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Star Quilt


スターキルトはラコタ、シャイアン、アシニボインなどの北部平原の部族の間で多く使われてい
ます。
元来、キルトというのはキリスト教会が居留地に持って入ったもので、伝統的にインディアンの
人達が使っていたものではありません。
その昔はバッファローやエルクの皮に顔料でペイントを施したものをローブとして使っていたの
が始まりです。
20世紀のリザベーション時代に入り、生活の中心となっていたバッファローがいなくなり、キリ
スト教が深く入りこんでくると同じ頃にキルトの技術が広まりました。
キルトは白人文化をインディアンの人たちが巧みに自分たちの文化に取り込んだひとつの良
い例と言えるでしょう。
一説ではキルトのデザインは明けの明星を意味していると言います。
平原、特にラコタ族の文化では明けの明星(モーニングスター)は叡智を象徴しています。
実際、彼らはモーニングスターをウォクサペ(wohksape) 、つまり「叡智」と呼んでいます。
太陽が昇ってくる前に必ず東の空に輝くモーニングスターは太古の昔からインディアンの人達
の祈りの対象となっていたのです。

ラコタの人達はこのスターキルトをあらゆる行事で贈り物として使いますし、特にキルトはその贈り物の中でも最も重要なものとされています。
例えば、身内で赤ちゃんが産まれると身内の女性がベビーキルトをプレゼントするのが常ですし、卒業祝い、スポーツイヴェントなどの祝い事、また兵役に就く若者に親族がプレゼントしたりする事もあります。
そして葬式の時、棺おけにスターキルトがかけられる事もあります。
スターキルトは必ず「ギブアウェイ / give away 」という風習の時に登場します。
この「ギブアウェイ」という風習は昔から行われているもので、悲しい事、祝い事など、公の集まりがある時には、その集まりの主催者が参加した人たちに感謝の念を込めて所有物を分け与えることを意味します。
昔は馬やビーズワークなどが一般的でしたが、現在はスーパーマーケットで買えるような生活用具一般がその品として使われています。そしてその中でもスターキルトは最もお世話になった人へのプレゼントとして使われています。
サンダンスなどの宗教儀式の最後でもギブアウェイが行われ、主催者は一年前からスターキルトを作って,その時に備えます。

勿論、ギブアウェイの時だけではなく、キルトは生活を支えるための収入源ともなり、有名な作
者の作ったキルトはコレクターの間で高く取引されています。
ラコタのキルト作家、Nellie Star Boy Menard は「人間文化遺産」としても表彰され,ワシントン
DCに招かれた時、ヒラリー・クリントンにキルトをプレゼントしています。
このようにスターキルトは現代のネイティブアメリカン、特に平原の人たちにとっては文化的に
大変重要なものなのです。

※ 記載の本文及び写真はEarth Lodge様の資料及び商品です。