2018年 6月吉日
多文化共生を目指す教育関係者の皆様
グローバル化社会の教育研究会 事務局

第65回 グローバル化社会の教育研究会のご案内

拝啓 早くも猛暑がやって来ていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

  さて、第65回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は、玉川大学大学院 教育学研究科の星野あゆみ教授に話題提供をお願いしました。 星野先生は、国際バカロレア機構(IBO) のアジア太平洋地域 開発マネージャーもされています。
 
  2013年の「日本再興戦略--JAPAN is BACK」(6月14日閣議決定) において、5年間で国際バカロレア(DP)認定校等を200校に大幅に増加させる目標が掲げられましたが、“一条校”で IB認定校になった学校は17校に留まっています。 この内8校は、科目の一部を日本語でも実施可能とする「日本語DP(2015年から実施) を導入したものですが、大半の学校が導入に躊躇しているのが現状です。
 その要因の一つが、担当教員の確保と養成・訓練の難しさであり、設備拡充も含めた経費が一体どれくらい掛かるのかが予測しにくい点とともに、心理的な障壁となっているようです。 星野先生に 実務的な見地から教員養成の現状を伺い、それを基に話し合いたいと思います。

  なお、準備の都合上、お申込みは お早めにこちらまで ご連絡ください。(受付: 7月13日まで)

               記

開催日時 :  2018年 7月23日(月)  午後2時〜4時半

開催場所 :

聖 学 院 中 学 校 ・ 高 等 学 校
(東京都北区中里3−12−1 Tel.03-3917-1121)  地図
     * JR山の手線「駒込駅」東口より徒歩5分、
      地下鉄南北線「駒込駅」北口より徒歩7分


研修テーマ: IB教育と教員養成 --- 日本における課題と展望

 (1) 話題提供:

星 野 あ ゆ み (玉川大学大学院 教育学研究科 教授/東京学芸大学 客員教授
           /国際バカロレア機構 アジア太平洋地域開発マネージャー)

神戸生れ、東京育ち。 父親の海外勤務で 小学3年から4年間 メリーランド州の現地校に通った。 高校卒業時に 父親の再赴任が決まり、アメリカのジョージ・ワシントン大学に。 1982年に帰国し 国際基督教大学で修士課程まで心理学を学ぶ。 1987年 東京学芸大学附属高等学校大泉校舎に 外国語科教諭として就職。 2005年から東京学芸大学附属国際中等教育学校の開設準備委員に。 2007年の開校後、MYPコーディネータおよびDPコーディネータを経て、2015年 同校の副校長。 2017年から現職。 なお、2013年からIBアジア太平洋地域日本担当地域開発マネージャー。

 (2) 自由協議:


話題提供の後、ご意見・ご質問をたくさんいただき、活発な会にしたいと考えています。

参 加 費:

1,000円(運営費)

申込み方法: 氏名、所属先、Eメール連絡先、(もしあれば)同伴者の氏名、ご意見・ご要望などを <kyoiku@t.toshima.ne.jp>まで ご連絡ください。
以 上   

『小山の教育通信』 2018年 5・8月
  玉川大学 大学院教育学研究科の 星野あゆみ先生は、国際バカロレア機構(IBO) のアジア太平洋地域 開発マネージャーもされています。 IB、とりわけ 「日本語DP」 の導入を検討していながら、踏み切れないでいる学校が多いのは、担当教員の確保と養成・訓練の難しさ、そして 設備拡充も含めた経費が一体どれくらい掛かるのか が予測しにくい点などがあるからです。 そうした心理的な障壁を どう克服していくべきかは、是非とも取り上げたいテーマです。
----------------------------------------------------------------------------------
  国際バカロレア(IB) は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、“より良い より平和な世界” を築くことに貢献する、探究心・知識・思い遣りに富んだ若者 の育成を目的としています。 自分と異なる考えの人にも それぞれの正しさがあり得ると認め、共感する心をもって、生涯に亘って学び続けるよう、子ども達に働きかけるものです。
  星野あゆみ先生は、IB教員の養成には、有給でIB研修に専念できる制度や、十年研修or教員免許更新の際にIB研修を盛り込むなどの工夫も必要と提案されました。 また、IB研修の目的は、単に教師個人の技量向上だけでなく、学校全体としてのアクションプランが立てられる “内発的な教員” を育てることにあることも、指摘されています。 それは、新しい学習指導要領を具現化する方向性とも一致しています。 IBの理念や 膨大に蓄積された教材・ノウハウなどが 広く知られていくだけでも、日本の教育が変わる追い風になるのではないでしょうか。

『月刊 海外子女教育』 2018年 9月号ニュース欄
  7月23日、65回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学高等学校(東京都北区)で開かれ、教育関係者を中心に 約20人の参加があった。 「国際バカロレア(IB)教育と教員養成――日本における課題と展望」をテーマに、玉川大学大学院教育学研究科教授で国際バカロレア機構(IBO)アジア太平洋地域開発マネージャーでもある 星野あゆみ氏が話題提供を行った。
  IBとはIBOが提供する国際的な教育プログラム。 IBOは1968年にスイスに設立された非営利の教育財団で、146以上の国と地域に5,178校(日本は58校)の認定校がある(2018年7月現在)。 日本においては13年に文部科学省が 「18年までにIB認定校200校を目指す」 としたが、16年に 「20年までにIB認定校等を200校以上に増やす」 と改められている。
 星野氏はIBの使命で特に大切にしているものとして 「よりよい、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」 を挙げ、その教育原理や学習者像、キャリア関連プログラムを含めたその一貫教育等について概要を解説した。 さらに、IBの教員資格について説明し、どうすればIBの教員になれるのか、大学院で資格を取得できるカリキュラムや研修ワークショップ、IB教員資格認定コース等を紹介し、学校全体としてのアクションプランを立てる力も必要になると指摘した。
 また、日本には いまの教育を疑問視する危機意識があり、日本の教員は優秀であると述べ、今後の課題として 「現職のまま、大学院で学び直しできるような制度の構築」 「十年研修や教員免許更新講習のなかにIB関連の研修を組み込んでいく取り組み」 等を挙げた。
 会場からは 「IB教育を受けた卒業生たちは世界で活躍しているのか」「日本にはIBでの学びが入試に行かせる大学は少ないのか」「IB]教員に英語力は必要か」 等の質問のほか、「(星野氏の講話を聞いて) IBに対する敷居が下がった」「IBの理念は素晴らしい。今後、日本の教育が変わる追い風になるのではないか」などの好意的な感想が多く寄せられた。


H O M E