第21回1000字感想

今回の感想は少し早く出来あがった。少し仕事が一段落したものだから読む時間が取れたからだけど、相変らず感想にはなってないなぁ。今回の作品も難しくて判らないものもあれば、楽しませて貰ったものもあります。おじさんが読んで思ったことが書いてありますが、あまり激しい反応は受けたくありません(ちなみに感想の長さと作品の良し悪しとは全然関係ありません)

Entry.01『美しいもの』そるさん
まず「掌の小説」が川端康成作という事は判ってますし、純文学の短編集っていうのには興味はあるんですが、川端さんってとっつき難くって殆ど読んでません。で、道端の石にだって感動できるという(この場合は川ですが)のは言い尽くされていると思うんですが、あえて小説として投稿してきたのには、何かがあるんだろうとは思うんですが、何があるのか理解できませんでした。例えば前向きに生きようとでもいうメッセージが欲しいです。

Entry.02『遠い花火』叙朱さん
一生懸命働いて、それでも会社が上手くいかない。そういう会社だけど、皆でなんとかしようとしている。小さな出版社の状態が伺えるようです。会社の人達の想いが伝わってくるようです。それでも仕事だから、助けてあげたくても助けられない。本当に華やかな花火は遠いんですねぇ。

Entry.03『インフルベンザ』有馬次郎さん
ベンザというから某薬品会社のカゼ薬かとおもったら、便座であったか、私もウォシュ○ットなどのあの便座は好きです。確かに癖になりそうで、気持ちがいい。あれって日本は結構普及してるけど、障害者向けにアメリカで開発されたんでしたよねぇ。でも本場アメリカでは殆ど見当たらないらしですが、日本じゃあって当たり前みたいなところもあって、嬉しい。(感想になってない)

Entry.04『花』黒花睡子さん
kageyu tomomiというのは、主人公とは別の人格かと始めに思ったが、そうでもないようだ。夢見る少女ではあるが、自分は決して咲けないだろうと思っている。電車の中の情景が主人公の中で、どう変化しているかの表現が面白いとは思ったが、それが理解出来ない私が、ちょっと寂しい。

Entry.05『お菓子と手帳と』のぼりんさん
軽い感じの推理物だけど、1000字ではこれ位の推理物が妥当だと思わせる結構凝った内容で嬉しい。推理物の難点は同じ手が使えないという事だから、一度いいアイデアを出しても同じ形式では二番煎じになってしまって、意味がない。そういう意味では新鮮だったし、やられたという感が否めない。面白かった。

Entry.06『恋愛小説』刀さん
はっきり言って凄い設定だ。恋愛小説っていうのはマトモに読んだ事はないけど(そういえば昔ロマンロランなんかを読んで恥ずかしかった思いがある)ハーネクインなんかは、こういう設定が多いんだろうか?過度に期待を掛ける昼のドラマの様に、現実的でない設定をこれでもかこれでもかとたたみかけていくのは、こんな馬鹿な事は小説なんだよという意味で面白い。(タイトルも恋愛小説だからね)これは恋愛小説っていうのは、こんなもんじゃないはずだという思いからの話しなんだろう。設定が陳腐(失礼)だからこその話しとして面白い。

Entry.07『トゥーラ・トカレフ』工藤裕也さん
米神ってなんだろうと思って読んでいったら、こめかみ(TEMPLE)の事かぁ。一応辞書で調べてしまった。私の辞書には、米神は載っていないけど、正しいのかどうかは判らない。でも自殺するなら、やっぱり口の中に銃口を突っ込まないといけません。こめかみだと助かる可能性があると聞いた事があります。彼女を射殺した理由らしきものが現実味を帯びて語られていないので、きっと死ぬに死ねなかったというオチを書きたかったんでしょう。でもそれを拳銃の所為にするだけでは少し弱い気がします。警官に撃たれたっていいんだから、警官の拳銃を奪うくらいの展開に持っていってもよかったんじゃないかなぁなんてね。

Entry.08『Rain Day』桂木彩乃さん
なんじゃこりゃ!?そういう思い出があったという事を書いただけなんだろうか?申し訳ありませんが、雨に濡れなくて良かったねぇ。としか言えません。もしこの後彼との関係が何か出てくるとか、何かが起こるとかの発展がないと、話しにならないと思うんですがねぇ。まぁこういう物もあるんでしょうが…。

Entry.09『紅い唇』さとう啓介さん
現実離れした展開に、おぉ面白くなりそうだ。と期待した。まさか実際に、隣りの奥さんと義父との関係を見て、そのお爺さんが死んでしまって、その関係を隣りの奥さんにいう事から発生する、不倫関係の話しじゃぁ無いと思うけど、もしそうだとしたら、これだけ明るく変更してくれれば、陰湿な感じがする性の狂宴とは違った、爽快な感じがしていいです。こういう書き方になると、なんか羨ましいような恐い様な気がするのは、やっぱり男だからだろうか?

Entry.10『臆病者の窓』木葉詩子さん
自分の中にある部屋という事で、不思議な世界が広がっている。観念的な世界を表現するというのは難しいし、理解し難いが、タイトルが理解を手伝ってくれて、何となく判る様な気もする。映像的には、面白そうな話しではあるが、やっぱり私には難しい。

Entry.11『壁』杉田晋一さん
通路の中で初めて会った(?)女性と出口を求めて彷徨するというのは、生きていくという事の中のひとつの事象を表わしているんだと思うが、そういう意味では壁にぶつかる等という表現もあるくらいで、取りたてて珍しい比喩ではない。ならば壁をどうやって崩していくのかが、問題になりそうな気もするが、作者はその問題を先延べし、一緒に壁に当っている女性と歩いていこうと誘っている。女性はといえばそんな彼に対して、もう嫌だと言っているのだろうか。立ち止まって動こうとはしない。「このままでいいじゃないの」と言っている様だが、主人公はやはりこのままでは嫌だと思っているのだろう。そういう発展途上の経過を描いている様で、面白い着想だとは思ったが、やはり私は壁を壊して欲しい。

Entry.12『Human immunodeficiency virus』羽倉諒さん
人間の免疫欠損ウィルスというタイトルだから、エイズの事かとも思ったけど、新種の風邪のウィルスの事だったのかぁ。人間が持っている免疫の機構とウィルスとが戦っている模様を判り易く説明する為に、戦う様子を示す事があるけど、こういった戦争にまで発展させるのは、新鮮だった。このウィルスはひょっとしたら、ウィルスが化けた参謀本部からという偽者なのかも知れないなぁ。現実問題としても戦う必要がないという指令を免疫出してしまう、ウィルスというのが存在すれば、恐い話しだ。

Entry.13『愛を感じるとき』やまだ小麦也さん
美味い飯を食えるのは幸せだよなぁ。我が家は結構エンゲル係数が高いと思う。食事は大事だから贅沢してるなぁ、なんて思う時もある。但し昼飯だけは、小遣いの中からやりくりしている所為もあって、身体に良くなさそうな物を食べたりする時もあるし、仕事の関係で時間がズレる時もある。サラリーマンの昼飯っていうのは、やっぱり憩いの時間だもんなぁ。気をつけたいものである。でこの店に来れない理由なんだけど、ランチの値段なんだろうか?それとも店が閉まってしまうんだろうか?その重要なところが理解できなかった。ランチ850円が安いとは思わないが、この御時世でランチ850円という安さでやっている店もある。という風に読んでしまったが、そうなるとこの定食はよっぽど高いんだろうか?なんか重要な個所が不明確(読取能力不足)でちょっと残念だ。

Entry.14『虐待』RIBOSさん
世間で問題になっている固い話かと思ったらとんでもない。笑いました。これは感想なんていらないよねぇ。はい、面白かったです。不真面目だなんていう奴がいるかも知れないけど、これ位強烈だと、笑うしかないでしょう。

Entry.15『僕と蟻と彼女』BEANさん
僕の蟻っていうとペット?なんですかねぇ。それとも家の庭にでも巣を造っているんですかねぇ。ってこれは完璧な嘘なんでしょう。何故小説を書きだしたのかを話にしたっていう、これも又嘘なんでしょうか?ラストでは、「めでたしめでたし」と言ってるんだから、きっとふーんって言って聞き(読み)流せばいいんでしょう。

Entry.16『メールで愛』吉原 明さん
メル友に会う為だけに、引篭もりが解消するならば、メールも世の中のためになっているんだなぁ。なんていうことは思わなかったけど、メールの内容からは、引篭もりを脱却してしまう程の、必然性が感じられなかったからだろうが、ラストのオチは、弱い気がした。

Entry.17『千字くん』時空門奴さん
面白い。最近こういった傾向の話が多くなって来たのは、驚きだが、1000字しかないんだから、遊んじゃおうという事なんだろう。でもこういう手っていうのは一回使ったら、もう使えないから困るんだよねぇ。100(ちなみに千字くんは1000字を越えてます)

Entry.18『歓喜』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
この作品の評価はいったいどうなるのか判らないが、面白い作品だとは思う。話の設定がよく判らないのが余計に興味を惹かれる。普通の生活をしていた人が戦場に送られて戦っているというよりは、普通の生活の中が戦場で、その普通の生活の中で戦っているという事なのかも知れないが、そんなことはどうでも良いと思わせる。一生懸命生きて、死ぬときには生きていて良かったと思える様に頑張りなさいというメッセージかとも思えるが、そんな事は考えないで、とにかく読んで何かを感じればいいんだろう。

Entry.19『正月すぎの餅』海坂他人さん
久しぶりに海坂さんの作品を読みましたねぇ。昔は男と男の性に関する話が印象的だった記憶がありますが、投稿を止めた頃は、こういったしっとりした情感のある作品が多かった様にも記憶しています。気になったのはタイトルですが、正月というのは、一月の事だと思っていました。小正月に対しての大正月は1月1日ではありますが、正月とだけいった場合には、私は一月の事だと理解していますので、2月に入ってからの餅の事だと思ってしまいました。こういうなんでも無い(劇的な変化があるわけではない)情景を書いて読ませるのは、やっぱり良い人が帰ってきたなぁ。と喜んでいます。これからも投稿して欲しいです。

Entry.20『生まれたての陽の光と夜を越えてやってきた風』伊勢 湊さん
ちょっとした事なんだけど、いい話だねぇ。じーんときます。でも長いタイトルが凝っているなぁとは思いましたが、ラストで同じ言葉を使ったんじゃぁ、ちょっと興ざめかな?

Entry.21『Not yet.』川辻晶美さん
気持ちのいい作品が続く。嬉しい。Not yet.(まだ)そう、まだこれからなんだよなぁ。俺も頑張ろう。そういう気持ちにさせてくれる。この作家はこういう形式の話が多いけど、それだけ手馴れて?いる所為か、読者に訴えるかけてくる文章力があるんだろう。良かった。

Entry.22『鳥になりたい』羽那沖権八さん
これも面白い。特にラストの友人の冗談が作品を逆に引き締めている。大学進学を目指した浪人?の悲哀とまでは行かないが若さと戸惑いが感じられた。

Entry.23『ひこうき雲』リツコさん
昔の彼にあって今の自分の幸せに浸っているというのは、ノロケを聞かされている様で、第三者としては面白くない。まだ700字位しか使っていないんだから、彼との昔話でも出てくれば、もう少し違った雰囲気になったんじゃないだろうか?

Entry.24『メロンパンの誘惑』一之江さん
最近は色んなタイプのメロンパンがありますが、私はオーソドックスなのが好きです。缶コーヒーは好きではありませんが、以前ジョー○アのプレゼント応募の為に、沢山買った事がありました。当然外れてしまってからは、その後のシール集めを止めてしまいました。どうせなら宝くじでも買った方がいい。で、主人公の奥さんへの愛情が集めさせているシールを、同僚の女性に、あげてしまうという男の見栄が馬鹿だなぁと思わせながらも、可愛い感じがします。はっきり奥さんの為に集めてるんだと私なら言ってしまいますが、そういう下らない事へのコダワリというもので可愛い男を演出しているんでしょう。だけど、缶のまま集めて机の上に並べているというのは、広い机なんだなぁなんて思ってしまいました。奥さんの立場での話になったら、又違った感じの話になっていたと思うと、そっちも読んでみたい。

Entry.25『贋・・・爺』鮭二さん
朝4時に起きて、2パックの卵を茹でるのには、大きな鍋が必要だなぁと思ったら、なんだラジオ体操の時間まであるなら、何回かに分けて茹でたのかぁ。でも私の家の冷蔵庫には20個も卵を並べられない。もっと大きな冷蔵庫も欲しいけど、なにせスペースが無いからなぁ。なんて話の端々を突ついてみても、この作品は理解出来ないですが、毎回不思議な世界が広がっていて、面白い。

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