最近観た映画の話し  (2004年)
 このコーナーは、私が観た映画やビデオ(これは特に面白いと思ったものだけ)の紹介をする所です。面白かった物もあれば、お薦めでない物もありますから、私の映画日記とでもいうべき、コーナーになると思います。
 最近はまた映画館へ足を運ぶ回数が減ってきたので少し残念な気もしていますが、せっかく会費まで払って会員になっている映画館もありますから、元は取り戻すつもりではいます(笑)
 尚、今年から映画の採点は10点(☆)〜100点(★★★★★)の☆(10点)★(20点)マークにしました。
 又、去年と同じ様に映画の宣伝の為にオフシャルサイトにリンクを貼ってありますが、いつ無くなるか判りませんので、ご了承下さい。

予告)観ようと思っている映画?
忙しくて映画館に行けない(涙) とはいえ、「カンフーハッスル」や「ネバーランド」くらいは観ておきたい(笑)後はそのうち、書きます。
 
2005/01/01
もう去年となってしまいましたが、その後、映画館で観た映画だけでも書き出しておきます(笑)
★★★「ハウルの動く城」ジブリらしい作品だけど…。もののけ姫よりは○
★★★「ミスター・インクレディブル」面白さは相変わらず
★★★☆「ナイトメア・ビフォ・ア・クリスマス」10年たっても面白い
★★☆「スウィング・ガールズ」柳の下に2匹目のどじょうはいなかったけど…。
★★★「新暗行御史」韓国現代版の水戸黄門
★★☆「バッド・サンタ」アイデア不足のコメディ
後、何か観たような気もするけれども、忘れてしまった(笑)


2004/09/12
もういつ観たか不明なので、日付は更新日(笑)
★★☆「ヴァン・ヘルシング」映画館
最近飽きてきたCGというかVFXの多様だが、まぁ楽しめた。時代考証など無視した無茶な設定ではあるのだが、怪物映画のオンパレードであり、ゴジラ対モスラ対キングギドラなんていう雰囲気もあって、オバカになって観る映画だ。怪物同士の関係は面白かったし、フランケンシュタインの怪物が、頭が割れていて、押さえるなんていうお笑いも楽しい。

★★★「ハリーポッターとアズガバンの囚人」映画館
つい最近もハリボタの原作本が発売になって、ニュースにもなっていたが、社会現象になるほどの話だとは思えないのは年のせいなのだろうか?とはいえ、公開から随分遅くなったが、やっぱり映画は観てしまった(笑)シリーズ化がされてしまうと、どんな設定でも許せてしまうのはファン心理なのだろうか?今回はハリーポッターよりもハーマイオニーが主役という感じの作品だった。私はハリーよりも彼女やロンの方が好きなのだが、彼らの友情との関係にも似た、ハリーの両親の友人達の関係が面白かった。脱獄したブラックの以外性もなかなかである。

★★★「スパイダーマン2」映画館
これも前作の続きだが、原作とは違い?とうとう彼女に正体を知られてしまう。CGが無ければ撮れないようなシーンを観るとさすがに映画だなぁと感じてしまう。これも続編を作るぞという終わり方で、完璧にシリーズ化を狙っているようだ。まぁビデオでも観て下さい。

★★★「シュレック2」映画館
「シュレック」の完璧な続編でしたが、前作よりは楽しめた気がします。ディズニーなんか蹴っ飛ばせという感じの映画ではありますが、私ももう大人ですから、ディズニーの良さも理解し、この映画の良さも理解出来るんです(笑)で、ラストでの王様の以外な境遇に驚きましたが、やっぱりこれは子供向けのおふざけ映画です。

2004/06/06
★★★「真珠の耳飾りの少女」映画館
トップページの絵です(笑)「青いターバンの少女」というタイトルでも呼ばれるフェルメールの絵ですが、謎の多い画家であるフェルメールのあの絵がどうやって書かれたのかという小説を映画化したものらしいです。残念ながら私は読んでいません(笑)光と影と云われるフェルメールの絵ですが、絵のモデルは彼の家に貧乏の為に働きに出された少女(お手伝いさんというか召使)という設定です。彼女は彼の絵を見て感動するのですが、動かすなといわれている彼の部屋の椅子をわざと動かして、フェルメールの絵に変化を付けたりします。それを知ってフェルメールは彼女に興味を抱き、彼女の感性に引かれていきます。そうして二人は恋に落ちていく…となれば平凡ですが、そうはならない。彼女にだって好きな男性が出来、彼にも妻はいるし沢山の子供がいる。とにかくこの絵が完成するまでの話しでした。今年のアカデミー賞にもいくつかノミネートされましたが、この映画はまぁそこまでの作品ではありません。でも絵が出来あがっていくシーンなんかを見ると、スゲーッと思ってしまうのは、絵心なんかない人だけかも知れませんが、なんとなく感動的ではありました。

★★★「カレンダーガールズ」映画館
イギリスで本当にあった話の映画化。田舎町で平凡に暮らす婦人会の面々が、メンバーの女性の夫が病気で亡くなり、その病院にあった椅子があまりにも貧相なので、毎年作成しているカレンダーの収益を充てて、病院に椅子を寄付しようとするのだが、毎年作成するカレンダーは教会の写真だったりで売上は勿論見込めない。ヌード写真ならば売れるかも知れないけれども、予算がないから、カメラマンは趣味でやっているような人に頼み、モデルは高すぎて雇えないから、自分達でやろうとする。もちろん婦人会であるからモデルはおばさん連中である。そんな写真誰が買うかーっ。と思ったけれども、中々良い出来です。で普通ならば、カレンダーが売れて良かったねぇ。で終わるのだろうが、この映画はそうでは無かった。カレンダーは評判に評判を呼んで、アメリカにさえ彼女達は招かれる。そうこれは単純なコメディー映画ではないのだ。売れた後の彼女達の想いや、友情が中々面白いストーリーになっている。コメディー映画というよりは、ヒューマンストーリーだ。ちなみに売上は1億7000万円にも達したらしい。もちろん収益は寄付されている。

2004/05/04
★★★☆「スクール・オブ・ロック」映画館
簡単に言ってしまうと、ウ−ピー・ゴールドバーグの「天使にラブソングを」のロック版。主人公は自分だけ楽しんでいるロッカーなので客からは総スカン。そんな彼も自分で作ったバンドからクビを言い渡されてしまう。居候している昔のバンド仲間は代用教員をして同棲中。アパート代を出せと彼女には言われているが、無いものは払えない。脳天気な彼に今週末までに金を出さなきゃ出ていって貰うと宣告されてしまう。そんな彼らが留守中に受けた電話は名門私立小学校からの代用教員のご指名なのだが、主人公は友人に成り代わって、金の為に教師になり、そこで小学生にロックバンドを作らせて…。という話しなのだが、これに登場する子供達の芸達者な事といったらない。それでも子供に食われることなく、主人公役のジャック・ブラックが好演している。「天使に…」はゴスペルだったが、子供達のロックというのは非常に楽しい。ラスト近くで親達の反対を振りきってバンドの大会に出、そこで○○なのだが、やっぱりコメディ映画というのは、良いもんだ。始めのタイトルクレジットが、ポスターに書かれていたりするという手法は新鮮ではなかったが、ラストのエンドロールがいかしていた。ラストでの練習風景なのだが、歌いながらソロなどで登場人物の紹介をしながら、歌の内容といったら、もうエンドロールが流れて、そろそろ終わりだよ。とか掃除の人が来るよなんて、傑作である。いやぁ久しぶりにアニメ映画以外で声を出して笑ってしまった。

★★★★「コールドマウンテン」映画館
実はこの映画は避けていたのだが、結局見てしまった。で面白かった。何だか久しぶりに映画らしい映画を観たという感じがする(笑)最近SF映画ばかりだったからかも知れないが、長い映画にも関わらず、眠くはならなかった。南北戦争に関する人間模様を描いているところから「風とともに去りぬ」が引き合いに出されているが、流石にあの映画は超えられない。戦闘シーンの現実感のある描写から始まり、そこへ到る経緯を随所に配置し、戦争の悲惨さと人間が持つ悲しさが心を打つ。削ろうと思えば削れるシーンもあるのだろうが、恋人に会いたいと脱走し故郷へ向かいながら人間らしくありたいと思うジュード・ロウが格好良い。この作品でアカデミー助演女優賞を貰ったレニー・ゼルウィガーは勿論役者としても良いが演じた役柄が良い。この受賞は完全にストーリーの良さに助けられている。戦争で悪者役に徹してしまう人達の関係も十分に書かれていて、戦争の悲惨さや人間の弱さが感動を呼ぶ。うーん。映画って本当に良いもんですねぇ。と思わず言いたくなってしまった。

2004/05/03
★★★「アップルシード」映画館
公開前から世界配給も2作目作成も決まっていて映画でもあり、気になってしまって見てしまった(笑)原作は「甲殻機動隊」の士郎正宗。日本初のフルCG映画であり、ゲーム作成などに利用するモーションピクチャーという手法で人物達の動きが作られている。何と主人公のデュラン・ナッツに到っては3人の女性が演じているようだ。その所為でもあろうが、登場する人物達の動きが本当の人間のようであり驚きもひとしおだ。しかしその反面、動いていない時の演技がなっていない。これはきっと続編では解決されるだろう(と思いたい)3DCGであるのに、2Dのような人物表現もCGとしての作品に妙に溶け合っていて楽しい。ストーリーは特筆すべきものはないし、テーマも不変的なものだが、それだからこそこれからのアニメ映画の方向性を示したと云われる所以だろう。「ゴッド・ディーバ」がCGに近づいた実写ならば、これは実写に近づいたアニメとも言える。非常に判りやすい映画である。

★★★「ゴッド・ディーバ」映画館
登場する人物は3人だけで、しかも主演女優は無名。主演男優は「戦場のピアニスト」で主人公を見逃すドイツ将校の役で出ていた人物。助演女優は「愛の嵐」や「マックス・モン・アムール」で世界に名を馳せた女優である。彼ら3人以外は全てCGだ。舞台はニューヨークだがフランスのSF映画だ。アメリカのそれとは違い、モノトーンが多く、マトリックスのようなアクションもない。どちらかというと少しとっつき難い映画でもある。ニューヨーク上空に突然現れたピラミッドとセントラルパークに出来た異空間(そこに入って出た者はいない)そして人間は延命措置の為に人口臓器や人工皮膚を身にまとい、異星人も闊歩するという時代だ。ピラミッド内部には神であるアヌビスとバステト、それに永遠の眠りの罰を受けようとするホルス。ホルスには1週間だけの余裕が与えられる。そこでホルスは創造した人間達の中に自分の種を残そうと考えるが、人工臓器だらけの人間には乗移れない。そこで登場する冷凍催眠されていた政治犯の主人公。そして神よりも上位の存在であるらしい異星から来たジョンと名乗る人物と彼が創造したであろう青い涙を流す青い髪の女性。ホルスに乗移られた政治犯のニコポルと青い髪のジルの愛情物語でもある。何だか陳腐なストーリーと言ってしまえばそれまでなのだが、大友克洋さえ影響を受けたというヴィジュアリストのエンキ・ビラルが監督をしている。最近のSF映画でビラルの作品に影響を受けていないのは無いのではないかとさえ言われる人物である。そういう人が監督をして作った映画でもあってか、確かに映像は凄い。凄いのだが新鮮さに欠ける。もう既にみんな真似をしてしまっているのだ。本家本元が「これが俺の作品だ」と言っても既に本家を真似て造られてしまっている作品達がひしめく現代では少し古ささえ感じてしまう。それでもその古さが妙に色あせて見えないのは、きっとビラルの世界感が反映されているからだろう。実像の中にCGが入り込んだ映画というのではなく、CGの中に人物が入り込んでいる映画のように、登場人物達もCGっぽかったりする。だからどこまでがCGの人物なのかさえ判り難い。それだけCGとの融合が成されている映画でもある。もっともこれは完璧にCGの登場人物だなぁと思える人達もいるのだが、ワザとそうしてあって、これは立体映像の人物描写なのだとさえ思わせる。でもこの作品はマニア向けだなぁ。

204/05/01
★★★☆「ピーターパン」映画館
初演から100年目で始めてピーターパンを男の子が演じるという事でも話題になった映画だが、日本でも舞台化されているし、ディズニーのアニメであるピーターパンのイメージが強いけれど、今の技術があって始めて原作の持ち味が十分に生かされた映画だった。去年の「ピノッチオ」の実写版での映画化は失敗だと思うのだが、この作品は成功したと思う。それでもこれは多分ヒットしないんだろうなぁと少し残念でもある。確かにアメリカなんかで上演される「ピーターパン」なんかを見てしまうと(以前テレビ放映されたミュージカンルを見ただけだが…)楽しさが十分に伝わってくる。ティンカーベルはレーザー光線で表現され、舞台装置も空を飛ぶシーンも素晴らしい。元々舞台の台本として書かれたものだから、舞台には敵わないと思う。それでも「ピーターパン」が好きな人には見て欲しい。少し子供向けという感じはするが、ロンドンの上空からネバーランドへ到る空の道は、映画ならではの美しさだ。

2004/04/03
★★★☆「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」映画館
ドラえもん映画25作目です。私はビデオを含めて今まで22作品を見ています。去年と一昨年のドラえもん映画は残念ながら観ていません(涙)流石に25周年記念作品だけあって(笑)始めのタイトルコールからして違っていました。今まではのび太君がジャイアン達に苛められて、「ドラえも〜ん」と呼んでタイトルが出て始まるのが常でしたが、今回はなんと、ドラえもんが苛められて「のび太く〜ん」というコールで始まってしまった。そして「のび太の恐竜」から始まるドラえもん映画史とでも呼べるような今までの映画のいくつかのシーンが登場するという凝り様です。もう今までドラえもん映画を観て来た人には溜まらない演出です。これを書いている今は既に上映が終わっていますが、子供と一緒に楽しんできました。しかし25年といえば4半世紀ですから、ドラえもん映画の1回目が上演されて25年も経つわけですよね。原作者である不二子氏は既に他界されていますが、声優の皆さんがいつまでも元気で、そしていつまでも続いてくれるといいなぁと映画を観る度に思ってしまうのは私だけではないでしょう。25周年記念という事で、「ぼくドラえもん」なんていう雑誌も発売されていますが、あれは本当にマニア向けの雑誌で子供向けでないのが残念です(って関係ないけど買いつづけている)とにかく子供と一緒になって大人も楽しめる作品でした。難癖を付けるとすれば悪者役の声優をやった泉谷しげるの下手さ加減が目立った事だろうか(笑)

2004/03/07
★★★「イノセンス」映画館
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の完璧な続編なので、前作を見ていない人にはお勧め出来ませんし、SF音痴の方には御遠慮願いたい作品です。第1作目のマトリックスを観て理解出来なかった人は、きっとこの作品は理解出来ないのではないかと思えます。テレビでの宣伝を見ても判る通りに映像は綺麗です。まるで実写の様です。始めのシーンなんかもう溜息が出てしまいます。しかしその映像美の意味するところを考えると、ただ単なる実験というか挑戦だけのような気さえしてしまいました。人物が廻りの景色から浮いてしまっているんですよね。アニメだからこその「浮き」であり、その違和感がまた良いのかも知れないけれども、私は好きにはなれませんでした。それに何と期待していて観ていたのに、眠くなってしまいました。私だけかと思ったら結構そういう人が多かったのには驚きです。この映画を観ようと思っている人は、ガムとか飴を口に頬張りながら観て下さい(笑)テーマは「ロボット工学3原則」(昔の落書き参照)を絡めた、人間とロボットが共存するには人間主体であってはならないというものです(多分)興味の無い人はストーリーを話しても仕方がないし、観ようと思っている人にはネタばれになってしまいますが、前作でネットワークの世界に行ってしまった「素子」に助けられながらも、主人公のバトーが事件を追い、人形(ロボット)達の考えや行動に、観客を巻き込んでいくという手法は、面白いです。多分この作品は傑作となるんでしょうが、一般大衆向けの作品ではないような気がします。
ちなみにこのタイトルは「スタジオジブリ」に宣伝を任せたせいで決まったようですが、失敗でしょう。

2004/2/22
★★★★「ロード・オブ・ザ・リング(王の帰還)」映画館
とうとう観て来た。まぁこの作品だけの感想であるならば、ストーリー展開が不明な箇所が多過ぎて理解出来ない作品である(笑)とはいえ、3部作の最終章であるから、仕方が無い。もちろんこの映画を観るには、今までの2作を観ていないとお話にならないだろうし、長い時間映画館で座っているのは辛いはずだ。とはいえ、第2部まで観ていなくても、映画としての面白さは十分に堪能できる事は間違いないだろう。登場する悪役達の容姿や、巨大さは目を見張るものがあるし、戦闘シーンの迫力は文句の付けようがない。こんな奴らと戦って勝てるのかと、不思議でさえある。3作合わせると多分10時間位にはなるのだろうが、この長い映画であっても原作から抜け落ちているシーンは沢山あるし、無かったシーンが追加されていたりもするが、それは本と映画の違いであって、映画作品としてのこの3作は映画史に残る名作となるるのは間違いないだろう。2作目までで描かれなかったシーンも、ストーリー展開上必要となって、3作目で回想的な事で表現しているのも仕方がないが、逆にその分理解しやすい形になっているのも好感が持てた。しかしCG全盛の今だからこそ出来た映画であり、あれだけ長い話をアニメ化しないのも頷ける。よくこの作品を作ったものだと感心してしまうのは今の環境が成し得た奇跡といっても過言ではないだろう。
といくら書いても、前2作を観た人は絶対にこの作品を観るだろうから、感想は不用でしょう(笑)但し、前2作を観ていない人が観ようと思っているなら、必ず前作を観てからにしてもらいたい。映画の途中でトイレに立つ人も何人かいたけれど、ああいう作品を鑑賞中に邪魔されるのは、もっての他である。くれぐれも水分を控えて、トイレに行ってから観て下さい(笑)

2004/2/15
★★☆「オアシス」映画館
インターネットでの情報によると、めちゃくちゃ凄い映画で、こんな映画は二度と出来ないだろうなんていう評判があったものだから、上映館も少なかったが(東日本では渋谷でしか上映していない)見てしまった(笑)確かに登場する主人公達の環境設定は面白い。男は暴行、強姦未遂、そしてひき逃げ(これは兄の身代わりで無実)でムショ帰りで家族からは疎んじられている。女は脳性麻痺で、兄夫婦に利用されて障害者向けのアパートに兄夫婦は引越し、女はそのまま市営アパート?に一人で置き去りにされ、隣りの人に幾らかの金を払って面倒を見て貰っている。そういう疎外された男女が恋をするのだ。でも男は脳性麻痺の女性を見ても偏見はなく、少しズレてはいるが、純粋だ。こういう脳性麻痺の女性を見た事がない、見ても見てはいけないものを見るようにしてしまう人には、この女性を取り巻く環境というか外出先での疎外された生活というものは、確かにこの映画は衝撃的かも知れない。しかしストーリーとしての面白さにはほど遠いものがあると思ってしまった。密かに彼らが結ばれているところに、女性の兄夫婦が様子を見にきて警察沙汰になり、結局はよく表現出来ない女性の代わりに、現行犯逮捕された男は刑務所へ行ってしまうのだが、ラストで女性の寝室にかかっているタペストリー(オアシスというタイトルがある)に映る木の枝の影が恐いと言っていた女性の為に、警察署を脱走し、木を切ってしまうシーンは彼の無手勝流の、純粋ではあるが世間知らずの悲しさと共に、愛情を感じはするし、そういう形でしか愛情表現が出来ない彼の性格も悲しいのだが、なんだか物足りなさを感じてしまった。そりゃあそういう登場人物達の設定だから、こういう展開になるのは判るのだが、何だかそういう設定が余りにも悲しくて、そう感じてしまったのかも知れない。女性が思い描くシーンには自分が健常者になって、男性と付合っているというシーンがいくつか出てくるのだが、始めの方で壁に映る割れた鏡が太陽を反射する光が、蝶となって舞うシーンは素敵だ。ではあるが、後の幻想的?なシーンについては、興ざめであった。撮影の為に主演女優が大変な思いをしたのは言うまでもないだろうし、撮影が終わってもリハビリが必要だったらしいが、そんな裏話を聞くまでもなく脳性麻痺の演技をするのは大変だっただろうとは思えるし、迫真の演技ではあった。しかし何だか、それだけの映画だったような気さえしてしまった。これなら松竹映画の「AIKI」の障害者に対する世間の冷たさと主人公を取り巻く人達の暖かさの方が上のようにさえ感じてしまった。この「AIKI」は実話でもあり、ビデオ化されてもいるのでお奨めしておきます(笑)

2004/02/01
★★★☆「シービスケット」映画館
買い物へ池袋へ行ったら、今日が映画の日だというのをすっかり忘れていて、アカデミー作品賞の候補にも上がっているし、私の大好きな「カラー・オブ・ハート」の監督だと思って、ちゃっかり見て来た(笑)で、どうだったかというとこれが実話だとはとても思えない程の感動物ではあった(勿論脚色はされている)。ではあったという書き方は少し嫌な書き方だが、凄く感動してしまったという程ではなかったという程度の事である。大恐慌時代のアメリカで、生活の為に子供を手放したりする家族(その子供が騎手になる)や夢を抱いて西部へやってきた自転車屋が売れなくて車屋になって成功したが、子供を車の事故で亡くしたり、とにかく悲しい目にあった人々が沢山いて、そしてそれが当たり前のような時代。そんな中で見捨てられていたチビの競走馬(シービスケット)を育て、それに乗る体格がいいから痩せる為に努力をしていて右目が見えない騎手(トビー・マグワイア)とその馬主(ジェフ・ブリッジス)達。そんな彼らの物語である。中盤でやっと有名になってこれからという時に、騎手は事故で骨折し、歩けるようにはなるけれど馬には乗れないだろうと医者には宣告されてしまう。そして彼の変わりに親友のアイスマンと呼ばれる騎手が乗馬してアメリカ一の馬となるのだが、その後のレースでシービスケットは靭帯を切ってしまう。普通はそれでお終いなのだが、それからの彼らの努力で、馬は走れるようになり、騎手は医者に反対されながらも騎手として復活する。まぁお涙頂戴の話の典型のようなものなのだが、レースのシーンは映像も音楽も迫力があるし、実際のレースの途中に入るラジオに聞き入る人達の昔の写真などという細かい演出も心地よい。しかし、しかしなのだ。これがアカデミー作品賞ならば、きっと去年は不作だったに違いないと思うと、少し辛い点になってしまう。

★★★「DEAD LEAVES」映画館
面白そうな映画だと思っていたので観たのだが、これは昼間の上映はなくてレイトショーという遅く始まる映画だった。時間も1時間を切っている。客層は20代位ばかりであり、どちらかというとマニア向けの映画だ。どんな映画かというと下ネタばかりで放送禁止用語やらが飛び交い、何でもありのジェットコースタームービーである。時は近未来。主人公(男女1組)は素っ裸で気が付くのだが、記憶がない。それじゃという事で、一緒に銀行強盗をして、カーチェイスがあって捕まり、重大犯罪者向けの刑務所である月へ送られる。そこは拘束衣のまま生活を強要され、トイレさえ時間がきたらチューブから排泄させられる。なんていう世界である。とにかくおバカな話なのだ。製作は「甲殻機動隊」などのあの「プロダクションIG」の作品である。こういう映画はそのバカさ加減がどれほど凄いかというのが作品の出来に関わってくると思うのだが、映像も日本のマンガとは違い、アメリカのコミックのようにマシンガンを打てば、その擬音が文字となって、BABABABAとかDADADADAなんて入るのだ(笑)、その映像に合わせてキャラクター達も今の日本のアニメとは違った、デザイン画のようなキャラクターである。いうなればアメリカンコミックのキャラクターが映像化されているかのようだ。ストーリーのバカさ加減ばかりじゃなくて、映像のバカさ加減も半端ではない。吃驚したのは、途中に入る会話のシーンなのだが、二人だけの会話なのに、二人が同時に話していて、しかも昔の回想シーンの説明なんかも入ったりという一度に3つのせりふに付いていかなければならないというシーンがある。俺は聖徳太子じゃないんだぞーっ。これには流石に付いていけなかった。しかしそれでも私にはそのバカさ加減が少し足りないんじゃないかなぁ。なんて思ってしまった。欲張りなのである。

2004/01/12
★★★★「マトリックス・レボリューション」映画館
とうとう3部作のラストを観てしまった(笑)まぁお祭りだからいいやという気持ちもあったのだが、これは傑作である。2作目での大評判(私は好きになれなかったが)の割りには3作目はあまり評判が良いという話は聞かないのだが、この作品でマトリックスは金字塔を打ちたてたと言っても過言ではないだろう。2作目までで不明だった事柄が一挙に解明し、しかも今までの陳腐とさえ思えたストーリーがこんな風に絡み合っているとは、もう奇跡としかいいようが無い。なんでも「アニマトリックス」やら、ゲームの「エンターマトリックス」なんかを経験した方が良いという話もあったのだが、私はテレビゲームはやらないし「アニマトリックス」も観てはいないが、このマトリックスの世界観がやっと理解出来るという3作目を観なくては、マトリックスを語ってはいけない。金も無かったのでプログラムを手に入れなかったのだが、ひょっとしたらマトリックスの世界観について記述があるのかも知れないプログラムを今になって手に入れておけば良かったと少し後悔もしている。既に公開後1ヶ月以上が経過しているから、この映画も観た人も多いかも知れないが、この映画を見て尚且つ、マトリックスの世界観がわからない人は、多分SFという分野の考え方が出来ない人かも知れない。そういう人は仕方がないとしても、これは是非観ておいて欲しい作品である。スターウォーズの様に万人が理解出来る明解さはないが、この世界観は理解して欲しいなぁと思ってしまう。

★☆「ザ・ラスト・サムライ」映画館
ゴールデングローブ賞の主演男優賞やら助演男優賞のノミネートに上がっているという事だったのもあり、実は少し期待していた映画だったのだが、これは面白くない。せっかく久しぶりに立ち見で観たのに、私にはこの映画の面白さが判らなかった。これはかなりの確率でアカデミー候補には上がらないだろう。いくら作り物とはいえ、時代考証を一切無視した登場人物達の設定が、まるで本当にあった事のように語られる映画の中の展開に、違和感だけでなく腹立たしさを感じてしまった。人物の性格付けをする為の設定が、サムライの心情を表現するためだけのものだとしても、そのサムライスピリットとでもいうべき彼らの姿が明確に見えてこないのだ。登場するサムライとしての日本人達の不思議さがアメリカ人を通してみた時に、ストイックなまでの生活態度であり、ハラキリであるという事実は仕方がないのかも知れないが、これだけ日本を研究しわかっていると思っていたアメリカが何故ここまでサムライスピリットを外しているのか? もうワザとだとしか思えない。日本バンザイ映画だという前評判を聞いた事があるが、これが事実だとすれば、本当に悲しいなぁと私は思ってしまう。観始めの方では、きっとこの映画は「セブンイヤーズインチベット」のようにサムライってこんな感じなんですよという紹介の為の映画なのかと思っていたら、急展開して、主人公はわずか3ヶ月程で剣豪になり、もう何回死ぬんだと思えるような銃撃戦の中でも生き残ってしまうスーパーマンとなってしまう。主人公がサムライのスピリットを受けついで行くという展開なのだろうが、この笑うしかない展開が、立ち見で痛くなった腰に重大な疲労感だけを残してくれた。

2004/01/02
★★★★「ファインディングニモ」映画館
1/1は映画の日でもあり、映画館へ行きたかったのだが、結婚して子どももいると流石にそうは行かない。1/2の普通料金で日本語吹替え版を観て来た。とはいえ、映画館は厳選し、空いていそうな映画館を選んだ(笑)で、この映画は面白い。もう文句なしである。ディズニー映画の配給ではあるが、「モンスターズ・インク」や「トイ・ストーリー」「バグズ・ライフ」のあのPIXARの作品である。去年の夏の段階でのアメリカの大ヒットに関係なく、日本での興行成績も凄いはずである。もうそこら中にニモだか父親のマーリンだかのカクレクマノミの絵があるから、知らない人はいないのではないだろうか。だからあまりこの作品については述べるのは止めておきたい。既に観ている人も大勢いるはずだし、今更人に勧める必要性もない。大人の鑑賞に堪えられる作品かどうかに関して言えば、やっぱり子ども向けの作品ではあるのだが、主人公であるマーリンの大人になりきれない大人の成長物でもある映画だから、そのあたりのストーリー展開の貧弱さに目をつぶれば、完全に家族向けの質の高い映画だ。