第42回 グローバル化社会の教育研究会のご案内 | ||||||||||||||||||||||||
明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いいたします。 さて、第42回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は、 「Logical Thinking とCritical Thinkingを考える」のテーマで、ミニ・シンポジウムを行います。 発題は、松本 輝彦さん(INFOE 異文化間教育研究センター代表)と和田圭史さん(白藍塾 社長)です。 松本さんには 「アメリカ初等中等教育の基礎にあるもの」の観点から、現地校教育の現場や日本におけるHOTS(Higher Order Thinking Skills) の実践例などをご紹介いただき、和田さんからは 来春、学研から刊行される新教材 「Logical Thinking と Critical Thinking 」の制作趣旨や 協力校の現状などについて、話題提供をお願いします。 経済界では 「グローバル人材の育成」 が盛んに叫ばれていますが、そのニーズに対し学校の現場で 「日本の戦後教育で 何が欠けていたか」 あるいは 「これからの教育再生に どういう手順が組めるか」 といった実践的な検討は、余り表に出てきません。 「日本の教育現場で、どういう教材がどういう使われ方をすればよいか?」 等について、実際に教材開発・教員訓練に携わっておられるお二人からのお話を基に 皆で考えたいと思います。
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以 上 |
グローバル化社会の教育研究会は2月16日、波多野ファミリスクール(東京都新宿区)において 「Logical Thinking と Critical Thinking を考える」をテーマにシンポジウムを行った。 同研究会は 2003年の発足以来、毎回異なるテーマで研究会を開いている。 今回は INFOE海外子女教育情報センター代表の松本輝彦氏と (株)はくらん 代表取締役社長の和田圭史氏の発題をもとに、来場者が意見を交換するシンポジウム形式で会が進められ、帰国子女、教職員、企業の教育相談員、子どもを抱える海外勤務者の家庭を支援するボランティア団体などから 32人の参加があった。 発表に立った松本氏は、Logical Thinking や Critical Thinking の力をつけるには書くことがいちばんのトレーニングになるとして、長年アメリカで日本人の子どもを指導してきた経験をもとに 現地校の教育の特徴について説明した。松本氏によると、アメリカの学校では一貫して書くトレーニングが行われていて、小学校高学年から中学校にかけては、ファイブパラグラフ(五段落)エッセイという、まず型にはめる文章を書かせ、次第に内容を問うていくという指導が徹底的に行われる。 これが高校段階になると クリエイティブライティングという発展的なエッセイになり、大学・大学院では 調査・研究論文という形で、書くことに対する指導が続けられるという。 一方日本では、書き方の指導を受けておらず、書くトレーニングを積んでいない子どもが多いと指摘。早稲田大学や明徳義塾中学校・高等学校での自身のファイブパラグラフエッセイをもとにした指導を紹介しながら、文章を書いたり読んだりする力は 教科の横断的なスキルを上げていくもので、現在の制度の中では指導が難しい面もあるが、子どもたちが考え、書くトレーニングをする場がより多く必要だと訴えた。 続いて発表に立った和田氏は、4月に学研教育出版から学校採択教材として発売される Logical Thinking と Critical Thinking を伸ばすための記述型新教材『クリティカル・シンキング』について説明した。和田氏は小論文指導「白藍塾」(塾長 樋口裕一氏) の運営に20年近く携わるなかで、なかなか力を伸ばせない子どもは 書く機会が圧倒的に不足していると感じたといい、この教材を発案したのは 子どもたちに論理を形成するためのさまざまな基礎力を養いつつ、気軽に、楽しく文章を書き、考える機会を提供したかったからだと話した。 この教材の中で Logical Thinking は、国語教育で重要視されている文脈などを考えて論理的に正しい答を導き出す力とされ、Critical Thinking は、国語以外の教科でも必要な幅広い思考・表現・課題解決力とされている。 和田氏は小論文を学ぶ醍醐味は、イエスとノーの両方の意見を楽しみながら考える Critical Thinking 的な力を養うことであるとして、現在普及している正解主義的な小論文指導のあり方を変えていきたいと語った。 参加者を含めた協議の時間に入ると、おのおのの取り組みの紹介を交えながら意見が述べられるなど、活発な議論が交わされた。 松本氏は最後に 「現地校に通学した経験のある帰国生は、高い自己表現力を持つといわれる。 そんな子どもたちが親になり、日本の学校教育を心配する声を聞く。 しかし グローバル化が避けられない社会情勢の中で、文部科学省をはじめ日本の教育界が目指すところも変わってきつつある。 今後は海外生が身につけたことを日本の子どもに還元していく活動をしていきたい」 と語った。 |