『インドネシア・マレイシア
          駐在員マニュアル 88のアドバイス

                    <2度の海外赴任の総括報告書です>
                                        ※ 修正すべき所があります。正誤表


《巻頭に寄せて》
これぞ生きた異文化理解
                 社団法人 日本マレイシア協会
                      会長 塩川 正十郎


  近年、マレイシアをはじめとする東南アジア諸国へ日本企業の進出が急ピッチで進み、大勢の日本人が同地で生活をするようになりました。
  それに伴い、日常や職場において、現地の人々との様々なトラブルに直面することが多くなってきております。
  それは、多様な人種・宗教・文化が混在する東南アジアにおける、異文化理解の欠如によるところが大きいと考えられます。
  そんな中、本書では、これまでに起こった具体的なトラブルの事例を取り上げ、その予防と処理を通じて、東南アジアの人々と共に生きる知恵を紹介しており、駐在員の方や現地担当の方などに有用な情報を提供しています。
  企業人だけでなく、これから社会人になる学生の方にも、ぜひ一読をお薦め致します。

『日馬プレス』 1998年 1月16日号の記事


インドネシア・マレイシア『駐在員マニュアル』を出版
       小山和智 ・ KL日本人学校国際交流ディレクター

  海外で仕事や生活をすると、「何でこんなことが?」と信じられないようなことと 次々に遭遇する。 その度に驚き、あわて、胃が痛くなるような日々が続く。
  そうなる前に、民族、宗教、文化、日本人の常識を越えた感覚、出来事を予め知り、どうしたらトラブルやストレスを防ぐことができるかを、KL日本人学校の前 国際交流ディレクターだった小山和智氏が インドネシア・マレイシア 『駐在員マニュアル』として出版した。
  小山氏はこの著作の中で、トラブルの実例とその予防と処理法を通して、東南アジアの人々とともに生きる知恵を紹介している。 また、両国での日本人が遭遇するトラブルの根源が異文化理解の欠如にあることを正面からとらえ、現地の常識の側面から、トラブルの処理を平易に説き明かしている。
  小山和智氏はインドネシア、マレーシアと似て非なる隣合う2つの国の日本人学校に長期間勤務し、持ち前の好奇心の強さと人懐っこさで現地の社会に溶け込みながら、日本人社会にも幅広い人脈をもってきた。 KL日本人学校には昨年4月まで勤務。 現在は社団法人日本マレイシア協会参事(文化担当)として、日本国内の企業や団体、学校などで異文化理解、国際交流の指導に当たっている。

主な内容
    商  習  慣 : 社用の食事代。 帰省シーズン。 立食で鬼ごっこ。
期限を守らせる。 よく考えてやれ。
    制 度 ・ 役 人 : プレゼントの要求。 税金を値切る。
    職場での感覚 : 作業工程の変更。 分かったかな。 手を洗いたい。
根回しは必要? 解雇はできない?
    事 故 ・ 盗 難 : 工場にコブラ。 出張中の盗難。 膝が見えたら駄目。
真昼間の惨事。
    医 療 ・ 保 健 : 頭が風になる。 呪術師の治療。 左手は不浄。
検診を強制する。 俺は医者じゃない。
    地域社会と個人: 用地買収と隣組長。 レバランの会食。 起工式は何式。
部下の冠婚葬祭。
    妻の不安と疑問: 子供の学校は。 市場での買物。 女性のタブー。
結婚のお祝いは。 日本人会の活動。



『日刊ゲンダイ』 1998年 4月24日号の書評

  駐在員や留学生が東南アジアでよく出会うトラブルを想定し、その原因と解決策を説きながら、多重文化の中で暮らす知恵を伝授する。 現地スタッフから公私混同を疑われる社用の食事代など商習慣の違い、婦女暴行の疑いがかけられる現地女性との浮気や不倫など、異文化理解の欠如から生まれるトラブルをケーススタディー。



『月刊マレイシア』 1998年 5月20日号の書評

  協会事務局に『駐在員マニュアル』を紹介され、さっそく買った。 書名から、海外駐在のためのノウハウ本のつもりで読み始めたが、その予想を裏切る内容に驚いた。
  確かに、我々がビジネスの現場で面食らったり、打ちひしがれたりする問題を糸口にしているものの、異文化理解を正面から捉えた解説書として見事に構成されている。 巻頭に「これぞ生きた異文化理解」とのメッセージが寄せられた意味が、うなずける。
  世に国際ビジネスの手引書は無数に出版されているが、正直なところ、あまり役に立ったという実感がない。 それどころか、おざなりの説明だったり、限られた状況のみの話だったりで、そのまま自分の仕事に活かせないものが、ほとんどである。
  『駐在員マニュアル』の凄さは、こうした不満や不安を、根源から説き明かしていることにある。 国際ビジネスには、高度のノウハウが必要なのではなく 「東南アジアの人々と共に生きる」という姿勢、心構えが大事であることを、痛感させられた。
  巻末の解説も素晴らしい。 東南アジアの多民族社会、多宗教社会を、これほどコンパクトに、しかも平易に解説したものは、今までに見たことがない。 「若い人、学生の皆さんにも理解できるよう」 と著者は言うが、この道30年の私でも、新たな発見が、そこここにあった。
  なお、「インドネシア・マレイシア」 と冠がついているが、内容はシンガポール、ブルネイはもちろん、アセアン各国に駐在、出張する者にも、有益である。 何故 「東南アジア」 としなかったのか。
  ともあれ、久々に “息子に読ませたい一冊” に出会った。


    (公社)日本マレーシア協会


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