2021年 4月吉日
多文化共生を目指す教育関係者の皆様
グローバル化社会の教育研究会 事務局

第74回 グローバル化社会の教育研究会のご案内

拝啓 新年度のスタートに当たり、皆様 ご多忙のことと存じます。
  グローバル化社会の教育研究会(EGS)は、コロナ禍のため 開催を見合わせていましたが、大変お待たせしました。 4月から再開させていただきます。

  第74回EGS研究会は、ドルトン東京学園の田邊 則彦先生に話題提供をお願いしました。 田邊先生は 慶應義塾湘南藤沢中・高等部の開校に関わられ、わが国 ICT教育の草分け的な実践をされた先生です。
 
  教職課程にいる学生は必ず 「ドルトン・プラン」を目にします。 大正時代に日本に紹介され 一大ブームを巻き起こした教育手法ですが、数年後の軍国主義が台頭する時代に批判を受け、下火になっていました。
  一昨年暮れ、文科省が 「GIGAスクール構想」を打ち出した直後に コロナ禍騒ぎとなり 教育現場が混乱するなか、ドルトン東京学園はアクティブラーニングやICT教育等の実践の先行例として 全国から注目されています。
  「『DALTON 2.0』の時代がやって来た」 と仰る田邊先生が、ドルトン・プランを どう中等教育の中で実現しておられるのかを伺い、それを素に話し合いたいと思います。

  なお、お申込みは 郵便振替用紙にて 参加費を払い込んでいただく方法で受け付けます。 準備の都合上、お早めにお願いします。 (受付:4月22日まで)

               記

開催日時 :  2021年 4 月 28 日(水)  午後2時〜4時半

開催方法 :

Zoom利用による On-Line 開催

* スタジオ会場=(株) トモノカイ 会議室(東京都渋谷区)に話題提供者と事務局が参集。
研修テーマ: ドルトン・プランの魅力と可能性--- Dalton 2.0

 (1) 話題提供:
 た な べ   の り ひ こ
田 邊  則 彦  (ドルトン東京学園中等部・高等部 参与
              /
慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部)
 東京生まれ。 慶應義塾大学文学部で構造心理学を学び、1975年 慶應義塾幼稚舎教諭に。 1992年 慶應義塾湘南藤沢中・高等部 開校、ICT教育先端校とする。 2007年 研究休暇でシリア難民学校へ、2008年 関西大学初等部 教諭。 2012年から清教学園・同志社大学でも教鞭を執る。2019年 ドルトン東京学園の副校長に就任、開校実務を担う。 2021年から現職。
著書に 『基礎学力を養う算数クイズ&パズル&ゲーム 低学年』(共著、黎明書房)がある。

 (2) 自由協議:


話題提供の後、ご意見・ご質問をたくさんいただき、活発な会にしたいと考えています。

参 加 費:

1,000円(運営費)
※ On-Line参加者は、848円+払込手数料
申込み方法: 郵便振替用紙に 氏名、所属先、Eメール連絡先、ご意見・ご要望などを記入し、ATMで848円を払い込んでください。(詳しくは ここをクリック)
海外在住の方は、どなたか日本にお住まいの方に、申込み手続きを依頼してください。

※ 開催日の4日前になっても Zoom招待のURLが届かない場合や、ご不明な点がありましたら、<kyoiku@t.toshima.ne.jp>まで お問い合せください。
以 上   

[ キーワード: 取材メモから ]

コロナ禍が投げかけた問い
  コロナ禍で、今まで無意識・無自覚だった学校の価値に気づかされている。 分散登校や休校となり、当たり前だった日常が失われたことで、そもそも学校は「何を担い」「何を守り」「何を育んでいくのか」を問い直す機会となった。 学校は、健康的な生活リズムを作り出し、子どもの安全な居場所を提供する機能も担っていることが浮き彫りになった。 VUCA(変動性・不確実性・複雑性・不透明性)と呼ばれるような 「予測不可能な未来社会」を自立的に生きる力を育むための今後の教育の在り方が問われている。
学びのオンライン化・デジタル化の推進
  オンラインやデジタルツールの活用は、授業改善の大きなチャンスにつながる。 最初は、生徒にも教職員にも保護者にも不安や負担、混乱が少なからずある。 オンラインやデジタル技術を活用できるようになれば、多様な子ども一人ひとりに応じて 個別最適化された質の高い学びを、今まで以上に提供できるようになる。 昨年の新入生は入学直後から Zoom授業となったが、さすが Degital Native世代で、あっと今に馴染んでいた。遅れているのは学校のインフラ整備と教師の意識だった。
高まるリアルな学びの場の価値
  デジタル化やオンライン化が進めば進むほど、リアルの価値が高まる。 情報の共有やコミュニケーションはオンラインでも可能だが、五感で感じとる 「モノやコト」はオンラインでは得られない。 ICTや先端技術を活用した新しい教育を拓くと同時に、リアルな教育資源/体験にこそ求めることが許される 「本物の/真正な体験や学び」を取り込みたい。
生徒たちに「OODA(ウーズ)」の考え方を
  状況を観察して(Observe)正確に把握し、対応の方向性を検討し(Orient)、方法を決定して(Decide)実行する(Act)、という流れが OODAの1ターン(巡り)。 実行した結果を観察することが 2ターン目の開始位置になり、それを繰り返して行くことで状況の改善を行う。 「なぜだろう」 「どうしてだろう」という子ども自身の内側から湧き出る日々の疑問(知的好奇心)を原動力に、問題を発見する力、自ら学ぶ力、協力して問題解決に取り組む力を育みたい。 
The Dalton Plan とは?
  「学校の真の使命は生徒を鋳型にはめることではなく、自分の考えを持てるよう自由な環境を整えてやり、学習する上で生じる問題に立ち向かう力をつけてあげること。」(Helen Parkhurst) <自ら考え選択する力 + 興味・関心を高める力 + 集中力と持続力の構築> ※知識や学び方を空の容れ物に入れていく 「知識習得モデル」とは異なる新しい学びの実現。
⇒ 今こそ 「Dalton 2.0(次世代のドルトンプラン)」を!
教室を ICTで装備すれば充分なのか?
  @ 従来型の授業スタイルで 「Dalton 2.0」 は実現できるのか? …… クラス全員が指定された同じ教科書を使い、決められた内容を限られた時間で、じ内容の授業を静かに座って聴き、板書をノートに写し、演習問題を解く…といった形で?
  A 「教科書と鉛筆」を 「ノートPCやタブレットとタッチペン」に置き換えたら OKなのか?
  B 「黒板とチョーク」を 「電子黒板やプロジェクターとスライドショー」に置き換えたら OKなのか?
自立した学びを ICTで支援する
  新しい時代に必要とされる資質・能力の育成と、学習評価の充実。 主体的・対話的で深い学び「AL」の視点からの学習過程の改善を図る。 新しい時代に必要とされる資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントの実現。 ICTを活用した学習プラットフォームを提供する。
 * 「e-ポートフォリオ」 「アダプティブ・ラーニング」 「モバイル・ラーニング」
                                         (以下 省略)

『小山の教育通信』 2021年 4月・5月
  話題提供の田邊則彦先生は 慶應義塾湘南藤沢中・高等部の開校に関わられ、わが国ICT教育の草分け的な実践をされてきました。 また、ドルトン・プランはもちろん、関西の学校経営にも 数校関わって来られた経験を踏まえたお話は貴重です。 一昨年暮れ、文科省が 「GIGAスクール構想」を打ち出した直後に コロナ禍騒ぎとなり、教育現場は混乱しています。 全国から田邊先生を訪ねてくる学校関係者は多いのですが、今回は 田邊先生から直接語りかけていただく特別企画です。
  「スタジオ」には EGS事務局が数名いますので、田邊先生も“聴衆”の反応を見ながら話していただけるでしょう。 話題提供の後は、On-Line参加者からの意見・質問などを交えた 活発な協議ができることを願っています。
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  「コロナ禍で 分散登校や休校となり、今まで無意識・無自覚だった学校の価値に気づかされている…… 当たり前だった日常が失われたことで、そもそも学校は 『何を担い、何を守り、何を育んでいくのか?』を問い直した……」 田邊先生の率直なお話に、引き込まれました。
  「予測不可能な社会を 真に自立的に生き、自分たちの暮らしや地域や社会を守り創るための資質・能力とは何か?」 「学びのオンライン化・デジタル化の推進」 「高まるリアルな学びの場の価値」 「教室をICTで装備すれば充分なのか?」等々、コロナ禍が私たちに投げかけた問いが、“自立した学びをICTで支援する”という理想形を浮き彫りにしています。
◆ 「新しい時代に必要とされる資質・能力を育むカリキュラム・マネジメント」といっても、それを支える哲学なり倫理観が不可欠です。 田邊先生のお話に興味が持てない、あるいは “ノウハウ”としか捉えられない人には、所詮 「馬の耳に念仏」でしかありません。

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