2019年12月

第3280号 2019年12月04日号


「ウイロード」アートで変身
 色彩の美術作家、植田志保の「思い」


 暗い、怖い、汚い、臭い。長らく池袋のイメージとされてきた3K、4Kの象徴とも言われてきた池袋の東西を結ぶ地下通路「ウイロード」が、このほど77メートルのアートな空間として一新された。

 豊島区は12月1日、池袋駅東西を結ぶ老朽化が進んだ公共地下道「ウイロード」のアートによる再生事業完成を記念し、新装なった区民センターの多目的ホールで記念式典を開催した。

 ウイロードは美術作家の植田志保さんが公開制作で天井板や壁面に直接描画して改修、約8カ月の工期を経て11月24日に完成を迎えた。暗く、汚い印象があり、女性の利用率が全体の約3割だったウイロードが、描画と照明で色鮮やかに明るく、女性やファミリー層も安心して通れる道に生まれ変わった。

 入口上部のファサードは、漆喰に地域で使われる鈴としめ縄で模様をつけ、東口側は父親のような、西口側は母親のようなイメージをデザインした。また、照明は、朝は「いってらっしゃい」、夕方は「おかえりなさい」をイメージさせるように時間帯にあわせて調光した照明デザイナー監修のライティングを採用し、心地良い公共空間を演出している。

 記念式典では、約8か月に及ぶ公開制作過程の記録映像上映や植田さんによる作品紹介が行われ、最後に高野区長から植田さんへの感謝のメッセージと花束が贈呈された。植田さんからは、絵画の贈呈があった。地元を代表して東池袋ウイロード商店街の内田勇二郎会長、植田さんの製作をサポートしたゼファー池袋まちづくりの石森宏さんらからも温かいお祝いのあいさつがあった。

 高野区長は「ウイロードは100年の歴史がある池袋の東西を結ぶ重要なルート。その歴史や多くの人々の思いを色にして植田さんが新たな命を吹き込んでくれた。また地域の方の多大なる協力もありがたかった。植田さん、本当にありがとう」と感謝を述べた。

 植田氏は、「大好き、うれしい、ありがとうという気持ちでいっぱい。最後に制作した西側の大きな壁画は、ウイロードに昔から関わってきた多くの方のバトンを未来へつなげる思いで感謝の気持ちを込めて描いた。ウイロードが、日常生活の中で心を開いてありのままの自分でいられるような場所になってほしい」と完成への思いを語った。

 ウイロードは、池袋駅北側東西を結ぶ全長:77メートル、高さ:2.1メートルの公共地下通路。大正14年建設。「雑司が谷隧道」と呼ばれ、昭和61年の改修時に「ウイロード」の愛称がつけられた。改修では、壁面の凹凸を活かした描画を行い、漏水対策や監視カメラ設置等の安全対策も施している。


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