2017年11月吉日
多文化共生を目指す教育関係者の皆様
グローバル化社会の教育研究会 事務局

第62回 グローバル化社会の教育研究会のご案内

拝啓、朝晩の冷え込みが厳しくなっていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

  さて、第62回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は、法政大学女子高等学校の 江川 治 先生に 話題提供をお願いしました。 皆様ご存じの通り、同校は 来年4月から「法政大学国際高等学校」になります。

  この改革の目玉は、共学化よりも 国際バカロレア(IB) 「日本語DP」の本格的な導入にあります。 来年は IB機構の創立50周年に当たり、「日本語DP」連絡協議会には 75校も参加する状況ですが、実際の導入過程の実態を知る機会は なかなかありません。
  導入に至った経緯や 様々な課題、さらには その克服プロセスなどについて、江川先生からお話を伺い、「日本語DP」の意義について一緒に考えたいと思います。

  なお、準備の都合上、お申込みは お早めにこちらまで ご連絡ください。 (受付: 11月24日まで)

               記

開催日時 :  2017年12月 1日(金)  午後2時〜4時半

開催場所 :

聖 学 院 中 学 校 ・ 高 等 学 校
(東京都北区中里3−12−1 Tel.03-3917-1121)  地図
     * JR山の手線「駒込駅」東口より徒歩5分、地下鉄南北線「駒込駅」北口より徒歩7分


研修テーマ: 法政大学国際高等学校の改革
   --- グローバル探求コース と IBコースの開設

 (1) 話題提供:

江 川  治 (法政大学女子高等学校 教務主任)
1961年生まれ。1989年 法政大学大学院 人文科学科日本文学専攻(前期博士課程) 修了。1990年 法政大学女子高等学校の専任教諭(国語科) となる。 学年主任、学科主任、進路主任、企画部主任、総務主任を経て、2017年から現職。 企画部主任以降は 運営委員も務めており、2018年からの校名変更、及び IBコース開設に関するプロジェクトの中心的存在。 次年度は、プレIB(「国語総合」)、DP「日本語A文学」の授業を担当予定。
1990年より教育出版国語教科書編集委員。

 (2) 自由協議:


話題提供の後、ご意見・ご質問をたくさんいただき、活発な会にしたいと考えています。

参 加 費:

1,000(運営費)

申込み方法: 氏名、所属先、Eメール連絡先、(もしあれば)同伴者の氏名、ご意見・ご要望などを <kyoiku@t.toshima.ne.jp>まで ご連絡ください。
以 上   

『小山の教育通信』 2017年12月
  話題提供は法政大学女子高校の教務主任 江川 治先生にお願いしました。 同校は2012年から、IBの教育理念やDPプログラムについて検討を始め、既に 専任教員37名全員が IBワークショップに参加したそうです。今年2月に “IBワールドスクール” の認定を受け、来春、神奈川県では初のDP設置校となりますが、それに伴い 「法政大学国際高等学校」への改称、共学化もします。 「日本語DP」コースなどIBの教育方法を取り入れていく過程においては、様々な苦悩や葛藤があります。 現在進行中の生々しいご報告を伺いながら、教育の“グローバル化”や多文化共生教育についても一緒に考えたいと思います。
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  12月1日(金)、『法政大学国際高等学校の改革--- グローバル探求コースとIBコースの開設』 をテーマに協議が行われました。 同校は 「良妻賢母ではないリベラルな教育を目指す自由な思考」 が伝統とのことです。 大学付属なので、受験のための詰め込み教育から解放され(学校の勉強さえ しっかりやっておけばよい)、課外時間の活用、高大連携の取り組みが容易 といった利点もあります。 その反面、高校での成績が内部推薦に直結することから、生徒は 効率よく学習・暗記しては試験に臨むことを繰り返す “人間ファクシミリ” になり易かったそうです。
  主体的な学習姿勢を育むためには、教育の国際化と授業改革が急務だと認識されたところに 「日本語DP」があったわけで、ほぼ全員の教員が IBワークショップに参加したとのこと。 黒板を背にした一斉授業を脱し、班単位の課題解決型の学びに移行することは、教師の意識改革そのものですし、それらは学校全体が一斉にやらないと 効果が出ません。 「日本語DP」クラスと共に「グローバル探究コース」も設けられ、単位制 (無学年)、四期制、教科教室制 (HR廃止) など、徹底した国際化が図られます。 日本人が本来持つ「約束 (契約)を守る、嘘をつかない、世間 (orお天道様) に恥じない生き方」の “ブランド” が、この学校でも育つことを期待します。


『月刊 海外子女教育』 2018年 2月号ニュース欄
  12月1日、62回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学高等学校(東京都北区)で開かれ、「法政大学国際高等学校(来年度改名)の改革…グローバル探究コースとIBコース(日本語と英語によるDLDP)の開設」をテーマに、法政大学女子高等学校の教務主任である江川治氏が話題を提供し、来場者が意見を交換し合った。
  神奈川県の一条校では初となるIB校に今年度認定を受けた同校で、江川氏は次年度からの学校改革プロジェクトに中心的存在としてかかわっている。 法政大学には首都圏に三つの付属校があるが、男子校だった他の二校は いずれもこの十年内に男女共学化している。 差別化を図るため、移転と男女共学化を視野に、受験勉強の必要がなく、高大で連携しやすいという大学付属校であるよさを生かした授業改革と国際化に向けて準備を進めているという。 生徒の海外研修やICT機器導入なども積極的に行っていく。
  「学校改革は教師の改革。評価基準や生徒たちの意識の改革を含め、学校全体でやっていかないとうまくいかない」と話し、プロジェクトが立ち上がった二〇一二年からの取り組みについて説明した。
  今後の課題に関しては、「定員(IBコース20人、グローバル探究コース276人)の確保」 と 「IBの教育方法のグローバル探究コースへの摂取・融合」 「進路の開拓・充実」 「教職員の労働環境の整備」 を挙げた。 特に、IBコースに関しては、授業が日本語と英語で行われることから 「両言語ともに高度な能力が求められるため、入学者は英語のみで行われるDPより大変になる場合もあるだろう」 と述べ、生徒が望む学習言語とのミスマッチを心配した。
  会場からは 「違うコースで学ぶ生徒に一体感を持たせる工夫は用意しているのか」 などの質問のほか、「学校改革はやりがいとともに苦労も非常に大きいもの。応援したい」 との声が多く上がり、江川氏へのエールと貴重な話題提供に対する感謝の気持ちのこもった温かい拍手でお開きとなった。

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