2019年 9月吉日
多文化共生を目指す教育関係者の皆様
グローバル化社会の教育研究会 事務局

第71回 グローバル化社会の教育研究会のご案内

拝啓 厳しい残暑が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 さて、第71回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は、茗溪学園の和田 利一先生に話題提供をお願いしました。 和田先生は永年、HOTS教育や、留学生・帰国生を対象にした国際教育の研究、実践に取り組まれています。

 EGS研究会では 第21回(2007年) で「HOTS (Higher Order Thinking Skills)」を取り上げています。INFOE代表の松本輝彦先生が自ら、海外子女教育をベースにした学校教育改善の具体策を説明してくださいました。
 いま 2020年度大学入試改革を控え、「グローバル人材の育成」を誰もが口にしますが、あるべき学習者像に向けた実践方策は 多くの学校が未だ手探りの域を出ません。
 今回、HOTS導入の先進校である茗溪学園で 松本先生と共に指導に当たられている和田先生から、永年の実践で得られた成果や見えてきたことなどをご報告いただき、それを素に話し合いたいと思います。

  なお、準備の都合上、お申込みは お早めにこちらまで ご連絡ください。(受付: 9月 19日まで)

               記

開催日時 :  2019年 9 月 26 日(木)  午後2時〜4時半

開催場所 :

聖 学 院 中 学 校 ・ 高 等 学 校
(東京都北区中里3−12−1 Tel.03-3917-1121)  地図
     * JR山の手線「駒込駅」東口より徒歩5分、
      地下鉄南北線「駒込駅」北口より徒歩7分


研修テーマ: 茗溪学園におけるHOTSの実践報告
 --- 学校改革のプロセスの中で 思考スキルの育成を担う

 (1) 話題提供:

和 田 利 一  (茗溪学園中学校高等学校 教育センタ―長)
1966年福岡県生まれ。 麗澤大学を卒業後、明徳義塾中学・高校で20年間教鞭(英語)を執りながら 国際交流業務に携わる。 2014年 茗溪学園中学・高校に入職すると同時に、筑波大学大学院に入学、思考力の育成と評価のあり方を研究する(教育修士)。 茗溪学園で 思考力育成を目指した 「HOTS式エッセイ指導」を開始する一方、2017年の IB教育(DP)導入では 「TOK」の course outline を担当した。 現在、校内にライティングセンター設立を準備中のほか、留学生センター長として留学生受け入れ、海外校との基本合意書交渉、帰国生徒サポート、国際クラス設立準備委員など、学校改革に向けて活躍中。

 (2) 自由協議:


話題提供の後、ご意見・ご質問をたくさんいただき、活発な会にしたいと考えています。

参 加 費:

1,000円(運営費)

申込み方法: 氏名、所属先、Eメール連絡先、(もしあれば)同伴者の氏名、ご意見・ご要望などを <kyoiku@t.toshima.ne.jp>まで ご連絡ください。
以 上   

『小山の教育通信』 2019年 9月・10月
  最近、「HOTSって何?」と質問を受けます。 それだけ 「リベラル アーツ」自体が理解されていない証拠ですが、順心女子学園を会場にして 初めてHOTSのシンポジウムが開かれてから14年…… 公立学校が全然関心を寄せてくれないのが残念です。 いま 「グローバル人材の育成」を誰もが口にしますが、あるべき学習者像に向けた実践方策は 多くの学校が未だ手探りの域を出ません。 そうした中で、「HOTS (Higher Order Thinking Skills)」を導入して見事な成果を上げているのが茗溪学園です。 今回は、松本輝彦先生と共に指導に当たられている和田先生から、永年の実践で得られた成果や見えてきたことなどをご報告いただき、それを素に話し合いたいと思います。
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  とくに、大学入試改革や IB(DP)への接続に向けた 「エッセイ(自分の意見・考えを、相手に説得力を持って伝える文章)」の指導の実際を詳しく聞きました。 中学1年から6年間をかけて 思考力を伸ばし 論述スキルを獲得させることを、段階的・系統的に進めるトレーニングは、HOTSの理論にしっかり支えられています。 9月1日(日)の日本国際バカロレア教育学会でも、HOTS関連の発表の分科会(Session I)がありましたが、学校改革のプロセスの中で進められる 「自ら考え、判断し、行動できる力」 を育む実践や手順…… 聞けば聞くほど感動的です。 とりわけ帰国生や英語の得意な生徒には、かなりの教育効果を期待できるでしょう。
◆ HOTSのノウハウは、アメリカの現地校教育の実践から抽出されたもので、公開もされています。 興味があれば、松本輝彦先生の書かれた『5段落エッセイ指導で、日本の子どもが変わる!』(リーブル出版) をご一読ください。

『月刊 海外子女教育』 2019年11月号ニュース欄
  9月26日、71回目となる「グローバル化社会の教育研究会」が聖学院中学校高等学校(東京都北区)で開かれ、茗溪学園中学校高等学校 非常勤講師兼留学生センター長の和田利一氏が 「茗溪学園における HOTSの実践報告―学校改革のプロセスの中で思考スキルの育成を担う」をテーマに話題を提供した。 将来グローバルに活躍できる人材の育成に向けた実践方策は 多くの学校で模索されている。 先進校の現場報告をもとに、教育関係者を中心に約20人が意見交換を行った。
  茗溪学園中学校高等学校は、40年前に東京教育大学・筑波大学の同窓会 「茗溪会」によって設立され、「Study-Skills」を合いことばに常に先駆的な教育を行ってきた。 OECD等で 「コンテンツ型学力(何を知っているか)からコンピテンシー型学力(何ができるか)へ」 が提唱され、日本でも 「学びの質の転換」に向けた教育改革が叫ばれるなか、その取り組みは着実に実績を挙げている。
  今回、和田氏は大学入試改革や国際バカロレア(DP)への接続に向けた 「エッセイ(自分の意見・考えを、相手に説得力を持って伝える文章)」の指導について、具体的に紹介した。 同校では中学1年生から6年かけて 「HOTS(ホッツ)教育」(思考スキルの伸長・発達のステップに従って、計画的に考える力を伸ばしていく教育)のアイデアを取り入れ、段階的・系統的に思考力を伸ばして論述スキルを獲得させていくトレーニングを行っている。
  たとえば、中学1年生では 「すきなスポーツ」をテーマに 段落にまとめる練習がある。 課題は 「あなたの一番すきなスポーツは何ですか? なぜそのスポーツがすきなのか、その理由を考えて、段落にまとめましょう」。 それに対し、次の手順で進めさせる。 @すきなスポーツを決める。Aすきな理由についてアイデア書き出す。Bその中から二つの理由を選んで 「段落」にまとめる。
  ほかにも、さまざまなトレーニングがあるが、テーマごとにワークシートが用意され、身近な課題で興味関心を持てるよう工夫されている。 参加者からは 「今後の学校教育にはますます 『自ら考え、判断し、行動できる力』が求められるだろう。 それを育む中高一貫の実践に感動した。 帰国生は海外で身につけてきたそれらの力を さらに伸ばしていけるのではないか」 といった声が聞かれた。

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