第14回 グローバル化社会の教育研究会のご案内 | |||||||||||||||||||||||||||
記録的な寒さと豪雪の便りが届きますが、皆様
いかがお過ごしでしょうか。 さて、第14回研究会には、関西の「帰国子女教育を考える会」 の事務局長 井嶋 悠さんに、話題提供者をお願いしました。 井嶋さんは昨年3月に大阪の千里国際学園を退職されるまで、海外・帰国子女教育のエキスパートとして活躍される一方、関西地区における関係者のネットワークの事務局長としても活動してこられました。 現在は 「日韓・アジア教育文化センター」 というNPO法人を立ち上げられ、帰国子女教育・外国人生徒教育、そして国際理解教育の新しい展開を模索しておられます。 帰国子女教育、外国人生徒教育、国際理解教育の問題には通底する課題も多く、「全てがつながっている」 という感覚は、関係者は誰しも感じているところです。 これまでの井嶋さんのご経験や東アジア、とりわけ韓国における海外・帰国子女教育の事情などについてお話を伺いながら、広い意味における 「国際理解教育」 の地平を考えてみたいと思います。
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以 上 |
前置きとして: 経験則の背景あるいは日韓・アジア教育文化センターへの軌跡 T.海外帰国子女教育・外国人子女教育、国際(理解)教育と私 1、神戸女学院時代での国語科教員としての出会い(1980年前後) □ 帰国生徒受け入れ □ 外国人留学生受け入れ →大阪外国語大学大学院日本語科への研修留学 2、神戸国際中高等学校・インドシナ難民定住促進センター等 3、千里国際学園 □ 新国際学校 □ 帰国子女教育を考える会 U 気付き・発見 1、知識と人格、あるいは知識化教育・知恵化教育 □ 10年一貫教育 □ キリスト教 □ 自然 □ 全人教育 □ 国語科教育と日本語、帰国生徒・外国人留学生 □ 対話の教育 2、理念⇔現実 □ 結果の具体性と根底の抽象性→「間(はざま)・際(きわ)」の認識への萌芽 □ 相互理解と言葉、対話←直接法による日本語教育 □ 韓国での出会い 3、西洋と東洋 □ 同情と愛情、あるいは救済・同化と脚下照顧 □ 「国際」の二つの側面の体感 ☆ 世界の多様性の実感と「島国日本」と共生 ☆ Identity 自己確認から「人間」の実感→「間・際」『国際人』 □ 「新」と「真」 ☆ 国際化・グローバル化時代での教育・学校 ☆ 日本の教育現状からの教育と学校 ☆ 原点としての教育と学校 □ 西洋と東洋 ☆ 教育観 ◆ 選抜→受け入れ→教育→送り出し ◆ ESLクラス ◆ 国際バカロレア ☆ 人間観・生徒観 ◆ ほめる教育・育てる教育 ☆ アメリカとイギリス ☆ 西洋と東洋、国際化、グローバルスタンダード、そして人類発想(共生) ◆ 水と油 ◆ インドとアジア ◆ 東アジア そして日本、Identity ⇒ NPO法人日韓・アジア教育文化センターへ 本 題: 日本と韓国、そして日韓からアジアへ T 出会いの韓国人と私自身 ■ 日本語教員 (ソウル日本語教育研究会) ■ 人間同士での共感 ■ 日本への疑問、期待、愛着 1993年 ソウル「プラザホテル」(参考:李 良枝・茨木 のり子・上野 田鶴子) U 国際会議構想あるいは私の思い ■ 日本語教育への共感、日本語教育からの国際理解 ■ 日本再考 ■ 日韓交流史 [古代から近世そして近現代へ、その文化と政治・経済] ■ 日本の国際貢献:韓国へ、そして世界へ ■ 日本の教員力向上と学校、学校教育の変革、活性化 ■ 相互交流・相互理解・国際理解からの自己、自社会(地域)、自国理解、そして… V 国際会議の共催 [注:共催への過程] 1994年 兵庫県加古川市 ↓ 2005年 韓国釜山市 【参考資料:「日韓からアジアへの国際会議概要」】 W 相互交流・相互理解としての国際会議共催での研鑽、成果 1、韓国と儒教と教育、そして日本との違い ☆礼 [長幼の序] ・仁義礼智、恩義 ・人間間 ・親と子、また「三世代家族」 ・教員と生徒、教員と保護者 ・相対敬語と絶対敬語 ☆ピラミッド型 ・両班と官僚と文人政治 ・頂点としてのソウル大学 2、韓国人の生きる力と教育、そして日本との違い ☆韓(朝鮮)民族 ・狩猟民族と農耕民族 ・女性の力強さ (備考:北女南男と東男京女) ☆熱情・愛・ケンチャナヨ ☆人間観・人生観 ・生の哲学、歴史 ・孤独への認識とお互い孤独な、たかが人間されど人間的感覚 ・宗教 ☆日々の生活と食事・酒 3、韓国と日本語教育 @高校での現状 ◇実業系高校では必修 ◇第2外国語では希望者最大 ◇教育環境 (教室・課程・教員) A理由・背景 ◇親近感 (言語・歴史・文化・地理・人間) ◇生活 (生きる) 向上 ◇国益 (経済・技術・文化) 4、韓国と海外帰国子女教育 [尹(ユン)裕淑(ユソク)氏 (韓国教育人的資源部研修院)の報告から ―第2回日韓・アジア教育国際会議―] @帰国子女数 約12,000人(1、アメリカ 2、中国 3、日本(約500人) 海外留学生 約10,000人 A韓国人学校 14カ国・25校(中国 7校、 日本 4校(2校は一条校)) 生徒数(幼稚園〜高校);日本 約1,700人 中国 約2,000人 ジャカルタ 約1,500人 ベトナム 約500人 中南米 約700人 B韓国教育院 35院 (日本 14、アメリカ 6) Cハングル学校 96校 (アジア・オセアニア 24校、欧州 27校、中南米 18校) D帰国子女への視点 「世界化時代の大事な国家資産」 E帰国子女教育での問題点 ■母語理解力、教科内容、教授法、学習方法、生活行動での生徒の葛藤 ■韓国学校社会での排斥と適応教育による本末転倒現象 *帰国生徒の自発的、自主的学習姿勢 *外国語 (特に英語) 力修得と母語力不足からの疎外現象 F帰国子女への対応 *帰国子女特別クラスの設置 (教育大学附属等) *協力校の設置 【成果】 *情緒での安定 *学校自主教材と個別対応での学業向上 *カウンセリング等により人間関係の円滑化 *伝統芸術・芸能、礼儀教育による共同体意識 (「私」から「我我」へ) *滞在国での友人との文通、滞在国言語の学習による国際性の維持、伸展 G尹氏の提言 *教育人的資源部による教材開発、教育課程検討、教授法研修 *生活、学習での個別相談センターの設置とインターネットサイトの開発 *帰国生徒担当教師の研修 *予算措置への配慮 *受け入れ校のネットワーク形成 *滞在地言語の保持、伸展のための教員確保と予算措置 *特別クラスの定着と発展 5、日本との連携―海外帰国子女教育を介しての共生を目指して― @日韓・アジア教育文化センター活動として ☆ 韓国語韓国文化教室(仮称)の開設 (2006年4月開設予定) [母語保持伸展と韓日バイリンガル、韓日英トリリンガル構想] A「海外子女教育の新展開に関する調査研究プロジェクト」への参加 『本プロジェクトでは、海外子女教育に内在している「日本人」「日本人性」の問 題を克服し、「日本型多文化教育」を軸にした海外子女教育の理論的視野とそれを 実現するための実践のあり方を検討することを目的としている。そのためには、海 外の海外子女教育の動向、日本の外国人学校の位置づけなど、多様な視点から 海外子女教育を検討する必要がある。このプロジェクトは、3年をめどに、アジア地 域(韓国、台湾、中国等) の海外子女教育の政策動向、日本の外国人学校の動向等に ついて基礎的な情報収集を行うものである。』 (プロジェクト発足文より) ☆ 韓国の海外帰国子女教育の現状について論考を作成予定 (尹氏・井嶋) X 日韓・アジア教育文化センターの反省そして課題 1、センター委員 (韓国・中国・台湾)が日本語教員であること 2、財政課題 3、実践の継続、伸展とセンター定着のための広報 【参考:3月に『通信』第1号の発行(2005年の報告と2006年の予定)】 4、実践での人的ネットワークの形成、確保、発掘 5、歴史問題への姿勢 【参考】 《1》第2回日韓・アジア教育国際会議 ◇主題の一つ、「日本語教育教材『日本事情 (文化)』 ◇韓国日本語教員動員による抗議文書の発送 《2》全国紙(2005年8月15日)・新刊書物 (2005年10月・12月刊) より 「戦後の歴代政府は、本来なら史実を丹念に検証し、一連の戦争の報告書をまと めるべきだと思うが、それに取り組んだ政府はない。」(ノンフィクション作家) 「歴史教科書問題は歴史的事実の客観的な検証などによって解決する類のことで はなく、彼らの作った歴史の方を「正しい歴史」、つまり「正史」とし、その中華の歴 史を道徳的に劣った日本が素直に飲むか否かという、彼らのエトニ(エスニックな共同体) の拡張と包摂の意図をはらんだ問題なのである。」「(ある研究書を引用して)強制連行 はなかったのである。」 (韓国の大学で日本語教員経験もある東アジア政治思想研究者) 「朝鮮半島や中国に人びとに対して、深い恨みを残すようなやり方が実際に行わ れたこと、その事実を真正面において、日本人が、なぜ、そのような事態を起こし たのかをよく反省することこそが問われているのではないか。(中略) そして、きち んとした反省をなしえたときこそ、ようやく日本人が誇りを取りもどすことができる。 そう、わたしは思う。」(日本の近現代の文芸・文化史再編を学際的に行っている研究者) 6、台湾と中国問題 7、韓国と北朝鮮問題 8、ナショナリズムとインターナショナリズムの定義 [備考:国益、相互益、世界益] 9、日本国内への還元 ☆ 海外帰国子女教育 ☆ 外国人子女教育 ☆ 国際(理解)教育 ☆ 日本語教育・国語科教育 |