第4回3000字感想

 久しぶりの感想ですねぇ。やっと書き上げました。
 例によって、読み違いもあるでしょうし、感想になってない個所もあるとは思いますが、所詮素人ですから、大目に見てやって下さい。そして、決して悲観しないで下さい。私の感想なんて与太話ですから。

『矛盾 とっぽさん
ストーリーは面白かったです。女の子達が「…みたーーい」といった時点で、双子だろうという確信は持てましたが、ラストで、殺し屋には間違って殺したよと言えばどうなるかも興味が持てました。ただ話の説明が多いかなと感じてしまいました。削れる個所が随分あるんじゃないかと思えるからでしょう。ただ物語りの唐突さとでもいうんでしょうか、ボディガードや殺し屋が個人的に接触してくるというのは、出来過ぎですよね。出来れば一工夫欲しかった所です。だって、一般の人に「私は殺し屋です」なんていったら、頭がおかしいと思われるか、警察に連絡されるかのどちらかだと思います。

クイズマスター ニコさん
マスメディアとそれを支持?する視聴者への警告なのでしょう。近未来の「クイズマスター」という番組の撮影風景の様です。(全然違うかも知れない)題材にされている女の子の鬱積した気持ちみたいなものは感じますが、出来ればもう少し書いて欲しかったです。出来れば、私にも簡単に理解できるものを、お願いしたいです。

ほくろ 佐藤ゆーきさん
「…命を削って君に歓びを与えているんだからね」ラストがいいですねぇ。信じやすくて神経質な主人公が表れています。でも、神経質だとか信じやすいというのを、言葉で表現しないで、何か話を作っても良かったんじゃないかと思いますし、神経質だというわりには、そのままマウンテンバイクで通勤してしまうという無神経さはマイナスではないでしょうか。

彼女の存在 beebeeGirlさん
不倫相手の奥さんの自殺ですか。しかもその不倫相手とはまだ続いている。不倫相手の奥さんとは知り合いで、しかも自分の患者だという設定ですから、はっきりいって主人公や、奥さんの心情というものが想像も付かないです。そこの所を説明するのに、心の中の声が多いんですね。心情の説明っていうのは、私はあまり書きたくないんですが、この場合には仕方がないのかも知れません。でも不倫はいやだなぁ。

歯痛 しょーじさん
「幸せを…噛みしめる」なんていうギャグや、どうせ『食べながらのタイエット』とか『三週間で美乳を作る』とか…『もう夜は怖くない』かもしれない。なんていうたたみかけ、「いつか、かどわかしてやろう」と誘う笑い。完璧に走ってますねぇ。出来ればラストは麻酔で痺れた口から涎でも垂らしながらニタッと笑って子供を見る位までは突っ走って欲しかった。ちょっと物足りなかったです。

『特ダネ 成田秀人さん
大正末期の描写が凄いですね。確かにあの頃はあの辺は、田舎というに相応しい景色だったと聞いた事があります。もうすぐ昭和で、原宿駅で特ダネ、しかも警視庁の警戒体制とくれば、大正天皇だなと感づいてしまいましたが、それにしても良く調べたものですねぇ。どこか変な個所があっても判りません(笑)若い主人公が書いた記事で始めに載せて貰えたのは、特ダネでは無かったけれど、重要な記事で、しかも思い出深いものになった、という経過がありますから、読者も共感できます。しかし上司は理解のある出来た人ですねぇ。こんな大事な記事を若造に任せるなんてね。

優しい青年』 太田勇さん
自分の事を心から優しいと信じているというのは、少し精神的におかしいとは思いましたが、そういう終わり方でしたか。でもこの後の展開が心配です。美恵さんも殺してしまうのでしょうか。それとも何も無かった様に静かに優しいままで、彼女の家族と食事をするのでしょうか。でもどっちにしろ、この主人公の青年の優しさは自分の為のものなんですね。それを考えると、悲しい話です。

雨、のち6月 うめぼしさん
あぁ。こういうの私はダメです。身体がこそばゆくなってしまいます。イギリスでは幸せになれるという6月の結婚も、日本では雨の多い季節だから避けたいところだと思うんですが(式場だって高いし祭日も無いし)何故わが国の女性共はジューンブライドなんて騒ぐんですかねぇ。「小枝」という名前からチョコのCMの「こわざ」をイメージしてしまいました。ごめんなさい。結婚の報告をするのは、以前も誰かが書いていたと思いましたが、こういうのって、自分の時のことを思い出して感想になりません。「僕は小枝の事をまだ知らない。だからこそ、知ろうと思う。それが愛する人だから…」なんていうのは、作者の実感から来ているんでしょうか。でも、まだ多分独身ですよね。充分に心情が出ていると思います。

価値 厚篠孝介さん
うーん。いい話だ。でもラストの「乞食が坂を上っていた」は「乞食の格好をしたあの老人が坂を…」の方が老人の信念を持って行動しているという雰囲気が出る様な気がする。そして私なら、「マリアを仰ぎ見た」で、終わらせてしまうかも知れない。ラストは大事だし、人によって感じ方や、纏め方が違うのは当たり前だけど、私にはラストの3行はやり過ぎの様に感じてしまった。勿論、ラストの2行は雰囲気は出ているんですけどね。価値は味だと思っていますから。

台所の情景 akohさん
ひぇーっ。面白い。妻の楊枝に刺身のつまですか。夫輪ゴムの意味がわかりませんでしたが、この際いいです。とにかく面白いです。ラストの「極論」以降はいらない様な気もしますが、きっと書きたかったんでしょう。輪ゴムが猫にじゃれられて、身体がよじれたままでせりふを言っても良かったかな、なんて事も思いましたが、発想に脱帽ですね。

『その恋、買います』 百内亜津治さん
出てくるパンフレットの商品が多いのは、文字数の関係でしょうか。途中で先輩が購入した話しがあった時点で、商品説明は終わりかと思いました。というのも色々なパターンがあって面白いのですが、ちょっと食傷ぎみになってしまったからだと思います。最後の「忍ぶ川」が今の日本で、本当に最適なのかどうかとか、現実離れしているのでは、などというのは別として、ラストは料亭の変わりに、恋愛相談所?の店員さんが相手だという、オチなのかと思ってしまいましたが、そうではなかったようです。文章はもう少し練った方が良いのではと感じてしまいました。

『おかえり』 更羽さん
「2001年宇宙の旅」という映画のラストを思い出してしまいました。難解だと云われた映画でしたが、ラストでは主人公が部屋を覗くと、年老いた自分がいるんです。その老人も部屋を横切ったりすると、またもっと年老いた自分がいる。そうやって、時間の経過を表現していたんですが(と私は理解しましたけど)この話も昔の自分を発見するのに、昔の小さかった自分を出現させるという手法を取っている様ですが、私の好みです。はたして昔に置いてきた忘れ物がなんだったのかは、読者の心の中にあるという事でしょうか。

『緋色幻影』 幸野春樹さん
怖いです。始めは人形の様な感情も無くなった人間達の、ひょっとしたら世紀末の話かと思いました。本を読んでいる女性が読みながら見ているテレビの様な二重の話かとも思い、世紀末では無いけれど、みんな最後には死んでしまうんだという、人間ダメ小説かなという思いもありましたが、テレビで放映されている番組でしたという形だけの終わり方でも、結局訳がわかりませんでした。ひぇーっ、ごめんなさい。トースターの件はまぁ、いいとして、言葉を発しない登場人物(人形)達の、不気味さと普段の生活の様な暮らし振りが怖さを増幅させていました。その点については、雰囲気が出ています。

『遠い残照』 川辻晶美さん
私は男だからなんでしょう。始めに語り手は男性だと思って読み始めてしまいました。ブロンドの男と…の個所に至って、始めて女性だというのが判りました。それまでは、どちらとも取れる書き方なんですね。こういう手法というか書き方は勉強になります。意識して書いていないのかも知れませんが、推理小説には使えます。話としては、誰にも知られたくない二人だけの過去の話を、一人になってしまった主人公(勿論秘密を共用できる人がいなくなったという意味です)の寂しさが、充分出ていると思いました。

『空猫猟』 羽那沖権八さん
「そらねこ」と読めばいいんでしょうか。面白いです。しかも最近はやりの釣りじゃないですか。遺伝子汚染生物でも生態系に影響する程、深く入り込んでしまったという空飛ぶ猫というのもいいですねぇ。実際にどうやって飛ぶのかの表現が出ていませんが、羽根がある様には、思えないんですし、どうやって飛ぶのかは知りたいですねぇ。老人の悲哀は充分表現されていると思いましたが、どうやって飛ぶのかが、気になってしまいました。

『あかり』 三月さん
ほらーっていうのは、掛け声じゃなくて、怖い話のホラーなんですが、今回の作品はストーリー自体は面白いと思います。家族思いではあるけれども、日曜の深夜まで仕事をしているサラリーマン(本当に家族思いかどうかは別として)が、遭遇する泥棒の幽霊の話だと思うんですが、話の展開も理解出来るし、不思議というより怪異な現象も設定されているのに、何故かあまり怖さを感じませんでした。来るぞ来るぞと思っていても、来ないで、少し安心した所でドキっとする様な事が起こるパターンが良く映画ではありますが、そういう「間」みたいなものが、感じられなかったからでしょう。例えば、守衛の話の後で、主人公が吹き出すまでは、いいとして、「そういうオチか」と思うのは、怪奇小説では禁止だと思います。いままでの蓄積していったものが、あれってな感じで消えてしまうんからだと思います。「…着きましたね」なんて、始め私は「光が、…照らした」とあったんで「明かりが点いた」の間違いかと思ってしまったくらいです。のっぺら坊の話を思い浮かべたくらいですから、思い切って警官に対しても、後でよく考えると、あの場所には派出所(今は交番か)は無かったなんて事にした方が、良かったかも…なんて思いました。どっちにしろ、仕事ばっかりしてないで、家族サービスしろって事ですね。

『濡れ落葉と呼ばれる頃に』 竜胆姫さん
しんみりして、しまいますねぇ。酔ったまま車で、しかも下駄履きで運転するなんて交通違反もいいとこですけど、まぁ、そんな事は、この際いいでしょう。それだけ奥さんの事が心配だったんだという表現だと考えます。奥さんが死にたいと思っているのではと感じた段階で、自分も死のうと思うの主人公には、はっきりいって吃驚しました。それまでの主人公の行動(酒を飲んで憂さ晴らし)がそう感じさせなかったからだと思います。だけど、やっぱりしんみりしてしまいました。

『仕事』 Defaultさん
腕時計のアラームがなったなんて来たんで、主人公は、画商まではいかなくても、それに類する職業だなと思わせておいて、最後はどんでん返しの×××という仕事だなんていうオチかと思ってしまいました。仕事じゃなければ彼女との関係はなかったって言うタイトルなんですね。他愛の無いせりふのやりとりが多いのが、ちょっと気になりましたが、読みやすかったです。出来れば、油絵なんかをマンションの一室でやっている中にケーキを持っていくなら、窓くらいは空けてから、食べて欲しかった。結構臭いですからね。って全然関係ないか。

『妻の恋人』 一之江さん
旦那への心情から、敢えて家計簿に書いておいた事「逢引に行く」という言葉はおじさんギャクです(ウソ)さすがですね。一年用の家計簿なんてのがあってそれを使っているんではなさそうな奥さんですが、ミステリーといってたんで、もっと別のものを期待してました。やっぱり不倫だ。
「ごめんなさい、あなた」は、旦那の不倫相手に子供を堕ろすと頼んだことであり、「今ごろ、こんな形で…」は奥さんが旦那の子供を妊娠し、子供を堕ろさせた自分が今、妊娠してしまって、命の大切さを実感し、堕ろさせたという罪を悔いている事であり、もちろん「あいびき肉」はそれを混乱させるための布石です。ラストで、旦那が奥さんの真実を知って、そんなことで悩んでいたなんてという後悔の気持ちが、馬鹿じゃないのかと言わせたという。こんな風に読んでしまいました。合ってますかねぇ。
 掲示版での言葉を見るとミステリーとしての読みは合っていた様ですなぁ。推理小説好きな人には、初歩の問題の様な気がします。だけど、本当は全然違うという事も考えられる。なんといっても、一度完結していた話が本当は違うんだと別の話になってしまう推理小説もありますからねぇ。特に一之江さんの作品は、深読みをいくらしても、本当に合ってるの?と不安にさせてしまうんですよね。

『空を飛ぶその男を見よ』 越冬こあらさん
以前の豚妻の変形かと思ったら、違いましたねぇ。そりゃぁ、こあらさんが、同じ話を書くわけがない。はっきりいって、今回の話は訳わかんないです。まさかニーチェの「この人を見よ」から取った題なんですかねぇ。超人思想のニーチェは、実は若い頃に読もうと思っていたんですが、読んでないんです。ですからはっきりしないんですが、主人公が超人になってしまったという、この話には共通する点があるかも知れませんね。俺様の素晴らしい企画を没にしてしまうなんて、お前らは紙屑だ!っていうのが現実になってしまうなんて、そりゃ、貴方は超人です。って馬鹿にしてるんじゃありません。面白かったです。

『磁場コップ』 鮭二さん
鮭ニさんとこは、花見をやったんですか。私は会社を替わってから花見の場所取りどころか、会社での花見はありませんねぇ。前の会社は、外堀に面したところにあったんで、朝から場所取りをしておりました。花見をしていて、通りかかる女性を呼び込み、一緒に飲んだりして楽しかったなぁ。相変わらず、楽しい壊れ方なんだけど、主人公が枝で打たれる音と声が全然変わらず4度も出てくるのは、狙いなんだろうか。私には、そんな勇気はない。ラストの「ワンダフォー」は以前使っていた様な気がしたけど、違うかなぁ。でも、今回は判り易さを優先させた様で、読者としては悔しい。

『光る雲』 自作
締め切り当日に3時間程で書いたせいで、話としては面白くないですねぇ。やっぱり載せるんじゃなかったと後悔しています。私は今まで、殆ど一人称で書いていたんですが、今回は三人称に挑戦してみました。そして3000字という事だけで、長編にあるような色んな話を盛り込んで、なんて考えたのがいけなかった。消えた人間はやっぱり戻って来ない方が良かったし、赤ちゃんだけが残るのも変だ。始めは悪い奴だけを消してたんですが、書いているうちに悪い奴ってのは、どういう奴なんだって事で、みんな消してみたくなってしまいました。赤ちゃんだけは可哀想かなってんで残っちゃたんですが、やっぱり、作品としては赤点ですね。

『アマチュア魔術』 アキラさん
最後の方で、何故、気味の悪い感触がした。というふにしてしまったんだろう。今まで魔術師の視点で書かれていたのに、突然ここだけ浮いてしまった様に感じた。話としては面白いし、アマチュアの魔術師というだけあって、舞台慣れしていない様子が、せりふから伺えるが、魔術師の正体を披露してしまっては魔術にはならないだろう。だが、だからこそアマチュアなのかも知れない。と考えるとストーリーはこれでいいのかも知れない。一生懸命舞台で手品をするために、障害者が頑張っているが、経験の少なさから、失敗してしまうという悲劇にしてしまったら、受けたかもしれない。