子だから態度を観察していれば必ず何らかのサインがある‥」とも
このアドヴァイスは的確だが、これを聞いて更に恐怖心が上乗せされてしまった。
それではEsashiが、これらの事件の中で本当に暴行を受けたことがあるのだろうか?それは悪夢を再現するようなもので、思い出したくもないし云わぬが花だろう。

「脅したり、脅されたり」はこの世の中から消えてしまうことは無いだろう。
これは単に個人間のみならず企業や国家間でも日常的に行われていることだ。そしてその殆どはカネを巡る利権や争いごとといえるだろう。ま、オンナを巡る脅しもよく耳にするが、これとても結局のところカネに纏わることが多いと思う。
最近、Esashiはある方からこんなメイルを頂戴した。「貴方もホケン屋として弱い立場の人をいじめたり、オドシたりして支払を値切ったことはありませんか?よく胸に手を当ててお考えなさい!‥」と。 このご意見は彼の胸にグサリと突き刺さった。そして身勝手な被害者意識を反省した。
かつて商売にしていたホケンは現代の経済社会にとって無くてはならない仕組みであり、最近全国各地で発生した台風災害の支払も実に3000億円に近い巨額になっている。降って湧いた事故による大きな経済的損失を、カバーしてくれる効用は実に大きい。
だが反面ホケンを悪用してカネを安易に懐へ入れようと企んでいるヤカラも数多くいるのが実態だ。
Esashiは、数日前「朝日新聞」紙上で以下のような記事を目にした。このような治療機関と結託した偽装事故は彼が現役時代散々体験したことだ。こんなことがいまだに日常茶飯事のごとく行われているのかと思い、かつての悪夢が蘇ってきてイヤーな気分になる。おまけに5年間も気づかなかった?保険会社の対応も、お粗末極まりないと思うのだ。

オレオレ詐欺のこと(10/7補記
(注)この詐欺犯罪の名称は最近「振り込め詐欺」に変わっている。(12/24追記)

この憎むべき犯罪が日本中で激増しているという。メディアなどで引っかからないようにあれほど注意を喚起しているのに被害にあってしまう方が後を絶たないといわれている。ある新聞によると今年8月までに全国で約7000件を超える事件があり、ナント総額100億円ものカネが騙し取られたという。そしてその内約6割に当たる4000件近くが交通事故示談に関わるものだという。また、女性の場合は男性の3倍も引っかかりやすいとも云われている。
何故だろうか? esashiの考えではここにも巧みな「脅しのテクニック」が使われていると思うのだ。
すなわち事故現場から、さも本物の警官が電話したように脅しに近いウソの緊急連絡を行い、信用させ、今度は動転している家族に対して別の「わる」が修理工場と称して圧力をかけ、架空の修理代金などを直ちに振り込ませる等の手口だが、加害者側の弱みと焦りを一種の「脅し」を使って引き出し、まんまとカネを騙し取るのだ。
大事なカネを相手の言いなりに支払うことは絶対にしてはいけない。自動車事故の際に直ちにカネが必要なことは一切無いのだ。
代理店や契約保険会社に事故の報告さえ行えば、その後加害者は何もする必要は無く、一切合切担当者が処理してくれるはずだ。当座必要なカネは保険で立替払いしてくれるはずだ。このことはホケン屋のOBとして声を大にして云っておきたい。目次に戻る

◆以下は朝日新聞・04/09/27朝刊・社会面記事を引用
巨人元マスコットガールら容疑で逮捕 保険金だまし取る
故意に交通事故を起こして損保会社から保険金をだまし取ったとして、警視庁は26日までに、プロ野球・巨人の元マスコットガールのダンサー大塚まり子容疑者(30)や東京都豊島区の整骨院経営者ら6人を詐欺の疑いで逮捕した。約5年間で十数件の事故を起こして約5千万円を詐取したとみられ、同庁が調べている。
 交通捜査課の調べでは、6人は共謀して02年、東京都豊島区の路上で、大塚容疑者ら3人が客として乗っていたタクシーに、別の1人が運転する車をわざと衝突させた。大塚容疑者らは軽いけがだったにもかかわらず救急車を呼び、その後整骨院で本来は不要な施術を何度も受けたことにして、都内の損害保険会社から休業補償金など約130万円をだまし取った疑い。

 他に40人近くが事故に遭う役目などで関与していた疑いがあるという。また、整骨院経営者が、施術に伴う療養報酬の水増し請求を繰り返し、だまし取っていた疑いもあるとみて調べる方針。
 関係者によると、大塚容疑者は99年から2年間、東京ドームで開かれる巨人戦の前にグラウンドで応援のダンスを披露する「ファイヤーガールズ(当時)」のメンバーだったという。(09/27 06:30)






◆エピローグ 


Esashiという情けない男による、退屈な「脅され野郎」の告白はこの辺で切り上げよう。この手の話はまだまだ沢山あるのだが丸秘の事もあるし、コワーイ裏社会のことを余り図に乗って喋ると、如何なる災難が降りかかってこないとも限らない。
最近、Esashiはかつての学友などから「お前は性格や人相がヒドク変わったなぁ」といわれる。しかし、彼は「変わらないヤツこそ余程ノー天気なヤロウ」だと思い、フンと鼻の先で哂う。変貌は単なる加齢によるものだけではないのだ。
人間、いつも心に抱いているものが言動や顔に現れるのだ。
人は誰でも「業」のようなものを持って生きている。不満や、怒り、嫉妬、猜疑心、復讐心などを何時までも、もったまま長い間生きてくると自然に言動や人相に現れる。顔について著名人がいろいろなことを言っている。

例えば
★顔は誰でもごまかせない。顔ほど正直な看板はない。 
− 高村光太郎 − 『顔』より

★人間は40を越すと、誰でも自分の顔に責任を持たねばならない。
− リンカーン −

★人の顔は若い時だけでは分からない。年をとってから良くなる顔もある。
− ロバート・ショー − (イギリスの俳優)  など等だ。

この中でリンカーンの「40を越すと云々」というのは全く解せない言い方だ。
何云っているんだ‥と云いたくなる。「親から貰った顔に責任持て」といわれてもね。責任は全くない筈だか。

esashi は改めて自分の顔をジット眺めて見た。鏡の中には老人特有のしわが深く刻まれ、くすんだ疲れきった顔がこちらを向いていた。二重人格いや三重人格者のイャーな顔だ。
年輪を重ねても老いとは別に、非常に心優しく立派で味のある顔つきになる人がいる。上品な人は上品な表情になるものなのだから。
しかし、Esashiの顔は正に長年にわたって脅され続けた、いじけた顔だ。おどおどした落ち着きがない目つきがそれを端的に物語っている。
そして今度生まれ変わったら「脅すほうに回りたい」と思っている陰険かつ邪悪な目つきだ。彼は鏡の前で精一杯の笑顔を造ってみた。卑屈な顔がニャっと笑ったが、ドロンとした血走った目は少しも笑っていない。
心はたちどころに顔の表情に現れる。心がけを大事にしないともっとヒドイ顔になると思うのだが「脅したい」と思う妄念は強くなるばかりだ。単なる暴力ではなく「合法的?に脅しをかけ、他人を恐怖に陥れる方法」は無いものかと研究?を始めている。
(04/09/30) このページの先頭へ戻る  

ある脅され男の 告白

脅され顔