第15回3000字感想

久しぶりに参加した今回の3000字ではありましたが、久しぶりに出したせいもあってか何だか自分の作品は可愛いです。読みなおしてみると随分変だなぁとか、やっぱりこういう展開にした方が良かったとか、前半部分と後半部分を入替えたら話が変わってくるなぁ、なんて未だにうだうだと悩んだりしています。でもそういう作品ではありますが私も誉めてもらえると嬉しい。
 しかし私は自分の作品は棚上げして感想を書きます。特に今回は初めの半分位の作品については、出張帰りの新幹線の中での感想でしたから、頭が疲れきっていていました。だから感想になっていない所もあるでしょうし、読み違いもおそらく多いと思います。でも作者はそんな私の感想にめげないで下さい。おじさんが疲れた頭でやっと書いた感想ですからね。感想の長い短いは作品の質とは関係ありません。ただ単に私の表現力の問題です。

Entry.01『若干2名』荒井さん
何だか作風が、たまに私が書く作品と似ている気がした。とりとめもなく、日記の様に書き連ねている様にも感じる。やっぱりこういう話は、あぁそうなのかと感じたままに楽しむのがいいのだろう。で、何を感じたかというと、都市伝説にまで発展する話の展開は面白いのだが、ウーン、それでどうなのかというと、やはり話を書いている意味というか…、何をいいたいのかが伝わって来ない。ただ単に面白かった?と作り話を聞いただけの様な気がした。

Entry.02『イケニエの儀式』野口 圭さん
始めは、近未来の食人をする様になった話かと思って、ぞっとしたが、なんだかそうでも無いらしい。ただ単に狂った若者の生き様のようにも思える。まぁそれはそれで恐いんだけど、フライとステーキというありきたりの料理ではなくて、彼本来の味を楽しみたいのなら、刺身なんかもいいんじゃないかとさえ思えた。もっと凄惨な感じがあっても良かったんじゃないだろうか。

Entry.03『規制緩和の男』岡野義高さん
まぁ、頑張って頂戴。と主人公には言っておこう。自分勝手なゴタクを並べても、それを受け入れる器が揃っていなければ意味はない。ただ単に「遊んでるだけじゃん」と思ってしまうし、こういう男にはあんまり興味がない。と感じる作品だけど、(なんだコイツはという)その面白さが共感を呼ぶかというと、私にはダメです。

Entry.04『おいしくない女』Jamie.Eさん
これって以前に出品された作品ですよね。どこが変わったのかは又読んで比べたいとも思わなかったので、パスします。ただ文章の間の空白が多いけど、これはあんまり効果がないと思うんですが、何故こんなに間があいてるんでしょうか?

Entry.05『グローバル・ワン』竹野井 雪さん
ウーン。シーンの一部だけ切り取られていてもよくわかりまへん。そりゃぁ、状況は書いてあるけど、彼女に同情して頑張れって、声援する話だとは思えない。

Entry.06『粒子を感じてる』紅谷奈ヲ矢さん
面白い設定だ。人間がいなくなった世界で、ただ独り物思いに耽るロボット。始めはピノキオもどきかとも思ったが、これは駄作だと思った映画の「A.I.」からの発想かも知れない。そう考えると、もう少し発展があってもいいかなと思った。

Entry.07『桃色吐息』やす秦さん
男から見た?女性の心理という所でしょうか?(作者って男の人ですよね)でも男が読む分には、こんな感じなんだろうなぁって思わずニタリとしてしまいました。

Entry.08『煩わしい恋』坂口与四郎さん
小説なんだから主人公を今の生活から遠ざけなくてもいいんじゃないだろうか? もっともこれは好みの問題だから仕方がない。盗聴やのぞきをされているという事から変化していく(というよりは始めから覗かれたいと思っている)女性が、覗いている人に対して、恋心?(何故そういう心境になっているのか私には理解出来ないし、何故この女性はそういう状態を続けていこうと思わないのかも解からないが)を抱いているのだから、そんな所をネットリと、深く書き続けてもいいと思う。そういう私も少し変かも知れない。

Entry.09『ドラゴンフィッシュの夏』Ameさん
ウン。何かいいねぇ。若者というか青春の1ページという感じが充分に出ている。ドラゴンフィッシュ(フライ)も効果的だ。

Entry.10『ニセ珈琲』海坂他人さん
いやいや、やっぱり男はこうと決めたらそれをやり遂げるものですよ。主人公もそういう気持ちがあるからこそ、妻に対して怒ってしまうのです。「お前はこんなに長く連れ添ったのに、俺の気持ちが解からないのか」ってね。でもそこは長いこと連れ添っているからこそ、そういう事が言えるという夫婦であるわけで、静かに暮らす夫婦の思いがしっとりとして、いい感じでした。

Entry.11『僕らの海』党一郎さん
いつ迄も友人としての男女関係の様に思えて、こういう関係というのは、よくは解からないんですが、なんかいい感じがします。彼女がどっちを好きだったのかなんていう野暮なことは考えない様にします。そういう感情を彼らは超越してるんですからね。

Entry.12『蝿薬』林徳鎬さん
ハエになる薬という簡単な着想を、殺人事件というか事故というか、自分の正当性を証明する為に、弁護士に話しているという設定にするというのは、まるで映画を観るような展開になっていてスゴイと思いました。こういうストーリー展開が出来るというのは羨ましい。

Entry.13『年輪』宙さん
老夫婦の生活を垣間見た主人公が知った彼らの生活が、主人公に与える影響は、途中で考える、こんな夫婦の様になれたらいいなという感情なんだろう。老夫婦にどんな事があったにせよ、それでも彼らは幸せに暮らしているという事実からは、やはりそういう感情を持って欲しいし、そういう老夫婦だからこそ人生の年輪を感じたんだろう。うん。いい作品だ。

Entry.14『Re:記憶』さとう啓介さん
記憶喪失から発生する話というのは、どういう展開にでもなれるけど、始めはサスペンス物になるのかと思って読んでいたが、やっぱり途中で出てきた女性は母親で、最後には彼女に感謝しているという、記憶を失った事で生まれ変わったという主人公の役割になってしまい、私の趣味としてはちょっと残念だった(笑)けど、やっぱりチャンピオンになった人だけあって面白い。

Entry.15『キャラ』羽那沖権八さん
もりかっちゃんがいなくなってから、全員の名前と顔がやっと一致したsmapのメンバーだが、流石に「モーニング娘。」のメンバーは13人だったよなぁなんて人数位で、名前までは知らないし、あれだけいると、立ち位置だって変わるだろうから、見た顔だなぁ位の反応しかない。しかしお笑いのキャラさえも顔も覚えていないで、立ち位置だけで認識しているという設定は面白い。これじゃぁ芸能人だってどこにいても解からないという事じゃないか。しかし考えてみると、顔は覚えてるけど名前が出てこない人が沢山いるという私の現実は、この作品の登場人物と違いがないのかも知れない。

Entry.16『ファミレスデイト』恋糸 いとさん
彼氏を作ると、その度に友人に彼氏を取られるという設定はあんまり感心しない(なんだかよくある設定だけれども現実的でない気がすると自分では思っている。もっとも私がそれだけ古い人間からなのかも知れない)が、ハッピーエンドで嬉しい。やっぱり私は辛い恋の話よりも、楽しい話が好きだからだろうか?

Entry.17『現実』自作
自作の為パス。

Entry.18『友達の言葉』桐さん
「人生はすべて暇つぶしなんだ」そういう台詞を言える程に、私は人生を生きてはいないし、そういう考えは今もって持っていないが、彼ら友人達の暖かい気持ちは充分伝わってくる。主人公がやっと心を開くことが出来た誕生日だが、これが第2の誕生日だと思って、遣りなおして欲しいものです。いい話でした。

Entry.19『階段。』月季花さん
で、その後どうなったんだろうか?母子家庭より大変だという父子家庭だが、そういう境遇をただ単に文章で書かれているだけだと、何も感じない。忘れている訳ではなく、多分仕事の都合で来られないかも知れないが、私は片親の家族というと、子供に対する愛情は一般家庭よりも特別というよりも、大切にしていると思っている。それをもう高校生だから理解しているとは思うが、やはりそういった感情なんかが表現されるとか、少年の境遇を垣間見せるとかしないと、何が言いたいんだがわからない。

Entry.20『Metamorphosis Code:WW』朝市九楽さん
人間でも人間以外でも、話を書く時に注意しなくちゃいけないのは、やっぱり主人公(今回は狼男)の気持ちだろう。3000字という長さの中で、この気持ちが充分表されていないのは、悲しい。状況描写が随分書き込まれているけれども、そんなものは「人も通わぬ山奥の、何年も前に忘れられた研究所」てなもんでも理解出来ると思う。それよりは、逃亡してからやっと自由になれたというWWの言葉だけじゃ、いくらなんでも物足りない。

Entry.21『霞桜』伊勢 湊さん
規則を破るというのは、イケナイ事だと解ってはいるけれども、やっぱり後先考えずに、自分の気持ちに純粋に行動してしまうという行為は若いからなぁとか青春なんだなぁなんて思ってしまって、好ましい気持ちがある。勿論それが正しいことかどうかは問題外ではある。しかし、そんな彼らを解ってやっている父親や口では怒っても心では応援しているらしい先生も素敵です。

Entry.22『夜の散歩道』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
なんだか悲しい話だ。若い頃に見た不思議な生き物達を見る能力も少しづつ大人になっていくうちに、無くしてしまっているというよく言われる事だけど、やっぱりジーンと来る。でもこの作者もそろそろチャンピオンになってもいい頃だと思うのだが…。