第45回1000字感想

 今回の感想はそんなに遅くなってはいません。多分…。そして今回もいつものように好き勝手に書いています。作者の思いと違った読み方をしている場合もあるとは思いますが、私のひねくれた性格と偏った知識と少ない経験がこう言わせています。でももちろん面白くないなんて書かれていても、作者はそんな事を気にしないで、しっかり自分の信じる道を歩んでいって下さい。この感想は作者を攻撃する為に書かれているわけではありません。

Entry.01『がらんどう』白銀霧理さん
からっぽという意味のがらんどうなのかと思って読み始めたら、伽藍堂だとは思わなかった。登場する人物の名前がリュウ・アメ・雨・祝という変った名前だという事が、なんだか龍神にも関係していそうで、知識のない私は少し不安になる。子どもたちが遊ぶのに墓地へ行って、しかも墓石を洗ったりするのだろうかという事もその原因だろう。だからかも知れないが素直にストーリーが追えなかった。

Entry.02『むかつくトマト』マーマレード=ジャムさん
文章の運びが面白いんだけど、なんだかそれが活かされていない感じを受ける。多分それは、母と子の親子の葛藤などという、テーマを選んでいるからかも知れない。なんだかこういう文章には、もっと軽い遊び心が欲しいと思ってしまった。

Entry.03『放心からの視索』詠理さん
解らないーっ。普段解りやすい文章ばかり読んでいるせいか、なんとも難しい表現にあったりすると、古くなっている脳細胞は活性化しないから、ポカンとしてしまう。@はなんだか進化の話しなのかなぁとの予想はつくけれど、どうも始めの「憶測はさっさと引き下がればいい」なんて書かれてしまうと、何くそっという読みきってやるという気力が沸いてこない(笑)切り取られた文章というよりも言葉が、詩のようにさえ感じてしまうのも、その要因かも知れないが、何だか元気だけは感じた。
ちなみに@Aなどという特殊文字は、macでは見れないらしいから、あまり使わない方がいいかも知れない。

Entry.04『赤い糸』さゆりさん
私にはこういう気持ちが良く解りません。幸せなのかも知れないけれど、結局は物足りないと感じている奥さん(とっても暇でする事さえも考えつかないとしか思えない)が、アバンチュール(古)とまではいかなくとも、何かを期待してメル友を求めるというそういった心境が、理解出来ないんですよね。ひょっとしたら赤い糸で結ばれているのかも知れないと考えるのは、仕方がない事だとは思いますが、一度諦めたのならば、何故ずっとそんな事を考えないように出来ないのか…。何故昔想っていた男の物を後生大事にいつまでも持ち続けているのか…。結局は諦めていないのだろうけれども、なんだかこういう主人公の気持ちって私は好きにはなれないんです。もっともこういう心情があるからこその文学なんだろうけど、男と女ってなんかこういった話しばかりじゃ面白くも何ともないという考えのエンタメ志向としては、私には苦手な分野でした。

Entry.05『理論的に生きれば今日は吉。』左右田紗葵さん
今までにこんなに現実的に感じるオチの持って行き方は無かったように思う。オチと書いてしまったが、もちろんオチを狙った作品ではないだろう。ただ淡々と書かれていると文学してるなぁと感じてしまう。文章の運びも凄い。文字数オーバーが少し残念ではあるが、そんな事はこの際構わない。読み応えがあった。

Entry.06『参観日』青野 岬さん
始め、両親が離婚していて、参観日には祖母が来るのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。母親も働いていて忙しくて来れないから、祖母が代理で来る。が正しい解釈のようだ(笑)どうも「母親が同居している祖母」という文章を、「母親が(、私と)同居している祖母」→(自分と母親とは別に暮らしている)と読んでしまったからのようだ。私も文章を書く時に気にはしているのだが、やっぱり言葉って難しいなぁと考えさせられた。

Entry.07『Nothing to Declare』IONAさん
女性が主導権を握っている話しっていうのは面白い。ただ情景描写がその話しを壊しているように感じた。始めの方の「撲殺された格好の白い天使たち」なんて面白い表現だなぁと思ったのだが,「商店街へと伸びる細い道路に座り込んだ」あたりから、なんか違うなぁと思ってしまう。情景描写を洒落て使いたい時というのは私もたまにはあるのだが、話しが佳境に入って展開を期待している時に使うよりは、情緒を訴えたい時のほうが効果が上がるのではないだろうか?

Entry.08『Cat Loves Fish』スナ2号さん
虎猫に食べられる金魚を想像していた者としては、以外なラストだ。そしてラストで虎猫が流す涙が、何を意味するのかも微妙である。金魚に対し本当に恋心を持っていたのであれば、妹と言えども白猫に何も言わないというのも変に思えるからだ。やっぱり虎猫は金魚を食べようと思っていたのだが、妹に先を越されたという悔しさの涙とも読み取れてしまう。

Entry.09『ダブルストーカー』紺野なつさん
ストーカーといったら、やっぱり殺人(笑)とは言わないが、もっと犯罪になるような行為を期待してしまう。確かにストーカーという言葉には、「付いてくる者」という意味があるから、いいとは思うけれども、現代でのストーカーの意味はやっぱり犯罪行為を指すのだから、もう少し弾けてもいいかなぁと思った。しかし最近再版された「ちびくろサンボ」の値段の高さには驚いた。

Entry.10『影武者』有機機械さん
影武者が本物になってしまうという、私の大好きな「影武者徳川家康」を思い出した。回りのスタッフがいてこその天下という図式が、結局は誰がトップに立っても変らないという現政権を現わしているようで、面白い。

Entry.11『ヘッジファンド』narutihayaさん
ヘッジファンドが世界の経済を潰すというのは、何も目新しい考えではないが、こうやって文章になってしまうと、良いネタを思いついたなぁ、と感心してしまう。金儲けの為だけと思えるヘッジファンドに対する批判というよりも、それに関わる悲喜劇的な話しを展開しているからこその面白さだろう。あずまよういちの作家とは思えなかたった(笑)

Entry.12『風邪の日』立花聡さん
接頭語が無く、淡々と主人公の気持ちとその動きを過去系や現在進行形で書かれると、読者によって違うのだろうが、私には少し違和感が残る。風邪をひいたら寝るのが一番。とはいえ女性と運動するのは身体によくない。しかし今日はデートなんだから、電話の誘いは断ろう(笑)

Entry.13『恋のキューピッド』日向さちさん
もちろんキューピッドは女性ではありませんし、人間と簡単にお話が出来るわけではありません(オイ。ホントにいるのかよ)が、こういう女性だからこそ書ける話というのは、羨ましいです。もちろん男だからこそ書ける文章もあるはずだとは思うんですが、それって何だろ? しかしこれを男が書いたら、オェッ!だなぁ(笑)

Entry.14『母からのプレゼント』浅田壱奈さん
ラストの1行の為に、書かれた文章というのも、もちろんあるけれども、それはどちらかというと、今までの経過の余韻を楽しむ為のものであって欲しい。もちろんそんなものを無視してオチを楽しむという作品もあるけれど(私の作品だぁ)この作品はどちらかというと、そういう分野ではないだろう。そう考えると、何だかこの話しは、ラスト1行を思いついて、その伏線の為に書かれた文章のように感じられる。

Entry.15『僕は宇宙人』澤井良さん
自分の事を宇宙人といってしまうタケシの気持ちが悲しい。境遇からくるだろう性格のせいもあって友達が出来ないタケシの、それでも友達が欲しいという思いが言わせている言葉なのだろうが、それが判ってしまうからこそ悲しいのだ。主人公達二人がそれに気づくラストも、タケシの言葉はホントウなのだと思いたいという気持ちが出ていて良い。字数オーバー分はもう少し推敲することで、なんとかなったようにも感じたが…。まぁいいか。

Entry.16『海洋葬』川辻晶美さん
この作家はこういう作風の作品ばかりのような気がする。作風が固定されているというのは凄いことだと思う。しかしだからかも知れないが何だか物足りなさを感じてしまうのは事実だ。私は読んでいて、やっぱり意外な展開を期待してしまうからだろうが、驚きが欲しい。文学にはそんなものは必要ないんだ。男と女が結婚しないで幸せな時を過ごし、それが何かの理由で破局を迎えるという俗受けするような話の系列だとは言わないが、私には何だか向いていないなぁと思ってしまう。ごめんなさい。

Entry.17『男の花』さとう啓介さん
花札ならば8月はススキ。月見で一杯の20点札(笑)私も子どもの頃に「近所にあった柿の木は祖父が植えたものだ」と聞かされました。それも自分の庭ではなくて、公共の場所でしたし、殆ど実がなったのを見た事もありませんでした(笑)でも何だか少し誇らしく感じていたものです。誰のものかも判らない場所で畑を作ったり(自分で開墾したらそこは自分の物という感覚が強かった)と本当の田舎だったものですから、そんな事が出来たのでしょうが、なんだか子どもの頃を思い出してしまった。さとさんも作風が定着してきたなぁ。羨ましい。

Entry.18『きりとり』越冬こあらさん
「きりとり」は、異空間への道だったのかぁ、と納得(するな!)しかしこういう不可思議な現象が起こっても、普段と同じように振舞うというこの作家の登場人物達は面白いなぁ。だからこそ作品が生きてくるんだろうが、いつも感心させられる。

Entry.19『僕の終わりは来なかった』犬宮シキさん
「ループ」というか「リプレイ」するのは本当にSFにはよくあるが、だからこそどうなるのかが話しの良し悪しを決めるといっても過言ではないだろう。しかしこの作品はそれがない。それがないからこそ、何か私は欲しくなってしまうのだ。繰り返すことによる楽しみなのか悲しみなのか…。しかし考えてみると、確かに百万回も同じ時間を繰り返しているのならば、そんな感情はなくなってしまうのかも知れない。そう考えると実はこれが正しい姿なのかも知れないとも思ってしまった。

Entry.20『アロエのはっぱ』ごんぱちさん
よく日本の家庭で育てるキダチアロエは、あまり効果がないらしい。逆に雑菌のせいで、身体の為には良くないという話しさえ聞いた事がある。火傷は冷やすのが一番です。もちろん重度ならば病院へ直行(笑)って全然感想になってない。読み返してみたら、何だ全然漢字を使ってないや、これって子どもの作品じゃないか? 今回の私とおんなじだぁ。でもこっちの方が子どもらしいかも知れない。

Entry.21『エイリアン』檸檬ラさん
ここでいうエイリアンはSFでいう所の宇宙人なのだろうか? それとも悪魔などの事だろうか? どっちにしても人間ではないらしい。処女受胎かどうかさえわからないが、やはり自分の腹を痛めて産んだ子は可愛いのだろう。娘と言いきるラストが面白い。

Entry.22『密室 〜死体とおれのツーショット』橘内 潤さん
うーん。判らん。白日の元にテラ(地球)す? シャレになっているとも思えないし、推理物仕立てではあるがテレビ放映している撮影現場とも思えない。何だろう? 開けろと言っている怒鳴り声の主はカギの場所を知っているし、突然出現する探偵役らしい人物も謎だ。推理小説の探偵役のご都合主義への反発なのかとも取れるけど、やっぱりよく判りません。

Entry.23『ぼくのゆめ』自作
笑ってもらえれば嬉しい。それだけです。

Entry.24『階段』Ruimaさん
私が子供の頃は、「この映画を見て泣かなかったら料金をお返しします」なんて映画もあったくらいでしたが、流石に最近はそんな映画は無い。(もちろんその映画では私も泣いてしまいました)こういう弱い部分を見せる男が好きになるというのは、母性本能なのかも知れませんが、後で失敗したなぁなんて思うというのも女性の姿かも知れませんねぇ。女性の技だけと思われる涙という武器を使って、好きな女性にワザと弱みを見せるという男もいるのかも知れないという思いもありますが、いくらなんでもそこまでは考えずにおこう(笑)

Entry.25『悪いというか、まあ、ヤな感じ。』アナトー・シキソさん
あぁ、相変らず判らないっす。情景は浮かぶし雰囲気も面白いんだけど、私にはやっぱり理解出来ない。この作家独特のものが、毎回興味深く読ませて貰えるんだけど、どうしてもストーリーを考えてしまう私としては、こういった世界感にはついていけない。なんだか自分にも共通する部分の一ヶ所でもあると又違った味わいがあるんだろうが…。

Entry.26『ラスト・ステージ』カビパラさん
影武者に乗っ取られる男がいた(Entry.10)と思ったら、こっちは影武者本来の仕事をするという話だ。しかもタイトル通り本当にラストの演技である。自分の仕事にホコリを持って死へと向き合う主人公の姿は感動的ではあるのだが、やはりこういうストーリーでの死になると、面白さよりも悲壮感が強くなてしまうのは仕方がないのかも知れない。

Entry.27『ゴーゴーパンチ』ぶるぶる☆どっぐちゃんさん
「弱り目に祟り目」というか「泣きっ面に蜂」というか、主人公の悔しい思いは判るし、ひょっとしたら、結果的に殴ってしまった奥さんとも別れる事になるのかも知れないと思うと、可哀想になぁとも思う。前半部分のUFOや宇宙人との闘いと、後半部分で試合に負けた主人公の思いを、「突然消えたUFOを人々は無かったことにした」という一言だけで片付けてしまうという展開は凄いことだと思うけれども、これで本当に良かったのかい?

Entry.28『仲間へ』繭さん
うーん。淡々と書くというのは、それはそれで良いと思うんですが、こういう話しを淡々とされてしまうと、小説という感じがしないんですよね。私の知らない人が二十歳になる前に死んで、みんなでお通夜に行ったよ。ってそういう話しを人から聞いたら、ふーん。そうなの。ってそれで終わってしまうような、そんな感じでした。

Entry.29『エレベータ』林徳縞さん
「美」というものを表現するのに、芸術化は色々な手法を取って表現しようとするけれども、この作品は、「きれいだった」「美しかった」というに留めているのは、きっと読者の想像する美しさが、人それぞれに違うものだと認識しているからなのだろう。研究サンプルになるロックスターもしくは、途中からエレベーターに乗る女性の、どちらかに感想を求めたのかも知れないが、天にも昇る気持ちというのはニンマリとしてしまった。こんな部屋で誰でも綺麗に見えるなんて事は有り得ないよ。というツッコミはいれないでおこう(笑)