第46回 グローバル化社会の教育研究会のご案内
残暑お見舞い申し上げます。  皆様いかがお過ごしでしょうか?

  さて、第46回EGS研究会は、千葉大学先進科学センターの石井 久夫教授と学生さんにいらしていただき、17年目を迎えた「飛び入学」についてお話をお聞きします。
  1998年 (平成10) に「高校2年修了後、通常より1年早く大学に入学できる」という「先進科学プログラム」が発表された時は衝撃でしたが、国内教育に一石を投じるものとして期待もされていました。 10数年を経て、実際に どんな学生が集まり、育っているのでしょう。 どんな課題や可能性が見えてきているのでしょうか。
  このような「飛び入学」や「飛び級」の制度は、欧米諸国はもちろん、韓国・台湾・シンガポールなどでも採用されています。 しかし、日本で採用されることが少ないのは何故なのか、どんな障害要因があるのか、といった面からも話し合いたいと思います。
開催日時 :  2014年 9月25日(木)  午後2時〜4時半
開催場所 : 聖 学 院 中 学 校 ・ 高 等 学 校
(東京都北区中里3−12−1 Tel.03-3917-1121)  地図
* JR山の手線「駒込駅」東口より徒歩5分、地下鉄南北線「駒込駅」北口より徒歩7分
研修テーマ: 17年目を迎えた千葉大学の「飛び入学」
       --- どんな人材が集まり、育っているか?
 (1) 話題提供: 石 井 久 夫 (千葉大学 先進科学センター教授)
1986年、東京大学教養学部基礎科学科卒後、大学院理学系研究科 相関理化学専攻。1988年 修士課程修了、1991年 博士号取得。 名古屋大学理学部助手を経て、2002年 東北大学電氣通信研究所 助教授。 2006年から現職。専門は有機半導体、表面・界面科学、光電子分光ほか。

只木 琴音 (千葉大学 先進科学プログラム学生)
1995年生れ。 小学4年初めから3年間,ホーチミン日本人学校に通う。 日本の中学に2年間在籍し、 2010年9月 ハノイ・インターナショナルスクールへ転校。 2011年夏、高卒認定試験合格。 2013年、千葉大学文学部行動科学科に「飛び入学」。
参 加 費: 1,000円 (運営費)
申込み方法: 氏名、所属先、Eメール連絡先、(もしあれば)同伴者の氏名、ご意見・ご要望などを <kyoiku@t.toshima.ne.jp>まで ご連絡ください。
以 上   

『小山の教育通信』 2014年 9月
  8月末、千葉大学の 「飛び入学」 の説明会が 田町キャンパス(港区芝浦) で開かれました。 1998年、「高校2年修了後、通常より1年早く大学に入学できる」 という 「先進科学プログラム」 が発表された時は衝撃でしたが、国内教育に一石を投じるものとして期待もされていました。 その後十数年を経て、実際に どんな学生が集まり、育っているのか、或いは どんな課題や可能性が見えてきているのでしょうか。
  第46回グローバル化社会の教育研究会(EGS)では、千葉大学先進科学センターの教授と学生さんを招いて、現状をお聞きすることにしました。 また、「飛び入学」や「飛び級」の制度は、欧米諸国はもちろん、韓国・台湾・シンガポールなどでも採用されていますが、日本で採用されることが少ないのは何故なのか、どんな障害要因があるのか、といった面からも話し合いたいと思います。

『月刊 海外子女教育』 2014年11月号ニュース欄
  グローバル化社会の教育研究会は9月25日、聖学院中学校高等学校(東京都北区)において、「17年目を迎えた千葉大学の『飛び入学』―どんな人材が集まり、育っているか」 をテーマに研究会を行った。 今回は千葉大学先進科学センター教授の石井久夫氏と、同大学に飛び入学し先進科学プログラム人間探究コースで学んでいる只木琴音さん(文学部行動科学科二年)の発題をもとに、来場者が意見を交換し合った。 参加したのは海外・帰国子女教育の関係者など22人。
  発題者の石井氏は 「有機半導体」「表面・界面科学」等が専門で、2006年から現職に就いている。氏は千葉大学の飛び入学(先進科学プログラム)について、個性尊重の考え方に立って稀有な才能を持つ者について大学入学の年齢制限を緩和した制度であると説明し、その魅力を 「1年早く大学へ入れることだが、それ以上に1年次のはじめから大学の先生たちと一対一でつきあえることや海外研修等の貴重な経験ができることも見逃せない」 と語った。
 制度導入の目的は 「個性的能力を早期に発掘し、個性に応じた教育により開花させ、創造性溢れる研究者・技術者を育成すること」である。 入試には三つの方式が用意され、秋入学も可能。 たとえば方式Tでは「着想」「構想力」「考える力」「ねばり」を問う。 7.5時間にわたる筆記試験では 数学以外は参考書の持ち込みが可能で、食事や休憩も自由。 面接は約1時間をかけ 意欲や個性、適性を探り、総合判定で合否を判断するという。 方式Uは 希望学科の前期日程試験を高校三年生や浪人生に混ざって受験し、通過者のみ約1時間の面接(人間探究コースは課題論述試験と面接)を受ける。 方式Vは高校三年生を対象にした九月入学のための試験になる。
  授業には少人数セミナーやオムニバズセミナーが多くあるほか、縦横につながりも重要視。 卒業生の90%以上が大学院に進むと話す。
  氏は 「飛び入学は一見、加速教育のように見えて、実態は拡充教育(個々の学生に応じた指導)」 と分析したうえで、高校等とも連携をはかり この制度が広まればと、期待感を示した。
  続いて、飛び入学をして千葉大学に学ぶ只木さんが 体験談を披露。 ホーチミン日本人学校(ベトナム)を卒業した只木さんは 帰国後私立の中学校に入学したが、中学三年の途中に父親の転勤で 同じベトナムのハノイへ。 インターナショナルスクールに通いながら 高卒認定資格を取得。 十一(高二)年生で千葉大学の飛び入学試験(方式U)に合格し、帰国した。
  只木さんは先進科学プログラムのいちばんの魅力を 「文系理系の区分なく学習でき、先生たちとの距離が近いところ」 と語る。 インターナショナルスクール時代は 文系理系関係なく先生たちが それぞれ得意な分野について情熱的に教えてくれ、学ぶ楽しさを知ったといい、同じようなスタイルで学習できる環境は 自分に合っていると目を輝かせた。
  石井氏は入試の際、只木さんの面接をした試験官のひとり。 「ある面接官の試問に対し、その質問自体の枠組みの問題点を理路整然と指摘し 切り返したところに可能性と魅力を感じた」 と振り返り、飛び入学生への指導は 教員たちにも大いに刺激になると語った。
  参加者からは、石井氏に対して 「飛び入学のための指導をしている高校はあるのか」「入試の方式によって、学生の資質は違うのか」、只木さんには インターナショナルスクール時代や将来に関する質問があったほか、「飛び入学制度によって、日本の受験のあり方が変わることを期待したい」 といった声が聞かれた。


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