第52回 グローバル化社会の教育研究会のご案内
秋もだいぶ深まってまいりました。 皆様 いかがお過ごしでしょうか。

  さて、第52回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は、特別企画で帰国生受け入れ校3校によるミニ・シンポジウムを行うことにしました。 テーマは 「帰国生受け入れの “伝統校” は 今 どうなっているか」です。
  EGS研究会では 2003年から3年間、教育フェア 「ガンバレ、帰国生!」 を開きましたが、あれから10年を経て 「どこが変わり、どこが変わっていないのかを知りたい」 という質問が よく寄せられます。
  帰国生の指導に長年携わって来られた3人の先生をお招きして、各校の現状を ご説明いただくとともに、帰国生受け入れ校全体の状況が どう変化してきているかについて、参加者で話し合いたいと思います。
開催日時 :  2015年11月20日(金)  午後2時〜4時半
開催場所 : 聖 学 院 中 学 校 ・ 高 等 学 校
(東京都北区中里3−12−1 Tel.03-3917-1121)  地図
* JR山の手線「駒込駅」東口より徒歩5分、地下鉄南北線「駒込駅」北口より徒歩7分
研修テーマ: <ミニシンポジウム>
帰国生受け入れの “伝統校” は 今 どうなっているか
  話題提供: 石 川 一 郎 (かえつ有明中・高等学校 校長/元 暁星国際学園 教頭)
北 原 都美子 (啓明学園 理事・学園長/元 明星学苑中学・高校 校長)
熊 野  孝  (桐朋女子中学校・高等学校 教頭・国際教育センター主任)
話題提供の後、ご意見・ご質問をたくさんいただき、活発な会にしたいと考えています。
参 加 費: 1,000円 (運営費)
申込み方法: 氏名、所属先、Eメール連絡先、(もしあれば)同伴者の氏名、ご意見・ご要望などを <kyoiku@t.toshima.ne.jp>まで ご連絡ください。
以 上   

『小山の教育通信』 2015年12月
  テーマは 『ミニ・シンポジウム: 帰国生受け入れの “伝統校” は 今 どうなっているか』 です。 EGS研究会では 2003年から3年間、教育フェア 「ガンバレ、帰国生!」を開きましたが、あれから10年を経て 「どこが変わり、どこが変わっていないのかを知りたい」 という質問が よく寄せられます。 今回は、帰国生の指導に長年携わって来られた3人の先生をお招きして、10年前の状況との対比をしながら、各校の現状と帰国生受け入れ校全体の状況がどう変化してきているかについて、参加者で話し合いたいと思います。
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  永年、帰国子女教育に携わってこられた 石川 一郎先生、北原 都美子先生、熊野 孝先生を囲んで、「帰国生受け入れの“伝統校”は 今 どうなっているか」のテーマで 話し合いました。 冒頭に 石川先生から、1980年頃から20年くらい 「“受け入れ校” を作って 帰国生を “救済” する」 ことを 目指す時代があり、そのうち 「帰国生の “救済” から “特性伸長” へ」 という発展をしてきたこと、その頃は 入学・編入試験で “帰国子女” の認定や適用に現場が苦労したこと、ところが、2005年頃から学習塾が海外巡回説明会を開いたりするなど 入試体系の中に 「帰国子女入試」 が位置づけられるようになり、“帰国生を中心に置いた教育” が学校のブランド要素となっていること、などの概要説明がありました。
  その後の目立った話題は、ITC普及と学習塾の海外展開により 情報過多の状況が生まれていること、国際結婚の家庭や外国籍の生徒も増えて 「その子が どこで どう生きていくべきか」 も多様になっていること、駐在員子女ではない生徒や複数国を経験した生徒が多いこと、英国でもアジアでも インター校で学んだ生徒が急増していること、等々…。
  「双方向授業 (Active Learning)」「批判的思考 (Critical Thinking)」「哲学 (Theory Of Knowledge)」「ディベート能力」 など、帰国生と向き合えば 認識せざるを得ないことが 今、国内校の現場で 注目されています。 「帰国生が一般生の中に入る」 形ではなく、帰国生が受けてきた教育スタイルの方に “国内教育を近づけよう” としているのです。 関係者としては 「何を今さら…」 と いささか呆れもしますが、帰国生受け入れの伝統校では “生徒一人ひとりに寄り添う指導” に変わりがないことが確認できて、安心しました。 偏差値に頼らない学校選びが、いっそう大切な時代になっているわけです。


『月刊 海外子女教育』 2016年 2月号ニュース欄
  グローバル化社会の教育研究会は11月20日、聖学院中学高等学校(東京都北区)において、「帰国生受け入れの伝統校≠ヘ今 どうなっているのか」 をテーマに シンポジウムを開催した。 教育関係者や帰国生の保護者などを中心に 23人の参加があった。
  シンポジウムの発題者は 石川一郎氏(かえつ有明中学・高等学校校長)、北原都美子氏(啓明学園理事・学園長)、熊野孝氏(桐朋女子中学・高等学校教頭・国際教育センター主任)。 それぞれ、十年前との比較を中心に 「いま」 を語った。 
  冒頭に石川氏から 1980年頃から二十年ほど 「受け入れ校≠つくって帰国生を救済≠キる」ことを目指す時代があり、そのうち「救済≠ゥら特性伸長≠ヨ」 と発展を遂げ、グローバル人材育成が叫ばれる現在では 「帰国生を教育の中心に置こう」 という動きも出てきていて、帰国生は今後の教育改革の要になり得る存在であると分析した。
  次に北原氏は、IT化や海外への塾の進出が進んで 情報過多の状況が生まれていることに警鐘を鳴らすとともに、国際結婚家庭や外国籍の子どもが増加していることを踏まえ、多様化する社会では共存共生していくことが大切、まずは言語をしっかり確立させ、その子が 「どこで、どう生きていくか」 を考えて冷静に進路選択をしていってほしいと願いを述べた。
  熊野氏は、以前は国や地域、年齢や滞在年数によって通う学校の種類に一定の傾向が見られたが、最近はエリアや期間に関係なくインターナショナルスクールを選ぶケースが増えてきているのではないかと話し、「学習言語が十分確立できていない帰国生への対応」 が課題になってきていると述べた。 そして さまざまな帰国生すべてがハッピーでいられる学校でありたいと語った。
  参加者からは「いま通っている学校での勉強を大切にしてほしいということばに勇気をもらった。 発題された三校では 生徒一人ひとりに寄り添う指導に変わりないことが確認できて安心した」 等の声が聞かれ、盛況の中での散会となった。


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