2018年11月吉日
多文化共生を目指す教育関係者の皆様
グローバル化社会の教育研究会 事務局

第67回 グローバル化社会の教育研究会のご案内

拝啓 秋も大分深まってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

  さて、第67回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は、文部科学省 教育改革・国際課の加藤 賢一先生にお願いいたしました。 昨年度まで 広島県教育委員会で、インターナショナルな公立中高一貫校 「広島叡智学園」の新設にも関わられていた先生です。
 
  過去4年間で延べ39都市を訪問され、グローバル教育やIB等を研究して来られました。 現在は 文部科学省で 「トビタテ! 留学JAPAN」 のプロジェクトを推進されていますが、激変する日本社会において、わが国の教育が普遍的に目指すべきものは何なのかを模索されています。
  「トビタテ! 留学JAPAN」 の背景や骨子、将来の展望などについてだけでなく、地球社会における課題についての理解・想像力、そして 文化的な多様性と それを許容し協働して学ぶ態度を どう育てるかについて 加藤先生に具体的な形でお話しいただき、一緒に考えたいと思います。

  なお、準備の都合上、お申込みは お早めにこちらまで ご連絡ください。(受付:11月22日まで)

               記

開催日時 :  2018年 11月29日(木)  午後2時〜4時半

開催場所 :

聖 学 院 中 学 校 ・ 高 等 学 校
(東京都北区中里3−12−1 Tel.03-3917-1121)  地図
     * JR山の手線「駒込駅」東口より徒歩5分、
      地下鉄南北線「駒込駅」北口より徒歩7分


研修テーマ: 「トビタテ! 留学JAPAN」
             --- グローバル コンピテンスに向けて

 (1) 話題提供:

加 藤  賢 一 (文部科学省 総合教育政策局 教育改革・国際課 専門職)
1974年 広島生れ。 広島大学教育学部から大学院に進み 修士課程を修了。 大学在学中から塾講師を8年経験し、私立中学校で勤務した後、2002年 広島県立高校の英語教員に。 2013年 広島県教育委員会の指導主事となり、「学びの変革アクションプラン」やSGHに関わる。 2015年からは広島叡智学園の新設に関わる一方、広島創生イノベーションスクール コーディネーターも務め、OECDの教育会議などで活躍。 2018年から現職。
(注:「トビタテ!留学JAPAN」事務局は今年10月まで、初等中等教育局 国際教育課にあった)
 (2) 自由協議:
[ キーワード: 取材メモから ]
1)文部科学省の組織再編=10月16日、旧 生涯学習政策局を改変し、「総合教育政策局」設置。
学校教育と社会教育を通じた 包括的で一貫した教育政策を より強力かつ効果的に推進し、「超スマート社会(Society 5.0) の教育」(誰もが必要なときに必要な教育を受け、また学習を行い、充実した生涯を送ることができる環境) の実現を目指す。
これまで海外子女・帰国子女教育等を担当していた国際教育課は、初等中等教育局から総合教育政策局に移されるが、その業務の大半は「教育改革・国際課」になる。国際的な動向を踏まえた教育政策の企画・推進を効果的に行う。
※ 今回の組織再編は、新教育基本法(2006年暮れに公布・施行) と 新学習指導要領の方針に合わせる形で行われたもの。
  [参考] 学術国際局教育文化課に「海外子女教育室」(1981年)⇒ 教育助成局に移り「海外子女教育課」(1984年)
       ⇒ 初等中等教育局に移る(1998年)⇒ 留学や外国人児童生徒の教育等を加えて「国際教育課」(2001年)
       ⇒ 総合教育政策局に移され「教育改革・国際課」(2018年)。
2)「コンピテンス (Competence)
単なる知識や技能だけでなく、態度などを含む様々な心理的・社会的なリソース(主体性・積極性・協調性・協働力・回復力など)を活用して、複雑な要求/課題に対応することができる実践能力や行動特性。
⇒ “資質・能力”と訳した。    * 参考: 「Eメイル相談から」
3)「High Tech High(米サンディエゴの教育実践)   ドキュメンタリー映画 『Most Likely to Succeed』(2015年)
人工知能(AI)やロボットが生活に浸透していく 21世紀の子ども達にとって、必要な教育とは どのようなものか? ⇒ 全ての授業で Active LearningProject Based Learning を実施する。
4)「OECD Education 2030」  <Contents から Competence へ>
知識、技能、価値感・態度、そして行動力を育てていく。
5)「OECD Asia Society 2018」 急速に変化する世界においてグローバル・コンピテンスを育成する。
  ・ ローカル、グローバルに異文化間の諸問題を調べる
  ・ 他社の視点や世界観を理解し、評価する
  ・ 異なる文化的背景を持つ人とオープンで適切かつ効果的なコミュニケーションをする
  ・ 全体への貢献や持続可能な社会の発展に向けて行動する
6)「正解のない世界(VUCA World)
* Volatility (変動性)、Uncertainty (不確実性)、Complexity (複雑性)、Ambiguity (曖昧性)
現代のカオス化した環境を生きるには、@ 自分軸の確立、 A 視座を高くし 視野を広げる、
                   B 高い志を持つ、 C マインド・セットする、 が必要。
※ 「国際理解<知識>から 国際協力<行動>へ」が最近の流れである。
7)「トビタテ!留学」の課題: 留学に関心を持ってもらうこと。
何らかの海外研修をしている高校生は 3.8万人(1.1%)のみ。
大学は2013年、高校は2014年から開始。14日〜1年間の留学を支援。
人は 「Comfort Zone」 に居るのが安心で、「Stretch Zone」 に出て行こうとしない。
(その外側の 「Panic Zone」 を怖れているだけ)
しかし、挑戦をしていくことで自分が変わる。 <First Penguin の勧め>
※ 失敗を失敗で終わらせないことが肝要=留学や修学旅行で「事前学習⇒留学・旅行⇒事後研修」の3段階は必須。
   旅行業界にも、学校側にそういうパッケージで提案するように働きかけている。
※ 選考では:「情熱」「好奇心」「独自性」を重視。 * 応募時の作文の書き方は大事 (指導教員の差が出る)。

『小山の教育通信』 2018年11月・12月
  加藤賢一先生は 広島県立高校の教師でしたが、昨年度まで4年間、県の教育委員会で、インターナショナルな公立中高一貫校 「広島叡智学園」の新設にも関わられました。 その間、世界各地の延べ39都市を訪問され、グローバル教育やIB教育等を研究してこられています。 激変する日本社会において、わが国の教育が普遍的に目指すべきものは何なのか、また、地球社会における課題についての理解力・想像力、そして 文化的な多様性と それを許容し協働して学ぶ態度をどう育てるか……等についてお話しを伺い、それを素に話し合いたいと思います。※ 公立のインターナショナルスクール、グローバル教育、IB教育などの実態や可能性に 参加者の関心が寄せられています。
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  育成すべき資質・能力「グローバル・コンピテンス(Global Competence)」を巡って協議が展開しました。 加藤先生は広島県教委で 中高一貫校の新設、スーパーグローバルハイスク―ル(SGH) 指導などを担当している間、「グローバルリーダーとは?」「課題研究とは?」 といった問いに直面していたそうです。 『広島版「学びの変革」アクションプラン(2014年12月) は 十年先を見据えた施策展開で、「育成すべき資質・能力(Global Competence)の系統的な育成」が謳われています。
  OECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN) の一クラスターとして 「国際協働プロジェクト型学習を通してグローバル・コンピテンスの育成」 を実践された報告は、感動的でした。 生徒が まず自分が変わることの大切さに気づき、文化や考え方の違いを超えて、人と人はつながることができると実感する…… そうして 生涯学び続ける姿勢を育てていくことこそ、教育の本道なのです。

『月刊 海外子女教育』 2019年 1月号ニュース欄
  11月29日、67回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学高等学校(東京都北区)で開かれ、 教育関係者を中心に約20人の参加があった。
  「『トビタテ! 留学JAPAN』…グローバルコンピテンスに向けて」 をテーマに、文部科学省総合教育政策局教育改革・国際課で、高校生の留学を推進する「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトに取り組ん でいる加藤賢一氏が話題提供を行った。
  「トビタテ! 留学ジャパン」とは 返済不要の奨学金や研修等を通して高校生や大学生の留学を支援する制度。 加藤氏は、今後、将来を見通すことが困難な時代となることが予想されるなか、求められるグローバル人材になるためには 「違いを楽しむ」 「自分軸を確立する」 「視座を高くして視野を広げる」 「高い志を持つ」 「アクションを起こす」 ことが必要で、生涯学び続けながら 「未来は自分で創る」意識を持つことが大切だと述べた。 会場からは 「国内でもできる取り組みはある。アクションを起こしていきたい」等の声が聞かれた。



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