第23回1000字感想

今回のゴールデンウィークが途中に入って、みんな感想が早く出来あがったようですが、私は相変らず遅くなってしまいました。いつもの通り感想というよりは、勝手に書いた戯言ですし、自分の作品は棚上げしております。相変らず感想の長い短いは作品の字数にも質にも全然関係ありませんので、御了承下さい。

Entry.01『空っぽの家』高橋英樹さん
設定がよく判らない。彼女は死んでいて主人公の妄想なのか?又は主人公が責任を感じる何かがあって別れた彼女がやって来たのか?缶ビールの空き缶の数が主人公が飲んだ分しかないというのは、後者の場合はただ単に彼女が飲まなかっただけとも取れるし、前者の場合には飲んではいたが幽霊だからその存在事態が消えているという事にも取れるだろう。せりふだけの説明ではちょっと状況が把握出来ない。何もかもイヤになってしまった主人公が、ラストで何とか今の状態から抜け出せそうな感じは出ているが、設定が把握しきれない所為で、ぼんやりした感じになってしまっていると思う。それともタイトルの「空っぽ」の通り理由なんか関係がなくて、兎に角抜け出したいという思いが伝わればいい作品なんだろうか?

Entry.02『蜘蛛』森田英一さん
「塒(ねぐら)」なんていう字は知りませんでした。考えてみれば、蜘蛛という字だって書けといわれても書けそうもないですねぇ。蜘蛛の巣というと、子供の頃に針金で作った輪に蜘蛛の巣を張付けて、虫取り網の変わりにして遊んだのを思い出します。って話しと全然関係ないなぁ。途中の駅での蛙の鳴き声は何か関係があるんだろうか?思いもかけないことはどこにでもあるのに、気付いていない(気付いていてもそんな事は関係がないと思っている)人が多いという事だろうか?その怒りをぶつけたいのならば、主人公には帰り際にでも、蜘蛛をすくって電車の外に出してあげてもいいと思う。何の行動もない所為で、主人公もそういう人達の一部になってしまっている。しかし逆にそういう行動を取らないからこその、読者への警告なのかも知れない。しかし夜の蜘蛛は縁起が悪い。(ってやっぱり関係ない)

Entry.03『つくしんぼう』さとう啓介さん
ほのぼのとした情景というのはいいですねぇ。しかも家族で土手で昼寝とは…。友達と遊びたい盛りだと思える娘達も参加してですから、余計にサザエさん的な情景になっています。でもそうだとすると、日頃から鬱憤が溜まっているという奥さんの設定には疑問が湧いてしまいます。そういう家庭っていうのが果たして、家族全員で昼寝とか散歩をしに行動するだろうかという事です。そういう意味では主人公の思い(不満)は不要な気がしてしまいました。

Entry.04『気球』のぼりんさん
話しのオチは判るんだけど、これってやり過ぎでしょう。というよりは、血が降るという設定にしてしまうと、今迄生きていたみたいです。気球の風船の部分に人間を使用するという設定ならば、人間の皮膚だけじゃなくて内臓を使わない手はないと思います。腸なんて結構いい材料になるんじゃないでしょうか?でもいくらヘリウムガスを詰めこんでも、漫画じゃないんだからそんなに膨らまないと思うけど、それはまぁいいか。

Entry.05『汗垂るる人』有馬次郎さん
私にはどうもこの男性が放つ言葉に共感もしないし、好きにもなれそうもありませんが、人はみな違った感性を持っていると思っていますから、個人の自由です。と突き放してしまっては感想になりませんが、男性同士の恋愛の始まりの物語としては面白いです。自分の信念であろう事柄を断定してしまう男性を多分言葉ではなく、汗をかく姿を見て好きになっていくのであろう様子が、ちょっと皮肉ってあって気にはなりますが、逆にそこが面白い。あっ、でもこの私というのは女性なのかなぁ?

Entry.06『blind soldier』筬島 桂さん
兵士は考えてはいけない。命令にさえ服従していればいいという考えがありますから、タイトルは、きっとこの話しはそういう事なんでしょう。昔は遊びも戦争ごっこだったりチャンバラごっこだったりしているのが、今は単にゲームという名前に変わっているだけで、ただ何年か生きてきてその延長線上にそのままゲームを持ってくるのが正しい事かどうかという事だけでしょう。年老いた母が待つことにさえ疲れるほど待っているという事が、戦争なんて無意味なんだからゲームを投げ出してもいいじゃないかという思いが感じられます。

Entry.07『だれが一番おばかさん?』羽倉諒さん
寓話というのは勿論教訓がなくちゃいけないと思いますが、結構ラストは残酷で、こうこうしないから・しちゃったからこんな風になってしまうんだよ。という感じが多いんじゃないかと思います。だから始めはアブは「これが命だ」なんて言われて、ラストで殺されてしまうんじゃないのかと思ってしまいました。そういう意味では例え話としての寓話じゃないのかとも思いますが、タイトルからするとやっぱり寓話なんだろうなぁと思います(って何が言いたいんだろう俺は)主人公のアブは探求心旺盛で、読者に疑問を投げかけ、ラストには読者の期待を裏切った?解答を提示するという、まるで推理小説の様相を呈していますが、ラストの解答が命ってなあに?から、生きるってなあに?に変わっている様に読み取れてしまいました。まさかこれに気付かない読者が一番おばかさんなんてオチじゃないよなぁ。

Entry.08『イイオンナ』マコトさん
この後がどうなるかが恐いです。まさかこのまま彼女が男の前から消えるだけなんて事はないと思いますが、もしそうだったら再び会う事になった時も恐い。この女性の「わかった」という言葉の意味が判らないだけに「イイオンナ」である彼女がどう変貌を遂げるのか、アナタだけのイイオンナというのがすぐに判るというラストが不安をかきたててくれます。

Entry.09『僕らの時』Ryoさん
以前私が書こうとしたプロットに似ているんで驚きました。もっとも私のは、主人公は兵士であり産まれた時から兵士になるという宿命を持っていて、殺人兵器として教育されていき、兵器としては故障してしまった彼を助けた人に感情を教えられ、ラストで目から落ちた水が手に落ちるという、まぁこんな話しなんですがね。しかし文字数がちょっと長いのが気になりました。それから赤ん坊を殺せなかった理由が判りません。産まれた時から洗脳されてきて感情もなく、喜怒哀楽を知らないのに、赤ん坊を見ただけで迷うというのが納得出来ないです。ひょっとしたら彼もこういう形で父に拾われてきたのかも知れないという事を思っての感傷だったのかも知れませんが、その当たりが弱いかなと思いました。

Entry.10『コピーライター』RIBOSさん
ばっかだねぇ。と笑ってしまいました。こういうオチの為にある作品は、笑えればいいと私は考えています。昔々の横順のハチャハチャみたいで好きです。

Entry.11『あこがれ』Naokiさん
全然違うのかも知れないが、なんだかこの「あこがれ」というのが、田舎からの脱出のように感じてしまった。30代になっても、生まれ育ったところから出ることが出来ずに生活していて、昔はNさんも同じ想いでいたという事実。彼女はとうとういたたまれなくなって自殺?してしまった。そういう気持ちは判るけれども、こんな生活から抜け出したいという想いは判るけれども、やっぱり昔通りに生活している自分が、ふと昔の想い(今もそうなんだろうが)を思い出している。あの頃のもっと純粋だった頃に戻りたいという感じがしてしまった。(なんか全然違う様な気がするなぁ)

Entry.12『恋心』山森瑞穂さん
これは完璧に恋文というやつじゃないんでしょうか?こういう私的(詩的?)な文章を読んでしまうというのはちょっと恥ずかしい感じがしてしまいます。小説としてはやっぱり、だからどうしたの?って感じにしか捉えられません。やっぱり小説として発表するのならば、もう少し物語りとしての体裁を取った方がいいんじゃないでしょうか。

Entry.13『お楽しみ券』BEANさん
なんかこういうほのぼの?としたのもいいですねぇ。始めはお楽しみというのは、なにかもっと別の物というふうに勝手に思っていましたが、想像する楽しみというのも考えてみると、忘れてしまっていた気持ちみたいでなんかドキっとしてしまいました。ゾウガメ急便というネーミングには笑ってしまいました。早いのが売りじゃなくて、急いでるのが売りなんですよね、この配送業者は。

Entry.14『蒼の首輪』織衣 桃花さん
動物は死ぬ時期になると、仲間から離れるというのを聞いた事がありますし、猫も又飼い主の手を離れてどこかへ行ってしまうというのも聞いた事があります。私は猫を飼った事はありませんが、彼らがそういう時期だったとは思えませんから、きっとちょっとお散歩にいったんでしょう。たんたんとした口調が、アオへの愛情を感じさせます。身近な人が亡くなった時に、夢枕に立つというのと同じで、アオも自分の居所を教えてくれたというちょっと、ホラーじみた内容が、始めの一文で表されていますが、埋マッテイル・・はない方がいいと感じました。梅<埋メ>と前にあるから、二重になっていて、煩く感じてしまいます。しかし、猫を飼ったことがない私がいうのも変ですが、猫という動物の首輪に鈴をつけるというのは、ちょっと残酷な気がしてしまいました。餌も取れなくなってしまいますからね。

Entry.15『空っぽの水槽』西村卓磨さん
最近Q書房の小説を読んでいて、マトモな話しを読んでしまうと、何か裏があるんじゃないか?オチは何だろうなんて考えてしまう自分がいて、良くないなぁと自分にいい聞かせるんですが、この作品も空っぽの水槽には、自分が入るのか、又は彼女でも入れておく(勿論死体です)のかと思ってしまいました。部屋の中にいる時に、腕時計をしない私は、ロレックスだとか高そうな水槽とさかな達だとか、ちょっと知り合った女の子が家に遊びにくるなんていう生活は、考えられませんので、ちょっと斜めに見てしまいました。こういう主人公って幸せなのかなぁってね。

Entry.16『でせう』梅田 径さん
そりゃあなた、ちょうの字が違いますよ。ちょうの字が…(笑)しかし、10時間も経過している会議でもうすぐ6時になるということは、昼休みを考えなくても、朝の8時には始まっていたのかぁ。こんな会議はすぐ止めるべきでしょうねぇ。特になんにも決まらないようなのは、意味がないですよ。とタイトルに相槌を打ってしまいます。

Entry.17『あなたはそれを、悪運だ、といった』OresamaXさん
私は海のスポーツというのを殆どやったことがありません。もちろん泳ぐのや、昔はウィンドサーフィンなんかもやったことはありますが、あんまり水に浸かっているのが好きじゃないんですよね。これは小学校にプールが無かった所為もあるかも知れませんねぇ。しっかりと地面に足がついていないと不安なのかも知れませんね。さて、主人公の左足ですが、鮫が途中出てくるんで、鮫にやられたのかとも思いましたが、ボードでケガをしたようです。どんなスポーツでも危険は付き物ですから、危険を承知でやっている訳ではありますが、やっぱりケガはしたくありません。て何を言ってるんだかなぁ。フラッシュバックのように、話しが前後しているのが効果的ではあると思いますが、却って話しを判り難くさせてしまっているように感じました。

Entry.18『カレー』くるりさん
日本人にとってカレーというのは不思議な食べ物だ。各人各様のなんらかのコダワリがある(と思う)実はやっと今日カレーを食べ終わった3日も続いたカレーだったが、目玉焼きを乗せたり、コロッケをつけたりしてやっと食べ終わった。だからカレーの話しは、はっきりいって読みたくもない。しかもこの作品からはカレーに対する狂気が感じられる。私の会社ではインド人が働いているが、彼は毎日お弁当を作って持ってくるのだが、毎日カレーである。日本特有のあのカレーの香りとは違っているが、やはり毎日カレーというのは、私には耐えられない。でも彼は飽きないという、それが当たり前の生活だし、健康食だし、いいとこばっかりだという。たまにはカップラーメンでも食べて欲しいなぁ。(ごめんなさい。作品と関係ないですね)

Entry.19『夕食うんこ』百内亜津治さん
なんというタイトルだとう。前の作品でもカレーの匂いとトイレの話しが出てきたのに、夕食うんことは…。あんまり読みたくないなぁ。と、読み終わった。これってスカトロじゃないか。しかしキリンが出てくるとは、一瞬ギョっとした。もっともここに登場する主人公とその彼女も人間とは思えない。ひょっとしたら、ゴキブリかも知れない。なんか不思議な作品だ。でも私にはちょっと刺激が強いなぁ。

Entry.20『二年前』ひょんさん
この年になっても政治の話しには疎い。名称が変わった省庁の名前も言えなくなってしまった。うちの大蔵省がなんて言ってたら、何それなんて笑われそうだ。この話しを読んでいて、星新一の話しを思い出した(沢山あるからタイトルなんか覚えていないけど)ある博士がテレビのコマーシャルの間だけ眠りについて休憩する発明をするという話しだったが、年老いて危篤になった時尋ねてきた息子が言うには、テレビコマーシャルでやっている薬を飲めば、もう少し生きられたのにというが、コマーシャルの間位の時間じゃ、もう有効に使ったよ。というようなオチだった。あんまり関係ないけど思い出してしまったんだから仕方がない。それにしてもタイトルの「二年前」というのが何だか判らない。

Entry.21『次の千年期に』るるるぶ☆どっぐちゃんさん
作者の名前を「るるぶ☆どっぐちゃん」だと思っていたが、「る」が一つ足りなかったようだ。そういえば、「るるぶ」だと、雑誌みたいだ。(ごめんなさい)千年後に、人がいないという事は、アイドルやロックスター達は人間では無くなっているという事か。タイムマシンというのは、理論的には出来ないと証明されているなんていう人もいるけど、そんな夢のない事は私は言わない。だってそのうち出来ると思っている。但し、人間が行けるとは思っていない。見える様になるだけなんじゃないだろうか?と勝手に思っている。まぁそんな事は関係ない。で、話しにある20秒程で止まるはずの凄まじいGが1分を過ぎても収まらなくなってしまったり、何故か現在に戻ってきたりするという御都合主義は、はっきりいってこの場合は許せる。先年の間に人間がどうなってしまうのかという疑問だけを残して終わるというのが、ちょっと寂しい。例えば、地球を捨てて、何処かの惑星に移住しているとか、人類が進化して現在の人間の姿をしていないとか、何かそういった目新しいものが欲しかった。だってこれじゃ千年以内に人類は滅亡しちゃうのかも知れないなぁっていうだけだもんね。

Entry.22『猫になる』蛮人Sさん
エレベーターを待つのも、いっそう虚しく思われた。その何度目かの踊り場に、猫は居た。うーん。階段を使うとは一言も書いてないけど、自然に情景が浮かび上がってくる。こういうのっていいなぁ。自然のままに誰からも干渉されずに、自由に生きていこうと決めた主人公が心地よい。猫らしくない猫に「お前は猫じゃない」という自分の考える自由の象徴である猫への思い入れが、なんかいいなぁ。良いです。自由を手にいれる主人公には、その分(猫になりたくても人間だから)責任も付いてくるけど、それはそれで頑張ってとしかいいようがない。

Entry.23『風の草原』伊勢 湊さん
風の種か。しかしエアホッケーって随分昔からあるゲームだ。私が中学の頃には既にあったから、少なくても、30年以上前には出来ていた。だけど私には風の種という表現は生まれて来ない。羨ましい。草原と感じたこともない。日頃から色んな事を感じるようにならなくっちゃいけないという見本だ。

Entry.24『計算ミス』yamacさん
そういえば、今度の教科書は円周率が3になるらしいですねぇ。嘆かわしい。一般社会に出て数学がどのくらい役に立つと思っているんですかねぇ。確かに一昔前まではパソコンでゲームを作ろうとすると、SIN・COSは知ってて当たり前、知らなきゃ、物を回転させる事も出来なかったですからねぇ。教科書問題も毎年問題になってるけど、もう少し実情にあった改定をして欲しいものです。その点日本語の改変は自由度が高すぎるきらいはありますがね。

Entry.25『紙飛行機』川島ケイさん
夢があっていいなぁ。5年も前の紙飛行機だから、きっとこれは地球を何周かしているんでしょう。一体誰が着陸させるのかは判らないけど、サキちゃんはどうしてるんでしょうねぇ。さわやかな気持ちにさせてくれて嬉しいです。

Entry.26『森に願いを』川辻晶美さん
なんか気持ちのいい作品が続く。人間のエゴを表しているといわれる三つの願い。猿の手の話しが有名で、殆どの作品は不幸になってお終いだけど、これは不幸の度合いがちょっと捻ってあって、面白い。ひょっとしたら幸せなのかも知れないという気持ちにもなる、ニュータイプ。

Entry.27『盗作』越冬こあらさん
久しぶりのこあらさんの作品だが、作風が変わったというか、日記の如くなってしまった。昔のあの不思議な感じが好きだったが、今回は一時日本帰国での執筆時間の制限での作品なのだろうと思おう。(昔の作品の方が良かったように感じる)しかし、越冬こあらAと越冬Fこあらさんという二人の作家の競作で、「小説道」なんて私小説でないことを祈ります。

Entry.28『ストーカー引き受けます』自作
面白いと思いますが、なんせ短い時間で書いたものですから、まぁ楽しんで頂ければ嬉しいです。

Entry.29『次郎』逢澤透明さん
ひぇーっ。私の作品をはさんで、似た様なのが揃ってしまいましたねぇ。こういう事もあるんでしょう。生みの苦しみをそのまま文章にしたら、同じ様なことをしている人がいた。しかも同じ様なことを書いているというのは、なんか自分でも書いてしまっていたようで恐いです。しかし次郎という主人公にした理由は一体なんでしょうか?私でも俺でもあたいでもいいと思うんですが、前後の一人称と途中の三人称とが、どこからどこが、自分作者なのか(全部違うのかも知れません)が判り難く感じました。

Entry.30『年頃』羽那沖権八さん
娘さんだけじゃなくて、奥さんから敬遠されてないんだったらまだ良いほうでしょうね。途中の「とくとくどくどく――。」が、「くどくど」に思えて面白いと勝手に思ってしまいましたが、多分これは狙いでしょう。面白い。娘の結婚を翌日酒の席でいうというのにはびっくりですが、ひょっとしたら違うのかもと思うと、恐い気もします。