水彩画風に処理した西門付近の花壇

わが国、お得意の「ご接待外交」のシンボルとも云える赤坂の迎賓館を見物する機会があった。

8月初旬の暑い日だった。一度は中に入り豪華絢爛たるにネオ・バロック様式の洋風建築物をこの目でじっくり見たいと思っていたが、今年の春に総理府のホームページを見ていたら、年一回この時期に公開する制度があるという。早速要領どおりに「往復はがき」を出したところ、許可の通知が来た。これは「参観証」といういかめしい名前のついた返信用はがきだった。

これと本人ならびに年齢等身分を証明するため運転免許証を携行し出かけた。
この「参観証」なるはがきには、いろいろな注意事項が事細かく書かれているが、受付時間が指定されていた。
私は8月3日の午前11時から20分の間に迎賓館西門で受付してもらうことになっていた。

入り口はかなり警戒厳重で、整列の上順次チェックを受ける。
参観証と免許証又は健康保険証等を係員に示すのだが、ここにはノートパソコンがあり、予め申告した個人データが保存してあるらしく、それとの照合を行い本人か否かを確かめている様子だった。
それがOKになると、案内用小冊子と参観者マークを渡されマークは必ず目に付くところにペタンと貼るように指示された。「えらくうるさいなぁ…」と思ったが拝観させていただくためには仕方がない。
その後25名くらいのグループに分けて順次本館に入ることになる。

整理係は孫のような学生アルバイトと思われる男女の若い人々で、ゾロゾロ押しかけた暇をもてあましている、お爺ちゃん、おばあちゃんは皆大人しく指示に従っていた。
その後、本館内に入ってから更に持物の検査が行われ、やっと参観にこぎつけた。
  

どこから入るのか
本館向かって右端の入り口から入り、赤いじゅうたんが敷き詰められた廊下を歩き、手荷物のチェックを受けた後、2階へ上がる。後は美しい四部屋と中央階段を順繰りに見てまわる。広い中庭が3箇所あり樹木が植えられていた。

そうゆっくりして入られない。美しい室内をじっくり見ようとし立ち止まるとせかされる。何しろ見物人が次から次にと押しかけるので「早く回れ!」と云わんばかりだ。余りよい気持ちはしない。

前面の広場は想像以上に広いが、一面に玉砂利が敷かれ、左右に一対の花壇があるだけの比較的殺風景な広場となっている。一方南側の中庭は噴水や植え込みが美しくまったく別の顔を持っている。

(注)我々が普段見慣れている正面の全景は道路からの景色であり、正門の内側は、大量の殺虫剤の散布で、キレイに保たれた松林がある前庭となっている。
その先に広場がある。



以下当日撮ったデジカメ映像を主体に若干の説明を試みたい。
但し、建物内部の写真撮影は禁止されていた。

本館正面全景




本館南側全景



■内部各部屋のサムネイル
順番は⇒彩らんの間⇒花鳥の間⇒ 朝日の間⇒羽衣の間

■美しい部屋の数々ですのでどうぞクリックし拡大してご覧ください。

(注)内部は撮影禁止ですので迎賓館のホームページの写真をそのまま転用させていただきました。
なお、この参観は毎年時期を選んで行われているようですので興味のある方は下記迎賓館の
HPに掲載の「応募要領」をご覧ください。一見の価値は十分あります。

  迎賓館


■その他のスナップ

右は本館、参観者入り口の様子
左は入場者受付付近
右は東側の花壇(西と一対)
左は南側内部庭園の噴水
右は正面中央部玄関
左は盆栽の五葉の松(数点虫干し?)

迎賓館雑感
この建物のルーツは「赤坂離宮」であり、かつては皇室の持ちものだった。戦後、閣議決定を経てこの宮殿が公館として使われるようになり、大改修の後、昭和49年に迎賓館として新たに開設されたものである。原型はわが国の明治時代の建築家、片山東熊を総指揮者とし、当時一流建築家や美術工芸家総力を上げて作り上げた傑作といわれている。
美しい建物だ。特に内部は実に壮麗だ。ただ大広間といっても一部屋が330u程度なので全体的にはこじんまりした印象だった。各国の大統領や首相クラスの国賓がここに宿泊し、接待を受け、パーテーやレセプションに正装して集まる様子は想像しただけで豪華絢爛たるものだ。
但し、ここは特殊な場所で配布されたパンフレットによると、迎賓館での宿泊を伴う接遇を行うことが出来るのは原則として、外国の元首またはこれに準ずる者で、国賓すなわち天皇陛下の賓客として招請することを閣議決定した場合で、近年ではロシアのエリツィン大統領、フランスのシラク大統領、中国の江沢民国家主席、韓国のノムヒョン大統領、デンマークのマルグレーテ二世女王陛下などだそうだ。その他サミット会場などにも利用されたことがあるらしい。

約1時間かけて一回りし、中庭のテントの休憩所で冷たいものを飲んで一休み。ひどく蒸し暑い日で、なかなか汗が引かなかった。見終わった女性がペットボトル片手に「まるで夢のような世界ねぇ!!」と感想を漏らしていた。その通りだ。

最後に一言苦言を呈しておきたい。
内部の写真はダメ!というのはまあ仕方が無いとしても、壁であろうがカーテンであろうが「一切触れてはならぬ…」という。我々見物人の手垢がついて汚れるとでも思っているのか!役人の考えはこんな程度なのだ。まことに人をバカにしたいじましい話だ。
いかにも「下々の者に見せてつかわす」という態度が見え見えだと感じた。一体ここの年間維持費や人件費はどの程度なのか知りたいと思った。
(05/08/31作成)