第40回 グローバル化社会の教育研究会のご案内 | |||||||||||||||||||||||||||
上海では すっかり夏の陽気となってまいりました。 皆様
いかがお過ごしでしょうか? 事務局の諸事情もあり、しばらくEGS研究会を開催できないでおりまして、申し訳ございません。 この間、東北地方を襲った大地震・津波、それに付随して起こった原発問題や政界のゴタゴタなどに目を奪われているうちに、子供たちを取り巻く状況も どんどん変化していっています。 「日本人学校では今、いったい何が起こっているのか?」 というお問合せも よくいただくようになりま した。 そこで、海外子女教育、とりわけアジアの日本人学校の現況につきまして、ご関係の皆様と情報共有を図る研究会を開かせていただくことになりました。 マスコミやインターネット等で膨大な情報が流されていますが、ものごとの本質や背景まで考えることを、逆に疎外されているように思われます。 海外子女教育振興財団の 「国内学校説明会・相談会」(7/31東京会場)、全海研・全国大会(8/1-3)などを控えた ご多忙な時期ですが、それらに臨まれる際の基礎知識を整理する場として ご活用いただけましたら幸いです。
| |||||||||||||||||||||||||||
以 上 |
グローバル化社会の教育研究会(EGS) は7月27日、(財)波多野ファミリスクール(東京都新宿区)において「海外子女教育にいま、何が起こっているか?
―アジアの日本人学校の現況から考える」
を研修テーマに研究会を行った。 同研究会は、何らかの異文化的な背景を持つ子どもたちが安心して学校生活や学習に臨める社会の実現に向けて協働していくことを目指す実務者・実践者の会。 2003年の発足以来、帰国子女、教職員、企業の教育相談員や子どもを抱える海外勤務者の家庭を支援するボランティアなどのネットワークとして活動している。 毎回異なるテーマで研究会を開いていて、今回は35人の参加があった。 当日は 研究会の事務局長で上海日本人学校学校事業計画室長を務める小山和智氏から、海外子女教育の歴史を踏まえながら アジアの日本人学校の状況が説明された。 小山氏によると、日本政府は かつて「海外子女」の定義を 日本に帰国することを前提に一年以上海外に滞在する義務教育段階にある子ども と規定していたが、近年の駐在員の若年化による幼児の急増、駐在の長期化による高校生の増加、国際結婚などの帰国を前提としない家庭の現地化・国籍の多様化 といったことを受けて、この概念は変化しつつあるとのこと。 日本人学校においては、社会情勢の変化に伴い 資金力と中長期計画の喪失、政府派遣教員の比率の低下といったことが起きているなかで、通学率が下がり続けていると述べた。 特に アジアの日本人学校ではここ十年、77.6%(2001年)から 55.5%(2011年)と激しい落ち込みを見せた(外務省調べ)ことを指摘し、こうしたことから、日本人学校はアジアにおいても 「選択肢の一つ」 として現地校やインターナショナルスクールと競争する状況に置かれるようになったと語った。 さらに、たとえば言語習得のメカニズムと幼児期における母語の重要性や、異文化・異言語の中で生活する際に生じるさまざまな問題など これまでの経験から得られた大切なことを発信し続けながら、今後の日本人学校の在り方等について、海外子女教育の使命は何なのかということの中で議論していく必要があると述べた。 これを受けて 参加者による質疑応答・協議に入ると、海外・帰国子女教育に対して それぞれが抱いている問題が提議され、小・中学生が日本人学校を選択しなくなる傾向から生じる諸問題について考えることが 次回以降への継続課題とされた。 |